つよきす 愛羅武勇伝   作:神無鴇人

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人前でいちゃつかなきゃバカップルではない?答えは否!!

レオSIDE

 

 初夏の眩しい日差しで俺は目を覚ます。時計を見ると午前6時。いつもよりかなり早起きだ。

そして俺の隣には一糸纏わぬ乙女さんの姿が……。

 

「ん……レオ?」

 

「おはよう、乙女さん」

 

「お、おはよう……///」

 

 目を覚ました乙女さんは俺の顔を見て昨日の夜を思い出したらしく表情(かお)が一気に真っ赤になってしまった。

 

「結ばれたんだよな……私達」

 

「うん」

 

 昨夜は本当に凄かった。

フカヒレ達に見られるというハプニングはあったものの、あの後も結局何度も求め合って……。

 

「あんなに求めてくるなんて……ケダモノめ」

 

「乙女さんだって、結局受け入れたじゃん。イッた回数も乙女さんの方が1〜2回多かったし」

 

「うぅ〜〜……年下の癖に」

 

 妙に悔しがって拗ねた顔をする乙女さん。だがそれがまた……

 

「ゴメン、めちゃくちゃ可愛いんですけど」

 

 思わず頭を撫でてしまった。

 

「こ、コラやめろ!私の方がお姉ちゃんなんだぞ!」

 

「いや無理、可愛過ぎるもん」

 

 いや本当マジで。

 

「むぅ〜〜、お前がそうならこっちにも考えがあるぞ」

 

 そう言うといきなり乙女さんは俺の顔を両手で掴んでキスしてきた。

 

「んむぅっ!!?」

 

「ん……ちゅ…………れろ」

 

 しかも舌入りときた!?

 

「ぷはぁっ……どうだ参ったか!」

 

「参りました……お詫びに俺からも……」

 

 お返しにこっちもキスしてやった。

 

「んんっ!?…………ずるいぞお前」

 

「ずるくて結構、スッゲー幸せだから」

 

 このままずっとこうしていたいけどそういう訳にもいかない。乙女さんは風紀委員の仕事があるし俺は飯の支度をしなければいけない(今日は俺の担当)。

取り敢えずそれぞれシャワーを浴びた後、飯を済ませて着替え、乙女さんは一足先に登校する事になった。

 

「じゃあ、先に行ってる」

 

「うん、また後で」

 

 別れ際にもキスしました。

ヤベ……傍から見たら絶対バカップルに見えるよなぁ(←当たり前です)。

ま、いっか。人前でイチャつかなけりゃ問題無いし。

 

 

 そしてカニを起こしに蟹沢家へ。

 

「お姉さん(←社交辞令)、カニを起こしに来ました」

 

「あら、レオちゃん。いつも悪いわねぇ……よかったらあの出涸らし嫁に貰ってくれない?」

 

「すいません、俺もう彼女いるので」

 

「あら本当!?昨日あの娘が絶叫してたからまさかとは思ってたけど……チッ」

 

 いや、最後の舌打ちは何!?まさか本気でカニを俺の嫁にする気だったのか!?マダム恐るべし……。

 

 

 まぁ、取り敢えずマダムをスルーしてカニを起こしに来た訳だが、いつものようにカニはグースカと爆睡中。

 

「オラ起きやがれカニ雑炊」

 

「zzz……レオォ〜〜、オメー何処にイく気だよぉ〜〜?」

 

 ……コイツ、昨日の事をまだ引き摺ってんのか?

 

「いい加減起きろ、チビが!」

 

 必殺、鼻フックデストロイヤー!!とか言ってみたり……。

 

「もがががががが!?テメェ!どういう起こし方してんだよコラァ!!!!」

 

「だったらさっさと起きろや、俺は今日6時には起きたぞ」

 

「ケッ、どーせ昨日乙女さんとやりまくってそのまま寝ちまったもんだからシャワー浴びるために早起きしたんだろ」

 

(ギクゥッ!!)

