学園の守護者   作:新稲結城

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『F/A―3A“流星”戦闘攻撃機』
日本初の純国産戦闘機
スペック
・乗員:二名
・全長:19m
・全幅:14m
・最大速度:M1.5
・航続距離:3,500㎞
兵装
・二五mm多銃身航空機関砲×2(一門につき400発)
・〇七式空対空誘導弾(最大8発搭載)
・九九式空対空誘導弾(最大4発搭載)
・九三式空対艦誘導弾(最大4発搭載)
・〇九式対戦車誘導弾(最大8発搭載)
・〇七式対レーダー誘導弾(最大4発搭載)
その他、通常爆弾

『赤城型空母“瑞鶴”』
スペック
・全長:330m
・全幅:40m/80m(飛行甲板)
・吃水:12m
・基準排水量:6万トン
・最大速力:32ノット
・乗組員:3000名
・搭載機:最大80機
武装
・高性能20mm機関砲×2
・RAM近SAM21連装発射機×2


第一章 日韓戦争
第三話 対馬海峡航空戦


白騎士事件から十年後の二〇一一年六月、四国沖。

“知的・身体障害者並びに棄児と低所得者の男児徴用法”により集められたうちの一人、五十嵐裕也少尉は艦内の待機室で第一航空団の面々と共にパイロットスーツを着込み静かに時を待つ。

彼は九年前に集められた第一期徴用の中で飛行士適性があると診断され海軍航空隊の過程をクリアし赤城型航空母艦“瑞鶴”にいる第一航空団に配属された。

徴用兵は五歳の男児を全国から集め幼い頃から一般教育である基礎課程と共に軍事訓練と思想教育を施した後、十二歳で各人の適性を見て陸海空軍に分けられ専門教育に移る。

第一期徴用で集められた三五万人の兵士の内、一万人が尉官に選ばれ、さらにその中から四〇〇名しか戦闘機パイロットに進めない狭き門であった。

第一航空団のパイロットの中にはイラク戦争に参加したパイロットもいれば、初の実戦で戦闘経験の者も居た。五十嵐少尉も初の実戦に参加するパイロット。

厳しい訓練に耐えたことがあるが、いざ実戦となれば別で緊張していた。

今回、彼らが警戒態勢でいるのは一ヶ月前の対馬沖での巡視船銃撃事件だ。

日本の海上保安庁と大韓帝国の沿岸警備隊が境界線上で銃撃戦になった事件で、武装に勝る沿岸警備隊の警備艦に海保の巡視船は多数の死傷者を出し敗走。

半世紀前の“対馬紛争”以来、日韓の対立が続き、両国の国民は戦争を望む声が大きくなっていた。

また日本海での膨大な海底資源を両国が領有を争っている事も要因かもしれない。

そして日本が打ち上げた軍事衛星が各地の軍事基地から移動式弾道誘導弾発射器が移動を確認、開戦間近だと判断され国防海軍は全艦出港した。

 

《第一種戦闘配置!航空部隊は機体に搭乗せよ!》

 

赤色灯の明かりが灯り、鐘の音が鳴り響く。

 

「行くぞ、五反田。」

 

「わかってる。」

 

五反田弾少尉は五十嵐少尉が乗る戦闘機の後席で兵装システム士官として乗り込む兵士だ。

冗談交じりに話す男だが、この時だけは冗談を言わずに五十嵐の後ろを走る。

編制割で指示された機体に乗り込みヘルメットを被り、整備員と共に作動確認を行う。

 

「すぐに機体を上げろ!敵は本土に向かっているぞ!」

 

整備班長が怒鳴る中、早くも二機のF/A-3A“流星”戦闘攻撃機が電磁カタパルトに射出され、空に飛び上がる。

確認が終わると機体をカタパルトの上に載せられ後ろでは遮蔽板が上げられエンジンからの熱を逸らす。

射出されると一気に二七〇キロの速度まで加速され、全体にGがのし掛かる。

打ち出されるとフル装備の機体は少し海面に下降するが、フルスロットルでエンジンを吹かして上昇する

 

