おまけに長ったらしくなってしまったので文章が過去最悪なことになっていると思います。
ここまで聞いて読む気が失せてしまった方、気が変わらないうちにブラウザバックのUターンをおすすめします。
それでも構わないと言う方、荒廃しきった剣とサターンホワイトワールドへようこそ…
やあやあやあ読者のみんな、僕がかつて食客世界の三冠王として名を馳せた岩崎さ。
さて話が大分ズレてしまったけど、今回は僕のお話だ。いつもは竹内くんたち1組の話ばっかりだけど、その間に僕が何をやっていたのかをちょっとだけ教えちゃうよ。それじゃ、作者の剣サタくん、あとよろしく!
――――回想開始――――
OK了解、それではまず入学の日から振り返ろう。
入学式のあと、岩崎と竹内は千冬に呼び出され、会議室を訪ねていた。クラス分けの張り紙に彼ら2人の名前が載っていなかったことを謝罪され、今後のクラスの事について説明を受け、そして担任の教師を紹介された。
その後、会議室を後にした2人は各々担任に連れられて教室へ向かっていた。
「では織斑先生、我々はこちらですので…」
「はい、それでは」
「竹内くん、じゃあまた放課後に会おう」
「うん、岩崎くんも頑張って」
教師同士、生徒同士それぞれ挨拶を交わすと竹内と千冬はその場に残り、誉田と岩崎はさらに先へ進んだ。
―――――――――
竹内と別れてから10秒と少々、そこには「1-4」と記されていた。
「オレが呼んだら入ってこい、それまでは廊下で待機だ」
「はい」
誉田はそう言うと先に教室へ入り、岩崎は廊下の教室から見えない位置(ただし岩崎からは教室の様子が概ね見える位置)で待機することになった。
何の気なしに1組の方を見ると竹内がこちらを見ていたので、岩崎は軽く手を振った。それを見た竹内も手を振り返そうとしたのだろう、手を顔の横まで持ち上げようとしたその時…
――パァン!
ビクッ!
「(おや?竹内くん…何かびっくりしてる…まぁいいか)」
竹内がビクッとしたのを見て少し不思議そうな顔をするが、特に気にすることなく岩崎は4組教室に視線をやった。中では誉田が深呼吸や咳払いを繰り返していた。そして最後に大きく息を吸って…
「オッス!オラ誉田!!」
と言い放った。しかし…
「……………」シーン
「……………」シーン
「……………」シーン
誰1人笑いやしない。これを廊下から見ていた岩崎も「うんうん、こんなにスベった自己紹介を見たのは初めてだ…」と後に振り返っている。
すると、自分の渾身のギャグが受けなかったことに腹を立てた誉田がどこからともなくマシンガンを取り出し…
――ズドドドドドドドドド!!
ビクゥッ!!
天井に向かって乱射した。その様子に今度は岩崎がビクッとなった。
「いいかテメーら。俺は誉田。
何故かいきなり笑いを要求する誉田。
「あ…あははははは…」
わけのわからない生徒たちは微妙な笑いしかできず、虚ろな笑い声が教室に響いた。
――チャキ…
「元気がない!」
そんな笑い程度では満足できなかったのか、誉田は更なる笑いを要求した。
「あ…あは…あーっはっはっはっは!!」
訳もわからぬままあの鉄のかたまりの餌食にされては敵わない、それなら嘘でも大笑いだ…そんな気持ちでみんなやけくそに大笑いした。
「(…おいおい、そりゃただの脅迫でしょうが…)」
岩崎はその様子に誰にも聞こえないような声で突っ込んだ。
「よぉし!若ぇ奴は元気が一番だ!」
「(…やれやれ、自分で煽ったくせによく言いますよ…って、おろ?)」
誉田の発言に半ば呆れていた岩崎だったがそんな時、唯一ピクリとも笑わない生徒がいるのを見つけた。その彼女は何やらモニターと格闘しているようだ。誉田のジョークには一切耳を傾けず、この様子じゃ恐らく先程の銃声も彼女の耳には入っていないだろう。
「んじゃ、自己紹介でも…っと、その前にだ。テメーら、今年は男のIS操縦者が3人も現れたってのは知ってるよな?」
急に振られた話題にみんな一瞬ザワッとした。
「本当ならその内の1人がもうこの教室にいて、お前たちと馴染んでいる頃だったが、学園側の不手際により今この時間からの合流となった。…オイ!入ってこい!」
誉田に呼ばれ岩崎はゆっくりと1年4組の教室に入った。
――ウソ、本当に男よ…!
