-9月9日午後一時/国防軍佐世保病院-
迎撃戦から三日後、五十嵐裕也は病床の上で意識を取り戻した。
起き上がると自分がいるのは個室の部屋だとわかったが、さらに視界が普段より狭い事に気付いた。
「...起きたか、五十嵐。」
声がする方向に顔を向けるとラウラ・ボーデヴィッヒの姿があった。
彼女はIS 学園の制服ではなくドイツ連邦空軍の制服を着ていた。
「ボーデヴィッヒ、すまないが鏡を貸してくれないか?」
手鏡を貸してくれた。
それで自分の顔を見ると左目に眼帯がしてあり、鏡を持った左手も中指と薬指の第一関節がなく小指は無い。
さらに左腕や左足、左脇腹に痛みを感じた。
「お前は撃墜された時に機体の左側面に攻撃を受けた時に飛び散った機体の破片で左目は潰れ、左手の指は一部切断、さらに腕や脇腹、足に火傷と筋肉の一部が抉られている。...少し待っててくれ。」
ボーデヴィッヒは病室の外に出ると、少しして戻ってきた。
「五十嵐さん!」
ボーデヴィッヒはセシリア・オルコットを呼びに行ってたらしい。
彼女もまた学園の制服ではなくイギリス空軍の制服であった。
五十嵐は彼女達から現在の状況を聞いた。
中華連邦から発射された誘導弾の七割五分を撃墜したが都市や工業地帯に甚大な被害が出たこと。
同時期に朝鮮半島に中華連邦の陸軍が侵攻、朝鮮駐留軍と中華派遣軍と現在戦闘中であること。
現在も東シナ海では大陸から飛来する爆撃機の編隊を迎撃していること。
欧州IS派遣部隊は即応の為に北九州に駐留、IS学園の機体は首都防衛のために東京に移ったこと。
フィリピン海から潜水艦発射弾道誘導弾が発射され、名古屋に一発が落ちて甚大な被害を出したこと。
「その時に迎撃しようとしたシャルロットさんが巻き込まれましたわ。」
「名古屋には日本のミサイルや航空機、ISの工場が密集していた。それらすべてが失った。」
オルコットは涙を浮かばせ、ボーデヴィッヒは淡々と被害を話す。
「そうか、デュノアは死んだか...そう言えば凰鈴音のことは知らないか?」
そう二人に聞くと彼女達は顔を見合わせ、一時の間をおいてオルコットが口を開いた。
「わたくしは戦闘後に平戸という場所に鈴さんの機体が墜落した聞き、国防軍士官に付き添われて行きましたわ。そしたらそこには流れ着いたり、撃墜された中国兵の死体が電柱や街灯に吊り下げられ...その中に...その中に裸で吊り下げられた鈴さんがいたんです!」
五十嵐はそのことを聞くと残念に思いながらも、悲しむこともなかった。
友人を傷つけ殺した、また凌辱されたとは残念なことだ。
しかし戦場では何時もの事でありふれた場面だと五十嵐は思っていたので表情を変えることはなかった。
オルコットは続けた。
「遺体は軍によって回収されましたわ。ですがそのことを幼馴染であった一夏さんに伝えましたら『だからなんだ、中国人のことなど知らない。俺の友人に中国人はいない。皆敵だ!俺の千冬姉と友人のシャルロットを殺したな!』と言いました。...一夏さんは変わってしまいましたわ、初めて会ったときのような一夏さんはもういません。」
オルコットの表情には悲しい影が走っていた。
織斑も戦争の風に当てられていい感じに慈悲の無い兵士になっているのだろうと五十嵐は思えた。
しかし自分のようになっては欲しくなかった、あいつには自分と違い戻るべき場所と人が入るのだから。
「あいつも今は復讐心に駆られた人間だ。しかし戦争が終わる時に復讐心という支えを失い虚無感に襲われるだろう。そのとき君達が必要になるだろう、見捨てないで欲しい。」
「...はい。」
「セシリア、もう時間だ。行くぞ。」
二人は病室を出る。
その時、ボーデヴィッヒが振り返る。
「五十嵐、お前は私の戦友だ。これをやる。」
そう言って投げ渡されたのはボーデヴィッヒが身に着けている眼帯と同じだった。
「それは私の眼帯だ。」
そう言って彼女は病室を出た。
第六十五話です。
そう言えば今期皆さんはどんなアニメに目を見ているでしょうか。
今期のアニメではないですが「サイコパス」というのを見ていますが、第四話が飛ばされましたね。
佐世保で起きた殺人事件と似ていた為に放送を自粛したらしいですね、残念ながら。
自分的には放送されるはずだった回の話は結構面白かったのですが。
これはもうしょうがないでしょうね。
時々のこの空間でアニメについて話しましょうかね。
連投してたらネタが尽きてしまいますし。
ではまた今度。