※この回では非常にショッキングな内容になっております。特にセカン党の方は読まないほうがいいです。
-9月6日午前零時/宇久島沖-
凰鈴音は編隊の後方を飛行していた。
低空で飛行する“甲龍”の編隊は日本海軍の軍港である佐世保と呉、さらに北九州工業地帯への空襲を目的に飛行をしていた。
凰の“甲龍”は国へ戻ってすぐに軍用へ改装され、電子機器や誘導弾などの武装が搭載され実戦への投入には問題は無い状態であった。
しかし彼女は第二の故郷であり愛する人や友人がいる国を攻撃することを躊躇っていた。
当然彼女はISパイロットとなる上で軍人にならなければならず、ある程度は覚悟していた。
しかしクーデターで突然隣国と戦争することに戸惑っていた。
だが戦いが迫り、それはそれ、これはこれと割り切って考えて飛行し続ける。
《もう少しで佐世保だ。気を引き締めろ!》
編隊長の激がとぶ。
そして目の前に島が見えてくる。
計画ではこの島を飛び越え一気に上昇して佐世保の軍港設備を10分以内破壊する。
その後、福岡を空襲した後に二手に分かれ大分と山口を空襲、そして呉で合流して攻撃後に帰還する作戦。
そう凰は計画を思い出し、周辺警戒に頭を振る。
すると爆発音が聞こえた。
「なに!?」
前を振り返ると先行していた四機が爆発して炎に包まれて海に墜落した。
《凰!よけろ!》
一瞬にして先輩達が殺されたのを目にして唖然としていると同期が凰の機体を蹴っ飛ばした。
その瞬間同期の機体に砲弾が当たり黒煙に包まれる。
「大丈夫!?」
《大丈夫だ!どうやら胸部の重装甲に当たって助かったらしい。》
そこに編隊長の怒声が入る。
《そこの二人!死にたくなければ回避行動を取れ!)
「了解!」
凰は即座に横移動すると先までいたところに砲弾が通り抜ける。
砲弾の方向から島から砲撃を受けているのは確実。
しかしハイパーセンサーで島の山肌を眺めるが敵影はない。
《敵の姿があり》
混乱した味方の声が撃墜して途切れる。
だがお陰でマズルフラッシュと木々の揺れを感知できた。
「二時の方向にマズルフラッシュ!」
《わかった!一気に衝撃砲で片付けるぞ!》
編隊長は二時の方向へ“龍砲”を向けると砲撃を加える。
さらに凰も“崩山”の四門の熱殻拡散衝撃砲を放ち、生き残った各機も砲撃に参加する。
-9月6日午前零時/宇久島城ヶ岳-
五十嵐は12式55口径120mmライフル狙撃銃の照準器を覗き集中する。
なぜかわからないが集中すると目標の動きがゆっくりとなる。
回避行動を取る“甲龍”の一機に狙いを付け特殊貫通炸裂弾を撃ち込む。
五十嵐が放った特殊貫通炸裂弾は見事に装甲が施されていない胴体と脚部の間に刺さって爆発する。
脚と胴体が引き千切られ爆発で粉々になるのを見せ付けられる。
五十嵐は次の目標に狙いをつけようとすると敵機がこちらに狙いをつけているのが分かった。
「敵がこちらの存在に気付きました!」
《わかった、擬態解除!すぐに退避しろ!》
光学迷彩を解除すると直上に飛び上がる。
その瞬間に敵の砲弾が山肌に命中して、山を削る。
《全機、突撃せよ!》
12式25mm汎用機関銃に持ち替えると敵編隊に突撃を仕掛ける。
接近すると10式多連装小型誘導弾発射機を呼び出して小型誘導弾の斉射を喰らわせる。
敵が小型誘導弾に逃げ待っているところに12式25mm汎用機関銃を乱射しながら近接戦に持ち込む。
“甲龍”は重装甲であるが各部との接合部に弱点がある。
まずは一機に接近し、左手に持ち替えた10式50口径12.7mm小銃で二門の“龍砲”を破壊すると右手に持つ近接戦闘用刀で切りつける。
だが腕の装甲で塞がられると一旦離れ、回し蹴りを食らわして首筋を見せたところに斬りつける。
首と胴体が離れたパイロットは絶命して、操縦者を失った“甲龍”は真っ直ぐ海に墜落した。
五十嵐が殺したのは凰の同期で、彼女は同期の死を見ていた。
「あいつ!」
友人を殺され今までの葛藤を忘れ去った凰は“崩山”を連射しながら五十嵐に突進した。
五十嵐はそれに気がついて回避するが左腕と腹部に炎弾が命中する。
持っていた10式50口径12.7mm小銃が破壊され、左腕の装甲に亀裂が走りそこから入った炎が左腕を焼いた。
焼かれた腕の痛みを堪えながら五十嵐は再装填を終えた10式多連装小型誘導弾発射機を斉射する。
24発の小型誘導弾は凰を襲い、的確に四門の“崩山”や電子機器を破壊する。
だが凰は突進をやめずに“双天牙月”を振り回しながら近接戦に持ち込む。
二機は両編隊からある程度離れたところで戦っており、実質一騎打ちだった。
五十嵐は12式25mm汎用機関銃の弾幕射撃をやめると10式発煙弾発射装置を使って煙幕を張る。
