殺戮の動機 【完結】   作:ツルギ剣

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??階層/リアル 殺戮の動機

 

 

 

 

 

 

 

 母親の話。それは、私にとって誕生日のようなものだった。

 

 

 

 若い頃にモデルや女優をやっていた母は、なかなかの美人だった。頭も良くスポーツ万能で高学歴、料理はちょっとオススメできないが大したマイナスにはならないだろう。天才と名高かったシステムエンジニアの父と結婚して、家庭も仕事も円満だった。……しかし、私を産んでから徐々に落ち目になっていった。

 母に習って私も、同じ仕事に就いた。就かされたと言ってもいい母の勧めだったが、やっているうちに楽しくなったから就いたと言ってもいい。

 かの人の娘ということで、大いに騒がれた。だから出だしは順調、加えて事務所の経営やマネージャーのサポートもよかったのか、人気は下がることなく上がっていた。地方巡業から初めて全国放送にもでさせてもらうこともできた。まるでかつての母のように、天才美少女とまで言われた。母と自分は入れ替わるように人気が逆転していく。段々と忘れ去られていく……。

 

 まだ中学に入ったばかりの頃、だったか……。

 私は母を上回っていた、全盛期の彼女の人気を超えていた。彼女が若い頃は見向きもされなかった有名な番組から、声がかかった。演劇の舞台の出演も決まった。主役ではなかったが重要な役柄の子役として演じさせてもらった。それが見事にヒットして、視聴率も観客も大いに呼び込むことができた。母も鼻高々だったことだろう。―――だけどその頃から、母の様子はおかしくなった。私を見る目に、刺のようなものが含まれるようになった。

 その時、事件が起きた。

 ギャンブル好きのツケ。人気絶頂の時には忙しいこともあって鳴りを潜めていたが、私が代わった今では表に出きてきた。母唯一の弱点、時々どうしようもなくしたくてたまらなくなってしまう、ギャンブル依存性。……どういうわけか家にお金がたまらなかったのは、彼女の浪費に依るところが多かった。私の稼ぎを増えるに従って、より高いレートの賭け事にのめり込んでいた。

 そのことが事務所にバレたのか、やはり私の人気は一過性の流行に過ぎなかったのか、借金が重なっていった。返せなくなっていた。いくら人気絶頂であったとしても、もらえる給料も仕事もある時期には頭打ちになる、雪だるま式に増える借金には追いつかなかった。だからか、悪い筋から金を借りた。その取立てに応じられなくなり、見せしめに……顔を焼かれた。

 泣き崩れる母、付けられた火傷を見ては恐怖し悲しむ。何か言い募ろうとするも、跳ね除けられた。自分の中に閉じこもりがちになる。

 何とかしないといけない、そう思った。ここまでこれたのは母の助けがあってのこと、今度は私が助けなければならない。そう願っていると、思いついた。すぐに行動に移していた。―――自分の顔を、自分で焼いた。

 

 異音か異臭か、あるいは父の悲鳴に気づいたのか、母も何事かと部屋を飛び出した。……そこで、自分の娘の姿を見た。

 両親は慌てて、私の手からバーナーを奪い取った。驚き困惑し叱りつけようとする彼らに向かって、「ほら、こんなの全然、たいしたことないよ」と言った。ちょっとした化粧、ゾンビメイクみたいなものだと笑った。コレで母は大丈夫だと、安心していた。

 だが、そんな私を見て母は……、怒り狂った。「そんな醜い顔、私に見せつけてなんのつもりよッ!」

 

 

 

 その数日後、母は家から出て行った。何も言わずに、父とも離婚した。

 

 

 

 

 

 ◆   ◆   ◆

 

 

 

 親友の話。それは、私にとって初めての失恋だった。

 

 

 

 顔に火傷を負った私は、それまでの仕事を辞めざるを得なくなった。みな申し訳なさそうに、『事故』のことをお悔やみ申し上げるといいつつも、離れていった。

 別にかまわなかった。当たり前のことだと納得していた。だから、快く見送った。―――他にすべきことができたから。

 仕事一筋、自分のことだけしかできない父を、今は一人で支えなければならない。家事洗濯掃除買い物などなど。今まで母が面倒を見てくれたことを、私がやらなければならない。

