学園の守護者   作:新稲結城

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・フランス軍

白騎士事件以降ヨーロッパにおける絶対的地位を得る為に“大陸軍構想”の下で軍備拡張を行った。
兵員数130万人までにのぼり、イギリス・ドイツは危機感を覚え対抗して軍拡を行っている。
ただし三国とも無理をしながら軍拡を進めている。


第四十八話 琉球進駐

ウォーターワールドの駐車場に入ろうとすると国家親衛隊の隊員が身分証明書を提示するように言う。

二人は学生証と軍の身分証を隊員に渡すと周囲の状況を見渡す。

何台もの消防車や装甲車・兵員輸送トラックが広い駐車場にひしめき、完全武装の国家親衛隊の隊員が厳戒態勢で警備に当たる。

その様はテロ事件が起きた現場同様の有様だった。

身分証が返され入ることを許されると公用車を駐車場の空いてるスペースにボーデヴィッヒは駐車する。

五十嵐が降りると連絡を受けていた親衛隊少尉が駆け寄ってウォーターワールド内を案内された。

レースが行われたプールは滅茶苦茶に破壊され、底や壁面はひび割れ・タイルが剥がれていた。

照明や放送設備も破壊され、幸いにも死傷者が出なかっただけでも幸運だっただろう。

親衛隊少尉は調書や目撃者の証言・警察の鑑識などの調査で分かっていること事細かに説明した。

本当に馬鹿な事をしてくれたと二人は溜息をつく。

 

「ではこちらでお待ち下さい。」

 

最期にオーナーに謝罪するとオルコットと凰の所に案内された。

しばらく待つと二人は床を見つめるように下を向きながら事務所から出て来た。

 

「本当にお前らは馬鹿をやってくれるな。」

 

腕を組みながら仁王立ちで五十嵐は待ち受ける。

彼の声に気がついた二人は顔を上げる。

 

「すみません。」

 

「...ごめんなさい。」

 

二人は大きく頭を下げて迎えに来た五十嵐に謝る。

 

「琉球旅行五泊六日の為にここまで壊しやがって...まあ優勝しても旅券は紙くずだがな。」

 

「「はい!?」」

 

二人は五十嵐の言葉に驚く。

 

「フランスが琉球共和国と軍事同盟を締結。フランス陸海空軍が琉球に進駐し、君たちの祖国が渡航制限を設けた。」

 

 

 

 

 

 

 

―同時刻/首相官邸地下・官邸危機管理センター―

 

 

 

 

 

 

 

「突然だったわね、外務大臣。」

 

漆原首相は外務大臣に視線を向ける。

その視線には事前にこの事態を予測できなかった外務省の失態への怒りが含まれていた。

三時間前、琉球共和国はアメリカとの安全保障条約の破棄と同時にフランスと安全保障条約を結んだことを発表した。

琉球共和国は太平洋戦争後にアメリカの琉球統治を経て独立した国家だった。

十年前の白騎士事件以降の在琉アメリカ軍の撤退により、琉球共和国は拡大主義の中華人民共和国と歴史問題で対立する日本国の侵攻に怯えアメリカに代わる庇護者を求めた。

それに答えたのがフランスだった。

フランスは日本への侵攻拠点として琉球を必要として、フランスは安全保障条約締結を琉球共和国に打診するとすぐに琉球共和国は快諾した。

すぐさまフランスは大量の兵員と装備を航空・海上輸送により琉球に送り込んだ。

 

「首相、統合参謀長から在琉フランス軍の戦力について説明があります。」

 

「お願い。」

 

統合参謀長は立ち上がると同時に室内は暗くなり、机の中央に空中投撮ディスプレイが投影された。

そこには琉球本島の立体的な地図が現われ、衛星画像が貼り付けられていた。

 

「現在分かっているだけで陸上兵力は兵員約三十万人、戦車約四百両、装甲車約六百両、火砲約千門程だと」

 

「そんな戦力がいるの!?」

 

報告された数に驚き首相は思わず声を出してしまう。

 

「はい、旧在琉米軍が使用していた基地では賄い切れず演習場に急造の駐屯地を設営して対処しています。続けてよろしいですか?」

 

首相は頷く。

 

「次に航空戦力は作戦機五百機です、こちらも嘉手納基地や普天間基地は溢れ那覇国際空港も使われています。次いで海上戦力は琉球近海に正規空母二隻を擁する二個航空艦隊、さらに那覇港には数隻の揚陸艦と大量の輸送船でひしめき合っています。」

 

統合参謀長の言う通り衛星画像に写る那覇港には大量の輸送船、飛行場には大量の戦闘機、陸上には列をなす機甲戦力と兵士達の姿があった。

 

「統合参謀長の説明に補足があります。」

 

「私からも。」

 

統合参謀長の説明が終わると海軍参謀長と空軍参謀長が手を上げた。

 

「海軍参謀長からどうぞ。」

 

「はい。鹿屋航空基地所属のP-1哨戒機が太平洋上でフランス海軍のル・トリオンファン級原子力潜水艦と思われる潜水艦を探知、追尾しています。」

 

「私の方は未確認情報ながら巡航誘導弾“ストーム・シャドウ”が琉球本島に運び込まれたと言う情報があります。」

 

これらの報告を聞き、首相は考え込む。

フランスは大量の戦力を我々の目と鼻の先にある琉球に送り込んだ。

これはどうみても琉球を前線基地として日本国に対して侵攻を仕掛ける準備に違いない。

 

「外務大臣、すぐに抗議文をフランスに送って。」

 

「わかりました。」

 

すると傍にいる官房長官が小声で漆原首相に報告する。

 

「連立を組んでいる党から徴用兵の帰還事業停止と帰還した兵士の招集をすべきとの声が挙がって」

 

「それは絶対に駄目だ!」

 

徴用兵を抜いた国防軍の戦力は三分の一減るのは確かだ。

だが自分の息子を含め少年たちをこれ以上戦争に借り出すのは許せなかった。

部屋は首相の怒号で静まり返る。

その中を外務大臣の秘書がコツコツと音を立てて外務大臣に駆け寄る。

 

「首相、フランスのこの行為に対しイギリス・ドイツ・中国が抗議の上で自国民に対して渡航制限を敷きました。」

 

イギリス・ドイツはフランスの軍備増強に対して常に危機感を持ち、対立していた。

中国は汪共和国主席はアジアの安定化を目指して近年日本との接近を図っていた最中であった。

 

「イギリス・ドイツはともかく中国がこちら側についてくれているのは心強いわ。」

 

「フランスと言えども我々と同時に中国を相手取ることは出来ないでしょう。」

 

首相は少し安心したかのようにその時は思えた。




第四十八話

⑤これからの執筆活動について

出来うる限り投稿しようと思います。
月に二話から五話のペースで投稿して行こうと思いますが、少し早足で物語を進めていきます。
学園生活三年間描こうと思いましたが一年に短縮してお送りしようと思います。

次話に続く
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