第一話 新世紀
西暦二〇〇一年一月一日、人々は『戦争の世紀』と呼ばれる時代が終え、平和な時代が迎えることを願った。
だがその期待はすぐさま裏切られる、零時を迎え二一世紀が始まると同時に世界各地から日本に向けて二千発以上の核弾頭搭載する弾道誘導弾・巡航誘導弾が発射された。
日本の国防を担う国防軍と在日米軍はすぐさま弾道誘導弾を迎撃を開始したが、導入したばかりの信頼性の欠ける迎撃誘導弾と二千発以上の誘導弾の数に成すすべもなかった。
だがその時、白く輝く人型の飛行物体が突如国防軍と在日米軍の目の前に現れ、約半数の誘導弾を撃墜せしめた。
その活躍に日本国民は突如現れた飛行物体“IS”を神の遣わした守護神のように崇めたが、いくつかの大国、特にアメリカ合衆国は“IS”と呼ばれる兵器に恐怖を覚えた。
たった一機の兵器で大量の弾道誘導弾が防がれたとなれば、我が国の核戦略が意味を成さなくなり優位性が保てなくなる危機をアメリカなどの大国は恐怖のもとである“IS”の破壊を目的として利害が一致した。
結果、三日後の国連の安全保障理事会で常任理事国アメリカ合衆国・ロシア連邦・イギリス連合王国・フランス共和国・中華人民共和国の五カ国を含む十五カ国の全会一致で“IS”の破壊が決定した。
その決議が可決されると共に北西太平洋上に浮かぶマリアナ諸島のグアム島に白い“IS”が現れた。
“IS”はアンダーセン空軍基地に襲い掛かり駐機していたF-15E・B-52・B-2などの軍用機をすべて破壊し、滑走路を破壊した。
さらにアプラ港に停泊するロサンゼルス級原子力潜水艦が数隻撃沈され、軍港施設はすべて破壊された。
すぐにアメリカは大国の威信にかけて海軍の第七艦隊・第三艦隊をグアムに派遣し、追随して常任理事国各国は艦隊を送り込んで多国籍軍を編成した。
各国の首脳は頭の中で“IS”が撃墜され「平和は保たれた」と演説する自らの姿を想像していたが現実は悲惨だった。
「キャプテン!」
一艘の救命ボートに、腕を失った海軍の軍人が引き揚げられた。
白髪交じりの髪をして肩にある階級章には黒地にひとつ星と黄色い線が四本入っている。
彼は乗組員に引き揚げられると上空を二機のF-14“トムキャット”戦闘機が飛び去り、AIM-9サイドワインダーを発射した。
サイドワインダーは蛇行しながら猛進し、飛行物体に接近して炸裂した。
だが白煙から現れた白い騎士は、飛び去るF-14よりも高速で接近して持っている刀で二機を切断した。
そして顔を横に向けると第七艦隊最後のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦カウペンスが見えた。
そこに二機のF-14を撃墜した騎士が高速で向かって来る。
「...やめてくれ...最後の一隻なんだ...」
彼は騎士に向かって、弱々しい声で訴えるが当然ながら届かない。
速射砲とCIWSが弾幕を必死に張るが意味もなく後部から接近すると大型荷電粒子砲を召喚し、撃ち込んだ。
照射されたカウペンスの艦上構造物は一瞬にして融解し、残った構造物は赤々と溶けていた。
燃え広がった炎が弾薬庫にまで達し、大爆発と共に船体はふたつに折れ速射砲の砲塔が遠く離れた救命ボートの近くに落下した。
「艦長!俺達のキティホークが...」
一人の水兵が指差す方向には、巨大な船体が傾き船尾の巨大なスクリューが顔を見せていた。
そして大きく傾いた飛行甲板からは残骸となった軍用機や装備が海面に滑り落ちていた。
アメリカが大国の象徴でもある巨大空母は太平洋の海に沈もうとしていた。
それはこれからのアメリカの未来を表しているように海軍将兵達は感じ取った。
「この世界は大きく変わる...」
キティホークの艦長は自らの艦が沈む光景を見ながら言った。
「あの兵器は世界のすべての変える...大国は影響力を失い、大国を失った世界は終わることのない戦争に向かう...文化や価値観も変える...どうかアメリカに神の御加護があるように...」
艦長は息絶え、新たに海域に到着したイギリス・フランス・ロシア・中国の艦隊も第七艦隊・第三艦隊と同じ運命を辿った。
その後、世界の情勢は大きく変わった。
アメリカはグアム沖海戦での敗北と数ヵ月後に起きた旅客機による自爆テロにより世界各国から国債が大量に売却され、ドルの価値が暴落した。
多額の損失を被ることにより多数の投資銀行が倒産し、それに伴う大企業の倒産、そして大量の失業者が発生し財政危機を迎えた。
ISの研究開発と財政の建て直しを優先して行う為に軍事力の大幅削減が行われた結果、空母戦闘群は十年で十個から五個空母戦闘群に削減され、総兵力は一四〇万人から五〇万人まで削減された。
また海外にある米軍基地を閉鎖し海外に駐留する部隊をすべて本土に撤収させた。
この事件による経済混乱は世界各国に波及した。
時間が経つにつれ混乱は大きくいくつかの国では無政府状態に陥り、アフリカや中南米諸国では民兵や軍人による軍閥が活動し、政府軍と食料などの奪いあっていた。
ヨーロッパでは経済不況により移民の多くが職を失い、次第に政府への不満を募らせテロや暴動が多発。
それに対し若者を中心とするネオナチ活動が活発となり、政治活動に始まり、外国人襲撃を行ったり時には移民との大規模の乱闘にもなる状態であった。
中東ではアメリカの後ろ盾を失ったイスラエル民主共和国に対し中東諸国が宣戦布告、第五次中東戦争が勃発。
アラブ連盟軍はイスラエル軍と死闘を繰り広げ、イスラエルの領土の一部を占領した。
そしてIS開発国である日本は大きく変わることになった。
久ぶりに投稿です。
予告通り、いちからストーリーを作り直す事にしました。
しかし久しぶりに小説を書くと時間を忘れますね、午後の一時から執筆し始めたら何時の間にか夜の七時を回っていて驚きました。
親が呼びに来なければ何時まで書き続けていたのか・・・
大学受験も終わり、冬休みなどの休みが増え執筆時間はあると思いますが、残念ながらAO入試なんで歴史に関する課題文を書かなければなりません。
また暇があるときにボチボチ書こうと思うます。
あとユーザー名が変わりましたので、あらためてよろしくお願いします。