インフィニット・オーケストラ   作:剣とサターンホワイト

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千冬さんと空先生が同い年(24歳)という事実!…だからどーしたって話ですが…。

さあ、続きでござる。嫌悪感を感じた場合は早いうちに引き返すよろし。

ダイジョーブ…否、大丈夫だと言う方。ようこそ我が世界へ…


1-2:入学の日 竹内side

――時は少し遡り30分前、IS学園会議室。

 

入学式終了後、竹内優斗(たけうちゆうと)岩崎仲俊(いわさきなかとし)両名は千冬に呼び出されていた。

 

実は男性IS操縦者の複数出現により、学園側にも問い合わせが殺到。その対応に追われ、竹内と岩崎の2人の入るクラスが前日まで決まっていなかったのだ。そんなギリギリの状態だったのでクラス分けの張り紙に2人の名前はなく、やむを得ずこのように呼び出され謝罪と説明を受けた次第である。

 

また織斑一夏はこの2人より先に発見されたのが幸いしたのか、殺到する問い合わせにまだ対応できていた頃に彼に関する手続きはすべて完了し、張り紙の1年1組の欄にしっかりと名前が記載されていたので、一足先に教室に行けたのだった。その結果彼は2人より長い時間好奇の目に晒される羽目になったわけだが…。

 

「竹内くんは織斑先生に、岩崎くんは誉田(ほんだ)先生についてそれぞれ教室へ向かうように。ではこれにて解散」

 

理事長がそれぞれの担任に指示を出し、この場は解散となった。

 

――数分後、1年1組付近、移動中

 

竹内と千冬、岩崎と誉田と呼ばれた教師は途中一切の会話もなく、教室まであと少しというところまで来ていた。

 

「では織斑先生、我々はこちらですので…」

 

「はい、それでは」

 

「竹内くん、じゃあまた放課後に会おう」

 

「うん、岩崎くんも頑張って」

 

それぞれ声を掛け合い、誉田と岩崎はさらに先へと進む。

 

「以上です!」

 

―――ズコッ!

 

その時、やたらと大きな声とズッコケる音が廊下にまで響いてきた。竹内は何事かとビックリしたが、千冬は何があったかを理解し、ため息を吐いた。

 

「はぁ~…まったくあのバカは…竹内、しばらく待ってろ。私が呼んだら入ってこい。いいな」

 

「えっ?あ…はい!」

 

竹内の返事を聞いて千冬は教室へと入っていった。

 

~side of 竹内~

 

ここで待ってろと言われましても…。あ、どうも皆さん。こういう形でお話しするのは初めてですね、竹内優斗です。今しがた織斑先生につれられてここまで来たのですが…。現在織斑先生より待機命令を受け、教室からは見えない位置(こちらから教室の中は概ね見える位置)で待機中です。それにしても今自己紹介を終わらせたのが織斑一夏くん…だよね?僕と岩崎くん以外の男性IS操縦者の…。ふとここで、岩崎くんがいる方を見てみる。…どうやら岩崎くんも、待機中のようだ。僕の視線に気付いて軽く手を振ってくれて…

 

――パァン!

 

!?何、今の音!?…あ、織斑先生が織斑くんを殴ったのか…でも今の音…どーやったら出るんだろう…。

 

「ゲェッ!?関羽!?」

 

――パァン!

 

「いだぁっ!?」

 

「誰が三国志の英雄か、バカ者」

 

…何故関羽…?そりゃ織斑くん殴られるよ…

 

「諸君!私が担任の織斑千冬だ!君たち新人を1年で使い物にするのが仕事だ。逆らっても良いが言うことは聞け。いいな!」

 

うわぁー…まるで軍人さんだ。でも凛としたオーラがもろに出てて…

 

『キャーーーーーー!!』

 

わっ!?何だ!?耳が痛いっ!

 

「千冬様!本物の千冬様よ!!」

 

「ずぅ~っと前からファンでした!」

 

「お姉様に憧れてこの学園に来ました!北九州から!」

 

「…毎年毎年よくもまぁこれだけ馬鹿者が集まるものだ…感心すらしてしまう。…それとも何だ、私のクラスにだけ集中させているのか…?」

 

…なるほどすごいなぁ、み~んな織斑先生のファンみたいだ。…けど当の本人はすごい迷惑そうだ。何かあったのかな…?

 

「キャーーーーーーーーーー!!もっと叱って!罵って!!」

 

「そしてつけあがらないようにしつけて!」

 

……………。な、何と言うか…熱狂的ですね…。て言うかこれだけ騒げば絶対他のクラスにも聞こえてると思うんだけど…。廊下にいる岩崎くんにも聞こえてそうだ。そう思って僕はもう一度彼の方を見た。

 

岩崎くんも廊下から自分の教室の様子を窺っているようだ。多分、僕と同じように待機命令が出ているのかもしれな…

 

――ズドドドドドドドド!!