 そんな苦境の中、私に親身に接してくれたお節介がいた。

 今までの美少女モデルが落とされて、今や貧しくも醜い怪物。いわば逆シンデレラだ。その落差ゆえか今まで抑えていたのか、奇異の目で見られた。「ざまぁ見ろ」とちょっかいを出してくる輩も何人かいた、直接手は出さず陰険な手を使って仲間はずれにする輩もいた。今まではラブレターが入っていた靴箱やロッカーや机の中には、呪いの手紙やら汚い雑巾やら何だかよくわからない虫やらが入るようになった。もちろんそんな人たちばかりではなかったが、大勢としては皆、堕ちた私の姿を面白がっていた。またとない見世物だった。―――そんな彼らから守るように、彼は盾になった。

 彼は剣道部の主将だった。中々の腕前で、全国にまでその名が轟いている猛者だった。だけど見た目はゴツさなどなく、中々の美男子であった。それでいて硬派でもある、引く手あまただっただろうに誰とも浮き名がなかった。私がまだ火傷を負わずにチヤホヤされていた時でも、我関せずと流行には乗らなかった。加えて、生徒会のメンバーの一人でもある、運動部全体の総意を伝える代表として彼は選出された。頭も良く、部活や生徒会の仕事で忙しいはずなのに、成績はトップクラスを維持し続けていた。

 彼のおかげで、少々はマシな学校生活を送れるようになった。男女ともに私へのイジメの手が退かれた。女子からは違う意味で嫌がらせを受けたが、それまでと比べれば大したことはない。その手の煩わしさは嫌いだった。だから、その感謝からくる興味もあって、剣道部に顔をだしてみた。―――見た瞬間、面白そうだと思った。

 翌日には、入部させてもらうことにした。経験者でもなければ時期外れでもあったが、認めてもらった。「面を被れば顔を隠せるから」と匂わせたのが決め手だったのだろう、あるいはソレを察してくれたのかもしれない。腕っ節があれば煩わらしさも減ってくれるはず。

 部員たちの稽古を見る、彼の試合を見る、先生の立ち振る舞いを見る、有名選手たちの立会いを見た。それを元にイメージトレーニングを続ける、イメージと体の各所をリンクさせる、不具合を一つ一つ修正しては動きを染みこませていった。運動部ではなかったが、仕事と家事でそれなりに体を動かしていたから、芯はできていたからだろう。人の動きや立ち姿を真似るのは、母から叩き込まれ仕事で鍛えられてきた。

 

 一ヶ月には、達していなかっただろう……。

 私は先生を上回っていた、彼をも上回る腕前になっていた。彼や部員たちの勧めで通っていた道場の師範も唸らせた。

 はじめこそ負け続けだったが、徐々に一本二本と取れるようになった。そして対等のつばぜり合いもでき……、逆転した。もはや彼は私から一本も取れなくなった。初めて勝った次の試合にはそのことがわかった、だから手加減した。私は新入部員であり彼は主将、おまけに全国大会の出場経験者、学校の運動部の顔でもある。その顔は立てないといけない。―――その頃から、彼の様子はおかしくなり始めた。以前とは違う、私を見る目がかわっていた。

 その時、事件が起きた。

 彼の利き腕が……壊された。体育館の倉庫で作業中、積み上げられていたモノが雪崩落ちた巻き添えになって。

 動かなくなった利き腕、腱がちぎれてしまった。現代の医療技術では完璧に治すことはできない。ギリギリペンを握れるだけ、もはや竹刀は振るえない、そんな不幸が彼に課せられた。部員たち後輩たち友人たち家族、大勢の皆が彼を見舞いにやってきた。彼を心配していた。しかし、彼は一人にしてくれと閉じこもった。今までの明るい彼は見る影もなかった、そのことがわかってもいたからか独りでいたかったのだろう。

 何とかしなければならない。彼には借りがあった、中々に良いやつでもある、ここで終わらせるのはしのびなかった。そう思ったらすぐに、方法が思いついた。―――腕の腱を切った。

 

 動かなくなった腕を抱えて彼の下に見舞いに行った。

 「こんな怪我大したものじゃないよ、また一からやり直しましょう」と、励ましの言葉をかけた。何事でもないと肩をすくめながら。

 実際大したことではないと思っていた。たかだかその程度で貴重な青春を捨てるのは勿体無いから、人の短い一生にふさぎこんでいる暇なんてないから、前向きでありさえすれば世界は愉しさをくれる。腹の底からの笑顔に、幸せは舞い込んでくるものだから。

