学園の守護者   作:新稲結城

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※少し短めです。


第十四話 異常事態

冬の凍てつく大地にあるアメリカ連邦国アラスカ州の州都ジュノーにある国連の関連機関国際IS委員会は日本で起きた“異常事態”について緊急会議が招集された。

“異常事態”とは二月一日、日本で行われた“IS操縦者育成特殊国立高等学校”通称IS学園の試験会場において織斑一夏という男子中学生がISを触れた際に起動、複数の試験官が目撃した事件だ。

国際IS委員会はアラスカ条約に基づいて設置された国際機関であり、ISに関する国際的な問題などをIS運用国で構成される会議で協議を行う場である。

今回の事件は緊急を要する為に各国の大使が緊急招集され、議長の開会宣言と共に緊急会議は開催された。

 

「議長、私から会議に関連する新たな情報があります。」

 

アメリカ合衆国特命全権大使が会議早々議長に発言を求め、議長は了承した。

 

「我が国の情報機関が日本国防軍内に“もう一人”のIS操縦可能な兵士がいるとの情報を得ました。」

 

アメリカ大使の報告に日本国の大使を含めた他国の大使は驚いた。

男性操縦者が現れた事態が異常なのが日本に二人も現れた事に議場はざわめいた。

 

「それは本当なのですか!?」

 

イギリス連合王国特命全権大使が聞くとアメリカ大使は日本国特命全権大使を見ながら言った。

 

「信憑性の高い情報だと我々は考えております。あとはあなたがどのように説明するかでしょうな。」

 

人々の視線は一斉に日本国大使に注がれたが、彼女には一切の情報は与えられていなかった。

 

「いえ...私には一切そのような事は聞いておりません。」

 

「そうですか。ではここですべてを発表しましょう。」

 

アメリカ大使は書類を片手に読み上げる。

日本国国防海軍第一航空団に所属する士官、五十嵐祐也大尉だと言い放った。

他に衛星写真や飛行する五十嵐大尉の写真が会議の場で公開された。

各国の大使は一斉に日本国大使に詰め寄ったが、何も知らない彼女にとって苦痛でしかなかった。

この状況にどのように対応するか苦慮して、日本国大使は議長に一時休憩を申し込み承諾された。

すぐに大使は本国政府に連絡して、外部に情報が漏れていることを首相は知った。

 

「これはどういうことですか首相!我々にこんな重要なことを隠すとは!」

 

首相官邸の閣議室では外務省から上がった情報に外務大臣は怒り狂っていた。

 

「我々は国際会議の場で醜態を晒してしまった!あんたが情報を与えなかったからだ!」

 

「そんなことよりどのようにこの事態を収拾するかを考えなければんりません。」

 

国防大臣が外務大臣を収めようとすると国土交通大臣が口を挟む。

 

「第一に国防省内部から情報が漏れたのが問題なんだ。君達の不祥事をどのように責任を取るんだ!」

 

「もうやめろ!...とにかく私はすべてを発表しようと思う。」

 

漆原首相の言葉に閣僚達は凍りつき、文部科学大臣は怒り狂った。

 

「首相!何を言っておられるのか、英雄である織斑千冬の弟である織斑一夏ならまだしも徴用兵と呼ばれる貧困者が無闇に産んだ子供達にいるとは我が国の恥だ!」

 

「世界から見れば彼等にも人権はあります。第一彼等を蔑ろにすれば世界から非難されるのは必至だと思いますけど?」

 

首相は文部科学大臣を説得するが、彼女はさらに捲くし立てる。

 

「こんなことは許されません!我々の支持母体はいい顔はしないぞ!」

 

「支持なんてけっこう、私は多くの国民に支持されるでしょう。私をフェミニストと一緒にしないで下さい!」

 

「なにを!」

 

文部科学大臣は立ち上がり、首相に詰め寄ろうとしたが国防大臣に制止させられる。

 

「現時刻をもって文部科学大臣を罷免します。」

 

首相は文部科学大臣に罷免を宣言した。

 

「勝手にしろ!どうなろうと私は知らん!」

 

彼女は閣議室のドアを乱暴に開け出て行く。

 

「発表することに反対の方はここで挙手してください。」

 

首相は周囲の大臣を見回すが、罷免を恐れて挙手はしない。

 

「では閣議を終了する。」

 

閣議室から大臣達が出ていく中、首相は国防大臣を呼び止め執務室に来るように命じた。

 

「国際IS委員会は二人をIS学園で管理しようとするだろう。」

 

「あそこなら我が国を含めて他国の干渉を受けずに三年間は管理が出来る。たった数ヶ月では諸外国との調整はつかないでしょうから。」

 

「そうだな、国防大臣。すぐに五十嵐裕也大尉をIS学園警備総隊に移動させて管理しろ。国際IS委員会の決定が決まり次第織斑一夏をIS学園内に護送しろ。」

 

「決定次第でありますか?」

 

漆原首相は頷く。

 

「ああ、この国にはISを神格化したり自らの地位を築き上げる為に使う者がいる。彼等にとって二人は自らの生活を破壊する存在となりえる。」

 

「...消そうとするものが現れると。」

 

「そうだ、残念ながら私の内閣にもいる。特に国家親衛隊構想で対立する警察組織とはな。」

 

「わかりました。我々国防省と国防軍に任せてください。」

 

「よろしく頼む。」

 

国防大臣が執務室を出ると首相は執務机の椅子に深く座る。

これ以上自分達の子供達が血を流すのを見過ごすことは出来ないと心に誓い、これを乗り越え開放する日が来る事を願った。

数日間の国際IS委員会の会議は漆原首相の予想通り五十嵐裕也と織斑一夏両名のIS学園入学させることを決定し、日本政府に命じた。

 




第十四話目です。

なんかソードアート・オンライン(原作未読)の新作PVにフランスのPGM『へカートⅡ』らしき対物ライフルを構えた少女が登場して少し興味が出ました。

自分はアニメを決める際に世界観や軍隊・兵器が登場するのを優先して視聴しますね。
ISも『現行の兵器を凌駕する』という言葉に引かれて見たのがキッカケですね。

ではまた次話で。
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