つよきす 愛羅武勇伝   作:神無鴇人

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コラボ第2話です。


バカップル達の挽歌・前編

NO SIDE

 

 対馬ファミリー、SAO組、ごらく部の3組が邂逅を果たしてから約一時間が経過し、いよいよコスプレカップルコンテストの幕が上がろうとしていた。

 

「しかし、思ったより多いな」

 

「うん、こんなに多いとは……(よく見ると同性カップルもちらほらといるけど、其処の所どうよ?)」

 

 周囲を見回しながらレオと乙女はそれぞれ感想を漏らす。

 

「さっき会った連中(和人達)はかなり強敵になるだろうな。

何となくだが私たちと似た匂いがした」

 

 同じ匂い=バカップルという事である。

 

「フカヒレの知り合いのサークルの娘達も……特にあのお団子の……あかり、だったっけ?あの娘は何出てくるか分からない。

まぁ、コンテストの方に出るかは分からないけど」

 

 二人はそれぞれライバルとの戦いを思い浮かべ、胸を躍らせるのだった。

 

 

 

 一方、ごらく部では……

 

「ちなつちゃ〜ん、私と一緒にコ……」

 

「結衣せんぱ〜い、私と一緒にコンテストに出てくださ〜〜い!!」

 

「え、私?……うん、良いよ」

 

 京子が言い終わる前にちなつは結衣にコンテスト参加を申し込んだ。

 

「…………あかr」

 

 誘おうと思っていた相手に見事に振られ、京子は残ったあかりを誘おうとするが……。

 

「おーい、あかりぃ〜〜」

 

「あ、大和お兄ちゃん」

 

「折角だから俺と組んでコンテスト出ようぜ」

 

「うん♪」

 

 大和に取られてしまった……。

 

ちなみに、大和はサークル活動を手伝いに来た幼馴染の女子数2人からコンテストに誘われたが、

 

『だが断る』

 

 の、一言で断ったらしい……。

 

 

 

「…………」

 

「ラム子ちゃ〜ん、だったら俺と組まない?」

 

 そして余り者となった京子をフカヒレが誘おうとするが……。

 

「負けフラグしか見えないから結構です」

 

「グハッ!?」

 

 身も蓋も無い断られ方にフカヒレはがっくりと肩を落とした。

 

 

 

レオSIDE

 

 参加カップル数35組……なかなかの数だな。

 

『それでは、これよりコスプレカップルコンテストを始めます!!』

 

 司会役担当の男の一声に、いよいよコンテスト開始だ。

 

『第一次審査・コスプレ精度対決!一発芸を披露してコスプレが如何に似合っているかをアピールしてください。観客から選ばれた審査員からの投票で合格点を出したカップルが準決勝進出です』

 

 ……いきなり難易度高ぇな。

俺達の場合フカヒレに選んでもらったコスプレだから剣を使う以外殆ど分からないし……。

 

「むぅ……私も刀だったら自身があるが、レイピアは使った事が無い……。

ん、待てよ?要は剣を使って何か芸をすれば良いのだから……」

 

「あ、そうか!つまり……」

 

 乙女さんの言葉に俺も気づく。

このコスプレの武器を活かした攻略法に……。

 

『それでは、番号札順にステージへ上がってください。

まずは1番のカップル……』

 

 

 

NO SIDE

 

『続きまして、エントリーナンバー4番、桐ヶ谷和人さんと結城明日奈さん。前へどうぞ』

 

 最初に出番が回ってきたのは和人と明日奈。

案内に従い、二人は静かにステージに上がる。

 

「本来は二刀流なんだが……ま、やってみるか。

明日奈、頼む!」

 

「OK!」

 

 和人の合図で明日奈は多数の板切れを取り出し、和人は腰に挿している六本の模擬刀に手をかける。

 

「和人君、行くよ!」

 

 掛け声と共に明日奈は板を和人の方へ一気に放り投げた。

 

「ッ!! 」

 

 一瞬、放り投げられた板切れを見据え、直後に和人は一気に目を見開いて指と指の間に挟んでいる竜の爪如き六本の模擬刀を一気に連続して振るった。

 

『おお〜〜!!』

 

 板切れは全てバラバラに切り裂かれ、観客達から感嘆の声が上がる。

そしてそれに更に追い討ちを掛けるべく、明日奈が一歩前に踏み出す。

 

「さぁさぁ、審査員の皆さん、お手を拝借!

