学園の守護者   作:新稲結城

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第七十三話  暗殺

-2013年6月15日午前11時/神奈川県平塚市-

 

 

 

 

 

 

 

内戦勃発から一週間後、臨時政府軍は有利に戦いを進めていた。

北から東北方面軍が国家武装親衛隊を圧迫し、空軍による地上攻撃がよく効いていた。

数少ない地上戦力しかもたない国家武装親衛隊に負ける要素は臨時政府軍にはない。

だが市街戦に突入すると戦いの様相は変わっていた。

 

「徴用兵と国家武装親衛隊に告ぐ!直ちに武器を捨て降伏せよ!我々は君達に本来持つべき権利を与えることができる!」

 

瓦礫に埋もれた街路で拡声器を持った五十嵐少佐(臨時政府軍内で昇進)は瓦礫と建物の残骸に隠れている人々に投降を呼びかける。

拡声器を地面に置き、恐るおそる顔を瓦礫の山から出すと攻撃の準備をしているのが分かった。

小銃に弾を込め、砂利を踏む音が聞こえる。

 

「撃ち方用意」

 

静かに号令を下し、兵士が小銃を構え機関銃を据える。

街路は静粛に包まれ、風だけが音を起こす。

双方共に緊張が高まる。

そして国家親衛隊の兵士が叫ぶ。

 

「突撃!」

 

号令と共に隠れていた百名以上の徴用兵達が我武者羅に突撃してくる。

徴用兵は各々「万歳!」と叫ぶ。

 

「撃て!」

 

五十嵐が命じるといくつもの小火器が一斉に火を吹く。

先頭を走る徴用兵達は街路に次々倒れると後続の徴用兵が死んだ奴から小銃を拾い突撃を続ける。

それを繰り返し臨時政府軍の防衛線の傍まで近づくが近づいた者は全員射殺された。

 

「死にたくねぇ!」

 

銃弾を浴びせられ戦意喪失した一人の兵士がこちらに背を向けて走るとそれに倣って次々と徴用兵が戻っていく。

五十嵐は射撃を停止させるが、意味はなかった。

 

「逃亡兵は銃殺する!繰り返す武器を取って突撃しろ!...撃て」

 

徴用兵達が突撃と同時に後方で据えられた国家武装親衛隊の機関銃が逃げ戻ってきた徴用兵を撃ち殺した。

街路の間には徴用兵の死体だけが転がっていた。

国家武装親衛隊の隊員が撤退すると兵士達に遺体の収容を命じた。

六月、初夏が訪れ気温が上昇し遺体が腐りやすくなり酷い腐臭を放ち感染症の原因になるからだ。

五十嵐は数人の死体を確認するとどれも自分より幼く、おそらく教育団段階の子供達を突撃させていると分かった。

我々に子供達を撃たせて村瀬政権の者達は時間稼ぎをしようとしているのだろうと考えた。

それに彼らはどうしても投降出来ないでいる、一昨日起きた『小田原の虐殺』だ。

捕らえれた2000人の国家武装親衛隊及び徴用兵、さらに国民党関係者と支持者が捕虜の移送を命じられていた歩兵師団の兵士に全員殺された事件だった。

兵士には国民党や女性至上主義者に家族や愛する人を殺され、人生を壊されたものが多かった。

多くの者は復讐を望んでいる。

 

「五十嵐少佐!」

 

背後からの呼びかけに反応して振り返ると一人の兵士がいた。

 

「報告です!」

 

息を切らした兵士は呼吸を落ち着かせていった。

 

「つい先ほど村瀬首相及び大臣たちが死亡したとの報告がありました。」

 

その言葉に五十嵐は驚く、何が起きたのかと。

 

 

 

 

 

 

 

-一時間前/首相官邸-

 

 

 

 

 

 

 

首相官邸には村瀬首相を始めとする政権の人間が集まっていた。

そこに元国防省東部徴用兵教育団司令の若葉少将が訪れた。

彼は内戦勃発と同時に編成され徴用兵で構成された国防軍首都防衛師団の師団長に任じられた。

 

「村瀬首相、手筈が整いました。」

 

「わかった。」

 

若葉少将が出迎えると村瀬首相と大臣達が立ち上がり、首相官邸を出る。

彼らは喰うことのできなくなった国を捨て、今まで溜め込んだ財産を持って他国に逃げ出そうとしていた。

首相官邸の玄関に止めてある公用車に大臣たちは乗り込む。

 

「若葉少将、我々が出国する間に反乱軍共にやられないか?」

 

「大丈夫です、空港とその間の道は我々の高射隊が完全に防空を果たします。また旅客機は第三国の政府専用機に偽装させています。第三国もそれを容認しています。」

 

「やはり君に任せてよかった。それで君も一緒に来ないか?この国に居ても意味がないだろう。亡命先の国の軍事顧問とかにならないか?」

 

次々と大臣たちを乗せた公用車が首相官邸を出る。

そして村瀬首相を乗せる最後の公用車が来る。

 

「いえ、私はここに残ります。」

 

若葉少将がそう言うと村瀬首相が笑顔になる。

 

「そうか、君のような忠誠心ある軍人に会えてよかった。」

 

そう言って村瀬首相が言うと公用車に乗り込もうとした。

その時、若葉少将は隠していた9mm拳銃を出して村瀬首相の後頭部に押し付けた。

 

「お前に忠誠心などない、地下から出るのを私は待っていただけだ。」

 

そして躊躇いなく引き金を引く。

頭を吹き飛ばされた村瀬首相の死体はそのまま公用車の後部座席に倒れ込む。

 

「俺の育てた子供達へせめてもの手向けだ。」

 

銃撃するのを目撃した国家親衛隊の隊員達が一斉に銃口を向ける。

囲まれた若葉少将は村瀬首相を撃った拳銃で自らの頭を撃ち抜いた。

そして公用車の車列は情報を得た臨時政府軍の戦闘機に爆撃され、全員死んだ。

 




第七十三話です。

まず始めに投稿が遅くなってすみませんでした。

結局、今年は自衛隊の基地際に行けませんでした。
横須賀の海自と在日米軍の基地際は定期テストで潰れ、空自の入間基地は学祭が重なり何処もいけなかった。
来年こそは行きたいな~

代わりに友人と東京を観光したのは楽しかった。
あと皇居の一般公開に行きました、紅葉と石垣が綺麗でしたよ。

ではまた今度。
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