ついにあの人のアレとその人のソレが直接対決(?)!え、何の事だって?それは読んでのお楽しみ。
実戦授業後の昼休み。
「なぁ優斗!今日の昼は屋上で食べようぜ!」
着替えを終えて更衣室を出ようとした竹内に一夏が提案する。
「あ、いいね。そうしようか」
竹内は喜んで受け入れた。
「じゃあ俺はみんなを集めてくるから、優斗はトシさんを誘ってくれないか?シャルルに紹介もしたいし」
「わかった。来てくれるように言ってみるよ」
一夏の頼みも聞き入れ、竹内は岩崎を探しに向かった。
―――――――――
ところ代わって屋上。この日は天気もよく、かと言って日差しが強いと言うこともなく、まさしくポカポカ陽気だ。そこには一足先に一夏、シャルル、箒、鈴音、セシリアがいた。ただ箒と鈴音はどこか不満そうな顔をしている。
「どういうことなんだこれは?」
誰がどう聞いても不機嫌そうな声で箒が一夏に問う。
「だってみんなで食べた方が良いだろ?それにシャルルも転校してきたばかりで右も左もわからないだろうし」
「………それは……そうだが……」
それを言われると……といった様子で箒は黙ってしまう。
「あー…ボク、同席しても良いのかな?」
ただならぬ雰囲気に、シャルルが遠慮がちにそうこぼした。
「いいって、男子同士仲良くしようぜ」
対して、箒たちの放つプレッシャーに全く気付いていない一夏はお気楽に言う。
「やあやあやあ、待たせたかい?」
「すみません、遅くなりました」
そこへ、岩崎と竹内が遅れてやって来た。
「お、来た来た。シャルル、この人がさらにもう1人の男のIS操縦者の岩崎仲俊。トシさんだ」
一夏が岩崎を紹介する。
「あーはいはい、君が噂の……僕は岩崎仲俊。よろしく頼むよ」
「シャルル・デュノアです。シャルルで良いよ」
2人はどちらからともなく握手をした。
「(ん…?)」
その時、岩崎は妙な違和感を感じた。
「ん?どうかした?えーと……」
「…いや、何でもないよ。それから、僕の名前『ナカトシ』が言いにくいんだったら、織斑くんやリンさんみたいに『トシ』って呼べば良いよ」
岩崎はその違和感を誤魔化して答えた。
「っていうか、もうシャルルのこと噂になってるんですか?」
一夏が割り込んで尋ねてきた。
「あぁうんうん、女子の噂の回りの早さは本当に脱帽ものだね。『かわいい子が転校してきた』とか、『地に舞い降りた天使だ』とか…あ、あと個人的に気になったのが『IS学園男兄弟に末っ子誕生』って、僕たちいつの間にか兄弟にされてるよ」
「……マジで?」
「あーそういえば今朝の野次馬の中にも兄弟がどうとか言ってた人がいたような……」
予想以上に色々言われてて驚きを隠せない一夏と竹内。
「何でも僕が長男、織斑くんが次男、竹内くんが三男ってことになってるらしいよ。詰まる話、シャルルくんは四男って位置付けになるワケだね。あとは『○○系』って話もしてたような気もするけど……忘れちゃったなぁ」
『…………』
噂の内容も去ることながら、ここまで語れる岩崎の情報収集能力に開いた口が塞がらない一同であった。
―――――――――
そんなこんながあった後の昼食の時間。
「へぇ~、織斑くんも弁当作ってきたんだ」
岩崎が一夏の弁当を見て感心したように言う。
「千冬姉が外で働いている分、俺が家のことを一頻りやって来たので。ってか、トシさんも優斗も自分で?」
一夏は自分の家庭事情を話した。そして今度は逆に岩崎と竹内の食べているものを見て同じように尋ねる。岩崎は2段弁当、竹内はサンドイッチ(三角形)を作ってきたようだ。
「うんうんまぁね、僕自身こう見えても美食家の端くれって言うのもあるけど、僕もよく家事手伝いしてたからね、料理は割りと出来るよ」
「僕はあまり料理はしないけど……まぁこれくらいなら何とか」
「ねぇ一夏」
男3人が料理の話題で盛り上がりかけた時、鈴音が一夏に声をかけた。手には自分のとは別にタッパーを持っている。
「これ食べてみる?」
タッパーのふたを開けるとそこには……
「うわぁ、酢豚だ!」
一夏が興奮気味に言う。
「前に一度食べてみたいって言ってたでしょ?トシと優斗もどう?」
……これを皮切りに……
「コホン……一夏、私も今日の弁当を少々作りすぎてしまったので……分けてやらないでもないぞ」