《こちらアスター1、大韓帝国空軍機が韓国領内の空軍基地から離陸を確認!対馬は空爆されている、グローリー各機は後続の航空部隊を阻止せよ。》

 

「こちらグローリー10、了解!」

 

上空で編隊を組むと四国上空を飛び越え、北九州に向けて飛行する

 

「くそ、やっぱりレーダーが使えねえな。」

 

北九州に近づいた頃、レーダーがホワイトアウトし後席の五反田が嘆いた。

IS技術の転用・応用発展でジャミング技術は大きく発展し、戦闘機に搭載されるレーダーの出力では対抗できないほどになっていた。

こちらも地上と電子戦機を展開している為、敵も同じだが。

このために日本では赤外線ホーミングとアクティブ・レーダー・ホーミングの両方の誘導方式を備えた“〇七式空対空誘導弾”が開発され、戦闘機の設計と訓練は格闘戦を主眼としている。

そして新型誘導弾と共に開発されたのがF/A-3A“流星”戦闘攻撃機だ。

日本初めての純国産戦闘機で、対地対空対艦のすべての作戦行動を行える上に多くのハードポイントを備え多数の誘導弾を搭載した重武装の機体だ。

そして一番の特徴は二五mm口径五砲身のガトリング式ロータリー機関砲を二門備え、旋回能力が高く格闘戦では大きな戦闘能力を持つ機体だ。

だが一年前にF-6A“陣風”戦闘機と呼ばれるステルス戦闘機を始とした第五世代戦闘機の登場で旧式化した機体でもあるが。

なんとかジャミングはレーダーのみに影響し、無線は正常に作動していた。

レーダーが使えない以上、空中警戒管制機E-767“景雲”と防空指揮所の指示が頼りであった。

 

《こちらアスター1からグローリー各機へ。敵機は対馬上空を飛び越え真っ直ぐ北九州に向け高度一〇〇〇メートルを飛行中。》

 

北九州を越してすぐ五十嵐は二キロ先に大韓帝国空軍のSU-35K“スーパーフランカー”とSu-34K“フルバック”戦闘爆撃機を見つけた。

 

「こちらシュウター!十一時の方向に敵機発見!数は六〇!」

 

だが他のパイロットは五十嵐と同じように十一時方向に目を向けるが見えなかった。

 

《シュウター!本当か!》

 

確認の為に編隊長から問いただされる。

 

「はい!確実に我々と同高度でこちらに向け接近中!」

 

やっと他の機の後席が敵機を確認した。

 

《よし、高度を上げ一撃離脱しその後は二機編隊で戦闘に入れ!》

 

「了解!」

 

編隊は速度と高度を上げ、敵編隊の上方に付けて機首を敵機に向けて降下する。

〇七式空対空誘導弾を赤外線ホーミングに選択して、一機にロックオンする。

 

《FOX2!》

 

合図と共に三〇機の“流星”戦闘攻撃機が一斉に発射する。

敵機は発射されたことに気づいてフレアを焚きながら回避行動するが、瞬く間に二〇機を撃墜する。

五十嵐は一機に狙いを付け、接近して二五mm機関砲で銃撃しようとする。

 

「FOX3!」

 

敵機は回避しようと主翼のフラップが動いたのを見つけ狙いを少し横にずらして発射ボタンを押す。

曳光弾のシャワーの中に入り、敵機は穴だらけになり煙を吐きながら落ちて行った。

 

「五十嵐!五時の方向に敵機!」

 

敵編隊を飛び越して下降すると一機のSU-35Kが背後に付いていた。

 

《シュウター!俺がやる!》

 

二機編隊を組む先輩パイロットの機体が敵機の背後に付いた。

 

「了解!」

 

操縦桿を倒して旋回して、小刻みに機体を動かして敵機の照準に捉えられないようにする。

丸と四角のマーカーが敵機に重なり、ロックを知らせる音が鳴り響いた。

 