 

 不機嫌な表情で鋭い事を言いやがる。

 

「大方家出る前にも乙女さんとキスでもしたんじゃねーのか?」

 

「な、何でそこまで!?」

 

「お、おいおい……適当に言ったのに当たったの?どんだけお盛んなんだテメーは?」

 

 今日のカニは鋭すぎる……。

 

 

 こんな感じにカニの部屋で一悶着起きたものの、その後は途中でスバルとも合流していつも通り登校。何故かフカヒレは来なかったが……。

そしてHR……。

 

「皆さん、おはようございます」

 

 珍しく祈先生は遅刻してこなかった。いつもこうなら良いのに……。

 

「祈センセー、フカヒレの奴まだ来てません」

 

「先ほど職員室のほうに連絡がありました。フカヒレさんは傷心中のため今日はお休みです。ちなみに昨日の夜海に向かって叫ぶ猿顔の男がいたとかいなかったとか……」

 

 フカヒレェ…………。

 

「んだよフカヒレの奴、まだ立ち直ってねぇのか?情けねぇ」

 

「そう言うなよ、アイツはレオより先に大人の階段上ってやるって息巻いてたんだ……無駄なのになぁ」

 

 俺の所為か?俺の所為なのか?

 

「え、何?フカヒレが休んだのって対馬に関係あるん?」

 

「そういや今日の対馬は何か雰囲気違うべ」

 

「首筋に赤い痣があるのも気になるネ」

 

「私のタロット占いで対馬さんを占ってみたところ何度やっても出てくるのは『恋人』のカード、しかも全て正位置」

 

「え、それってつまり……」

 

 クラス中が一つの結論に達しようとする。

ちなみに上記の台詞は上から浦賀さん、イガグリ、豆花さん、祈先生、佐藤さん。

そして最後に残った人物がその解答を答える。

 

「つまり、対馬君に彼女が出来て、そのまま大人の階段も昇っちゃったってワケ」

 

 姫…………大正解…………トホホ、もうバレちゃったよ。

 

 

 

NO SIDE

 

その後 昼休み 屋上にて

 

 レオと乙女は二人並んでベンチに座り込む。

しかしその表情は……やつれていた。

 

「あ〜、まさかこんなに早く」

 

「私達の関係が知れ渡るとはな」

 

 HRの後、レオは質問攻めに遭い、乙女は乙女で勘の良い友人から初体験を済ませた事を簡単に見破られ、結果それを知ったファンが大暴走してしまう有様。

同じような騒ぎが同時に二箇所で起きるという事態に陥り、学園内の殆どの人間が『レオと乙女は付き合っている』という事実に気付いてしまった。

 

「今日の質問攻め、昨日より凄かった……おかげで精神的にもうボロボロ」

 

「私の方も、ファンが雪崩れ込んできて、それを落ち着かせる為に余計な労力を使って……体力的にはともかく精神的に……」

 

「「はぁ〜〜」」

 

 二人そろって同時にため息を吐く。

 

「でもまぁ……結果的に公認のカップルになれたのは良かったけどな」

 

「うん、それはある」

 

 でも結局二人だけの世界に入ってしまい、いつの間にか手を握って寄り添いあうレオと乙女。

 

「今日の部活って何時に終わる」

 

「そうだな……6時ぐらいだと思う」

 

「それなら俺も生徒会の仕事それくらいで終わるから一緒に帰ろうか」

 

「ああ、良いぞ。というか仕事が無くてもそうするつもりだろ、お前は」

 

「あ、バレた?」

 

 ……………………最早何も言うまい。

 

 

ちなみにこの光景をひたすら冷めた目で見つめる者がいた。

 

 

 

なごみSIDE

 

 まったく……屋上に入ろうとしたらこの光景……。

鉄先輩…………あなただけは生徒会でも戦闘力以外は割とまともな部類だと思っていたのに…………。

 

「バカップルが…………」

 

 見てて不愉快極まりない…………仕方ない、教室で不貞寝でもするか。

 

「というかこんな形で出番貰っても嬉しくないんだよ、馬神無(ばかみな)のダメ作者が……潰すぞ」

 

『おいコラ!メタ発言すんな!!っていうか馬神無って何だよ!?せめてちゃんと馬鹿神無って言え!!併せ技は何か腹立つ!!』

 

 天の声みたいなのが聞こえてきた気がするけど知ったことじゃない。

だって馬神無だから。

あ〜もう馬鹿ばっかり…………。


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