月曜日、決闘の日。
クラス代表を決める試合は、五十嵐がクラス代表を辞退している為にまずクラス代表を決める織斑対オルコットを最初に始め、次に私的な決闘として五十嵐対オルコットの試合をした後に織斑と私的な決闘をする。
第三アリーナの更衣室にあるひとつのベンチに座って、出番まで目を閉じて精神を集中する。
一切の物音が響かない室内で、五十嵐は何かが近づくのを感じて拳銃に手を伸ばして後ろを振り返る。
「やあ。」
9mm拳銃の向く先に扇子を手に持った一人の女性が立っていた。
銃を向けられても動ずることなく、逆に余裕を見せている態度を見せるのに只者では無いと感じた。
さらにリボンの色から二年生だと分かると拳銃を構え直して警戒する。
「大丈夫、私は君を殺そうとは思っては無い。ただ話し来ただけ。」
扇子を口元に持っていくと笑みを見せながら近づこうとした。
「止まれ、撃つぞ。」
相手が見知らぬ上級生である以上、五十嵐は警戒するしかなかった。
また彼女の裏に潜むもうひとつの雰囲気、自分達兵士と似た雰囲気を感じとっていた。
「私は更識楯無、この学園の生徒会長よ。今日は君に会いたくて来た。」
「なぜ?」
「君のような人間に興味があるの、戦場で生きてきた者がここでどのように振舞うか。」
すると室内のスピーカーで副担任が試合の準備をするように命じた。
「では、失礼します。」
拳銃を仕舞ってジャージの上着を脱ぐとアリーナのピットに向けて歩みを進める。
「頑張ってね。」
後ろから会長が声を掛けるが無視して歩みを進める。
当然手を抜くことはしない、我が徴用兵はすべての戦いを全身全霊で戦うように教育されているからだ。
ピットに入り電磁カタパルトの上に立つと首に下げる認識票を握り締める。
紫電を呼ぶと光に包まれ足から装甲とスラスターが現れ、最後に頭部のバイザーが展開する。
「こちら五十嵐、準備完了。」
《了解、射出!》
勢いよく飛び出すとバイザーに一機のISが映る、イギリス第3世代IS“ブルー・ティアーズ”の機体が待っていた。
オルコットや女子生徒は五十嵐少佐の機体を見て第二・五世代IS“烈風改”でないのに気付き警戒する。
機体は自分より装甲が追加され大きめの機体にはステルス性を高めるための形状が施され、全体的に重武装な戦闘機のような印象だった。
オルコットの前に空中停止すると、客席から罵声が響く。
「出て行け、殺人者!殺戮者!」
「セシリアさん!絶対に倒して立場を分からせて!」
「卑しい五十嵐を排除しろ!」
アリーナの客席は一年一組の生徒だけではなく、多くの生徒が五十嵐大尉が完敗するのを見に集まっていた。
そんな中、対峙したオルコットからコア・ネットワークのオープンチャンネルを繋げて来た。
《日本には奴隷に機体を与えるほど余裕があるのですか?それ共優秀なパイロットがいないのですか?》
「関係ないだろ、さっさと始めるぞ。小娘。」
五十嵐大尉はわざとオルコットをキレさせるような言葉を投げかける。
予想通りオルコットは教室で激昂したように罵り始めた。
《なんですって!あなたのような奴隷に小娘など...》
すると試合開始の鐘が鳴るがオルコットは罵り続ける。
五十嵐大尉は十式発煙弾発射装置を射出する。
「小賢しい真似を!」
突然煙幕に視界を奪われオルコットは我に帰り、一気に後退するとハイパーセンサーの力を借り周囲を見渡すが五十嵐大尉の姿は煙幕で捉えられずにいると爆炎と共に砲弾が一直線に向かって来る。
すぐに回避するがすぐさま二発目の砲弾が高速で腰の辺りの一部のスカートを吹き飛ばした。
五十嵐大尉は搭載してある暗視装置で煙幕の中にいるブルー・ティアーズのシルエットが照準器のレンズに浮かび上がるのを目標に引き金を引く。
だが十式55口径120mm狙撃銃は銃口から発する爆風で煙幕を吹き飛ばしオルコットの前に紫電の姿が現れた。
三発目を僅かに避けると照準器のレクティルの中心に合わせスターライトmkⅢの引き金を引く。
銃口から飛び出した熱線が紫電に向かうが、五十嵐少佐は煙幕が晴れたのを見て移動した瞬間だったのでアリーナの防壁を焼いただけであった。
五十嵐は撹乱する為に十式多連装小型誘導弾発射機を展開させると即座にロックオンして一斉発射する。
オルコットが迎撃している間に壁際まで後退すると時計回りに高速で移動しながら狙撃する。
迎撃し終えたオルコットは空中で停止しながら狙撃するがオルコットは五十嵐の動きについていけず、紫電が通り過ぎた場所に熱線が着弾するだけで、五十嵐の放つ砲弾はオルコットに命中してエネルギーが削られる。
「くっ...ブルーティアーズよ行きなさい!」
レーザーピットが四基が直線機動で迫ってくると、進路を塞ぐように攻撃をかける。
いくつか攻撃を受けてシールドエネルギーが削られるが誤差の範囲だった。
一気に上昇しつつ十式50口径12.7mm小銃とを展開させて素早く動くピットに対してレーダーで捉えた情報をもとに迎撃を開始する。
