白騎士事件以後の軍事費削減によりアメリカ海軍は艦隊を再編。
太平洋艦隊と大西洋艦隊のふたつに分けて運用。
各艦隊に原子力空母が三隻配備されている。
・F-6A“陣風”戦闘機
アメリカ空軍のF-22の日本版
空対空戦闘に特化、対IS戦闘機
第三世代ISと同程度の速度を備える
乗員: 1
全長: 20m
全高: 6m
翼幅: 15m
最大速度:マッハ2.5・ 3000km/h
巡航速度:マッハ1・ 1,200km/h
航続距離: 3000km
固定武装
五式多銃身20mm機関砲×2(弾数960発)
空対空戦闘時
九九式空対空誘導弾×8(胴体下ウェポンベイ)
四式空対空誘導弾×4(空気取り入れ口側面ウェポンベイ)
五十嵐を乗せIS学園駐屯地から飛び立ったUH―60JA“ブラックホーク”は研修先である花月荘の目の前にある砂浜に着陸する。
ヘリのダウンウオッシュが地面を激しく叩く中、キャビンから飛び出す。
「なんで来た、五十嵐大尉!」
降りると砂浜には増援として送られた国防軍IS教導隊の佐々木大佐が出迎えた。
織斑先生から連絡を受けて五十嵐の状態を知っていた。
「義務ですから!現状は...うっ!」
五十嵐は周囲を見渡した時、航空支援に向かった仁川上陸作戦の記憶が蘇った。
海の色は兵士達の流した血で真っ赤に染まり、砂浜には数え切れない兵士の屍が折り重ねるように倒れていた。
その中をただ立ち尽くしているような幻覚に襲われた。
「五十嵐大尉!」
佐々木大佐は五十嵐の体を揺らして意識を取り戻した。
「大丈夫です...現状は...」
「国防陸軍高射連隊が展開、海上は国防海軍第一艦隊、空軍は戦闘機での空中哨戒を行っている。我々は“烈風改”が六機三個小隊に君の試作IS“紫電”が一機だ。」
「とにかく私はIS学園所属なのでそこの建物に行きます。」
「一応言っておくが旅館だ。」
五十嵐は旅館に行くと教員に織斑先生は何処にいるか尋ねて場所を知ると真っ直ぐ行く。
近づくと織斑先生と織斑達の声に混じって聞き覚えの無い声が聞こえた。
「ちなみに“紅椿”の調整時間は七分あれば余裕だね★」
「よし。では本作戦は織斑・篠ノ之の両名による目標の追跡及び撃墜を目的とする。作戦開始は三十分後。」
「失礼します。」
障子を開けると一礼して入室した。
「裕也、なぜここにいる!」
彼の姿を見たボーデヴィッヒは机を叩いて五十嵐に大声を張る。
問われた五十嵐はボーデヴィッヒの言葉に耳を貸さず、目の前にいる奇妙な格好をした女性に視線を向けていた。
青と白のワンピースを着て、頭には奇妙な飾りをつけていた。
五十嵐は彼女の顔に見覚えがあった。
国際指名手配者であり、ISの産みの親であり、そして俺達徴用兵を生み出したキッカケを作った女性。
「篠ノ之束!」
五十嵐は目一杯怒声を聞かせると9mm拳銃を引き抜き銃弾を装填して銃口を向ける。
織斑達は五十嵐が怒声を響かせ怒り狂った犬のように歯を見せている姿を初めて見て驚く。
特に織斑一夏は二ヶ月以上共にすごした友人の一面を見て引いた。
いつも無表情で感情の無いような五十嵐が怒りを見せた時なのだと。
「よっ!」
銃口を向けられた篠ノ之束は臆せず、目にも止まらない拳銃に手を伸ばした。
「!?」
スライドを一気に押し戻すと装弾された銃弾を取り出す。
さらにマガジンキャッチを押し込まれ弾倉を落とされ、次にテイクダウンレバーを指先で押し込む。
篠ノ之束が手を離すとスライドは奪われ、銃身やリコイルスプリングを畳みの床に落とされる。
「私に銃口を向けるなんて1000年早いよ!」
五十嵐の持つ9mm拳銃は分解され、銃弾を撃つことはできなかった。
「くそ!」
しかし怒りを納めることは出来ず、篠ノ之束に拳銃を投げつけると殴り掛かった。
「ほい!」
五十嵐の拳は身軽の避けられ、背中にエルボーを加えられる。
殴られた衝撃で床に倒れて咳き込み、背中の銃創が開いて純白の海軍服に赤い染みが広がる。
「五十嵐、感情に任せて戦う事はお前のやり方じゃないだろう。冷静になれ、今やりやっている暇はない。」
「...はい。」
織斑先生は五十嵐に言い聞かせると篠ノ之束にも言い聞かせた。
「束、少しは話を聞いてやれ。お前のせいで」
「なにが?どうでもいいことに労力を使うことは嫌いなの。突然銃を向けるような人間は一杯いるけど、その人達の話を聞く広い心はこの束さまには備わってないの。っていうか誰だよコイツ。」
これを聞いた篠ノ之箒は姉である篠ノ之束に食って掛かる。
「裕也は姉さんのせいで人生を壊されたんだぞ!少しぐらい謝意の気持ちは無いのか!」
篠ノ之束は倒れている五十嵐を一瞥して言った。
「ああ、徴用兵っていう奴隷兵だっけ?まあ有史以来搾取される側なんて幾らでもいるし、人々が勝手に作って私の作ったISのせいじゃないから関係ないでしょ。じゃあ箒ちゃん、紅椿をセットアップしようか。」
篠ノ之束は持論を展開すると、篠ノ之箒は呆れて一言も言えなくなった
