学園の守護者   作:新稲結城

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第十二話 終戦

十二月末、多くの国民がクリスマスを祝うなかで日本国防軍は中露両軍と共に吉林市へ最後の攻勢をかけた。

満州の土地は雪で覆われ、気温がマイナスの世界で一〇式戦車を先頭に大韓帝国最後の抵抗拠点吉林市へ日本国防陸軍の海兵師団が進軍する上空を五十嵐大尉が操縦するF/A-3A“流星”は飛び越えた。

ISを操縦してから二ヶ月、五十嵐と五反田はISを撃墜した功績により一階級特進して大尉となる。

その間に三方から攻め込まれた大韓帝国軍は次々と防衛線を破られ最後の拠点吉林まで後退。

制空権は完全に日中露の航空戦力により確保され、連日連夜に及ぶ空爆で街並みは崩壊した建物一杯だ。

兵士達はその光景を見て今日の総攻撃、もしかしたら最後の任務かもしれないという憶測が流れた。

この攻撃が終われば大韓帝国は降伏し講話会議に出るだろう、いや出るしかない。

もう彼らにある抵抗する力は僅かであり、この総攻撃も僅かな敵戦力の壊滅が目的だ。

急造の前線基地から飛び上がった機体には〇七式対戦車誘導弾と通常爆弾を抱えて出撃する。

敵の対空兵器は連日の航空攻撃により壊滅、せいぜい携帯地対空誘導弾を持っているのぐらいだ。

吉林市上空に達すると目に付いた敵から攻撃していく。

国防軍が吉林市に突入するのに対して町の入口で韓国軍が防衛拠点を構築して、戦車を砲台のように使っているのが見えた。

旋回してHMDを対地モードに切換、戦車にロックオンすると右翼から〇七式対戦車誘導弾が飛び出す。

上空から撃ち込んだ〇七式対戦車誘導弾は戦車の砲塔上面を突き破って爆発、砲弾に引火して誘爆する。

砲塔が吹き飛び近くに爆風に煽られて倒れた韓国兵の上に落ちる

 

「うお~吹き飛んだな~」

 

後席には五反田大尉ではなく別の兵装システム士官が乗り込む。

五反田は両足の複雑骨折により数ヶ月の入院を命じられ、この戦争を内地で過ごすことができた。

あれから前線に戻ったが出撃回数が極端に減らされ、飛行団長に出撃させるように懇願した日もある。

皆が戦っている中で自分だけが基地で待機させられているのは我慢ならなかった。

ISを操縦したことにより損失したくないのだろうが、今回の総攻撃が最後かもしれないと聞き彼は飛行団長に懇願して出撃したのであった。

突然機内にミサイル警報が鳴り響き、後席が叫ぶ。

 

「五時の方向から誘導弾!」

 

すぐに右に操縦桿を倒しながら引き、右に旋回しながら上昇してチャフとフレアを発射する。

誘導弾はフレアを追って飛行して近くの建物に衝突して爆発する。

五十嵐は後席に発射位置を聞く。

 

「おい!敵は何処から撃った!」

 

「三時の方向にあるビルの屋上から歩兵が携帯地対空誘導弾を撃って来た!」

 

屋上に敵兵の姿を捉えると旋回を続け、機首をビルの屋上に向ける。

敵兵は急いで次の携帯地対空誘導弾を準備するが、先に発射ボタンを一瞬押して二門の25mm機関砲を一連射だけ銃撃する。

分速三六〇〇発で撃ち出された25mm機関砲弾は数人の歩兵を瞬時に肉片に変え、腕や足が中に舞う。

 

「えげつないな、大尉。」

 

五十嵐はその先の道路を走る車列に25mm機関砲弾を浴びせ去り際に通常爆弾を投下する。

彼は目に付いた敵を逃がさず攻撃・破壊して搭載兵装のすべてを使い果たそうとした。

一発の対戦車誘導弾を残し、すべての兵装を使い果たすと最後の目標である戦車に向かう。

上手く建物の陰に隠れた戦車を五十嵐は一度旋回して上空から戦車後方に向けて接近する。

HMDが戦車を捉え電子音が鳴り、操縦桿の誘導弾の発射ボタンに指を置く。

 

《全機に告ぐ!戦闘停止せよ!繰り返す戦闘を停止せよ!》

 

五十嵐はすぐに攻撃を止め、操縦桿を引き起こす。

戦車の上を轟音を響かせて通り過ぎ、韓国兵が見守る中で上昇する。

無線に司令部からの声が入る。

 

