つよきす 愛羅武勇伝   作:神無鴇人

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生徒会入会

レオSIDE

 

 え〜、昨日から従姉との同居を始めた対馬レオです。

現在朝食なんですが……メニューはおにぎり(形は歪)、乙女さんの手料理。

っていうか、乙女さんはコレしか作れないのだ。まぁ、これはコレで美味いけど……。

 

「晩飯、俺が作るよ……」

 

「ん?料理できるのか?」

 

「一応、肉じゃがや玉子焼きぐらいはね、後は炒め物とか……手の込んだ料理はスバルに任せていたから」

 

「そ、そうか……(に、肉じゃがに玉子焼き……どれも私が失敗してきた料理じゃないか)……い、一応私も時間があれば作ろう、お前だけに任せきりは不公平だからな」

 

 ……料理のレパートリーを増やした方が良さそうだ。

 

 

 

NO SIDE

 

 そして放課後、昨日の言葉通りレオ達は乙女に連れられてある場所へ向かっていた。

竜鳴館に数多くある道場を通り過ぎ、着いた場所は……。

 

「もしかして連れて行きたい場所って、学食?」

 

 口火を切ったのはカニだ。

 

「ああ、そこで待ち合わせしているのはそこの隣の主だがな」

 

「それって竜宮の事?」

 

 竜宮とは生徒会執行部の独立した木造建物の事である。

代々の生徒会長(女性)がそこで生徒会の運営を行っているのでその名が付いた。

つまり、待ち合わせしている人物とは……。

 

「乙女センパイ、こっちこっち」

 

「あれ?もしかして?」

 

 予想通り、生徒会長霧夜エリカとその親友佐藤良美である。

 

「ああ、私はこの4人を生徒会メンバーに推薦する」

 

「は?」

 

 突然予想もしてなかった事を言われ、レオは軽く混乱する。

 

「う〜ん……ま、いいんじゃない」

 

 姫、あっさり承諾。

 

「コレどういうこと?」

 

「聞いての通りだ、お前達を生徒会執行部のメンバーに推薦した」

 

「なんでまた?」

 

「うむ、つまりだ……」

 

 端折って説明するとこんな感じだ。

 

現在の生徒会執行部メンバーは3人。

霧夜エリカ(生徒会長)

鉄乙女(副会長兼風紀委員)

佐藤良美(書記)

 

以上三名。要するに人手不足である。

 

「他にメンバー居なかったっけ?」

 

 フカヒレが珍しく至極真っ当な質問をした。

 

「目障りなんでクビにしちゃった」

 

 なんともまぁ、傍若無人な理由である。

 

「問題なんて無いわよ、私の決めた事は絶対だし」

 

 傍若無人な理由パート2(←またかよ!)。

 

「それでも姫は人望はあるからな、面接には何人も来る……だが、能力は悪くないはずなのに片っ端から落としていく」

 

 呆れ半分で乙女が補足した。

 

「気に入れば取るわよ、気に入らないだけ」

 

 傍若無人な理由パート3(←もういいっちゅうねん!)。

 

「じゃあ何でオレ達四人合格なんだ?」

 

 レオ達の疑問をスバルが代表して訊ねる。

 

「そこら辺は貴方達を推薦した乙女センパイから聞いてみたら」

 

 そう言われて視線は乙女の方へ移る。

 

「陸上部の伊達は別として、基本的に暇そうだったからな、レオも闘技場に通ってるらしいが、どうせ夜までは暇だろう」

 

 なんか嫌な理由である。

 

「あはは、暇人だって、バカ丸出しー」

 

 カニは自分もそれに含まれていることに気付かず笑い飛ばす。

 

「だが大きな理由は違うぞ、お前たちは何だかんだで普段罵り合いながらも信頼し合っている、欲しいのはチームワークだからな」

 

「だ、そうよ……私の方は面白そうってのが一番の理由かな?」

 

「安直な理由だね……」

 

 最早呆れて物も言えないレオ。

 

「でも重要な事でしょ?」

 

「佐藤も異論は無いか?」

 

「はい、4人増えれば助かります」

 

 良美が優しい笑顔を見せ、なんとなくレオはそれに癒された。

 

「4人の了解は取ってなかったわね、どうする、手伝う?」

 

 レオは少し考える、レオとしては夜まで暇なのは間違いないし生徒会に入るのは別に問題ない。

それに美人揃いの生徒会に入ると言うのも悪い話じゃない。

 

(あれ?断る理由無いじゃん)

 

 あっさり結論が出てしまうレオであった。

 

「俺は別に構わないけど、スバル達は?」

 

「俺、陸上部に所属してるんだが」

 

「そこら辺は考慮するわ、要は頭数だから、まぁ少しは仕事してもらうけどね」

 

 スバルもほぼ問題なし。さて、他は……。

 

「うーん、かったるそー」

 

 さすがは蟹沢きぬ、予想通りダメ人間的な答えである。

 

「ふーむ、私がOK出したのに断られるのも癪だし・・・・・・良いわ、竜宮(職場環境)を見てから決めてもらうから」

 

 そう言って姫は立ち上がり、竜宮へと足を向ける。

 

「私は道場に顔を出してから行く、さっき覗いてみたら部員達め、気合が入ってなかった」

 

 鬼の居ぬ間に何とやら……拳法部員の連中にレオは心の中で合掌した。

 

 

 

レオSIDE

 

 執行部の建物、『竜宮』は2階建て、1階はハッキリ言って物置同然だった。

イベントなどで使われる備品が積み上げられていた。

しかし2階はというと……。

 

「はい、ココが職場」

 

「なにぃ、ほとんど一軒家じゃん!」

 

 カニの言う通り1階とはエライ違いだった。

机や椅子は勿論台所やソファ、パソコンからコーヒーに茶菓子まで完備されている。

その上漫画や雑誌まで置いてある、文字通り好き放題だ。

 

「成る程ね、姫が時々授業サボる時って」

 

「ええ、ココで寝てるわ、先生も来ないしね」

 

「そりゃ美味しいな、俺も使っていいのか?」

 

 おいおいスバルよ、いくら部活補正があるとはいえお前はサボれるような余裕は無いぞ。

 

「結論は出たか?」

 

 あ、そんな話してると乙女さんが戻ってきた。

 

「乙女センパイが来たし、丁度良いわね、対馬君はさっきOKだって言ったし、他の3人も結論を聞かせてくれない?」

 

「はっ!答えは当然出ているんだぜ!最初からな!(こんな美人揃いの執行部聞いたことが無いね、絶対入る)」

 

 あ〜あ、邪念だらけな考えが丸分かりだぜ、フカヒレさんよ。

 

「ボクもやるよ、条件が気に入ったからね」

 

 カニは物に釣られた典型だな。

 

「そんじゃ、どこまで力になれるか微妙なモンだが、オレもやってみるかな」

 

 コレで全員参加か。

 

「コレでまとまったな」

 

「一気に4人か、景気良いわね、それじゃお茶会でもやりますか、よっぴー、お茶」

 

 と、まぁこんな感じで俺達は生徒会執行部に入会した。


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