インフィニット・オーケストラ   作:剣とサターンホワイト

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…前書きって何書けば良いんだろ…(←今更感丸出し)

ま、今までテキトーに書いてきたし、これからもテキトーに書いていくんだろうな、うんうん

そんなわけで、始まります。例によって、わずかでも苦手意識を感じられた方は早めのブラウザバックをおすすめします。

そんなことはないという方、ようこそ、剣とサターンホワイトのクセ強めの世界へ…


1-5:決戦へ向けて 新たな力

―――パーン!

 

―――バシッ!バシッ!

 

放課後の剣道場。

 

今日もこの道場から竹刀の音が響いている。

 

しかしこの日は部活動があるわけではなく…

 

「面!面!胴ッ!」

 

「うわぁ!」

 

…箒の指導の下、一夏が訓練に励んでいた。…はずだったが…?

 

「………弱い………」

 

一夏を圧倒した箒が声を震わせて呟いた。

 

「何故だ!何故お前はこんなにも弱くなっている!?」

 

すると今度は大声を出して一夏に詰め寄った。彼女の記憶の中の一夏は、自分よりも僅かにだが強く、もし順当に剣道を続けていたなら、この手合わせもこんなにすぐには終わらなかっただろう。だが現実の一夏はあっという間に自分に敗れた。あまりの弱さに拍子抜けすらしている。久々に一夏との剣を交えた戦いをもっと楽しみたかったのに、こうもあっさりと終わらせてしまった幼馴染みに箒は悲しみ、そして怒った。

 

「い、いやぁ…中学の時はバイトとかしてたからさ…」

 

しかしそれも彼の事情を考えれば多少は仕方のない事なのかもしれない。読者の皆さんもご存知の通り、織斑一夏は物心つく前に両親に捨てられ、姉である織斑千冬に育てられてきた。姉の負担を少しでも減らすため、アルバイトをして生活費を稼いでいた。

 

「…それで、中学の時は何部に所属していた?」

 

「帰宅部だ!それも3年連続皆勤賞だぜ!」

 

アルバイトをするために時間を使う一夏は、当然部活動などしている時間はなかった。数々のアルバイトをこなしてきたその体はそれなりに逞しいものになっていた。しかし、剣道に限らず実力とは何もしなければ落ちていくもの…しばらく剣を握らぬ内に鈍ってしまったのだった。…しかし、何もドヤ顔で言うことじゃなかろうに…。

 

「……叩き直す」

 

「ほ、箒さん…?」

 

「その鈍った腕と根性を叩き直す!今日からみっちりこの私が貴様をしごいてやる!」

 

「…………………」

 

箒に何らかの火が点いたらしく、この時からISの特訓はどこかへすっ飛び、剣道の特訓にシフトチェンジしていった。その事を一夏も、箒も全く気付かずにいた…。

 

―――――――――

 

一方その頃。

 

1人で訓練することにした竹内は、トレーニングルームに来ていた。ISのコーチがいない以上、1人でも出来るトレーニングを行うことにしたらしい。

 

「どれからやろうかな…」

 

このトレーニングルーム、様々な器具が取り揃えられていて、まるでスポーツジムのようになっている。

 

竹内はとりあえず学兵時代の訓練を一通りやってみようと、ルームランナーでのランニングを1時間と30分、休憩がてら鏡の前での瞑想を30分、最後にサンドバッグを使った打ち込みを1時間、というメニューを組んでやってみることにした。

 

「さて、はじめますか」

 

―――――――――

 

3時間後。竹内は難なくすべてのメニューをこなしたが、簡単すぎて手応えがないとも思っていた。要するに、早くも1人での訓練に限界を感じ始めていたのだ。どうしたものかと考えようとしたが、ふと時計を見るともう6時を回っていた。昨日真耶から聞いた話ではもう食堂が開いていて、1時間もすれば閉じてしまうとの事らしい。

 

「(ちょうどお腹も空いてきたしな…考えるのは後でも出来るから、今は腹ごしらえしますか)」

 

そう思った竹内は、トレーニングルームの隣にあるシャワー室で軽く汗を流してから食堂へ向かうのだった。

 

―――――――――

 

竹内は夕食を食べ終え、部屋に帰ってきた。入る前に扉を数回ノックする。

 

「はーい!」

 

「谷本さん、竹内です。入って大丈夫ですか?」

 

「うん、いーよ!」

 

癒子からOKの返事が来たので中に入ると…

 

「ヤッホー、竹内くん!」

 

「お邪魔してるのだ~」

 