 

――ビクッ

 

………。じゅ、銃声ぃ!?

 

…………ともかく、向こうの方で何かあったのは間違いないようだ。あんなに肩をビクッとさせて驚く岩崎くんは初めて見た…。

 

…っとそうだ、こっち(1組)こっちっと。

 

「…で?挨拶もまともに出来んのかお前は」

 

それにしても織斑先生、厳しいイメージあるけど取り分け織斑くんに厳しいなぁ…。…ん?『織斑』?そんなにありふれた名字ではないはず…もしかして…。

 

「いや、千冬姉…俺は」

 

――パァン!

 

「い゛でっ!?」

 

「織斑先生と呼べ」

 

「…はい、織斑先生…」

 

…やっぱりご親戚…それも姉弟でしたか。まるで小島兄弟(※後書き参照)みたいだ。あの兄弟と違って上の人が厳しいみたいだけど…。

 

「さて、自己紹介の途中のようだが、諸君に話しておくことがある。…先日行われた男性IS適性テストで2人の適性者が見つかったことは皆知っていることだろう。その内の1人がこのクラスに入ることになったので紹介する。入ってこい」

 

それじゃ、行きますか。僕は教室に入る前に一度礼をして織斑先生の横についた。

 

~竹内side out~

 

――そして時は戻り、教室。

 

「はじめまして、皆さん。僕は竹内優斗です。趣味は…空を眺めること。空を飛ぶことが僕の夢…だったんですが、それはISを操縦できるようになったことで叶っちゃったので、今は新しい夢を見つけることが目標です。よろしくお願いします」

 

竹内の自己紹介が終わると静寂が教室を支配した。しかしそれもわずか数秒の話で…

 

「キャーーーーーー!!」

 

「男子が2人も!」

 

「しかも2人ともなかなかの良い男よ!」

 

「見て見て、竹内くんの肌!白~い!」

 

「おぉ、神様…この私めをこのクラスに入れてくれたことを心より感謝いたします…!」

 

…歓声を皮切りに、またも教室内は大盛り上がり。

 

「静かにしろッ!」

 

――シーーーーン…

 

千冬の一声であっという間に教室はまた静まり返る。この様子に竹内も苦笑いを浮かべるしかない。

 

「えーっと…じゃあ竹内くんの席は後ろの方の空席のうち好きなところを使ってください」

 

真耶に言われて竹内は空席を探した。空いている席は窓際の列、中央の列、その隣の列(廊下側に)でいずれも一番後ろである。竹内は窓際の一番後ろの席を選び、そこへ向かう。席について、近くの席の人に「よろしく」と愛想良く挨拶している。

 

「では織斑くんの次の人から、自己紹介を再開してください」

 

――SHR終了後の休み時間。

 

一夏はすっかり疲れきってしまい、机に突っ伏していた。

 

「………………」

 

無理もない、竹内もいるとはいえ、好奇の視線に晒され続けてもう1時間と少々。極端に女子が多いという慣れない環境もあってか、かなり参っている様子だ。

 

「えーっと、その…今大丈夫?」

 

そこへ竹内が話しかけてきた。彼は今、挨拶回りをしているところだった。

 

「ん…?あぁ、何とかな…動物園の珍獣の気持ちがわかったような気がする…」

 

「アハハハ…全くだね。…では改めて、竹内優斗です、よろしく」

 

「俺は織斑一夏。同じ男同士、仲良くしようぜ」

 

互いにどちらからともなく右手を差し出し、ガッチリと握手をした。

 

「ちょっといいか…?」

 

その時、1人の女子生徒が割り込んできた。彼女は長い髪を緑色のリボンでまとめて、所謂ポニーテールにしている。当然、竹内にはこのような知り合いはいない。

 

「…箒か?」

 

「えっと、織斑くんの知り合い?」

 

どうやら一夏の知り合いのようだ。

 

「あぁ、篠ノ之箒っていって俺の幼馴染みだ」

 

「なるほど…よろしく、篠ノ之さん」

 

「…篠ノ之箒だ、こちらこそよろしく頼む…それで一夏を借りたいのだが、その…構わないか?」

 

箒は一夏と話がしたいらしく、竹内に許可を求めてきた。

 

「あぁ、俺はいいけど…いいか優斗?」

 

一夏が遠慮がちに尋ねた。

 

「えぇ、もちろん僕は構いませんよ。他の人にも挨拶したいですし」

 

そんな2人に対して竹内はあっさりと了承した。

 

「…悪いな、じゃあまたあとで」

 

