学園の守護者   作:新稲結城

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第十八話 正当性

国防大臣は大臣室で正門の状況を見る。

憲兵隊と機動隊が双方が盾でバリケードを作り対峙している。

昼頃に官房長官が突然理由もなく首相の職務継続が不可能だとして“日本国首相の継承順位”に従って継承第二位の官房長官が首相の権限を移行する発表すると共に国防大臣の扇動によるIS学園警備総隊のクーデターが起きたとして憲法の一時停止を行い警察に行政権と司法権を委譲、戒厳令を発令と共に国家反逆罪としてクーデターに関与したとして国防軍首脳部・織斑一夏・五十嵐裕也大尉の他警備総隊全兵士に逮捕状が出された。

 

「...首相やその他の国務大臣の居場所は?」

 

大臣室に共にいる統合幕僚長に大臣は聞くが首を振る。

 

「分かりません、衛星の画像からして首相官邸から動いていないと思われますが確実ではありません。ただ大臣を除いて他の大臣は...」

 

「分かった、官房長官の馬鹿に扇動されたんだろうな!くそ!」

 

国防大臣は裏切られた怒りを執務机にぶつける。

国防軍にはこの時の為の治安出動という手段がある。

だがそのためには拘束されている首相を解放して正当性を国民に示して行動に移さなければ、官房長官の言うように国防軍は反乱軍になる。

すると空軍士官が大臣室に飛び込んだ。

 

「緊急事態です!すぐに中央指揮所へお越し下さい!」

 

「どうした!?」

 

士官はそのまま大臣室のテレビを点け、チャンネルを操作して海外のニュース番組に変えた。

アメリカのニュース番組で白人のアナンサーが速報を読み上げていた。

 

《ターナー大統領は日本国におけるクーデターにおいて代表候補生に危険が及ぶと判断し、グアムの第三海兵遠征軍に出動命令を発令しました、また中国やEU諸国が軍に対し出動待機を発令しました。繰り返します・・・》

 

「なんだと!わかった。統合参謀長、中央指揮所に下りるぞ!」

 

エレベーターに乗り込むとICカードを機械にかざすと地下にある中央指揮所へ降りた。

シェルターである指揮所はへは分厚い金属の扉を潜り、中に入るといくつもの大画面のディスプレイと多くの陸海空軍のオペレーターと参謀そして三軍のそれぞれのトップである参謀長が敬礼する。

中央指揮所の真ん中にある円卓に座ると四人が座った。

早速国防大臣は海軍参謀長に聞く。

 

「海軍参謀長、アメリカ海兵隊はどのくらいでIS学園に到達する。」

 

「オスプレイを往復で飛ばせる地点とすると遅くとも四日後には到達します。」

 

次に空軍参謀長が報告する。

 

「先ほどからスクランブルが増加してます。他国は今の段階では我が軍が正常に機能しているか試していますが、早急に事態を収拾しなければ直接学園まで護衛付きの輸送機で空挺部隊を送り込むかもしれません。」

 

空軍参謀長の進言に陸軍参謀長が援軍を出す。

 

「この状態なら独自の判断で出動命令を出しても国際的な批判はありません、逆に我々の行動が正しいと評価せれるでしょう!」

 

「しかし!」

 

国防大臣は参謀長達の言葉を止めた。

 

「我が国民はどう思う?今でもマスコミに扇動された国民は命を掛けて戦った部下を叩いているのだぞ!この状況で排除に出たら国民からの信頼は無くなるぞ、我々はあくまでも国民の味方ではなければならない。それが国防軍なのだぞ!我々は“国民”の軍隊なんだ!」

 

参謀長達はその言葉を重く受け止めたが、統合参謀長は国防大臣に言った。

 

「ですが大臣、決断を早めに出さなければなりません。」

 

「...わかっている、だが...」

 

すると統合参謀長の携帯電話が鳴り、彼が電話に出るといくつか言葉を交わして国防大臣に差し出す。

 

「大臣、我が国の安全保障に大きく関わる方からの電話です。」

 

統合参謀長は妙に畏まった言葉遣いをするので国防大臣は妙に思った。

大臣は差し出された携帯電話を耳に当てると若い女性の声が聞こえた。

 

《こんにちわ国防大臣。》

 

受話器から流れる声は若い女性の声だった。

 

「あなたは誰ですか?」

 

《そう言えば初めましてですね。前任者とは一緒に仕事をさせてもらいました、更識家第十七代当主更識楯無。詳しいことは周りに居る統合参謀長か情報局局長に聞いて下さい。》

 

「....わかった。本題は?」

 

《我々は首相の居場所を発見しました。》

 

「本当か!何処に居るんだ!?」

 

《慌てずに、もう我々の部隊が救出に向かっています。三十分でそちらにお届けします、我が更識家実戦部隊“楯”の力を使って。》

 