《韓国が停戦を申し入れ朝鮮派遣軍司令部はこれ受け入れ、現時刻をもって一切の戦闘行動を停止する。》

 

「終わったのか、戦争が?」

 

「一時的な停戦だ。翌日になって戦闘が再開されるかもしれないが、帰投するぞ。」

 

そして停戦から数日後に大韓帝国は日中露の無条件降伏を受け入れ戦争は終結した。

その後の日中露の取り決め通りに満州地域は中露により分割され、日本は朝鮮半島は日本の管理下に置かれ帝政の廃止と新政府の新政府を樹立することになった。

国防軍の戦死者は四千人だと発表され政府は損害を少ない上での勝利だと政府は発表したが、その数に徴用兵は含まれていない。

開戦時に朝鮮に派遣された三十三万人の徴用兵の内戦死者は十五万人に上ったがこの真実は発表されなかった。

公表された書類の上では徴用兵は弾薬と同じ欄に並べられ、発表による過激派の反発を考慮しての事だった。

実際に公表しようとした出版社はいくつかあったが、過激派による襲撃や警察の弾圧により失敗に終わった。

東京の銀座で後方で犯罪行為をするぐらいしかなかった正規兵は多くの国民に対して戦勝パレードに出る一方で、五十嵐大尉の他前線で戦った徴用兵は人目につかぬように本土に帰還した。

だが朝鮮半島に残った十万人の兵士は帰還することは適わず、抵抗勢力との戦闘に駆り出された。

帰還してから年が明けて二〇一一年一月の上旬、五十嵐大尉は厚木基地の宿舎で寝ているところを起こされた。

 

「五十嵐大尉です。」

 

「どうぞ。」

 

ドアを開け室内に入ると中には白髪交じりの初老の男性が執務机に座り、ソファには飛行団長も座っていた。

初老の男性、基地司令にソファに座るように勧められ、座ると飛行団長が口を開いた。

 

「君がISを動かしたと聞いた時は驚いた。」

 

「え?」

 

ISを操縦したことは航空団内の誰にも言っていないのなぜ知るのだろうか。

すぐにその疑問は基地司令の言葉でわかった。

 

「実を言うと君に統合参謀本部から直接命令が私に来たんだ。君のIS教導隊への移動命令が。」

 

IS教導隊とは日本の中で精鋭のIS操縦者が集まる部隊であり、日本代表候補生の訓練も請け負っている。

任務は代表候補生の実戦訓練・ISを使用したテロや紛争への防衛・対IS戦闘訓練の支援を行う。

 

「君は男性で唯一ISを動かす男だ。政府は君をどのように運用するのか分からない、だが君は謎とされているIS技術の手掛かりかも知れない。日本の為にISを使いこなし、国防に役立ててくれ。」

 

「了解。」

 

五十嵐は承諾すると基地司令は移動日時を伝えた。

 

「今滑走路にC-2が待機している。最低限の荷物を持ったらすぐに移動しろ。」

 

「わかりました。」

 

基地司令室を出ると大急ぎで宿舎の戻り、生活に必要な物を纏めてすぐに輸送機に乗り込んだ。

空に上がるC-2戦術輸送機を見ながら飛行団長は基地司令に言った。

 

「しかし大丈夫ですかねえ。彼のような徴用兵に何の説明もなく教導隊に突っ込むのは。」

 

「女性と初めて接触することに心配なのかね。」

 

徴用兵は教育期間中に女性と会うことなく生活している。

生まれた頃の記憶を持つものは少なく、殆どの兵士は母親と言う存在を忘れてここまで来てしまった。

さらには女性至上主義者と問題が起きることを飛行団長は心配していた。

 

「はい、徴用兵のような存在を快く思わない女性は多いですから。」

 

「大丈夫だ、向こうの指揮官には直接会ったことがある。第一に教導隊をIS統合運用局の代表会のような輩と一緒にするな。」

 

「...はい、わかりました。」

 

「まあ...カルチャーショックを受けるとは思わないが...」

 

最後に基地司令は歯切れ悪く言った。

 




第十二話目です

今回の十二話で第一章終わりとして年明けから第二章に入りたいと思います。

推薦で大学に受かり歴史関係の課題文を終わらせてから第二章に入りたいです。
ですので少し時間が掛かるかもしれません。

では、また今度。
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