一夏はそう言い残すと箒と2人で教室を出ていった。

 

竹内が2人を見送っていると…

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「え?」

 

また別の生徒に声をかけられた。金髪の縦ロール。こちらは竹内も知っている人物だった。

 

「これは失礼しました。イギリス国家代表候補生のセシリア・オルコットさんとお見受けしますが、相違ないですか?」

 

「しっかりとこの私の事をご存知のようですわね。それ相応の態度というものもわかっておられるようですので、それに免じて先ほどの無礼には目を瞑りますわ」

 

丁寧な対応を見せる竹内に対し、セシリア・オルコットは気を良くしたように言った。彼女のように、男性に対し高圧的になる女性はこのご時世珍しくない。これもまたISの誕生の副産物である女尊男卑の考え方によるものである。

 

「もしよろしければ、ISの事でわからないことがあれば私がご教授して差し上げてもよろしくてよ。何せこの私、入試で唯一教官に勝利したエリート中のエリートですから!」

 

セシリアが胸を張って自慢する。しかも「唯一」を強調している。竹内は素直にすごいと思い感心していたが、「けど…」と切り出した。

 

「せっかくの申し入れですが、その事について今は保留とさせてはもらえないでしょうか?僕自身出来るところまでは足掻いてみたいんです。オルコットさんだって、代表候補生としてのやるべきことがあるでしょうに、さらに僕なんかのために時間を割いていただくのも大変でしょう?…ですから、もし本当に行き詰まったときはお願いしてもいいですか?」

 

「あら、男にしては殊勝な心がけですわね。よろしいですわ、せいぜい足掻いて見せなさい」

 

セシリアはそれだけ言うと満足して自分の席へ戻っていった。竹内も時計を見て席に戻った。その後次の授業の本鈴がなり、同時に一夏と箒の2人が慌てて教室へ戻ってきた。

 

―――――――――

 

「…悪いな、早速こんなことになっちまって…」

 

「いいってことだよ、でもまさか捨てちゃってたなんて…」

 

2限目が終わった後の休み時間。竹内は一夏に入学前にもらった参考書を見せつつ、授業の復習をしていた。

 

実は先程の授業で、一夏が自分の参考書を古い電話帳と間違えて捨ててしまったことが判明したのだ。千冬にまたまた殴られてしまうも、参考書を再発行してもらえる事になった。…1週間で覚えろと言う条件付きで。それではあまりに可哀想だと、竹内が授業後にこうして共に復習することにしたのだ。

 

「ねぇねぇ、竹内くんて意外と攻めだったりして?」

 

「いやぁわからないわよ、いざとなったら織斑くんが主導権を握って…」

 

「ちょ、アンタ鼻血出てる!」

 

…この様子を見た少数の女子生徒が何やら少々よくない想像をしているようだ。しかしここは教室と言う狭い空間、いくら声を潜めても完全にバレないのは無理な話でその話は本人達にも聞こえてしまうわけで、その話題の2人は勉強をする傍ら、顔を引きつらせてしまっている。

 

「少し、よろしいかしら?」

 

「あ?」

 

そこへまたもや割り込む声。竹内はちょうど1時間前に聞いたこの高飛車な言い回し。そしてその声。

 

「オルコットさん…どうかなさいましたか?」

 

そう、セシリアだった。

 

「あら竹内さん、私は今織斑さんに話しかけているのです。それにしても何ですのその反応は。この私に声をかけられるだけでも光栄なことですのに、それ相応の態度と言うものがあるのではないかしら」

 

どうやらセシリアは前の休み時間にいなかった一夏にわざわざ挨拶しにきたようだ。そのためすでに挨拶を済ませている竹内は今の彼女には"out of 眼中"なわけで、さらに身分をわきまえない(とセシリアが勝手に思ってる)一夏に少し腹が立ったようだ。

 

「ああ悪いな。俺、君が誰だかわからないし。優斗、知り合いか?」

 

一夏が竹内に話を振ったので、竹内がそれに答えようとするが…

 

「私を知らない!?このセシリア・オルコットを!?イギリスの代表候補生にして入試首席の、この私を!?」

 

それよりも早くセシリアが机を叩きながら捲し立てる。竹内はその様子に「もしも勉強してなかったら自分もこうなっていただろう」と思い、勉強を見てくれたα社の上司達に心の中で大袈裟なほど感謝していた。

 

「質問、いいか?」

 

一夏が小さく挙手しながら切り出した。

 

「フン、下々の者の要求を聞くのも貴族の務めですわ。どうぞ、よろしくてよ」

 

セシリアが調子を取り戻し、一夏に質問を促す。

 

「だいひょーこーほせーって何だ?」

 