「でしたら皆さん、私の作ったサンドイッチも食べてくださいな、イギリスにも美味しい料理があることを知ってほしいので……」
箒とセシリアも自作の料理を食べてくれと名乗り出る。
「よぅし、ならここはオカズ交換会といこうじゃないか」
この岩崎の発言により、先程までの異様な空気が嘘のように賑やかになり、互いの料理を食べ合った。しかし、そんな楽しい雰囲気は束の間のことだった。
「…!?」
「…!!」
「ちょ、ちょっと2人ともどうしたの!?」
シャルルの焦った声に、全員がシャルルの視線の先に目をやった。見れば一夏と竹内の顔が真っ青になっている。そんな彼らの手には長方形に切られたサンドイッチの食べかけが……。しかし……
「な……何でもないぜ……」
「そ……そうそう……強いて言うなら……喉に詰まりかけたと言うか……」
本人たちは気にするなと言う。が、どう見ても何でもないようには見えないし、喉に詰まったとかそんな風にも見えない。
「うんうん、彼らが持ってるサンドイッチの切り方を見ると、これはミス・オルコットのサンドイッチだね……ミス・オルコット、僕にも君のサンドイッチを分けてはもらえないかい?」
「は、はい……それは構いませんが……」
セシリアは戸惑いつつもサンドイッチを渡す。
「……トシ……それ、マジで食べる気?」
「……悪いことは言わん、やめておけ」
「なっ!皆さん私のサンドイッチを何だとお思いでいらっしゃるのですか!」
自分がせっかく作った料理をまるで危険物扱いする鈴音と箒にセシリアは怒った。
「まあまあ抑えて抑えてミス・オルコット……たまたま織斑くんたちが喉に詰まらせただけかも知れないじゃないか。だから君たちね、このサンドイッチが危険なものだともう決めつけるのは良くないよ」
そんなセシリアを岩崎が宥める。また、確かめもせず危険物扱いをした鈴音と箒をたしなめ、サンドイッチにかじりついた。
「……ん………ふむ……なるほど」
彼はそれだけ言って、顔色を一切変えずにサンドイッチを食べきった。
「ちなみにこれ、味見とかはしたのかい?」
「え?いえ、皆さんに先に食べていただきたくて……ですが、ちゃんと本を見て作ったので大丈夫なはずですが……」
「そうかそうか……あぁせっかくだ、自分でも食べてみたらどうだい?」
突然、岩崎はセシリアにサンドイッチを食べるように促した。
「へ?でしたらご感想を……」
「いいからいいから」
セシリアは感想を求めたが、岩崎は半ば無理矢理推し進める。ついにセシリアが折れ、自分のサンドイッチを口に含んだ。すると次の瞬間、セシリアの顔が一夏や竹内と同じように青ざめていった。
「……………」
「わかったかい?君はこれを人に食べさせていたわけだ」
セシリアは口許を押さえながらなんとか頷いた。
話を纏めるとこうだ。セシリアは確かに料理本を見てサンドイッチを作った。だが彼女が見たのはサンドイッチの作り方ではなく、写真のみである。だから見た目は確かに美味しそうに出来上がったが、挟んだ具は奇想天外なものばかりで、味はお世辞にも美味いと言えるものではなかった。そうとは知らずに食べた一夏と竹内、そして確認のために食べたセシリアは、そのとんでもない味に顔を青くした次第である。
「……じゃあ何でアンタは平気な顔してるのよ、トシ……」
鈴音が呆れ気味にツッコんだ。そう、作った本人をも含めて3人もの犠牲者を出したサンドイッチを食べて、
「いやぁ、『何で』と言われてもねぇ……まぁ強いて言うなら、僕ァちょっとやそっとの味じゃあ動じないんだ……昔いろいろあってね……」
「………確か……古くなったものなんかを食べても普通にピンピンしてましたよね………」
その時、竹内が横から入り込んできた。
「まぁそうだねぇ、胃袋もいろいろあって鉄のように頑丈なのさ……って、竹内くん…もう大丈夫……には見えないね」
……心なしか少し顔色が良くなったようにも見えるが、まだまだ青さも残っていて、岩崎の言う通りまだ大丈夫そうには見えない。
「えぇ、まぁ………ゴホッ……実は彼、調理実習でクッキーを作ったときに各班から失敗作を回収しに回ってて……それであとで聞いてみたら『もったいないから失敗作をありがたく頂いた』って……」
「いやぁだって失敗したとは言え、せっかく作ったのをそのまま捨てるのはもったいないなぁって思ってね。んでもってちょうどお腹も空いてたから食品は無駄に捨てずに済むし、僕のお腹も満たされる……一石二鳥な訳だ」