――なかなかイケてる顔じゃない?
――そう?何か変なこと考えてそうにも見えるけど…
生徒たちが入ってきた岩崎を見てコソコソと評価する。
「よし、自己紹介はお前からだ」
誉田は隣にいる岩崎を指さした。岩崎は釈然としないながらもクラスメートみんなの方を見据え、大きく息を吸った。
「やあやあやあ、皆さん初めまして。岩崎仲俊と申します。ひょんなことからISを動かせることが判明し、この学園に入学することになりました。以後どうかお見知りおきを…」
彼は礼儀正しくお辞儀をした。
「んじゃ、オメーの席は…………更識の隣の空席だ。あの水色の髪で眼鏡を掛けているヤツの隣ナ。…オメー、あいつにヘンなことするなよ」
誉田が茶化し、みんながクスクス笑い、岩崎が「そんな事しませんよ」と苦笑いする。そんな中でも更識と呼ばれた彼女はちっとも笑っていなかった。
「…………よろしく、更識さん」
岩崎はようやく自分の席に着き、今もなおモニターと格闘している隣の席の少女に声をかけた。
「…………よろしく……………更識簪……………それから……………苗字で呼ばれるのは……………好きじゃない……………………」
彼女は脇目で岩崎を見るとそれだけ言って再びモニターに目をやった。
「そっか、それは失礼しました」
岩崎は先程彼女…更識簪の事を苗字で呼んでしまったことを詫びた。
「………別にいい………次から気を付けてくれれば…………」
簪は今度はモニターから目を離さず…つまりは岩崎を全く見ずに答えた。どうやらこの子は最低限の受け答えはしてくれるようだ……岩崎はそう評価した。
―――――――――
その後は特に何事もなく、あっという間に放課後。みんな荷物をまとめて次々と教室から出ていく。
「あぁそうだ岩崎、テメーに言い忘れていたことがあった」
不意に誉田が参考書を熟読している岩崎を呼んだ。
「?」
「1組の織斑先生が、お前に話しておくことがあると仰っていた。用がないなら、早く1組へ行っておけよ」
伝えるべき事を伝えた誉田はソソクサと教室を出ていった。彼女もまた職員会議に行かなければならなかったのだ。
「……………」
自分以外に誰もいなくなった1年4組の教室。岩崎は本当に誰もいなくなったのか、もう一度周囲を確認する。………その動きが怪しすぎて悪目立ちしてしまっているが、本当に誰もいなかったので何の問題にもならない。
「(……よし)」
周りの目の確認を終えた岩崎は自分の席に戻り、机の下に何かを仕掛けた。そして何事もなかったようにその場を去った。
この数分後、彼は他2名の男子生徒と共に織斑千冬・山田真耶両名から急遽学生寮での生活を余儀なくされたことを伝えられることになる。
―――――――――
「ねぇ、そこの君?」
岩崎が竹内優斗・織斑一夏と共に寮へ向かう途中、何者かに声をかけられた。振り返るとそこには水色の髪に赤い瞳の女子生徒がいた。
「そこの灰色の髪のキミ、ちょっとお姉さんと話していかない?」
灰色の髪……明らかに岩崎の事を指定している。
「誰だ?」
「さぁ…?岩崎くんの知り合いですか?」
「いやぁ僕も知らないなぁ。ただ…」
「「ただ…?」」
「うんうん、何となく心当たりはあるかな…(あの姿…それにネクタイの色………恐らく簪さんのお姉さんだろう…だとすると妹さんの事か、それとも教室に仕掛けたアレの事か…)」
岩崎が謎の誘いを受けたことに、3人の男子生徒はこの人物が誰なのか議論を始めた。ただ岩崎だけは彼女は何の事で自分に用があるのかを予想していた。
「ん?なになに内緒話?お姉さんにも教えて?」
「「うわっ!?」」
突然女子生徒が議論に乱入し、完全に背後をとられる形になった竹内と一夏は声を出して驚いてしまった。
「ふむ…織斑くん、竹内くん、君たちは先に行っててくれ。どうやらこの人は僕にだけ用があるらしい」
