つよきす 愛羅武勇伝   作:神無鴇人

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今回は準備回です。


集え!リングへ!!

NO SIDE

 

 伊藤誠、澤永泰助、遠藤……イベントに便乗して悪質な事件を起こそうとした愚か者達の始末が着き、漸くイベントは本来の姿を取り戻し、レオ達も戦闘準備を開始して自分達の出番を今か今かと待ち構える。

だが、この戦いに臨む闘士、そして戦士達はレオ達だけではなかった……。

 

 

 

 

レオSIDE

 

「……ん?」

 

「どうしたレオ?」

 

 乙女さん達と共に準備運動のストレッチをしていた所に、俺は大きな気配を感じ取った。

 

「でかい気が近付いてきている……」

 

「え?また怪物が増えんのかよ?」

 

「誰が怪物か!……だが、私もそれは感じた。しかもこの気……以前感じた事があるぞ」

 

 カニの失言をツッコミ(という名の脳天唐竹割り空手チョップ)で黙らせながらも、乙女さんも同意する。

確かに感じた事のある気だ。しかも、つい最近……

 

「何だ、お前達も来てたのか?」

 

「よぉ、久しぶりじゃねぇか」

 

「あ!お前らは確か……」

 

 目の前に現れたのは茶髪と黒髪の男が2人。こいつ等は……

 

「D「レッツ&ゴー・マグナムズ!!」……」

 

 俺が言う前にフカヒレの大ボケが決まった……。

 

「違ぁーーーう!!どこの爆走兄弟だ!!」

 

「第一ネタが古すぎる!!

良いか!?俺達はなぁ……」

 

 茶髪の男・小野寺拓己はブラックホールが生成すると同時に、黒髪の男・山城優一がジャーマンスープレックスでその中に投げ落とし……。

 

「D(Dimension)&……」

 

「I(Invisible)……」

 

「あ゛ぁっーーーーーー!!」

 

 直後にブラックホールは上空へと位置を移し、そこからフカヒレは真っ逆さまに墜ちてきた。

 

「「ハリケーンズだ!!」」

 

 そして勢い良く2人のツープラトンキン肉バスターが決まった!

 

「ぐぎゃぁぁっっ!!?」

 

「相変わらずの間抜けが一人逝ったか……フカヒレよ、安らかに眠れ」

 

 相変わらずなのはお前もだ、大和……。

 

「ぎ、が……まだ死んでねぇよ……」

 

 いつもの事だが生命力だけは凄い。ギャグ補正恐るべし……。

 

「んじゃ、改めて……久しぶりだな、拓己、優一。お前らも参加するのか?」

 

「ああ、元々はダチに手伝い頼まれて来たけど、中々面白そうな奴が揃い踏みだしな。参加しない手は無いだろ。

優一の所のライバル流派も来てるみたいだし。ほら……」

 

 

 

「優一さん、お久しぶりです」

 

「おう、あかりも元気そうだな。あかねさんの方はどうだ?」

 

「相変わらずいつも通りです。何か優一さんに彼女さんが出来たって聞いて喜んでましたよ」

 

 

 

 拓己が親指を延ばした先には親しく会話する優一と赤座さんの姿があった。

 

「あの2人、どういう関係だ?」

 

「流派上のライバル関係だとよ。優一はあの娘の姉と戦って引き分けた事があるだとか」

 

 ああ、言われてみれば優一も忍者の技を使ってたからな……。

 

「しかも参加者は俺たちだけじゃないんだよなぁ。……おい、出て来いよ!」

 

「フン、言われずともそのつもりだ」

 

 拓己に呼び出されて一人分の人影が現れる。その姿は……

 

「鉄、対馬……一ヶ月ぶりだな」

 

「「橘(さん)!」」

 

 拓己達同様、タッグ武術会で俺達と鎬を削り合った橘瀬麗武の姿だった。

 

「お前も来ていたのか……まさか、またレオ狙いか!?」

 

 俺を渡すまいと乙女さんは俺の腕を掴んで前に乗り出す。

 

「馬鹿が。今更奪う気などあるものか。父様からこのイベントを薦められて修行に来ただけだ。

まぁ、私としてはお前らと再び戦うのも一向に構わんが……」

 

 挑戦的に笑いながら橘さんは神霆流のメンバー5人を見る。……5人?