彼女の友人らしき女子生徒が遊びに来ていた。

 

「あぁ、いらっしゃい。えーっと確か同じクラスの…」

 

相川清香(あいかわきよか)だよっ!」

 

布仏本音(のほとけほんね)だよ~、しっかり覚えてね、タケッチ~」

 

2人の女子生徒、清香と本音が自己紹介をした。

 

「いやぁゴメン、まだ顔と名前が一致しなくって。よろしく2人とも。ところで布仏さん、"タケッチ"って僕のこと?」

 

「うん、"竹内"だから"タケッチ"だよ~」

 

こうして竹内は2人の女子生徒と知り合いになり、さらに新たに愛称をもらった。

 

「ところで竹内くん、1人で特訓してるって噂で聞いたけど、実際のところどうなの?」

 

癒子が竹内の訓練状況について尋ねてきた。

 

「あーそれなんだけど…1人じゃどうにも効率悪くて…特にISを使ったトレーニングは土曜日になるまでは望めないし…」

 

「ふーん…何か手伝えることないかな~」

 

「うーん…特には…あ、そうだ!」

 

竹内に良案が思いついた。

 

「お、何なに?何かいい方法でも思いついたの?」

 

「ねえねえ、私たちも何か協力できる?」

 

「ワクワクッ♪」

 

癒子たちも竹内の案に興味津々だ。

 

「うん。だけどそれには人数が多い方がいいから…明日の放課後、僕の訓練を手伝ってくれる人を募るよ。詳しいことはその時話すから、今はまだ秘密ってことで…」

 

「むぅ~気になるなぁ…」

 

「まぁいいじゃない、明日になればわかることだし。わかったわ、じゃあ明日の放課後は空けておくわ!」

 

「私も明日なら大丈夫だから行っちゃうよ~」

 

「もちろん私も行くわ」

 

相川清香、布仏本音、そして谷本癒子、この3人の参加が決定した。

 

「ありがとう3人とも。あそうそう、なるべく動きやすい服装をして来てね」

 

「「「ハーイ!」」」

 

その後4人は消灯時間ギリギリまで談笑し、時間が来ると清香と本音は帰っていった。

 

―――――――――

 

翌日の放課後。

 

「みんな聞いてください!」

 

竹内が声を張り、クラスメートのほとんどが竹内に注目した。

 

「手が空いてて、僕の訓練を手伝ってくれるっていう人は、この後動きやすい服装で、グラウンドに来てください!」

 

この一言で手の空いているクラスメートは大急ぎで教室を飛び出していった。

 

「優斗の奴、いったい何をするつもりなんだ…?」

 

この光景を見ていた一夏は不思議そうに呟いた。

 

――――数分後。

 

「お待たせしました」

 

竹内がグラウンドに来ると、癒子たちを含めて8人のクラスメートが来ていた。4月ということもあってか、動きやすい服装ということでみんな上下学校指定のジャージ姿だ。

 

「えっとまず最初に、集まってくれてありがとう。これから訓練の一環としてみんなと中当てドッジボールをやろうと思います」

 

それを聞いたみんなの頭上には"?"が浮かぶ。

 

「ただし、いくつか独自のルールを適用します。まずその1、内野は僕1人で、外野は皆さん全員でやります。その2、僕は原則キャッチはしない、基本的に回避だけします。その3、使うボールは…これです」

 

竹内はルール説明をしながら使うボールであるテニスボールを見せた。

 

「その4、制限時間は…そうだな…5分!5分で1セットとしよう。以上!ここまで何か質問ある人?」

 

竹内が質問の有無を問うと、女子生徒は少し互いに話し合った後、1人が手をあげた。

 

「えっと、何で中当てなの?」

 

その質問が来ると竹内は「あー…やっぱりそう来るかぁ」と苦笑いした。

 

「これは僕の反射神経を鍛える訓練にしようと思ったんだけど、どうせなら楽しくやろうと思ってレクリエーション形式で中当てにしてみたんだ。他に質問がある人は?」

 

別の1人が手をあげた。

 

「じゃあ、テニスボールを使うのは?球が小さくて避けやすいじゃない」

 

「いや、小さい分スピードが出やすくてかえって避けにくくなるんだ。生半可な反射神経じゃなおさらね。それに速いから素手でのキャッチも難しい。だからテニスボールを採用したんだ」

 

竹内の返答が終わると「へぇ~」と言う声がその場を占めた。

 

「そういえば昨日さ、『多い方がいい』って言ってたけどそれってどういうこと?」

 