そこで電話を切るとIS学園生徒会長更識楯無は生徒会室にある無線機であるところに連絡した。

 

「聞いてた?」

 

《バッチリと、しかし三十分ってハード過ぎですよ。》

 

「貴方達の力を信用しているから、お願いね。」

 

《了解、かわいい当主様に頼まれたら幾らでもしますよ。通信終わり!》

 

杉崎大尉は総理大臣公邸の真下にある地下空間に待機していた。

ここは太平洋戦争時に作られた脱出用トンネルの一部であり、地下鉄工事や周辺の再開発で埋めたのを首相官邸が占拠された際の奪還用に数年前に繋ぎ合わせて秘密裏に急造された空間であった。

公邸の真下には爆薬をいくつも設置され、吹き飛ばす準備がなされた。

その頃首相官邸では漆原首相は執務室に閉じ込められていた。

 

「官房長官、君は何の為にこんなことを?」

 

漆原首相は反乱の首謀者である官房長官に蜂起した理由を尋ねる。

 

「君が掲げている弱者救済・差別解消私の政策に私の支援者は反対なんだ。国益の為にこの差別は必要なんだ。」

 

「どうして必要なのかしら?」

 

「一言で言えば政府批判を避けるためだ。今までの政権は弱者を締め付け税金を搾り取れるまで取る。だがこの国は“一応”は民主主義国家だ。国民に必死に働いてもらうには不満の捌け口が必要だ。それが戦争と徴用兵制度だ。君の政策はただの予算の無駄遣いだ。」

 

「だったら弱者を救済して不満を解消すればいいじゃない。」

 

すると官房長官は激しい口調で言い放った。

 

「低所得者を救済して国益になるか!エリートにこそ金は必要なんだ!どうせ底辺のゴミ共がいくら頑張ったからと言って何になるか!我々エリートの役目はこの国の国益を最大限までに多くすること、君のような這い上がりの平民崩れには分からない話でしょうが。」

 

官房長官が怒り狂って激しい口調で訴えていると扉が開き、警察官の一人が入る。

 

「官房長官、学園警備隊への総攻撃準備が整いました。」

 

「わかった、今から危機管理センターに行く。」

 

官房長官は首相官邸の地下にある危機管理センターに入った。

ここには国防大臣を除いた国務大臣と警察庁長官が集まり、テレビ回線で警視庁長官をはじめ首都圏の各県警本部長とIS学園を包囲する警察部隊の指揮官と繋がっていた。

 

「これより我々の正当性を認めさせるときが来た、首相をはじめ国防軍はこの社会秩序を破壊しようとした。その裁きを与えよう。警視、総攻撃を命じ」

 

総攻撃を命じようとしたときであった。

突然室内の照明が落ち、テレビ画面が暗くなる。

 

「停電か!?」

 

だが停電ならすぐに非常用電源が入り復旧するが、一行に復旧する気配はしない。

するとテレビ画面に明かりが点き、待機画面から映像が切り替わると奇妙な格好をする女性の姿が現われた。

おとぎ話のひとつ“不思議の国のアリス”に登場するアリスが着ているような青と白のワンピースを着る女性は政府や警察関係者なら誰でも知っている女性であった。

 

「篠ノ之束だと!」

 

そう彼女こそ現在の世界情勢を作り上げることとなった元凶であるISを作り上げた研究者“篠ノ之束”であった。

 

《あななたちいっくんをいじめようとしているけど、この束さんを激おこにさせたねっ!どうなるか教えて上げるよ!》

 

一方的に言うと画面は切れ、そのままテレビ画面は真っ暗なまま沈黙した。

 

「大変です!各所との連絡が不能!」

 

一人の職員が報告すると全職員がすぐに無線機を操作するが応答は無い。

次に携帯電話を操作しようと取り出すが、圏外と表示されタブレットのネットワークも切られていた。

極め付けに危機管理センターの扉は警備用重要な区画なのでオートロック式であったために篠ノ之束のハッキングで閉じられてしまった。

 

「なぜあの女が?」

 

官房長官は慌てふためく大臣と職員達の中で何も映らないテレビ画面を睨み続けた。

すると突然床が持ち上がったように感じると大きく揺れ爆音が響き渡った。

 




第十八話目です。

自分は架空の兵器の名称や人名に凝った名前をつけることが苦手です。
この話ではオリジナルキャラは一般の人々として普通の名前をつけているのもありますが、兵器に関して言うと他の人々のような和名の兵器名をつける事が苦手です。
自分は小説を読む通り太平洋戦争時の航空機の名称を付けていますが、当時名称を名付けた人々の発想が羨ましいです。
また他のネット小説でも新兵器の名前などに凝った名前を付けられる能力に脱帽します。

ではまた今度。
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