凰は敵影を見失ってハイパーセンサーを使おうとしたが、その前に五十嵐の“紫電”に搭載されている戦術妨害装置で使い物にならなくなっていた。
煙の中、凰は気配を感じて“双天牙月”を気配を感じた方向に振り回す。
そこに近接戦闘用刀の刃を受け止めた。
跳ね返すと“双天牙月”を敵に向け振り回す。
五十嵐は距離を置いて再度12式25mm汎用機関銃で銃撃する。
銃弾は凰の“甲龍”に命中して火花を散らすが、装甲で跳ね返される。
「ウォリャ!」
凰は“双天牙月”を投擲する。
“双天牙月”は一旦下に落ちるがそこから放物線を描いて下から上へ切りつけようとした。
五十嵐はそれを見越して12式55口径120mmライフル狙撃銃を取り出し、徹甲弾を装填した。
そして二発の徹甲弾を撃って“双天牙月”を撃ち落した。
「もらった!」
敵が12式55口径120mmライフル狙撃銃を取り出した瞬間、凰は突進した。
長銃身の12式55口径120mmライフル狙撃銃は簡単に振り回せない。
その間に接近して格闘戦に持ち込んで叩き潰そうと考えた。
「オリャアアア!」
叫びながら凰は拳を振り上げた。
だがその時、敵は12式55口径120mmライフル狙撃銃の銃身を掴み、銃底で殴りつけた。
凰の頭部に当たるり、バイザーが粉々に破壊された。
「凰!」
五十嵐は敵を銃底で殴りつけると止めを刺すために12式55口径120mmライフル狙撃銃を向けた。
しかし敵のパイロットが装着しているバイザーが壊れて顔を見る事ができた。
だがそのせいで引き金を引くことをためらってしまった。
《凰!》
直上から凰の味方が四門の“崩山”で一斉砲撃した。
上から降ってきた炎弾に回避できずに五十嵐の紫電は四発の炎弾を喰らってしまった。
機体の半分が破壊され、機体制御を失って島に墜落した。
《大丈夫か、ファ》
助けに来た味方は今度は五十嵐を救援しに来た紫電によって撃墜された。
さらに凰の機体にも容赦無く銃弾を撃ち込み、推進装置をすべて破壊され機体維持警告域に達しそうになっていたが、瀕死の甲龍に紫電は構っている余裕は無く離れていった。
「こちら凰少尉、機体制御不能...不時着します。」
凰は慣性で飛行して九州の地に墜落した。
-9月6日午前五時/長崎県平戸市-
凰の“甲龍”は平戸にある山中に落ちた。
機体は完全に駄目になり、機体を破壊すると山中を彷徨っていた。
太陽が昇り、周りが見えるようになると道が見え、一生懸命草むらを掻き分けて道に出た。
すると一台の高機動車が道を走って来た。
もう本国に帰ることは出来ない、このまま日本軍の捕虜になり生きて帰るしか無いと思っていた。
高機動車が停車すると小銃を手にした男達が降り、凰は手を上げる。
「お前は?」
一人の兵士が凰を見ながら日本語で問いかけた。
「中華連邦空軍凰鈴音少尉よ。」
問い掛けに答えると兵士は軽蔑するような目で言った。
「中国人の癖に日本語喋れるのか。」
この声に周りを取り囲む兵士がケラケラと笑う。
周りの兵士の目は獲物を待つ獣ような目つきをしていた。
すると兵士が凰の顔を殴り、道路に倒される。
「なにをするのよ!」
「中国人の癖に口答えすんじゃねえ!」
さらに兵士は腹を蹴ると馬乗りになってISスーツを破り始めた。
凰は最悪な事が起きているとわかり、必死で抵抗する。
「私は軍人よ!ジュネーブ条約で」
「知るかよ!日本人を殺しまくったゴミ屑め、体で償え!」
「名古屋に核兵器を落しやがって!」
山中に悲鳴が響き渡り、数十分後に銃声が響いた。
残念な事に本土にいるのは中国人に対して怒りと憎しみを持った志願兵で徴用兵ではなかった。
この四人以外の多数の兵士達も士官の目の付かない所で中国人捕虜を虐待・虐殺した。
第六十三話です。
今日みたいに一日暇な日があればこうやってかけるのに...
そんなことより皆さんの中には私に怒りを覚えている方もいるかもしれません。
もしかしたら感想欄が非難一色になるかもしれませんね。
この内容は戦争を扱う上で外せないと自分は前々から思っています。
戦争はとても憎しみのはらんだものです、ですので条約関係なく虐殺がおこなわれた歴史は多くあります。
ですが様々な戦争を取り扱った小説では取り上げず、時には勧善懲悪で日本側が善人だと書かれているものがあります。
これは歴史問題やなんやらでややこしいですが、人間が人間である以上こういう事はあるものだと思っています。
なので戦争を取り扱う上で景気がいいことは書きたくありません、特に勧善懲悪もので。
ですので申し訳ありませんがこれからもこんな風に書き進めていきます。
ただし凰鈴音というキャラが嫌いだというわけでありません、ただ物語上必要だっただけです。
ではまた今度、定期試験が終わったら。