癒子が新たな質問をしてきた。

 

「うん、そこら辺は後で説明するつもりだったんだけど、僕が1セット…5分間ボールを避けきれたら、次のセットの時にボールを増やそうと思ってね。ただ、人数分以上の球だと捕るのと投げるので大変だろうから、どうしても投げ手の人数が欲しかったんだ」

 

癒子は納得したように頷いた。

 

「じゃあもしも私たちが当てることができたらどうするの?」

 

「そのセットはそこでおしまい。休憩を挟んで同じボール個数で再スタート…かな?」

 

次の質問にも竹内は答えたが、質問者である女子生徒はどこか不満げだ。

 

「そうじゃなくてさその…ご褒美みたいなのが欲しいなぁなんてw」

 

彼女はそう言いながら悪戯な笑みを輝かせた。

 

「うっ…ご褒美か…考えてなかったな…」

 

竹内は少し考えるとこう言った。

 

「わかった。じゃあ僕に当てることが出来た人に、1人につき2つまでお好きなデザートを奢りましょう!」

 

「おおっ!」

 

竹内の提案に歓声が上がる。

 

「ただし、僕も本気で逃げ回るよ!だからみんなも全力で当てにきてください!」

 

竹内は自分を含めたこの場にいる全員を奮い立たせるためにこう言ったが…

 

「「「………………………」」」

 

みんなはすでに目の色を変えて虎視眈々と竹内を狙っている。

 

「(う、うへぇ~…)」

 

この様子に竹内は怯んでしまった。後に竹内はこの時の彼女たちの目を「まるで集団で狩りをするメスライオンのようだった」と手記に残している。

 

「そ、それじゃ始めるよ。ヨーイ、スタート!」

 

いつの間にやら作ったコートに全員配置につき、竹内の掛け声でゲームが始まった。

 

―――――――――

 

開始2分半後。

 

まだ、竹内は女子生徒の投げるボールには当たっていない。が、予想以上に彼女たちの投げるボールは鋭かった。とりわけいい球を放るのは…

 

「えぇいッ!!」

 

相川清香である。昨夜聞いた話では、ハンドボール部に入部したらしい。それもあってか、球の違いはあれどその手から放たれるボールはこの中の誰よりも速い。

 

「うおっ!」

 

竹内も清香の投げるボールは特に警戒して対処している。

 

しかしこの後は特にこれと言った見せ場もなく、最初の5分間は終わってしまった。

 

「5分経過!1セット終了だ!みんな、休憩にしよう!」

 

竹内がタイムアップを告げ、みんなを一休みさせる。

 

「あ~あ、当てられなかった~…」

 

女性陣は少し息を切らせながら近くの椅子に座った。惜しい投球もあった中結局誰1人1度も竹内に当てることができず悔しがっている。

 

「でもみんなすごい良い球を投げて僕ビックリしたよ。あと2分続いてたら当たっていたかも」

 

竹内がお世辞抜きに感想を述べた。

 

「でも、まだまだボールは1個。次からは2個使えるから次は当てるわよ!」

 

一番いい球を投げてた清香が竹内に挑発的に言った。

 

「僕も頑張って避けてみせる!ここからが本番だ!」

 

それに呼応するように竹内も言った。

 

「っと、そろそろ休憩終わり、次のセットはボール2つでいくよ!」

 

次のゲームの開始を知り、全員再び配置についた。

 

「それじゃあヨーイ、スタート!」

 

―――――――――

 

しかし、ボールが1個と2個では当然勝手が違う。竹内はボールを回避するのに四苦八苦している。飛んでくる球は2個。その2個は同時に投げられることもあれば、タイミングをずらして投げられることもある。さらに同じタイミングで投げられても、投げ手が違えば球の速さや軌道も大なり小なり違いが出てくる。これを躱すのはボール1個の時よりスタミナの消費が激しい。

 

それでも竹内にボールはいまだにかすりもしていない。竹内がしっかりと2個のボールを目視できる位置に陣取り、それを確実に躱しているからだ。

 

そしてそのまま残り1分を切ったところ。

 

「(よし、このまま行けばこのセットもクリアできる…!)」

 

竹内がそう思ったとき…

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

清香がボールを持って跳び上がった。そしてそのまま投球フォームに入った。それはさながらハンドボールのジャンプシュートのようだった。まだまだお世辞にも完璧とも、華麗ともいえない未熟なフォームだったが、竹内をビックリさせるには十分だった。清香は勢いよくボールを投げた。

 

「ハァッ!!」

 