《よし、FOX2!》

 

先輩パイロットが発射ボタンを押そうとした時、誘導弾警報が鳴り響いた。

次の瞬間には先輩パイロットの機体を誘導弾が突き刺さり爆散した。

 

「五十嵐!先輩がやられた!」

 

「くそ!」

 

スロットルを全開にして敵機を引き離そうとするが、敵機のSU-35kと五十嵐の乗る流星ではSU-35kの方が速度が勝っていた。

五反田は後席で後ろを振り返りながら叫んだ。

 

「敵機が後ろについたぞ!」

 

すぐにフットペダルを右に踏み込み、操縦桿を左に倒して水平に保つと機体は機首を前方に向け気味のまま右方向に横滑りする。

三〇mm機関砲弾の曳光弾が機体の左側を通り過ぎ難を逃れる。

 

「五十嵐!二機がすぐ近くまで迫っているぞ!」

 

五反田の悲鳴のような叫び声に、五十嵐も叫んで返した。

 

「分かっている!気をしっかり保てよ。」

 

「へぇ?」

 

五十嵐は一気に操縦桿を引き、機首を引き上げ急上昇しつつ九〇度前後のロールを加えて回避、そのまま機速が落ちたところでラダーを使い一八〇度ターンする。

急激なGが二人の体を襲い、五反田が悲鳴を上げる中、五十嵐は敵機に目で捉え続ける。

 

「FOX3!」

 

一瞬にして敵機の背後につき二五mm機関砲二門の機銃掃射を食らわせる。

敵機は左翼をもぎ取られ機体は燃えて回転しながら墜ちて行った。

 

「...五十嵐...もう...きついぜ...」

 

五反田は息を切らしながらも五十嵐に愚痴をこぼすが、当の五十嵐には聞こえなかった。

もう一機はすぐに左急旋回して距離を取ろうとしていた。

 

「もう一機やるぞ!」

 

五十嵐も敵機を追って速度を上げ、左急旋回する。

五反田は再び悲鳴を上げる。

旋回しながらHUDの中央に映る円内に敵機と重なって映る四角いマーカーと重なり合わせる。

 

「FOX2!」

 

右翼のハードポイントから一発が発射されるがフレアを焚かれて逸らされる。

だが時間差でもう一発発射し、必死に回避行動する敵機に近づき近接信管が作動して爆発する。

破片を機体全面に食らった敵機からキャノピーを突き破って敵パイロットは脱出した。

三機を撃墜したところで敵のジャミングが晴れてレーダーが回復した。

 

「五十嵐、あらかたの戦闘機は撃墜したらしい。数機が半島方面に引き返している。」

 

「そうか。緒戦で三機撃墜は良い方だな。」

 

「ああ、だけどもう急旋回を多用するのはやめてくれ。お前ほど体は強くはねえからな、主席さんよ。」

 

第一期徴用された新兵の中で五十嵐少尉は優秀で主席になった。

ちなみに後ろに座る五反田少尉は十番目だ。

 

「その要請は却下する。」

 

その後編隊長から合流するように命じられ、編隊を組むと瑞鶴に帰還した。

その後の戦闘は日本側の優勢で終わった。

制空権を奪取した日本海軍は対馬を包囲した韓国海軍を航空攻撃で損害を与え、海戦で韓国海軍を壊滅させた。

だが大韓帝国は中国に並ぶ陸軍国家であり、韓国には多くの陸軍兵力と航空兵力が残っており、まだ降伏する気配は無かった。




第三話目です。
書き直しする前の作品で織斑一夏の友人、五反田弾が犠牲になってしまったので五十嵐裕也の相棒の兵装システム士官として登場させることにしました。
五十嵐と五反田のコンビをどう描くかが問題ですが、出来る限り面白く描きたいと思います。
ただ五反田が原作ではどのような人物であるか研究中で、次話も一週間以上かかりそうです。
では次回もよろしくお願いします。
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