学園の守護者   作:新稲結城

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第七十九話 戦闘第一日目

-2013年6月17日午前8時/指揮所-

 

 

 

 

 

 

 

《防空レーダーに反応あり!高度八千、数二十!》

 

指揮所のレーダーに大きな光点が二十、IS学園上空に接近する。

即座に空襲警報が鳴り響き、外にいる兵士達は防空壕へと非難する。

空に二十の飛行雲が晴れ渡る青空にクッキリと引かれ、B-52“ストラトフォートレス”の編隊が迫る。

すぐさま高射部隊が地対空誘導弾で迎撃するが、二機を撃墜するのが精々だった。

上空に達すると大きく開かれた爆弾倉から数十発の無誘導爆弾がパラパラと落ちていく。

無誘導爆弾は着弾すると周囲の建物を粉々に破壊し、巨大なクレーターを残す。

大量の無誘導爆弾による絨毯爆撃は地上にあったものをすべて破壊した。

校舎・学生寮・地対空誘導弾発射器・対空機関砲・レーダーなどをすべてが破壊される。

爆発するたびに地下施設は大きく揺れ、埃が舞い落ちる。

空爆が一段落すると次は浮島あたりに展開した砲兵部隊による砲撃が始まる。

そして空爆と同じように島を揺らし地面を耕す。

 

「二〇九高地に比べればここは天国だ。」

 

五十嵐少佐は不安がっている部下達に向けて言った。

この地下施設は元々IS学園の生徒・教員の避難所として作られ、様々な災害や戦争などを想定されて作られ例え核攻撃を受けたとしても大丈夫なように作られている。

ただし急遽増築した要塞区画や指揮所はまた別の問題であった。

それでもあの二〇九高地よりは快適であり頑丈である。

 

「それで国家親衛隊からは?」

 

そう聞くと一人の兵士が答えた。

 

「先程報告があり多摩川において臨時政府軍の渡河を防ぐことに失敗、羽田空港などの人工島のあたりに後退し防衛に徹すると。」

 

続けて兵士は足立大尉からの伝言を伝えた。

 

「最後に足立大尉から五十嵐少佐に伝言で『我々は背水の陣で挑む。退路を絶て』と。」

 

「そうか。」

 

五十嵐少佐は彼らが撤退することを考え、第一学園連絡橋のみ残していた。

第二学園連絡橋は戦闘がはじまる前に爆破させて落としていた。

 

「すぐに第一学園連絡橋も爆破しろ。」

 

「了解。」

 

すぐに五十嵐少佐の命令は実行され、第一学園連絡橋は爆破され、轟音と破片が落下した衝撃で起きた水柱の中で崩れ落ちた。

 

《こちら南監視台!駆逐艦二隻接近を確認!》

 

「直接、こちらの砲台を壊しに来たか。」

 

二隻の駆逐艦は島の両側に展開すると適当に島目掛けて主砲による艦砲射撃を始める。

この挑発に乗った一門の砲台で砲兵達が砲弾を装填し、駆逐艦目掛けて砲撃した。

砲弾は駆逐艦の手前に着弾して水柱を上げ、砲台を発見した駆逐艦は5インチ速射砲で正確に砲撃した。

たった一発の砲弾で砲台は破壊され、砲兵は跡形もなく吹き飛ばされ155mm榴弾砲FH70は破壊される。

後に砲台を修復しに来た兵士達は壁にベッタリとついた血と肉片、そして焼け焦げた人体の一部を見て絶句した。

 

「全砲台に挑発に乗らないように厳命しろ。この砲台は敵が上陸した時に必要なんだ。」

 

五十嵐少佐はそう命じた。

すぐに砲台に反撃しないように徹底されるが、駆逐艦が鬱陶しいのは間違いなかった。

この時、島への砲撃は射線上に駆逐艦がいるので停止していた。

駆逐艦の艦砲射撃が続く中、一人の兵士が地上を飛び出して走る。

兵士は〇一式軽対戦車誘導弾を抱え、駆逐艦に出来るだけ接近する。

砲撃で出来たクレーターに飛び込むと肩に担いで誘導弾を発射した。

誘導弾は駆逐艦を捉え、迎撃する時間を与えず艦橋に命中させた。

駆逐艦は操艦不能となり近くの人工島に乗り上げた。

そして夜になり砲撃や空襲は止み、駆逐艦は島を離れる。

今日の戦闘は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

-2013年6月17日午後8時/地上:IS学園―

 

 

 

 

 

 

 

五十嵐少佐は指揮所を出て、IS学園“跡地”を歩いていた。

砲撃と空爆はIS学園の施設はすべて吹き飛しクレーターを残していった。

短いながらもここで過ごした思い出は破壊された。

 

「裕也!」

 

織斑が自分の名前を呼ぶ声がして振り返る。

彼は走ってくると息が絶え絶えになっていた。

 

「まだ戦闘は続いている。地下に避難した方がいい。」

 

「裕也!そんなことよりも!」

 

織斑は五十嵐の言葉を叫び倒す。

 

「なぜ俺達を使わない!俺達にはISがある!ここにいる皆を救うにはISが必要だろう?なんで使わないんだ?」

 

織斑の質問に五十嵐は質問で返す。

 

「なあ織斑。俺達はなんで戦っていると思う?」

 

「突然なにを言い出す?」

 

「俺達はもう体も心も戦争に毒された人間だ、けれど守りたいものがあって戦っている。その守りたいものとは戦争に毒されていない無垢な人々を守ることだ。」

 

「ああ、それなら俺達を使うべきだ。」

 

五十嵐は織斑の言葉を否定する。

 

「いや、君達は我々にとって守るべきものなんだ。守るべきものに前に立たれたら邪魔なんだ。」

 

「裕也、俺は戦争を知っている。お前と一緒に戦った、だから戦えると言っているんだ。」

 

五十嵐は笑う。

その笑いに織斑は怪訝な顔になる。

 

「戦争を知っている?笑わせるな、ISに頼って戦ったことしかない人間に言われたくない。」

 

「はあ?」

 

「銃を持ち、温かい血や腐った肉片が飛び散る戦場を走ったこともない。理不尽な命令で無抵抗な人々を殺したことのない人間に戦争を知っているといわれたくないよ。それに君には未来がある、戦争を知らないからこそ未来が待っている。だから前には立って欲しくないんだ。」

 

「未来?」

 

すると兵士が駆け寄ってきた。

 

「少佐、すぐに指揮所に戻ってきてください!」

 

五十嵐は兵士と共に指揮所の戻り、織斑も地下の避難施設に戻った。

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