高いところから放たれたボールは地表を行く竹内目指して一直線。

 

「うわあぁっ!?」

 

しかし清香を誰よりも警戒していたことが幸いしたか、竹内はなんとか逃げ切りその球には当たらなかった。それでもここまでの最速球を目の当たりにし、竹内は驚愕の色を隠せないでいた。

 

「それっ♪」

 

「…あ」

 

その時、竹内の近くにいて尚且つボールを持っていた本音が竹内にボールを当てた。彼が清香の球の威力に度肝を抜かれ、その分もう1個のボールを確保していた本音への警戒が緩み、その隙に当てられてしまったようだ。

 

しばらく呆気にとられていた竹内だったが、ハッと我にかえり…

 

「……ぼ、僕が当たってしまったのでこのセット終了!外野陣、女子チームの勝ち!!」

 

結果を伝えた。

 

なお、この後も竹内は何度も挑戦したが、残り1分間の壁でもあるのかその時間で毎回当てられ、最終的にはこの日この訓練に参加した女子生徒全員に約束のデザートを奢ることになったのだった。

 

「タケッチ~、ゴチになりますのだ~♪」

 

「あ…あはははは…」

 

幸せそうにデザートを頬張る女性陣。その微笑ましい光景を見ながらも、己の未熟さに最早渇いた笑いしか出ない竹内だった…。

 

―――――――――

 

日付は少し飛んで土曜日。

 

この日竹内は岩崎と共に、α社に帰ってきた。

 

「うんうん、たかだか1週間ぶりだというのに、ずいぶんと懐かしい感じがするなぁ」

 

「何をまた年寄り染みたことを言ってるんですか、早く行きますよ」

 

竹内は岩崎にツッコミを入れながら社屋へ歩を進める。ちなみに竹内がα社に戻ることを報告すると、平と代田がやたらと喜んでいたとか何とか…。

 

―――――――――

 

中に入ると、平が出迎えてくれた。

 

「お帰りなさーい竹内くん!」

 

「うわぁっ!?」

 

…竹内だけを。竹内を見るや否や早速抱きついてきた。

 

「あらら~…相変わらずの溺愛っぷりですね」

 

岩崎が冷静にツッコんだ。

 

「あら、岩崎くんもお帰りなさい。あぁそうそう、竹内くんの専用ISが完成したわ!だから早く整備室に行ってきた方が良いわね。せっかくだし岩崎くんも見ていく?」

 

「そうですね、うんうん。しっかりとこの目に焼き付けさせてもらいますよ」

 

―――――――――

 

3人が整備室に来ると…

 

「…来たか」

 

α社社長、紫波勝司が待っていた。

 

「紫波社長、お久し振りです」

 

竹内が挨拶し、岩崎もペコリと一礼する。

 

「挨拶は無用だ…そんなことより竹内、すでに平から聞いたと思うがお前の専用機が完成した。石山田、代田、持ってこい」

 

紫波の指示で呼ばれた2人が台車を押して入ってきた。

 

「フフフフフフフ…素晴らしい!私の仕事は、スバラシイィィィ!!」

 

「うるせぇバカ!いいから押せ!」

 

…相変わらずの石山田と代田のド突き漫才に、竹内と岩崎は苦笑いしている。2人が押してきた台車の上には、布の掛かった物体がある。その布を外しながら紫波が紹介した。

 

「…これがお前の専用機"汐風(しおかぜ)"だ」




自分の専用機"汐風"を手に入れた竹内。そこへ代田が「マジで()り合おうぜ」と戦いを挑んできた。そしてついに迎えた決戦の日。竹内、一夏、セシリアはどんな戦いをみせるのか…?

to be continued...

どうも、クセ者作者です。やっぱり書く度作りが雑になってる気が…。

さて、竹内くんが行った中当て。これにはISでもなく、ガンオケでもない元ネタがあります。ドラゴンボールで悟飯が悟天に石を投げてもらいそれを避ける、あの修行です。察しの良い方はとっくに感づいてたかな?

またその前に、相川さんとのほほんさんが竹内くんと仲良くなりました。この2人と谷本さんは基本的にいつもつるんでるから遅かれ早かれこうなるよね。で、地味に苦労したのがのほほんさんが名付ける竹内くんのニックネーム。最終的に"タケッチ"になりましたが、どんなニックネームにするか、そしてその候補のうちどれにするか、かなり悩みました。いやはや…。

さあ、またしても中途半端なところで切ってしまったぞ私。こりゃあまた次回手こずるぞ…。

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