岩崎は真剣な表情になって、彼女についていくことにした。
「あら、話が早くて助かるわ。じゃあついてきて、こっちよ…あ、そうだ」
女子生徒は早速岩崎をつれてどこかへ行こうとしたが、突然何かを思い出し足を止めた。
「IS学園へようこそ、3人の男性操縦者さん。在校生を代表して歓迎するわ!」
彼女は3人のいる方へ向き直って、手に持った扇子を広げながら歓迎の挨拶をした。ちなみにその扇子には何故か「祝・入学」と書いてある。
「それじゃ行きましょ♪」
そして彼女は岩崎にウィンクしてついてくるように促した。岩崎はその指示に一切抗うことなく従った。
―――――――――
空き教室
中に誰もいないことを確かめ、女子生徒が岩崎を招き入れる。
「うんうん、ここなら人通りも少ないし、話をするにはお誂え向きね♪」
「そのようですね…それで、僕に何の用ですか?」
岩崎が尋ねると、女子生徒の表情が真剣なものに変わった。
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私の名前は
「…これはこれはご丁寧に…岩崎仲俊です」
「よろしく。ところで……」
楯無がポケットから何かを取り出し、岩崎に見せた。小さな機械のようなものだ。
「………これを1年4組の教室に仕掛けたのはあなたね、岩崎仲俊くん?」
岩崎は差し出された物体を数秒見つめ…………
「……………ハァ…………」
…………ため息をついた。
「………えぇそうです…僕が仕掛けました」
そしてあっさりと自らの犯行であると白状した。
「ふ~ん…やけにあっさりと認めたわね。…調べてみたところ、盗聴器のようなものだと判明したんだけど……年頃の女の子の会話を盗み聞きして、一体どうするつもりだったのかな~?んっ?んっ?」
楯無は「秘密が女を綺麗にするのよ」とからかい、岩崎の顔を覗き込みながら彼の反応をうかがった。しかし、岩崎はいつも通り飄々とした様子で言い返した。
「…決まってるじゃないですか。試したんですよ、この学園のセキュリティをね」
「……は?」
全く予想もしていなかった答えに、楯無は素で聞き返してしまった。
「うんうん、何て言ったって今年は僕やさっきの2人といった特殊ケースな生徒がいるわけだ。織斑先生は僕らを実験動物にしようとする輩から守ると
「……どうにもウソ臭いわね……本当にそれだけの理由でこんなものを仕掛けたのかしら?」
「…………」
「…………」
ただならぬ空気が2人を包み込む…。
「………やはりこのまま終わってはくれませんでしたかww…………さっき言ったことも事実ですが、『誰かの会話が入ってくれないかな』と思ったのも否定しません」
「フフッ、やっぱりね。このIS学園では、それぞれの開発会社の機密の話もすることがあるの。悪いことは言わないから、盗聴器を仕掛けるのはやめた方がキミのためよ」
楯無が諭すように言った。
「そうは言われてもですねぇ…今の世の中生き抜くためには、情報戦を生き抜くことが重要。しかし、完全アウェー状態の僕が普通に情報をかき集めたところで、すでに情報戦線の最前線からは大きく遅れてしまっている…なら、多少強引な手を使わざるを得ない。その結果、僕が用いた強引な手が
しかし、岩崎はやめるつもりは全くないようだ。
「それに、
「…ッ!………何のことかしら?」
続けて発せられた岩崎の言葉に、楯無はわずかに動揺を見せてしまった。
「いやいやぁ、更識生徒会長…あなたは1年4組所属、すなわち僕のクラスメートである更識簪さんのお姉さんであるとお見受けしますが…妹さんの事が心配で心配で堪らなかったのでしょうなぁ。僕ァこういうことに関しては妙にカンが良くてね…この類のものの気配を察知できるんですが…まさかあんなところに仕掛けるとは…このことを妹さんに伝えたら、あなたのこと幻滅しちゃうだろうなぁ~…」