私と和人君の合否は、如何なものか!?」

 

 人差し指を真っ直ぐ観客と審査員達に突きつけ、明日奈はふてぶてしく笑みを浮かべながら問いかける。

 

『うぉぉぉぉ!!合格だぁ〜〜〜!!!!』

 

『合格!合格!』

 

『イイじゃん、合格で!』

 

 コンテスト一次審査から4組目、早くも満点での準決勝進出が決まった。

 

 

『続きましてエントリーナンバー14番。国本景一さん、朝田詩乃さん、前へ』

 

 続くは景一と詩乃。

 

「詩乃」

 

「……分かってる」

 

 詩乃が取り出したのは3つのサイコロ。

それを先の明日奈同様空中高く放り投げる。

 

「…………ズアァッ!!」

 

 一振り……たった一振りだった。

三つの賽が一直線上に重なる一瞬を景一は見逃さず、一振りで賽を三つ同時に真っ二つにして見せた。

 

「……また、つまらぬものを斬ったか」

 

「……見事」

 

 最後に一言決め台詞を言い、二人はステージを後にする。

観客達が再び歓声に沸き上がるのはコレより1秒後の事である。

 

 

「エントリーナンバー21番。船見結衣さん、吉川ちなつさん、前へ!」

 

「先輩!私に任せてください!!一次審査なんか私一人の力で十分です!!」

 

「え?……ああ、うん。任せるよ、ちなつちゃんに」

 

 出番が回って早々、ちなつは結衣に進言して息巻く。

 

(ミラクるんのコスプレをした私ならこの審査の突破は100%確実!

何て言ったって私自身がミラクるんそっくりなんだから!!

そして……突破した暁には結衣先輩と…………)

 

 一次審査後の自分と結衣を思い浮かべ、ちなつは……

 

〜〜〜〜

(ちなつの妄想)

 

結衣「凄いや、ちなつちゃん!たった一人だけの力で審査を突破しちゃうなんて!!

次は私の番だね。準決勝では、私がちなつちゃんを結晶まで導いてあげるよ。

そして……決勝戦では二人で……」

 

ちなつ「ええ、二人で優勝を掴みましょうね!結衣先輩!!」

 

結衣「ああ!だから、勝利の前祝いに……」

 

ちなつ「んっ……結衣せんぱ〜〜い」

 

ブチュ〜〜(=3=)

 

〜〜〜〜

 

 という妄想を爆発させていた。

 

「えへ、えへへへへへ……」

 

『そ、それではどうぞ!』

 

 ちなつの妄想に若干引きながら、司会を務める男性はアピールタイムの開始を宣言した。

 

「(よし、行くわよチーナ!!)

愛と正義の魔女っ娘ミラクるん……」

 

 妄想から現実へ戻り、ちなつは満を持して取って置きのミラクるんのモノマネを披露するが……。

 

「華麗に投入!!」

 

『!!?!?!?!?』

 

 ちなつの見せたポーズはミラクるんのポージングではなく、かつて京子が吹き込んだ全く別のポーズ……所謂『コマネチ』である。

 

『…………』

 

「……ま、間違え、た…………いやぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

 殺伐とした空気の中、自身の余りにも恥ずかしいミスに耐え切れず、ちなつは脱兎の如くその場から逃走したのだった。

ちなみに、この時ちなつの逃げ足の速さは、レオ曰く『あいつ、俺より速くね?』と称する程のスピードだったらしい。

 

ちなつ&結衣カップル……不合格(しかも本日最低点数)

 

 

『で、では気を取り直してエントリーナンバー22番。対馬レオさん、鉄乙女さん、ステージへどうぞ!』

 

 そしていよいよレオと乙女の出番が回ってきた。

二人は自分達のコスプレのキャラが如何なるものかは知らないが、それをどう攻略するのか……。

 

(要は剣技を上手く見せれば良い。尚且つ先の二組(和人達)にも対抗できる技を見せる事が必須!)

 

(向こうが模擬刀で直接対象物を切り裂く技なら、俺達は……)

 

 二人は手荷物から前以って空にしておいたペットボトルを前方上空に投げ飛ばし、それぞれ武器を構える。

 

「「遠当てだ!!」」

 

 直後に振るわれる剣とレイピア。

気とスピードがミックスされ、斬撃が飛び道具のように発射され、レオの繰り出した残撃はペットボトルを真っ二つに裂き、乙女の一撃は風穴を開ける。

 

「そらっ!!」

 

「フンッ!!」

 

 更に二人のけりを繰り出し、その風圧でペットボトルを一気に吹っ飛ばす。

そして吹っ飛ばされたペットボトルは数十m先のゴミ箱へと吸い込まれるように入った!!