 言葉足らずながらも、そう言いたかった私を見て彼は……、怯えた。「なんでだよ、なんのために僕が……。よりにもよって君が、そんなことを―――」

 

 

 

 その数日後、彼は屋上から飛び降りた。なんとか一命は取り留めたものの、頭を強く打ってしまったからだろう。目が覚めても彼の意識はもどらなかった。

 

 

 

 

 

 ◆   ◆   ◆

 

 

 

 神父様の話。それは、私が私として初めて立った日だった。

 

 

 

 腕が使えなくなったため、彼がそうなった後、剣道部はやめた。マネージャーとして誘われてはいたものの、勉強と家での仕事もあるので遠慮させてもらった。おざなりで言われているのもわかってはいた。

 代わりに、彼の不幸について思うところがあって、近所の教会に足を運ぶようになった。丘の上に建っている教会、戦後になって建てられたものだが古びた所はなく時折補修されてきた。教会というのは日本の街並みや風土にも合わないものだと思っていたが、違和感なくかと言って肩身が狭そうにもせずそこにあった。朝夕の集会に赴き、そこの神父様の説教を聴くようになった。そしてよく、懺悔室にて告解も聞いてもらった。

 父よりも年齢が上で額もかなり後退している、全体的にやつれている風貌。使い古されたアンティーク時計のイメージ。カソックを脱げば何処かにいるような中年男だが、長年神職を務めてきたためだろう、俗っ気は洗われていた。あるいは、間違って漂白されてしまったかの雰囲気でもある。ただ、傍にいるのが当たり前で気にならない、自然と落ち着かせてくれる穏やかさを纏っていた。

 暇があってか神父様がいい人だったからか、あるいは教会の中に入ると洗われる心地よさがあったからか、理由は色々とある。そこで働かせてもらうことにした。毎朝登校前に学校帰りに、休日も時間をなんとか作って通いつめた。聖書や神学についての勉強をさせてもらった。毎日目の覚めるような時間を過ごせた。

 

 四ヶ月ほど経った頃だろう……。

 神父様に誘われて説教させてもらうようになった。冗談めいた誘いから始まったことだったが、それが中々に好評だった。人が集まるようになった。何度もさせてもらううちに、初めは老人たちだらけだったココにも、次第に若い人たちも集まってきた。小学生やら幼稚園児までやってきた。教会の中は生き生きと、華やかさを帯びてきた。説教がメインではなく、集まった人達の話を聞くことが主な仕事となっていた。皆が皆、私に話を聴いてもらいたがっていた。子供たちの遊び相手もした。―――その頃から、神父様の様子がおかしくなり始めた。以前はただ優しく慈愛をもって接してくれていたが、どこかトゲがあるようなそれでいて避けたがっているような視線を向けてくる。

 その時、事件が起きた。

 いつもの日課として教会にやってきた私、しかしそこには誰もいなかった、いつもは誰かしらいるのに伽藍堂。時間も時間なだけにあまり気にはしなかった。しかし地下室への階段、立ち入り禁止されているので近寄ったことはなかったが、下から神父様の声が聞こえた。誰かしらと言い合っている声音。普段とは違い感情を露にもしている。好奇心に駆られて降りていくとそこには、異質な光景があった。

 人工の花畑、そばにいるだけクラクラと目眩を引き起こされる匂い。何かのニュース番組で、それを見たことがあった―――。ソレを詳しく観察するまもなく、気づいた誰かが私の意識を奪った。

 

 目が覚めた時、一面は火の海になっていた。

 燃え盛る火の壁、どこにも逃げ場がない。加えて両足には、頑丈な枷がハメられていた。身動きもとれない、熱せられ炙られ続ける。

 火勢は高まり続け、熱風と煙で息苦しくなった。呼吸するだけで喉が焼かれるような不快な感覚も味わう。このままでは死ぬだけだと、悟らされた。何とかしなければならない。助かる方法はあるはず……。

 ふと、傍に落ちていた園芸用の鋏が目に止まると、閃いた。すぐにそれを掴むと、振り上げる。―――両足を切断した。

 

 火事に襲われた教会は、あられもない黒焦げの姿を晒していた。

 消防隊は、渋滞に巻き込まれたのか遅れに遅れてやってきた。鎮火に手間取ってしまった。幸い近くに住居はなく風も穏やかで燃え移らなかったが、教会は原型をとどめぬ黒い骨組みだけの姿になってしまっていた。……そんな廃墟の中、私は救助された。