後ろに就いたピットが銃撃した瞬間に身を翻して回避すると正面に捉えたピットを弾丸の雨で撃墜すると即座に弾倉を交換するとさらに十式25mm汎用機関銃を展開させる。
そしてISのハイパーセンサーを用いて左右から迫るピットを捉えると二丁の銃を双方に向けて銃撃する。
空から金色に光る磨かれた空薬莢が空から煌めきながら落ち、二基のピットは撃墜される。
その驚異的な反応速度にオルコットは驚かされる。
最後の一基には十式多連装小型誘導弾の発射器ひとつを展開させて発射して、飽和攻撃を受けたピットは瞬く間に撃墜された。
逆に五十嵐は残り三つの発射器を展開させると一斉射撃を行い、三方向から襲わせる。
苦虫を噛むような顔をするオルコットは左右と下方向から襲ってくる誘導弾を避けるために急上昇する。
同時に迎撃する為に弾道型のピットがスカート状のアーマーから現われたのを確認すると十式55口径120mm狙撃銃で破壊する。
「わたくしが負けるなんて...そんなことはありえませんわ!」
オルコットは残ったスターライトmkⅢで迎撃しつつ必死に回避機動を繰り返すが無駄であった。
高速で迫る三十六発の小型誘導弾のいくつかは撃墜されたが、オルコットに多くが殺到した。
《試合終了!勝者、五十嵐裕也。》
爆煙がアリーナ一体を包むと、煙の中から傷だらけの機体が地面に墜落すると展開が解除される。
近づいてくる陰に気づいて顔を向けると五十嵐が立っていた。
「もう少し射撃の腕を磨いたほうがいい。」
五十嵐はオルコットにそう言うとピットに戻って行った。
次の織斑との試合は、織斑に近接戦闘に持ち込まれないように弾幕を張って寄り付けさせずじわじわとシールドエネルギーを削って勝利した。
その夜、オルコットはシャワーを浴びながら今日の出来事を振り返っていた。
織斑一夏への強い想いを確認すると、今日負った傷を触り五十嵐裕也という軍人について考えた。
正確無比の狙撃、次々と迷い無く攻撃を加える素早さにオルコットは能力を持った人間だと感じた。
また悪態をついている自分と違い彼は最後まで冷静に戦った、なぜ冷静な判断を保ち続けられるのか。
それが多くの人々を殺して得た能力なのだろうか。
オルコットは蛇口を閉めると体を拭き、着替えると部屋に出る。
すると付けっ放しにされたテレビは国営放送のニュースを報道していた。
《...国防省が公開した徴用兵と日韓戦争における一部記録の開示がされました。その結果、ISを撃墜した戦闘機パイロットの存在が分かりました。》
まだイギリスにいた頃にもニュースになったIS撃墜事件。
戦闘機でISを撃墜したというニュースは世界を駆け巡り、誰でも知っている事件だが日本政府の徹底した報道規制で誰が撃墜したのか分からなかった。
IS操縦者であるオルコットは当然興味を引いて、ベットに座りながら画面を見つめた。
《ISを撃墜したのは五十嵐裕也海軍大尉、五反田弾海軍大尉、宮坂勉海軍大尉、水瀬純一郎海軍大尉の四名で、内宮坂大尉と水瀬大尉は戦死され二階級特進されています。彼ら四人には本日付で皇帝陛下から金鵄勲章功五級を授与されることが決定され、その他にも日韓戦争に従軍した兵士にも...》
ISを落とした戦闘機パイロット、その人がすぐ近くにいることにオルコットは飛び上がるほど驚いた。
《今回の記録開示は国防省HPでも公開されています。》
急いでパソコンを起動させ、国防省HPを開いた。
タイミング良く公開された記録は彼ら徴用兵の印象を変えるキッカケになったが、黒い部分については公開されなかった。
しかしオルコットは記録を読むうちに、自分の偏った知識が偏見が彼を傷つけた事に罪悪感を感じた。
謝らなければならない、自分の犯した過ちを。
第二十六話目です。
やはり戦闘シーンはどうしても長くなってしまいますね。
話は変わりますが先週末の雪で大変な目に会いました。
雪なので家でゆっくりしようとしたら...
親「週末の間iPhone5Sを家族で乗り換えると24万円もらえるから行くよ!」
作者「Σ(゚Д゚;マジデ!?」
ということで歩いてバスと電車で遠くの電気店まで行って乗り換えて乗り換えました。
そして昼飯を食べて駅に戻ると。
JR「〇〇〇線は終日運休になりました。」
作者「Σ(゚д゚lll)ガーン」
バス「運行を停止しました。」
作者「(゜д゜)」
結果的に帰宅難民状態になってしまい、駅で200名ぐらいのタクシー待ちの列に並んで十時間まって日付を跨いで帰宅できました。
二十四万円の為にこんな苦労するとは...金を稼ぐ苦労を知りました(;゚д゚)ゴクリ…
家に帰宅した後に誰もいない所で傘をライフルに見立てて雪上戦ごっこをして楽しんだり...子供だな(ノ∀`)アチャー
タクシーに乗ると途中で乗り捨てられた車と徒歩で帰宅する人が通るタクシーを期待して振り向いたり思わず手を上げる人が見受けられて何ともいえませんでした。
みなさんは先週末どうでしたか?
ではまた今度。