「や、やめて!それだけはやめて!」
楯無はどこかへ行こうとする岩崎の前に慌てて立ち塞がり懇願する。
「…………まぁ僕も鬼じゃありませんからね………まずは、これをお聞きくださいよ」
岩崎は制服の胸ポケットからイヤホンを取り出して楯無に渡した。どういうことかわからぬまま、楯無はそのイヤホンを自分の耳に装着する。
『えーっと、俺の部屋は1025室…だから…ここか。優斗は?』
『僕は1030室のようだからもうちょっと先かな?』
「!!…これって…まさか!」
そこから聞こえてきたのは2人の男性の声。それも数分ほど前にわずかながら聞いたような声だ。
「先ほど僕と共にいた男子生徒の声が聞こえましたね?」
岩崎が楯無の心を見透かしたように言った。
「そう、これは竹内くんの制服に仕込んだ盗聴マイクからの音声……」
「……どうしてこれを私に……?」
楯無は疑わしげに尋ねた。
「うんうん、ズバリ単刀直入に言うとですね…僕を生徒会に入れてください。その音声はそのための手土産です」
岩崎はあっけらかんと言ってのけた。何かを察した楯無は顔をしかめた。
「どういうこと?友達の情報を売って、自分だけ助かろうって算段?」
けしからん事だと楯無が問い詰める。しかし、岩崎の表情は笑っていた。
「フッ、まさか…その逆です。僕がこの音声を持って生徒会に入れば、僕たちはほぼ生徒会の監視下に置かれることになります。つまり、これで僕たち2人はもう下手な行動が出来なくなります。
岩崎が意味深に言葉を区切り、一呼吸おいた。
「僕たちは互いに互いの秘密を握っている。普通どちらかが裏切ろうものならその秘密を暴露すると言う…まぁ底意地は悪いがそんな常套手段がある。けれど今回は僕が1つ、先輩が2つの弱味を握っている。これでどちらかが謀反したところでこちら側の不利になる。つまり、僕はあなたを裏切れない、そう言うことです」
「………なるほど、そういうことね」
岩崎の説明を聞き終えた楯無は、クスクス笑いだした。
「わかったわ。キミのその
「……ありがとうございます」
「でも!変なとこをしたら……………………わかってるわね?」
「……………えぇ、しかと肝に銘じておきますとも」
こうして、岩崎の生徒会入りが決まった。
「……それにしても、鎌をかけるための演技だったのに、まさか本当に妹さんに盗聴器の類を仕掛けていたとは驚きましたよ…」
岩崎がポツリと呟いた。その呟きが楯無の耳に入り、驚いた様子で岩崎に詰め寄った。
「…!?じゃあ、さっき言ってた気配がどうのってところは…」
「うんうん、まあ察知することもあるけど非常に稀であって、少なくとも今日のところは何も感じませんでしたね…感じることがあっても、見抜けたのは3~4割程度、残りは完全に空振りでしたけどね」
「あ…はは…私ともあろう者が……演技に騙されるなんて……」
ショックのあまり楯無は俯いてしまった。
「あー…じゃあ僕、今日はもう帰っても良いですかね?」
「え?今日は来てくれないの?」
「えぇ…まぁ実は、今日急遽学生寮に入寮することになりまして…その荷解きも今日のうちに終わらせたいので…」
「ふーん……それじゃあ仕方ないか…それじゃあ明日の放課後にいらっしゃい、歓迎会を開くからさ」
「それはそれは……ありがとうございます。ではまた明日改めて御挨拶に伺いますね」
岩崎は小さく頭を下げてからこの空き教室を去った。
――――回想終了――――
やあやあやあ、再び岩崎だよ。そんなわけで僕は生徒会の仲間入りをしたんだ。いやぁ、その翌日の歓迎会はなかなか楽しかったよ、布仏先輩の淹れてくれた紅茶は美味しかったし、布仏妹さんからは"岩プー"ってあだ名をもらったし。うんうん、何となく懐かしいこのあだ名でまた呼んでもらえるとは…。