「……………」
妙に論点がズレてる気がしないでもないが、一同は岩崎の過去に何があったのかを想像し、言葉を失った。
―――――――――
その日の夜。
竹内が
――コンッコンッ
部屋のドアがノックされた。
「あ、はぁ~い」
こんな時間に誰だろう……竹内はそう思いながら戸を開けた。するとそこには……
「あ、竹内くん。まだ起きていたんですね、よかった」
竹内が現れたことに安堵する真耶と……
「こんばんは、ユート」
大荷物を抱えたシャルルがいた。
「山田先生に、シャルルくん…それにその大荷物……もしかして………」
「はい、今日からデュノアくんもこの1030室で生活することになりますので、仲良くしてくださいね」
「わかりました」
竹内が快諾すると、真耶は安心して「ではまた明日」と言って去っていった。残された2人は互いに改めて「よろしく」と言い合い、部屋に入っていった。そしてその後はシャルルの荷解きがあったり生活ルールについての話し合いをしたりで、あっという間に消灯の時間となり、2人は眠りに就いた。
―――――――――
ところがその数時間後……
「……………ん?ん~…………」
眠っていた竹内が突然目を覚ました。辺りはまだ暗く、日の差し込んだ様子もない。そこで竹内がケータイの時計を見た。
「………午前3時………微妙な時間に起きちゃったなぁ…………」
いつも5時~6時には起きている竹内にとって、ここから二度寝をする時間的余裕はまだまだある。しかしそれはあくまで寝付けたらの話で、目が冴えたままでそのまま朝を迎える事だってある。一先ずこのままじゃ寝付けないと考えた竹内は、渇いた喉を潤すべく洗面所へ向かった。
「…………」グビグビ、プハァ
冷たい水が彼の体を内側から程よく冷やし、それがまた何とも心地良い。
目的を終え、再び眠ろうとベッドに戻ると……
「………グスッ」
すすり泣くような声が聞こえた。
隣の部屋の声などが聞こえることはあっても、すすり泣き程度の声ならば霊でもない限りこの部屋以外のものが聞こえることなどあり得ない。そして幸いにも今回の発生源は霊などではなく、隣のベッドで眠るシャルルだった。
「………ヒグッ」
現在この部屋の光源は常夜灯(所謂オレンジ色の電球)のみだが、そのわずかな光でもわかるくらい、彼の目元は涙で濡れていた。竹内はシャルルが何か悪い夢でもみているのかと考えていると、
「………おかあ……さん………」
シャルルが寝言を漏らした。
「(……そうか…考えてみれば彼は……日本に住んでて日本の学校に通ってる僕たちとは違って、住み慣れた国を離れて、頼る宛もなく文化の違う国で生活することになって、不安でいっぱいなんだろうな……)」
それが例え15歳の少年だとしても、不安に思う思わないは個人差である。それが今、寂しさとなって出てしまっているのだろう………ならば彼のために何が出来るか?それは彼の寂しさを少しでも癒せるように全力で彼と向き合い、彼に接すること。それがクラスメートであり、ルームメートであり、何よりも友達である自分の役目だ………と、竹内は考えた。
竹内はシャルルの目元をタオルで優しく拭うと、「僕が彼の助けになるんだ」と決意を新たにした。…………のは良いものの、流石にこの時間では何をすることもできないので、本来の起床時間までもう一度眠ることにした。
―――――――――
そして夜が明け、太陽が顔を出す頃……
竹内は一足先に目を覚まし、この日の分の弁当を用意していた。………もっとも、弁当というのはサンドイッチのことであるが………。
ちょうどそれが出来上がる頃……
「ん~……おはようユート……」
シャルルがアクビを噛み殺しながら声をかけてきた。
「おはようシャルルくん。……何だかまだ眠そうだね……もしかして、夢見でも悪かった?」
「えっ、何でわかったの?」
竹内自爆。
「あー…えーと、その……実は僕、昨日の夜中に一度目が覚めちゃったんだけど、その時のシャルルくんはうなされてたんだ。……いや、うなされてたのとは違うなぁ…悲しそうだった……?まぁとにかく、そんな感じだったんだ。だからそうかなって思ってね……」
「…………」
シャルルの表情が曇りを帯びてきた。
「……シャルルくん、何か困ったことや辛いことがあったら僕に相談してほしい。あまり役に立たないかもしれないけど、一緒に悩むことぐらいはできるはずから……」