 

「増えてる?」

 

 

 

 

 

NO SIDE

 

「よぉ、やっと見つけたぞ」

 

「いやぁ、夏コミの熱気ってのはやっぱ凄いっスね」

 

「全くです。……僕、もうこの時点で汗だくになっちゃってます」

 

「お疲れさん……ナイスタイミングで来てくれたな」

 

 対馬ファミリーが瀬麗武達3人と再会した頃、時を同じくして和人達の下に3人の男が現れた。

 

茶髪をヘアバンドでオールバックにした蒼眼の青年、十六夜志郎(プレイヤーネーム『ハクヤ』)。」

薄い金髪で左目を前髪で隠した、紅の瞳を持つクォーターの少年、月乃刻(プレイヤーネーム『ルナリオ』)。

薄い黒の長髪を後ろに束ねた茶色の瞳の少年、神城烈弥(プレイヤーネーム『ヴァル』)。

 

 彼らの姿に和人は笑みを浮かべて労いの言葉をかける。

新たに現れた志郎、刻、烈弥……彼らも神霆流に身を置く和人、景一の同門で全員が準師範代級以上の実力を持つ猛者達だ。

ちなみに、彼らも全員彼女持ちであり、今回のコミケには所用があって参加出来ず、コスプレ姿は披露出来なかったが、プライベートでは恐らく二人きりの時は存分にやってるだろう……。

 

「それで、メールに書いてましたけど……まさかあのタッグトーナメントで活躍した人達が本当に来ているなんて……」

 

「ああ、それも赤座家期待の新星(ホープ)を含めて4人、それに今来た3人を含めれば7人だ。独り占めするにはもったいないだろ?」

 

「全くだな。参加出来なかった公輝達には悪いが、盛大に楽しませてもらうか」

 

 好戦的な笑みを携え、和人達はレオ達を見つめたのだった。

 

 

 

 

 

レオSIDE

 

「お互い、結構な大人数になったなぁ」

 

「ああ、戦う奴だけでも両方合わせて12人。団体戦も出来る人数だな」

 

 それぞれ新たにメンバーを加えた俺達はどちらからともなく近付き、語りかける。

こんな強者揃いなのはタッグトーナメント以来だ。

あれからまだ一ヶ月しか経ってないのに、これだけ凄いイベントに関われるなんてな……。

いや、今回の場合俺達がそういう状況を作った訳だが……。

 

「なら、本当に団体戦やったらどうだ?

俺は元々あかりと戦う予定だし、今回は譲ってやるよ。それなら丁度5人ずつで公平だろ?

良いよな、あかり?」

 

「うん。あかりも戦うならまずは大和お兄ちゃんって決めてたから」

 

 大和達からありがたい申し出に、俺達全員の出す空気が変わる。

全員合意か……面白い!

 

「では、決まりだな」

 

「俺達神霆流と先のタッグトーナメント参加者……こんなに面白いカードはそうそう無い!」

 

 乙女さんと桐ヶ谷を筆頭に双方は合意し、5対5の団体戦がココに決定した!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO SIDE

 

「それじゃあ、早速先鋒戦と行くか。1番手は頂くぞ!!」

 

 決まるや否や真っ先にリングに上がったのは橘瀬麗武だ。

背中に背負った刀(一応今回は模擬刀)を抜き、臨戦態勢を取っている。

戦いたくてウズウズしているのが丸解りだ。

 

「海軍司令の愛娘にして、雷を纏う剣士か……ボクが行くっす!良いっすよね?」

 

「ああ、行って来い!」

 

 対する神霆流側は月乃刻が立ち上がり、武器である棒を携えてリングへ駆け上がる。

 

「神霆流……父様から話は聞いている。どれ程のものか見せて貰うぞ!」

 

「上等っすよ!」

 

 リングに上がった両者は挑発的に笑いあい、手に持った武器を構えて半歩踏み出し、そして……

 

「橘艦隊司令、橘幾三が娘、橘瀬麗武……推して参る!!」

 

「神霆流準師範代【剛撃】の月乃刻……押し通る!!」

 

 試合開始のゴングと共に、両者同時に飛び掛った!!

 

先鋒戦 橘瀬麗武VS月乃刻……開始!!

 

 

 


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