ちなみに4組のクラス代表の事なんだけどね、……代表そのものは簪さんが務める事になったんだけど……誉田先生の突然の思い付きで、今度の対抗戦には僕が出ることになっちゃって……いやぁ、参った参った……。うーん…α社の方からは量産機整備の課題があったのに、この上生徒会の活動や対抗戦に向けての訓練にまで時間を取られるとは…って、その時は徹夜も覚悟したね…。
あーそうそう、徹夜と言えば僕の寮のルームメートがさ…何の因果か因縁か、隣の席の簪さんだったんだけど…彼女、この1週間のほとんどが僕より大分遅くなってから帰ってくることが多かったんだ。うんうん、原因は恐らく…否、間違いなくあの事だろうね…。
――――回想開始――――
岩崎の生徒会におけるポジションは、名目上は庶務…要するに雑用ということになったが、会計の
整備室に入ってきた岩崎を見て、周囲の生徒がざわつく。
「うわっ、男の子だ!」
「噂の3人の男子生徒の1人?」
「あの髪の色…外国人?」
「あれ?確か3人とも日本人の名前だったよ?」
「そんなことより、男なんかにISの整備なんてできるのかしら?」
岩崎はそれらの言葉をすべて無視して空きスペースを探した。しばらく進むと空きスペースがあったが、その近くには本音もいた。
「やあやあ本音さん、ここで会うとは思わなかったよ」
「おー、岩プーじゃないか~奇遇だね~」
波長が合うのか、一昨日の歓迎会で2人は大分仲良くなったようだ。
「ところで、整備室で整備もしないで何をしてるんだい?」
そう、他の生徒はここ整備室で各々ISの整備をしているが、本音は工具すら手に持たず佇んでいた。
「わたしは~…かんちゃんの様子を見にきたのだ~」
「かんちゃん?」
聞き慣れない呼び名に岩崎が尋ねる。
「かんちゃんはたっちゃんさんの妹だよ~」
「………なるほど」
"たっちゃんさん"と呼ばれる人物を知っていた岩崎は今の一言で"かんちゃん"なる人物が誰なのかを察した。
「彼女がどうかしたのかい?」
「それが~…ちょっとついてきて~」
「…おいおい!?」
本音は岩崎の手を取り、2つ隣の整備エリアへ引っ張っていった。そこでは、簪が1人で黙々と作業を続けていた。
「……彼女、何をしているの?」
作業中の簪を見て、岩崎が小さな声で本音に尋ねた。
「…………かんちゃんは1人で自分の専用ISを組み上げようとしているの」
「ISを組み上げようと…って、1人で何とかなるものなのかい?」
岩崎は驚いた。専門知識もまだそんなにないだろうに、ISを組むと言う困難に挑んでいると言うことに。
「……たっちゃんさんは1人で自分のISを組み上げたらしいけど……普通なら出来ないよ……。でもかんちゃんにとっては
「……でも待てよ?彼女は日本の代表候補生だったはずだ。確か代表候補生には専用機が国から与えられるはず。それが未完成の状態で渡されるのもおかしい話だよね……」
「……それがね~…」
本音は、簪に起こったことをかい摘まんで話した。曰く、織斑一夏がISを起動させたことにより、彼のデータを採取すべく簪の専用機の開発を後回しにされた。曰く、楯無と簪は現在仲違い中、簪が1人でISを組もうとしている理由は概ね姉への反骨心。…とのこと。
「…へぇ…なるほどね(…こりゃ、思っていたより厄介な問題のようだ…)」
「ごめんね~、岩プーには関係ないことなのに…」
「……こっちがいろいろと尋ねた事もあるしね、気に病む必要はないよ」
「それでなんだけど~…かんちゃんのこと、少しお願いしてもいいかな~?」
本音が神妙な面持ちで岩崎に頼んだ。
「……わかった。君たちじゃあ目の届かないところもいろいろとあるだろうからね。…僕のできる範囲で最善を尽くしてみるよ」
「おぉ~ありがと~岩プー」ダキッ
「ぅおっとっと…」
