流行りに流されるだけの人っていますよね。

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流行りに流されるとかそういうのって

 どうにも最近、よく分からないアプリが人気になっている。少し前までオワコンだとか言われていたとあるキャラクター達を、GPSとARを用いて現実世界でそれらを捕まえられるというアプリらしい。なんとかゴーとか、言うらしいアプリだ。

 いやはや、俺にはそういう類のアプリの面白さが一切合切分からない。まぁ、流行りに流されない為に、周囲に溶け込むために適当にそういうアプリをインストールしている訳で、少しやってみたがやっぱり分からない。うん、レベルは結構あがったけど未だに全然分からない。

「いや、アンタは結構やりこんでる方だと思うよ。なにせ――」

 と一拍くらい開けて、文句を言おうとするのは俺の相棒、俺の頼れるパートナー、俺が頭脳担当であれば彼女は行動担当。そういう役回りで俺と彼女はバディとして仕事をしている。

「――なにせ、追手に追われてる中で、相手の雇った殺し屋に狙われてる中ですら、そのアプリやってんだから!」

 だぁと叫びながら一瞬だけ後ろを振り向き追っ手を確認し、前を向き、そのままノールックで二発の銃声を奏でる。つい振り向くと、先頭二人が倒れ、それによって足止めを喰らっている追っ手の姿があった。流石、という意味を込めて口笛をひゅーっと漏らすと、持っている拳銃をコメカミに突きつけられた。

「大体ね! アンタがあの重要な時にくしゃみするからこうなってんでしょ!? なんでアンタはそんなに余裕なのよ!? さっき、コンビニでなんか買ってたでしょ!? あの時間で一体どれだけ距離を離せたと思ってるの!?」

「やだなー、ソシャゲーに課金は付き物じゃないですかー。何言ってんだよー」

「付き物っていうか憑き物でしょ。取り憑かれてる気がする。いやまぁ、なんだかんだ、アンタに助けられてるけど、その助けられるような状況も大体アンタのせいなのか分かってる!?」

「はいはい。とりあえず後一回レベルアップするまでは逃げてくれ。そうしたら、大丈夫だから」

「本当に?」

「絶対に。俺を誰だと思ってるんだ?」

「ロリコンでシスコンで変態で、頭のおかしい人間」

「大正解だ。頭がおかしい。普通じゃない。だから、普通じゃない方法を思いつける。大体、普通と異常の二種なんざ、時と場合によっては同義語になるんだよ」

 などと、適当なやり取りを、逃げながら、スマホゲームをしながら、そして彼女に指示している通りに少しずつ、レベルアップまでの残り経験値が近付く度に、大通りに近づいていく。

「それで、一体どうするの? この時間帯じゃ、誰もいないから大通りに行っても意味ないでしょ。それに大通りなら挟まれるし、狙いも付けやすい。普通に考えて、不利なのに。多分、向こうも気付いてるよ。視認できる追っ手の数が減ってる。多分、挟み撃ちにされると思うけど」

「流石は俺の妹、胸も背もちっちゃいけど状況判断能力は流石だな!」

「誰の胸も背もちっちゃいだって?」

「うおっ!? アブねぇ! 撃ってんじゃねぇ!」

 怒りに任せて貴重な弾丸を数発使う。こいつは相変わらず、面白いくらいにこういう反応が可愛いな。

「ったく、――っとレベルアップ。さて、じゃあ、これで終わりだ。逃げ切れるぜ」

 適当に、慣れた手つきでスマートフォンを操作する。

「なぁ、妹よ。さっき、人通りが少ないから大通りに出ても意味がないって言ったよな」

「うん。人混みに混ざるとかなら、確かに大通りを出る方がいいけど、人がいないなら物陰に隠れられないし、ただただ危険なだけだよ」

「じゃあ、簡単な話じゃねぇか。人通りがねぇなら、人通りを作ればいい」

「は? そんな馬鹿なこと、できる訳ないでしょ? そんなの、絶対にあり得な――」

 否定しつつ、それでも俺の後をついていく妹。半信半疑で大通りに出ればそこには――。

「――は?」

 わいわいがやがやと、大量の人間がいた。本来は人通りがほぼなく、人と出会うことすらあり得ないはずの時間帯に大量の人間がうようよと現れていた。

「一体、何をしたの? こんなの、絶対に」

「魚を釣るためにまず撒き餌をしたりするだろ? するとそこに魚が集まって、そうすると自然と人が集まってその辺りに人が密集する。それと同じ原理だよ」

「……は?」

「まぁ、そういうと、こいつらは果たして魚なのか釣り人なのかは分かんねぇけどな」

 くくっと、声を漏らして笑う。

「だから、こいつらは、このアプリで「キャラクター達が現れやすいアイテムを使った一定エリア」に集まった、釣り人なんだよ。まぁ、このアイテムを使うと人が集まってくるから、ある意味じゃ魚だけどな」

 そう言ってアプリの画面を見せる。簡単な話だ。この周囲一体に、キャラクターが現れやすいアイテムを使いまくったのだ。そのアイテムは有料或いはレベルアップにて手に入れられる。課金アイテムでありレベルアップ報酬である。

「さて、それじゃあ、悠々と逃げ切ろうぜ、俺の可愛い妹さんよ」

「……はぁ、本当に頭がおかしい。いや、おかしいのは、アンタだけじゃないか。こんなのでこんな時間帯に外に出てくる阿呆みんな、頭おかしい」

「まぁまぁ。こういうアプリも、たまにはいいだろ? あ、ちなみにさっき図鑑コンプした」

「そのしれっとした自慢さえなけりゃ、本当にいいのにな!」

 嫌がらせなのか、サプレッサー付きの銃でそれでも追ってきた人間を一発撃ち殺してダッシュする。

「あー、本当に――」

 

「流行りに流される人間って、便利だなぁ」




流行りが廃れたこのタイミングで言う辺りが作者のヘタレが見えますよね。ちなみに俺は初めて三日で飽きました。何がとはいいませんが。

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