一夏の質問にセシリアはおろか、この会話を聞いていた周囲の生徒、さらには竹内までもがズッコケた。

 

「あなた!本気でおっしゃっていますの!?」

 

「おう、知らん。優斗、何だよそれ」

 

せっかく取り戻した調子も今の質問によりまたも崩されてしまったセシリア。もうすごい剣幕だ。対する一夏は…何ともまぁ堂々としたものだ。同じ質問を竹内にもしている。竹内は起き上がって「コホン」と咳払いをして質問に答え始める。

 

「…説明しましょう。国家代表というのは織斑くんもご存じですよね…。代表候補生とは読んで字のごとく、国家代表の候補のことを言います…。行く行くは国家代表にもなれる可能性のある優秀なIS操縦者ってことです」

 

「なるほどな、サンキュ」

 

竹内の説明で一夏はようやく理解した。

 

「そう、つまりエリートなのですわ!」

 

セシリアはまた調子を取り戻した。

 

「本来ならば私のような選ばれた人間とはクラスを同じくすることも幸運…奇跡的なことですのよ。もっとその現実を理解していただける?」

 

このセシリアの主張に、竹内は「それは流石に言い過ぎじゃあ…」と思った。

 

「そうか、それはラッキーだ」

 

一夏は今の物言いに腹が立ったのか、感情を込めずに言った。

 

「……馬鹿にしてますの……?」

 

しかしそれは彼女の神経を逆撫ですることになり、状況はさらに悪くなる。

 

「ともかく!何も知らないくせによくこの学園に入れましたわね。世界で3人だけの男性IS操縦者の1人だと聞いていましたが、とんだ期待外れですわね!」

 

「俺に何かを期待されても困るんだが…」

 

一夏はセシリアに聞こえないように呟いた。

 

「しかしそれでも、私は優秀ですから!あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ。わからないことがあったら…まあ、泣いて頼まれれば教えて差し上げてもよろしくってよ。何せ私、入試で唯一教官に勝利したエリート中のエリートですから!」

 

…これは彼女の殺し文句だろうか。先程間近で聞いた台詞に対し、一夏はどう答えるのか…と竹内は様子を伺う。

 

「あれ?俺も倒したぞ、教官…」

 

「…………は?」

 

一夏は何事もないように言った。セシリアは当然食い付き、竹内もビックリした。

 

「倒したって言うか…勝手に壁に突っ込んで動かなくなったって言うか…」

 

「(…って、それは倒したとは言わないんじゃ…それに何か聞き覚えのある決着だ…)」

 

この会話に深く関わっていない竹内は冷静にそんなことを思っていた。

 

「…私だけだと聞きましたが…」

 

「女子では…てオチじゃないか?」

 

ショックを受けたセシリアは声を絞り出すように言い、一夏は事も無げに返した。

 

「………あなたは……あなたはどうなんですの………?」

 

「…え…?僕ですか……?」

 

まさかここで自分に飛び火するとは思っていなかった竹内は少し戸惑った。

 

「そうですわ!先程は何も言ってませんでしたが、あなたはどうなんですの!まさか、あなたも……」

 

「そういや気になるな、どうなんだ優斗?」

 

…何故かまるで2対1の構図になっている。

 

「いやぁ…ぼ、僕は残念ながら負けてしまいました…まぁ勝てるとは思っていませんでしたし、事実終始劣勢でしたし…」

 

竹内は冷や汗ダラダラになりながら答えた。

 

「…フン、そうでしょうとも」

 

口ではこう言っているものの、内心ほっとしているセシリア。

 

「と に か く !!そもそも…」

 

ここからさらにセシリアの小言が続くとみんなが思ったその時…

 

―――キーンコーンカーンコーン…

 

次の授業開始のチャイムがなった。

 

「くッ…まぁ良いですわ、また来ますので逃げないで下さいまし!」

 

そう言って彼女は自分の席に戻った。

 

「(また来るのかよ…)」

「(逃げるといってもどこにでしょうか…?)」

 

「「(それにしても、疲れた…)」」

 

休み時間なのに、ちっとも休めなかった2人であった。




※小島兄弟:ガンオケ(白)の登場人物。兄の(そら)(24歳)と弟の(こう)(17歳)の兄弟。織斑姉弟とは違い兄がフリーダムな性格でその分弟がしっかり者。

フフフ…。すばらしい…私の仕事は、すばらしいィィィ!…ウソですごめんなさい…。どーも、近頃はガンオケから離れてガンパレをプレイ中の剣サタ(ネタ切れ)です。

予告じゃ入寮までやるつもりでしたが、あまりにも長すぎて文字数が5桁に到達してしまったので、苦肉の策として途中で切ることに…。…クソゥ…。

ということで今回は次回予告なし。ではまた次回。
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