学園の守護者   作:新稲結城

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第二章 混乱
第十三話 適性試験


岐阜基地に降り立った五十嵐裕也大尉の制服は旧帝国海軍の第一種軍装と似た制服を着ている。

これは対馬紛争後に創設された国防海軍が旧帝国海軍の制服を流用してからの伝統であった。

流石に現代では陸軍士官のように帯刀せず、最高指揮官は首相であり海軍艦艇の艦首には皇帝の紋章は飾っていない。

一方で戦後に創設された国防空軍はアメリカ合衆国空軍に倣った制服である。

降り立つとすぐに中佐の階級章をつけた女性士官が五十嵐のもとまで来て敬礼した。

 

「IS教導隊へようこそ。五十嵐大尉」

 

「こちらこそよろしくお願いします、中佐。」

 

五十嵐大尉は目の前に空軍士官を見ていろいろな部分が違うことに内心驚いていた。

徴用兵は本来女性と会うことは想定されず、関連する教育は施されていない。

顔の形、体格の違いを確認しながら敬礼を返した。

 

「IS教導隊隊長佐々木琴音大佐がお待ちです。こちらへ。」

 

彼女について行き建物内にある一室に案内され、そのドアには『教導隊司令室』と書かれた札が貼られていた。

ノックすると自分より高い声がして入室の許可が下り、部屋に入室する。

そこには空軍の士官服を着た短髪の三十代ぐらいの女性が立っていた。

 

「第一航空団から参りました五十嵐大尉です。」

 

「IS教導隊の隊長佐々木大佐だ。君が世界で唯一男でISを使えると。」

 

「はい。」

 

「平成十三年国防省東部徴用兵教育団に入団、全教育団射撃大会で優勝、卒業戦闘試験では指揮する部隊を全員生存して帰還、卒業後空軍に入隊しF/A-3A“流星"の戦闘機操縦課程を終え日韓戦争に従軍。そして戦場でISを撃墜した上に操縦までしてしまった。これで合っているかな?」

 

佐々木大佐は目線をこちらに向け、同意を求める。

 

「はい。」

 

「私は国防省から君をISパイロットとして使えるようにしろと命令を与えられている。この先君はISに乗り込み国防に従事することになる。君には訓練耐える事と戦闘機から離れる覚悟はあるか?」

 

愛着のある流星から離れる事は五十嵐にとって長年組んで来た相棒を捨てるように感じた。

だが徴用兵として日本国の為に戦うことを命じられた彼にとって軍の命令は絶対に守る義務がある。

徴用兵は死ねと命令されれば死ぬ、特攻しろと命令されれば爆弾を抱えて突っ込む。

それが徴用兵の教えられた国家への奉仕の仕方であり、自分達を育ててくれた日本への感謝だった。

日本国の消耗品であり、国の為に死ぬそれが徴用兵だ。

 

「当然ながらあります!」

 

「そうか、15:00からIS適性試験を行う。中佐、あとは任せた。」

 

「はい。」

 

そうして五十嵐は中佐は部屋を出るとすぐに彼女に質問する。

 

「IS適正とはなんですか?」

 

「ISを操縦するための肉体的素質です。CからSまであります。」

 

「そうですか。ではどうやって測るのですか?」

 

「それは実際にISを操縦して戦います。」

 

中佐の案内で更衣室に行くとそこにはスキューバダイビングの全身水着みたいなスーツが置かれていた。

それはISスーツと呼ばれるパイロットスーツであり、日本の風土に適した迷彩柄がプリントされている。

とても着づらいかったが何とか時間までに着替えると訓練場に向かうと空軍の森林迷彩が塗装された一機のISが置かれていた。

 

《これからIS適正を測る。五十嵐大尉すぐに乗れ。》

 

ゲート内の放送で指示され俺はISに背中を預ける、すると装甲が開き体を包んだ。

 

《3...2...1...射出!》

 

電磁カタパルトに両足を乗せると射出員の合図と共に空に撃ち出される。

あの時の飛行を思い出しながら訓練場の空に上がる。

訓練場を指定された方角に飛行すると通信が入り、佐々木大佐が装着したISについて説明された。

 

《その機体は日本国防空軍主力IS“烈風改”だ。烈風は後付け装備により多種多様な戦闘任務を遂行できる機体であるが、元々本土防衛を主眼に作られている為に海外展開は難しく、アップグレードした機体だが他国の最新鋭機に太刀打ちできない可能性もあるが現在開発中の第三世代ISが完成するまでは現行の機体で我慢するしかない。》

 

次に適性試験の内容を説明した。

 

