学園の守護者   作:新稲結城

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※誤字脱字があった際、報告お願いします。


第五十八話 粛清の夜

-8月31日午後7時半/都内某所の住宅街-

 

 

 

 

 

 

 

更識簪は実家にいた。

本当なら午後にIS学園に行くはずだったが、戒厳令が敷かれ外出は制限された為に学園には戻れなかった。

国会議事堂が爆破されてからテレビは緊急報道に変わり、延々とキャスターは国民を落ち着かせようと言葉をかけるだけで断片的な情報しか来ない。

さらについ先程、爆破事件の首謀者として自分の姉が上げられ、とても驚いた。

なぜ国家に尽くす更識家を犯人に仕立て上げられたのか、わからなかった。

それより彼女はこれからどう行動すればいいか考えていた。

まずは姉に電話をしたが携帯は繋がらず、次に学園に連絡するが繋がらなかった。

最後に姉が緊急時の連絡先としてくれた部隊の連絡先にも連絡したが結果は同じだった。

 

「私...どうすれば。」

 

彼女はそう嘆いていると突然ドアが蹴破られた。

ドアが床に倒れ、小銃を構えた二人の男がこちらに銃を向けて突入する。

驚いて立ち上がると壁際に追い詰められた。

 

「やめて、殺さないで...」

 

手を伸ばして必死に抵抗の意思を示すが無駄だった。

二人の男から各一発の銃弾が放たれ彼女の頭を貫いた。

白い壁に飛び散った血が点々と付着し、体は床に倒れた。

銃を向けながら一人の男が近づき、軍靴で体を蹴って転がす。

息絶えているのを確認すると携帯無線機で連絡した。

 

「こちら第一隊、目標の排除を確認。次の目標の排除に移る。」

 

四人の男はすぐに部屋から撤収して家の前にある黒塗りのバンに乗り込むと去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

-9月1日午前零時/首相官邸-

 

 

 

 

 

 

 

村瀬首相代行は官邸危機管理センター内で満足げな顔をしていた。

首相の座る席に踏ん反り返りながら陽気な気分だった。

“特別行動部隊”による反逆者又は反逆者になるであろう人物の処刑は順調に次々と執行されていた。

“特別行動部隊”は漆原政権時に村瀬文部科学大臣と国家親衛隊内のシンパによって作られた部隊だ。

自分の思い描く国家を作り上げる為には反対・妨害するであろう敵性分子などを対象に処刑を行う部隊であり、隊員は国家に忠誠を尽くす徴用兵の中で国家親衛隊の隊員となった者から選抜した者達だった。

徴用兵教育団とはまた違う特別な訓練により効率的に多くの人々を殺せるように訓練された殺人者だ。

彼らは現在、敵性分子になりうる社会国民党の党員と協力的政治団体の会員と思想に反すると判断された高級官僚、将校、知識人などを処刑をしていた。

その数は千人以上にのぼり、社会に影響力を持つ者はその場で殺しその他は親衛隊駐屯地のグラウンドで並ばされた上で次々と射殺されあらかじめ掘られた穴に埋められた。

 

「ここまで使えるとは流石だ、国家親衛隊。まあ男にはこういう仕事しか出来ないが。」

 

首相代行は国家親衛隊長官にそう言うと長官は謙遜しながら答える。

 

「いえいえ村瀬首相。これも首相が研究を進めてきたナノマシンのお陰です。」

 

長官が口にしたのは“(仮称)感情統制装置”の事であった。

これは村瀬首相代行が文部科学大臣に就任する以前から国防省技術本部と共同で進められていた研究で、徴用兵の感情を統制することで、効率的な戦闘とPTSDによる落伍者を出さないのを目的としたナノマシンだ。

漆原政権時に非人道的として中止させられていたが、村瀬首相代行は文部科学省内で秘匿して研究した。

 

「確かにあの効果もあるだろう。それは研究者の調査を聞いてからだ。問題もあるからな。」

 

この装置の問題点は生産費がとても高い上に生産数が少ないのが問題だった。

高い技術力を要するため大量の装置を短期間に作り上げるのはまだ難しい。

それにこれはあくまで試作品で実戦投入はまだ先の話だった。

 

「出来れば親衛隊、次に国防軍の徴用兵、そして最後は男性達に投与して完全に統制したいわね。」

 

首相代行は装置の理想を語る。

すると何かを思い出したかのように口走った。

 

「そう言えば親衛隊長官、処刑リストの中に五十嵐裕也が入っていないが?」

 

「それについては私が。」

 

そう答えたのは国防大臣だった。

 

「彼は漆原の息子だぞ。もしこれがばれたら反乱分子が担ぎ上げるのは必死だ。」

 

「その点に関してはいささか早急すぎると思います。ある程度利用してから殺せばいいと思います。」

 

「利用する?」

 

「そうです。彼は国民から英雄視されている兵士です、彼が活躍することで我々の支持も上がるでしょう。適当な頃合で名誉の戦死をしてもらい盛大な国葬を行います。これによって国民は一致団結するでしょう。」

 

「確かにその考えはいいな、そうしてくれ。それとだ。」

 

立ち上がると国防大臣に指示した。

 

「すぐに弾道誘導弾迎撃態勢を構築とIS学園のコアの徴用を迅速に行え。一機でも自国のISが欲しい。」

 

「了解しました。」

 

「あとは計画通りに進めてくれ。少し私は寝る。」

 

そう言って首相代行は官邸危機管理センターを出て行った。

だが翌日の朝、突然彼女は叩き起こされると、「IS学園が国籍不明のIS部隊に襲撃された。」という報告が彼女の耳に入れられた。




第五十八話目です。

やっとコンビニのバイトが決まりました。
とにかく頑張ります(小説投稿も)。

最近感想を受けて読み直しましたが何か要らない部分がいくつも見つけたので修正した方がいいかな?

ではまた今度。
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