「ユート……」
「あぁもちろん僕に相談し辛いこともあるだろうから、その時は僕じゃなくて岩崎くんや織斑くん、篠ノ之さんたち、それに先生方にだって相談すれば良い。みんな優しいから、きっと力になってくれるはずだよ」
懸命にシャルルを励ます竹内。その甲斐もあり……
「……うん、ありがとうユート。優しいんだね」
シャルルの顔に笑顔が帰ってきた。あまりに真っ直ぐでキレイな笑顔だったため、竹内は思わず照れてしまった。
「い、いやぁ、お礼なんていいよ。…まだ会って1日にも満たないけれど、僕はシャルルくんのことを友達だと思ってる。だから君が困ったときに、僕は君の力になりたい…そう思ってる。……まぁ、僕1人にできることなんてたかが知れてるけどね」
「そういうところがユートの優しさなんだね……ボク、顔を洗ってくるよ」
シャルルはそう言って洗面所へ行った。竹内は「なぜ自分はあんなにも照れたのだろうか?」と疑問を抱きつつサンドイッチを切り分けた。
―――――――――
ある日の放課後。今日も今日とて第3アリーナでは一夏たちがISの特訓をしている。
そこへ……
「ほぅ…貴様も専用機持ちらしいな………ならばちょうど良い、私と闘え!」
自らの専用ISを纏ったラウラ・ボーデヴィッヒが現れた……。
「…いやだね、理由がないし」
対決を望むラウラに対し、一夏はそれに応じようともせず、あっさりと断った。
「………ならば闘わざるを得ないようにしてやる……!」
するとラウラの右肩にあるレールガンが火を吹いた!まさに不意をつかれた格好となった一夏は反応が遅れ、その場を動くことができない!そんな最中も砲弾はなおも迫ってくる……!果たして一夏はどうなってしまうのか……!?
襲い来るラウラ。彼女が一夏に固執し、倒さんとする理由は何故なのか……?一方、シャルルは何かを思い詰め、竹内に「話したいことがある」として一夏と岩崎を呼んでくるように頼む。彼の口から語られる話とは一体……?
…どーもどーも。年がら年中モヤモヤ、剣とサターンホワイトです。今回も最後結構無理矢理締め括ったような……その辺は次回冒頭で詳しく(?)やる予定なのでご了承願いたい……ワー,モノヲナゲルナー
さて、2-3話を振り返っていこう。まずはシャルルくんと岩崎くんのご対面。岩崎くんは何かを感じたようだが現時点ではまだその正体には気付けなかったご様子。
続きまして、岩崎くんの証言により明らかになった"IS学園男兄弟"という妄想設定。末っ子については前回にチラッと出てましたが……お気付きになられただろうか……?そう、「可愛い癒し系末っ子・シャルル」とのことだとか……。ちなみに残り3人は「クールなミステリアス系長男・仲俊」「真っ直ぐな熱血系次男・一夏」「優しい穏和系三男・優斗」ということになってるらしい……。
そして続きまして、私がやりたかったネタの1つ「岩崎の鉄の胃袋VSセシリアの手作り料理」。ぶっちゃけこれがやりたかったがために岩崎くんを登場人物に追加したとかしなかったとか……(笑)。軍配は鉄の胃袋に上がりました。
しかし鉄の胃袋は腹を下さなくなるだけで、味覚には影響しないということではないかと思うようになってしまう。そこで思い付いたのは岩崎くんの過去を捏造した本作オリジナル設定を追加すること。詳しい話は2章が終わり次第投稿する"登場人物紹介 2人の転校生編"の岩崎くんの項目に記載する予定なのでそれまでお待ちいただきたい……ワー,イシヲナゲルナー
またちなみに岩崎くんが美食家の端くれを名乗っていたのはゲーム本編の初期所持アイテム"月刊裏の美食会"に由来する、これまた本作オリジナル設定である。
さらに続きまして、シャルルくんの入寮の件。原作と違い本編では竹内くんのルームメートとなりましたが、この選抜理由は「
夜中に一度目が覚めちゃった竹内くんは、シャルルくんの涙に気付く。彼なりにいろいろ考えて決意を新たにしたが、皆さんご存じの通りシャルルくんの涙は竹内くんの思ってるようなものではない。……まぁ、多少はそうかもしれないけど。
そして最後。いろいろと端折っちゃったけどラウラ襲来。端折った部分は後書き冒頭で記した通り、次回の頭に書き込む予定ですので、その時をお茶の染みに……じゃない、お楽しみに!