《IS学園という代表候補生を教育する機関があるがその入学試験とは違う。軍の適性試験は一対一の戦闘ではなく、実戦に即した状況で行う。今回は一対一で行うが複数で行うこともある。訓練空域に入ると同時に状況開始だ。では状況を達する、赤国IS機が岐阜県内に潜伏、これを発見・撃墜せよ。》

 

「了解。」

 

すると突然森の中に閃光が迸り銃弾が足の装甲とスラスターを吹き飛ばした。

すぐにハイパーセンサーで確認すると森の中には一機の烈風改が狙撃銃を展開しこちらに銃口を向けている。

武装を確認するとすぐに多連装小型誘導弾発射機を展開させてロックオンする。

二十四発の小型誘導弾が四箇所の発射器から発射され多方向から相手機に迫る。

相手機はすぐにその場から離れ狙撃銃から小銃に切り替え後方から迫り来る小型誘導弾に対し銃撃し撃墜する。

さらに右方向から来る小型誘導弾を寸前で身を翻し左から来る小型誘導弾と激突させ誘爆させる。

そして一気に上昇し生き残った小型誘導弾に対しチャフ&フレア発射機を出して射出する。

その間に二十式五十口径狙撃銃を五十嵐大尉は構え、急上昇する時に引き金を絞り狙撃する。

一発の銃弾が相手機の腕に命中して、腕の装甲を吹き飛ばした。

銃口から白煙が漂い、ボルトを引き空薬莢を排出して次弾を装填すると頭部を十字レクティルに合わせ引き金を絞り、一発の銃弾が頭部目掛けて発射される。

だが相手機は狙撃を回避すると狙撃戦を不利と見て近接戦闘に切り替える。

手から高周波日本刀を展開させ突っ込んで来るのを、こちらも高周波日本刀を展開させ突っ込み切り結ぶ。

相手機は力を入れジリジリと刃先が顔に近づくが一気に押し返すと同時に二十式五十口径狙撃銃を呼び出し腰だめに構え銃撃した。

相手機は腹部に一発の銃弾を受け衝撃で体が吹き飛ばされる、さらに五十嵐は武装一覧から見つけた二十式回転式擲弾発射機を呼び出し連射する。

倒れた相手機の周りに着弾し、爆発すると破片を撒き散らし機体を傷つける。

後退すると敵機役は多連装小型誘導弾発射機から小型誘導弾を放つ。

二十式小銃を展開させ二十四発の小型誘導弾を次々と撃墜すると、スラスターを全開で吹かし高周波日本刀を呼び出し突っ込む。

爆煙から飛び出した五十嵐機に驚いた相手機はすぐに高周波日本刀を展開させようとしたが、その前に接近して斬りつけ次の瞬間突き刺した。

 

《赤国IS、撃墜。IS適性試験を終了する、二機は帰還せよ。》

 

「了解。」

 

俺は撃ち出されたゲートに戻り、ゆっくりと着陸する。

ISから降りると佐々木大佐が出迎え、こう言った。

 

「初めての訓練でうちの操縦者を撃墜するとは。」

 

「ありがとうございます。」

 

「それでだ、君のIS適性はAランクだ。IS操縦者として素質はあるな。」

 

五十嵐は操縦者として認められたことを内心では喜んだが、癖で顔には出さなかった。

人に表情を読み取られないように教育された習慣を見た大佐は五十嵐の首に腕を回して引き寄せた。

 

「素直に喜べ、大尉。これで君もこの部隊の一員だ!」

 

すると集まった敵機役の操縦者や部隊の操縦者・整備士が一斉に拍手した。

 

「あ、ありがとうございます...」

 

五十嵐は初めて多くの人から拍手を送られ、動揺をしてしまった。

 

「君にはこれからは実戦的な訓練を受け、ISを使用したテロ・犯罪に対応出来る人材になってもらう。」

 

「了解!」

 

次の日から様々な訓練が課せられた。

ISの基礎理論・基本的な操縦訓練・基本的整備方法・近接戦闘訓練・狙撃訓練・高速機動訓練・ISによる潜入訓練・編隊訓練及び戦闘訓練・応急整備などを短い間に五十嵐大尉はIS操縦者としての知識を習得した。

国防省統合参謀本部は彼の教育訓練がうまく行っていることを受け、彼を有効的に使う方法を模索している中、その二月に事件が起きた事により事態は急変した。

第二の男性IS操縦者、織斑一夏の登場によって。

 




あけましておめでとうございます!

新たな年を迎え、私としては大学という新たな場所に身を置きます。
これから何が起きるかは分かりませんが、平和で楽しく無事にすごせるように願います。

今年も新稲結城並びに『学園の守護者』をよろしくお願いします。
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