本音が感動のあまり岩崎に抱きついてきた。岩崎は少しバランスを崩したが、何とか踏みとどまった。
「えへへ、じゃあかんちゃんのことよろしくね~」
そして本音は足早にこの場を去っていった。残された岩崎はひとまず、自分の課題を先に片付けようと自分の整備スペースに戻った。
――――回想終了――――
うんうん、簪さんは誰からの援護も必要とせず、1人で頑張っているんだ。帰りが遅いのも、整備室の開放時間ギリギリまで残っているからなんだね。
それで布仏妹さんに簪さんのことを頼まれて二つ返事で引き受けちゃったけど…実際のところ、彼女とはまだまともに会話したことないくらいに打ち解けてないんだよなぁ…。ま、なるようになるかな。
さて、その頃の竹内くんと言えばクラス代表の候補者の1人としてトレーニングに励んでいた頃だったね。この前もクラスメートの子たちと一緒にトレーニングしてたりしたし、α社に帰って代田さんにみっちりしごかれてたよ。それで1年1組のクラス代表決定戦が行われたのを僕も見に行ったんだ。次はその時の話だよ。
――――回想開始――――
決戦当日の日。みんな一夏や竹内の戦いをその目に焼き付けようと、観客席は満席だった。岩崎も観戦にやって来たのだが空いている席はなく、後ろの方で立ち見することにした。
「だ~れだ?」
その時、急に岩崎の視界は何者かの手に遮られ、何も見えなくなった。しかし岩崎は少しも慌てずに…
「…2年生の更識楯無生徒会長殿」
と無駄にお堅い呼称で答えた。
「ブー!そんな堅~い呼び方じゃあ不正解だぞっ!」
しかし出題者はその答えが気に入らず、目隠しを外してはくれなかった。
「……………じゃーたっちゃん先輩」
岩崎は今度は棒読みで答えた。
「う~ん…棒読みなのが気になるけど…まぁいいわ、正解にしてあげる」
「それで、会長さんもこの3連戦を観戦に?」
「えぇ、そうよ。どれほどの実力があるのかを見に来たの」
「……なら、僕と大体同じですね。僕も彼らの戦力調査に…」
とそうこう話しているうちに、一夏vsセシリアの対決が始まった。
――第1試合終了後
「……」
「……」
そして試合は決した…白式のエネルギー切れという幕切れで。観客席の皆は思わぬ結末に呆然としているが、岩崎と楯無は違った。
「………うんうん、何て言うか…締まらない終わり方でしたね」
「そういうこともあるわよ。だからパイロットは自分の扱う機体についてよく知っておかなくちゃいけないの」
「なるほど…(でもあれだけ代表候補生を追い詰めるとは……こりゃ、今後まだまだ伸びてくるかも)」
岩崎が一夏の評価をしていると、アリーナには竹内が入場してきた。
「ねぇ、確か彼って仲俊くんと仲良かったよね?どういう戦い方をするか知ってるの?」
当然のように隣を陣取っている楯無が尋ねた。
「いやぁ実は…僕ァ竹内くんと対決したことも、それどころか彼の戦いを見たこともないので、そういったことはわかりません…ですが」
「ですが?」
「彼は戦いじゃなくて、空を楽しむ……これだけは言えます」
「…?」
楯無が首を傾げている一方、アリーナでは一夏が入場し、今までにない雰囲気に変わっていく。
――第2試合終了後
一夏と竹内の対決は一夏に軍配が上がった。しかし勝敗とは関係なく2人の男子生徒には惜しみ無い歓声が降り注ぐ。
「…さっそく伸びてきたわね、一夏くんは…偶然とは言え
楯無が感心して言う。
「…(竹内くんはISの機動力を活かしたヒット&アウェイ作戦…か。…彼はまだまだ使っていない武器もある…次の試合も要チェックだ)」
岩崎は竹内の戦いをしっかりと脳に焼き付けた。
数分後、ようやく第3試合の準備が整い、両候補が入場してきた。
「………?(あり?何か…ミス・オルコットがおかしな雰囲気…?)」
このとき、観客の誰も…楯無すらも気付かなかったが、岩崎だけはセシリアの異様な雰囲気に気付いた。