「後で行きます、さっさと出て行ってください。」
「はいはい~」
軽い足取りで篠ノ之束は作戦室を出て行った。
「手が空いている者はそれぞれ運搬など手伝える範囲で行動しろ。作戦要員はISの調整をしろ。もたもたするな!」
織斑先生は重い空気でどうすればいい分からない専用機持ちを追い出す。
「裕也、私の姉さんがお前の事を考えずに言った事を謝る。」
篠ノ之箒は留まって、山田先生に開いた銃創を縫ってもらっている五十嵐に深く謝った。
「...もういい。」
五十嵐はただそれだけしか言わず、顔を背けた。
それから三十分後、作戦開始時間になる。
作戦室で五十嵐はヘッドセットを付けて、山田先生と共に並べられたコンソールに座る空軍のレーダー操作員と共にレーダー画面を覗く。
そこには海上に展開する防空駆逐艦並びに近隣のレーダーサイトから送られて来る情報を統合した画面だ。
「こちらIS学園特設作戦室、エルボー1応答せよ。」
《こちらエルボー1、どうぞ。》
“シルバリオ・ゴスペル”の後方から監視する百里から飛び上がったF-6A“陣風”ステルス戦闘機と連絡を取る。
「目標に変わった動きは?」
《依然変わらずにマッハ1の巡航速度で作戦空域に向かっています。》
「予定時間に変わりなし...エルボー1・2御苦労、追跡を終了せよ。」
《了解、エルボー1。百里にRTB。》
レーダー上の光点から後方にいたふたつの光点が離れる。
「織斑先生、予定通りに目標は作戦空域に入ります。」
「わかった、五十嵐...では、はじめ!」
折り重なったふたつの光点が現われる。
尋常ではない速度で紅椿と白式は高度を上げているのが分かる。
光点の横に表示される速度を表すデジタル表示が忙しく変わる。
「三百...五百...高度六百、目標と同高度につけました。」
「接触まで十秒。」
レーダー員と山田先生がそれぞれ報告する。
そして三つの光点が重なり合う。
「目標と接触、戦闘開始。」
作戦室にいる面々はレーダー画面上で高機動戦闘を行う機体を静かに見続ける。
しかし接触してから数分が立つが決定打を得られないのか織斑は何度も切りかかる。
「このままだと白式のエネルギーがなくなりますよ。」
山田先生の言う通りだった、一撃必殺である零落百夜の多用した攻撃はエネルギーの大幅な浪費だ。
このまま使い続ければエネルギー切れを起こすだろう、それは篠ノ之の方も同じかも知らないが。
すると援護に回っていた篠ノ之の紅椿が右に回り込み、左に白式が入る。
挟み撃ちだ、これは絶対決まる。
そう思ったときレーダー上に何かが写る。
「これは...」
「船です...大きさからして漁船。」
五十嵐は織斑先生に伝えた。
「作戦区域に一隻船が進入しています。」
「なに!封鎖をしていたはずだ、なにをやっているんだ!」
どうやら学園の関係ではないらしい、なら不審船だ。
「すぐに近海にいる駆逐艦に連絡!拿捕させろ!」
「了解!」
「織斑くんが海面に降下します!」
連絡を命じると山田先生が叫び、画面に視線を戻す。
「なにやっているんだ!」
今度は白式は紅椿とシルバリオ・ゴスペルの間に入り、レーダー上から消失した。
《こちら駆逐艦“暁”。二機の学園所属ISが墜落、目標は健在。救援を求む。》
「了解...佐々木大佐、烈風改を出撃させてください!」
《了解、第二・五世代では目標の攻撃を逸らすのが限界だが善処する。》
「お願いします...」
織斑と篠ノ之の機体は撃墜され、シルバリオ・ゴスペルはレーダー画面から消えた。
その後、国防海軍のSH-60K“シーホーク”によって二人は救出された。
二人とも軽症で済んだが、織斑は受けたダメージにより意識不明。
作戦は失敗という結果に終わった。
第四十話目です。
連日、連投で話がサクサク進むが心配なのが誤字脱字。
一応確認してますが、自身が無い...
前に徴用兵が歌ってそうな曲としてバンドオブブラザーズに登場する「空挺部隊の歌」(http://www.youtube.com/watch?v=V2ka1BXNMw8)を紹介しました。
最近ですが軍歌や民謡を聞くのが趣味で調べていたら日本の軍歌で「戦友」(http://www.youtube.com/watch?v=gH9W0oVCjRA)が徴用兵の戦いを表しているに近いと思いました。
日露戦争中に作られた曲で戦友を失う兵士の哀愁を切々と歌い込む歌詞と曲で戦前の日本では知らない人がいないと言われるほど広まりまったらしいです。
動画には六番までですが全部で十四番まであります。
同じ朝鮮・満州の地で戦い、歌詞にあるとおり五十嵐にとっても戦友との永久の分かれになった戦場。
ちなみに私が“今”好きな軍歌は「我等がロンメル」
(http://www.youtube.com/watch?v=cXTaeaeywRE)ですね。
好きな軍歌が多くて気分によって変わりますから、好きなのは日によって変わります。
ではまた今度。