学園の守護者   作:新稲結城

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第八十二話 戦闘第四日目

-2013年6月20日午前10時/太平洋上-

 

 

 

 

 

 

 

IS学園島攻略の現状を打開する為に戦艦『信濃』が投入された。

相模湾沖に停泊した戦艦『信濃』は世界最大の主砲45口径46cm三連装砲全九門が火を吹く。

轟音と共に放たれた九発の砲弾は神奈川県東部を越え、IS学園島に着弾する。

海面に着弾した砲弾はビルの高さを超える巨大な水柱を起こし、島に着弾した砲弾は爆発して島全体を震わす。

そして上空を飛ぶSH―60k哨戒ヘリが弾着観測を行い、修正後第二斉射が行われる。

九発の砲弾は学園島に着弾、衝撃で地下施設の一部が破損や崩落を起こし学園警備隊の隊員を殺傷する。

この艦砲射撃が行われていた相模湾よりさらに南下した太平洋上では臨時政府海軍の駆逐艦隊が任務を帯びて航行していた。

四隻の駆逐艦を指揮する少将に戦闘指揮所(CIC)から報告が上がる。

 

《米海軍太平洋艦隊所属の駆逐艦四隻が視認距離に入ります!》

 

報告と同時に見張員が叫ぶ。

 

「駆逐艦四隻を視認!」

 

少将は双眼鏡を覗き込む。

双眼鏡から見えた艦影はマストに巨大な星条旗を掲げた米海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦だった。

この四隻は前路警戒を担い、その後ろにはジェラルド・R・フォード級航空母艦と揚陸艦を中心とする大艦隊が控えていた。

 

「臨時政府軍総司令部へ通信、『米海軍駆逐艦四隻と接触、指示を求む』」

 

「了解。」

 

少将は東京湾に向かう米艦隊と接触することを命じられていたがそれ以上のことは命令されていなかった。

米海軍駆逐艦がこちらを視認したのか、発光信号が発せられる。

 

「米海軍駆逐艦から信号!『我、米海軍太平洋艦隊所属『ダニエル・イノウエ』。難民救出の為、東京湾へ急行中である。進路を開けることを求む。』」

 

「返信、『我、日本臨時政府海軍所属『霜月』。『ダニエル・イノウエ』他三隻に告ぐ、君たちは日本国の主権を侵害しようとしている。ただちに針路を変更し排他的経済水域から離脱せよ。』」

 

時間を稼ぐ為に少将は適当な言葉を並べて返答する。

とにかく我々は米海軍艦艇を通さないという意志が伝わればいい。

 

「米海軍駆逐艦四隻が速力を上げます!」

 

返答を受け取った四隻の駆逐艦は速力を上げて突破しようとする。

 

「艦長!米海軍艦艇の一番艦と並走しろ!」

 

『冬月』は『ダニエル・イノウエ』と並走する。

後続艦も同じように米海軍駆逐艦に付いて並走する。

 

「司令官!総司令部から返信です!」

 

通信士が電文を持ってくるとその電文を呼んだ。

少将は舌打ちして艦長に言った。

 

「総司令部から命令だ。『武力を用いず、米艦隊の針路を妨害せよ』だ。」

 

「どうします?」

 

艦長が質問すると少将は答えた。

 

「相手は9,648t、この『霜月』は9,000t...いい勝負だ。」

 

艦長は察しが付いて言った。

 

「体当たりしろと?」

 

「そうだ。」

 

艦長は頷くと操舵員に命じる。

 

「ゆっくりと体当たりしろ、向こうもこちらも出来るだけ航行不能にならない程度にだ。」

 

「了解。」

 

「総員衝撃に備え!」

 

艦長と少将は椅子にしがみつき、他の艦橋要員も近場の物につかまる。

そして徐々に船体を『ダニエル・イノウエ』に近づけ、ぶつける。

その瞬間、船内は強力な衝撃に襲われ固定されていないものが吹き飛ばされる。

『ダニエル・イノウエ』の見張員と顔が直接見えるくらいまで接近し、英語で罵られる。

 

「米海軍の本隊が来るまで針路を妨害するんだ!」

 

『ダニエル・イノウエ』も負けじと押し返す。

そして一日、洋上では衝突が続いた。

 




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