学園の守護者   作:新稲結城

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第二十一話 SHR

「全員揃っていますねー。それじゃあSHRはじめます!」

 

黒板の前には一年一組副担任山田真耶が立ち、自己紹介をする。

身長は五十嵐より低く、教官としての威厳の無く頼りなさそうというのが彼の第一印象だ。

 

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いします。」

 

だがこの教室に包まれた雰囲気は返答する余裕を与えない。

なにせこの教室には本来居てはいけない存在が二人居る。

一人は隣に座る織斑一夏、一ヶ月前にIS操縦が出来ることが発覚して女子校であるIS学園に入学することとなった少年。

もう一人は織斑一夏と同じようにIS操縦が可能であると発覚、織斑の護衛任務を一任されて入学した五十嵐裕也という名の兵士。

二人は同じ男性ではあるが後ろから浴びせられる視線は違うものだった。

織斑には興味や関心で集まる好意的な視線が集まっているが、一部の生徒から侮蔑、憎悪、嫌悪、恐怖そして敵意の感情がこもった視線が五十嵐の背中に感じる。

 

「次、五十嵐くん。」

 

副“教官”が順番に自己紹介を進め、五十嵐の番になる。

ゆっくりと余裕を見せながら立ち上がり、背筋を伸ばす。

 

「日本国防海軍大尉、五十嵐裕也。」

 

所属と名前だけを言うと座る。

すると後ろから聞こえるような声で後方の席にいる女子が言った。

 

「...徴用兵が人前で喋るなよ....」

 

「...なんであんな奴が私達の前にいるの...目障りだわ。」

 

隣の織斑も聞こえたらしく五十嵐を心配して顔を見るが、彼の顔は聞こえなかったように無表情だった。

綺麗に磨かれた窓に映る彼女達の顔を見て、入学前に渡されたある生徒達のリストと照らし合わせる。

この教室には“候補生学校”出身の生徒が数人いるのを確認する。

統合管理局が運用している“候補生学校”は小学校入学前の女子に対する一斉適性検査の中で選抜され、自らの意思で入校した生徒を幼い頃から代表候補生として育成する学校であり、ISについての基礎知識を学び、日本国の代表として国際大会に出ることを考え女性としての品格を磨き常識のある女性を育てるのが目的だ。

ただしIS政策に影響力を持つ元国家代表候補生で構成される代表会の方針で男性を見下すような態度や行動をすることで有名であり、五十嵐のような徴用兵を人間としてみないように教育されている。

この学園には国籍を問わずに入学する為に織斑一夏の誘拐・殺害を企てて入学してくる他国の工作員から織斑の身を守るのが表向きの理由であるが実際は自国の候補生が国際的に注目を集めている織斑を危害を加えないように五十嵐は送り込まれた。

 

「えー・・・・えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」

 

頭を下げるが彼にはもっと喋って欲しいという要求が彼女達から感じられる。

護衛対象は少なくとも好意的に見られ危険は無いだろう、代わりに護衛である俺がすべてを引き受けることになるだろうと彼は思った。

日本の為に一般人の嫌がるような事を率先して行動するのが彼ら徴用兵の存在意義だ。

 

「以上です。」

 

一夏は紹介を終わらせると数人の女子が席から滑り落ちる。

続けざまに織斑千冬が自分の弟を出席簿で叩く。

それからのコントのようなシーンが見せられる中で後ろに座る縦ロールを巻いた金髪の白人女性は疑問に思った。

 

「(なぜあの方は他の生徒から蔑まれた目で見ているのでしょうか?)」

 

セシリア・オルコットは五十嵐に対する異常なまでの風当たりに疑問に思った。

女尊男卑の世界ではあるが、外国人であるオルコットにとっては彼女達の五十嵐に対する言葉や雰囲気がいくらなんでも尋常ではないことを感じ取っていた。

一時間目と二時間目の数分間、オルコットは前にいる生徒に彼について聞いてみた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「はい?」

 

「あの方にはなぜ皆様から嫌われて」

 

するとその生徒はオルコットの言葉を遮り、様々な蔑む言葉で五十嵐を罵った。

 

「ああ、数々の戦争犯罪をした人殺しの一人だからよ。徴用兵達は他国まで行って民間人を笑いながら殺しまくって、略奪や強姦なんてやらかす人間以下の輩だよ。どうせ金の無い貧者共が考えずに産んで捨てられるような存在なのだから当然よね。」

 

彼女の言葉には熱があり、あたかも本当にあったかのように喋るのでオルコットは信じた。

実際は徴用兵達は命令である者は泣きながら民間人を殺し略奪を行ったが、強姦は誰一人もやらなかった。

しかし後方支援に派遣された正規兵が暇になって犯罪を前政権が徴用兵に擦り付けたのだ。

 

「なぜそんなのが学園にいるのかしら?」

 

「それは何も知らない国際IS委員会の人達が騙されて入れてしまったのよ。まさかISに乗れる人間に居るとは思わないしね。本当に同じ空間にいるだけで虫唾が走るよ。この学園を守る為には私達が」

 

「熱弁を振るうのはそこまでにしておけエリート気取りの小娘。」

 

授業開始の鐘が鳴り織斑先生が後ろの扉から入り、彼女達の会話を止める。

先生がオルコットを含む彼女達を睨みつけると彼女達は自分の席に座った。

 

「徴用兵...」

 

オルコットは前に見える五十嵐の背中を見つめた。

そして二時目の授業が始まる。




第二十一話目です。

今回はセシリアについての描写を入れました。
日本のことを馬鹿にするような外国人が日本の内政まで知るわけがないのでこのようなシーンを入れました。
これから先の話は一話毎の戦闘シーン以外の文字数は少なくなると思います。
ただ最近五十嵐をどのように追い込むか、ネットでさまざまないじめ事件を調べています。
ただただ嫌な気分になります、まあそれが人間社会というものなのでしょう。
少しでも自分達とは違う人間を排除しようとしますからね。
あと悩み事といえば、生徒たちの台詞に蔑む言葉を入れてますが自分は語彙が少なく困っています(第一使わないし・・・)。

ではまた今度。
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