――第3試合終了後
「危ない!」
楯無が叫んだ。セシリアのISが空中で解除され、そのまま落下していく。観客は悲鳴をあげている者もいれば、目を固く閉じている者もいる。しかし、竹内がなんとかセシリアを救い、観客の悲鳴は再び歓声に変わり、竹内の人道的な行動に拍手が贈られている。
「へぇ…、なかなかカッコいいところもあるわね、優斗くん」
楯無がポツリと呟く。
「そうよね、仲俊くん…って、おーいどうしちゃったのかな~?」
楯無は岩崎に話を振ってみたが、その岩崎は隣で驚いた様子で茫然としていた。
実は岩崎は、竹内の腕が青く光出した辺りから言葉を失い、目を見開いたまま固まっていた。
「(あれは………精霊手……!?何でそんな技を…いつの間に習得したんだ、竹内くんは…!?)」
「仲俊くん?仲俊くんったら!」
「!?…あぁ…会長さん、どうしたんですか?」
岩崎は楯無の呼び掛けでやっと我に返った。
「『どうした』って、それはこっちのセリフよ、さっきから固まっちゃって……」
「…すいません、竹内くんの青い光の事について考え事を…」
「……確かに気になるわね、あの光といい、突如出現した魔法陣といい……どういう機能なのかしら」
「いえ………あれは少なくともISの機能ではありませんよ……ミサイルそのものが消せるなんて、有り得ないですよ」
岩崎が冷めた口調で言った。
「………何か知ってるような口調ね」
「えぇ、せいぜい4~5割程度ですが」
「……なら、知ってることを教えてもらえるかしら?」
「………常識じゃあまりにも考えられないことですからね…僕1人の意向じゃ教えられませんね」
「………じゃあ」
「えぇ、彼本人に聞くといいでしょう。僕も口利きをしますので……」
それだけ言い残して、岩崎はアリーナをあとにした。
――――回想終了――――
………あとで聞いた話だけど、1組のクラス代表は織斑くんになったらしい。やっぱり彼の対策はまず、近付かず近寄らせず…だね。
それで竹内くんのことだけど、早い方がいいかもね。僕も精霊手の事について聞きたいし、会長さんにも知っておいてもらう必要がある…。………………この際だ、会長さんには僕たちの正体を知っておいてもらおう。どうせ竹内くんも、織斑先生たちには明かすと思うし…。
……と、僕の話は今回はここまで。また話題が溜まったら教えてあげるよ。それじゃあまた………。
――――モシモシ、タケウチクン?
この日は実践授業。展開、飛行、急停止……何かをする度に歓声が上がったり怒号が飛んだり……ありゃ?そして放課後は食堂でクラス代表就任パーティで大盛り上がり。一方その裏で、岩崎は一足先にある人物に会う。
to be continued...
どーも、ジョージ・ルーカスですwwwwwwww違うかぁwwww
…はい、ものいいの吉田サラダ氏は置いといて、お久し振りです、懐かしい物好きの剣サタです。いやぁ、手こずった…長かった…文字数がついに5桁に到達してもうた…燃え尽きたぜ……でも月1の更新は守れてよかった……。
竹内くんが奮戦している間の岩崎くんはおおよそこんな感じだったんです。かなり雑になってしまいましたが………。
岩崎くんのルームメート、誰にしようか全く無策だったんですよね。簪さんか、のほほんさんか、それとも別のモブか…結局簪さんにしたんですけどね、これでいいのかなぁと思わなくもない。
ちなみに、のほほんさんが岩崎くんにつけたあだ名、知ってる人は知ってるよね。竹内くんの時はかなり悩んだけど、岩崎くんの場合はあっという間に「これ!」って決まりました。
…ダメだ、書き上げた後で後書きを書く元気もない………なので、何かツッコミがあれば是非感想欄に……苦しくも痛々しい応答で対処しますよ
それでは、また次回お会いしましょう