 

『おおっ!!す、凄ぇぇ!!』

 

『今の飛び道具だよな!?気って本当に飛ばせんのか!?』

 

 三度湧き上がる観客達の歓声。

少々キャラを無視したやり方だったものの、この後本日三度目の満点が出たのは言うまでもない。

 

 

 

レオSIDE

 

『それでは、最後のカップル。直江大和さん、赤座あかりさん。ステージへ!!』

 

 漸く一次審査もラスト一組……と、思ったら大和も来てたのかよ?

しかもさっきの得体の知れない気配を感じさせた女の子(着ぐるみ着用)と組んでるし……。

 

『それではどうぞ!』

 

 視界の人の開始の合図と共に、大和は徐(おもむろ)にガンボーの着ぐるみを着た赤座さんを持ち上げ、そのまま……

 

「どりゃぁぁ〜〜〜!!!」

 

 なんとエアプレンスピンで上空に投げ飛ばした!?

更に大和はすかさず鉄爪を装備し、赤座さん目掛けて飛び上がった!

 

「《スクリュードライバー!!》」

 

 そして一気に錐揉み回転しながらドリルのように赤座さん目掛けて突っ込んでいく。

 

「危ない!!」

 

「あかり!逃げろぉっ!!」

 

「あかりちゃん!!」

 

 赤座さんの友人達は今にも鉄爪の餌食となりつつある赤座さんの姿に叫び声を上げる。

だが……

 

「……赤座流体術《薙旋風(なぎつむじ)!》」

 

 大和の攻撃が命中するその刹那、

着ぐるみの中から赤座さんが飛び出し、回転キックで大和のスクリュードライバーを受け止めた。

ちなみに、赤座さんの靴の爪先にはナイフのようなものが装備されている。

そして赤座さんの服装は……

 

「え!?何あれ!?」

 

「あ、あかりちゃんが、ガンボーから飛び出して……」

 

「あ、あれはまるで……忍者!?」

 

 忍装束……まさか、彼女の正体は……。

 

「そうか、赤座流か……」

 

 俺の後ろにいた桐ヶ谷が静かにそう呟いた。どうやら心当たりがあるらしい。

 

「(ニヤッ)……《フライング・レッグ・ラリアート!!》」

 

 赤座さんの見せた空蝉の術に大和は不敵な笑みを浮かべながらコスプレ衣装を破り捨て(その下からは大和愛用の中国拳法着)、そのまま赤座さん目掛けて蹴りを繰り出す。

 

「《剛力旋風!!》」

 

 だが赤座さんも負けじと蹴りで応戦し、互いに蹴りと蹴りがぶつかり合ってお互いの身体が反発し合うように弾かれる。

 

「リャアァーーーッ!」

 

「ダアァーーーッ!」

 

 次に繰り出されるのは裏拳。

大和と赤座さんは殆ど全く同じタイミング、同じモーションで互いに裏拳を繰り出し、ぶつかり合う。

 

「ハイヤァーーーッ!!」

 

「セヤァーーーッ!!」

 

 そして再び同時に身を翻し、今度は蹴りと蹴りの応酬。

二人はまるで合わせ鏡の如く動き、見る者達を魅了する。

 

「「…………」」

 

 やがて二人は着地し、静かに一礼して演舞を終える。

ジャンプから落下までにココまでハイレベルな演舞をやってのけるとは……。

 

「やはり、あのあかりという女子……ただ者ではなかったな」

 

「うん、あれで演舞レベルだから、本気を出したらどんな強さなんだか……」

 

 大和達の演舞に沸く歓声の中、俺達は早くも後の格闘イベントに胸を躍らせたのだった。

 

 

 

NO SIDE

 

 当然ながら、レオ達は全員一次審査を突破。

そして僅かばかりの休憩を挟み、準決勝が始まる……。

 

「さぁ、いよいよ準決勝です!その内容は……『君のことなら何でも知ってる。超熱愛!恋人達のクイズ大会!!』」

 

 波乱はまだまだ続く……。




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