 どうしてあの火災の中で助かったのか、わからない。救助してくれた消防隊の人たちも驚いていた。焼け落ちた梁やら柱やら長椅子やらが折り重なってシェルターになったから、足の傷口は焼かれたがために失血死することもなかったなどなど、色々と説明はあった。だけど総評として、私が生き延びたことは奇跡以外の何者でもなかったと、皆口を揃えて言った。

 

 助けられた私を皆が祝福してくれた。良かった生きててくれて本当に良かったと、泣きながら生還を祝った。皆からそう言われて、初めて私は戻ってこれたのだと、生きているのだと再確認できた。……そんな輪の外で神父様は、信じられないようなモノを見たかのような視線を向けていた。

 私は彼の姿を見かけるとすぐさま、「良かった。神父様もご無事だったんですね」と声をかけた。あの時は自分のことしか考えられなかったから、あの場所にいた彼がどうなっていたか心配していた、何事もなかったようで安心した。

 そんな安堵の微笑みを向けた私を見て彼は……、畏れた。何も答えられず。ただ私の手に縋り付くと、涙を流しながら嗚咽を漏らした。

 

 

 

 その数日後、神父様は自宅で首を吊っていた。遺言にはただ『私は愚かな罪人でした』と、誰に宛てるでもなく。持ち物も自宅も財産全て寄付するとだけ。

 

 

 

 

 

 ◆   ◆   ◆

 

 

 

 父親の話。それは、私が進むべき道を見出させた日だった。

 

 

 

 足が使えなくなって色々と支障がでた。そのためか皆が援助してくれたが、その大部分は断った。リハビリもあったし自分のことはできるだけ自分でやりたかった。何より、父が家事を負担してくれるようになったので、必要は少なかった。

 出張続きでろくに家に帰ってこなかったが、流石に心配せざるを得なくなったのだろう。家に居着くようになった父、自室で仕事をこなしていた。

 動きづらいものの手持ち無沙汰の毎日、ふと興味本位で父の仕事場を覗いた、

 そこには、所狭しと並んでいるパソコンやら電子機器の数々。冷却ファンがヴんヴんと唸りを上げては、小さなライトが色とりどりに点灯している、その中央で父はカチカチとキーボードを叩いている。ディスプレイに映るのは、見たことのない文字の羅列。―――見た瞬間、面白だと思った。

 使い方を教えてもらった。

 ソレはまるで異国語だった。覚えきるのには難儀したが、一つ覚えるたびに新しい世界が広がっていく。すぐに飲み込めた。単純なプログラムコードからアプリケーション・セキュリティーシステムの作成、OSの制作までやってみた。昼夜問わずに夢中になって、電子の異世界を堪能した。

 

 およそ半年余り……。

 父の仕事を手伝うようになった。初めは勝手にやらせてもらい、その出来栄えに驚いた父が協力するように言ってきた。

 仕事の内容は合法なものとはよべない、大部分が非合法かつ危険なものだった。俗に言われるハッキングやら、電子証明書の偽造やら、国や大企業や重要人物の機密情報を横流しにするなど。日常では満足しきれない人達に恵まれない人達にプライベートを守りたい人達に、電子と現実社会の網の目を掻い潜って要望を叶える仕事。とてもスリリングで、エキサイティングで、クリエイティブな毎日だった。―――だけど、次第に父はおかしくなっていた。以前は控えていた酒を、よく飲むようになった。

 原因はすぐにわかった。父自身が事あるごとに『その男の名前』を教えてくれたからだ。

 彼は素晴らしいと、自分に勝るとも劣らない天才だと、数々の偉業を成し遂げてきたのだと、褒めちぎっていた。生意気な後輩だと、色々とアイデアを教えてやったんだと、それを元に成功したんじゃないかと。それなのに今じゃ俺を顎で使ってきやがると、俺は奴の下っ端じゃないと、いつか全部取り立ててやると……、愚痴もこぼしてきた。二つの比率は、時を追うごとに/酒量が増えるたびに後者へと傾いていった。そして、さらにその奥へ「俺じゃ、アイツには勝てないんだ……」と、頭を抱え悲嘆に暮れていた。

 何とかしなけれならないと思った。そんな萎れた父の姿を見るのは辛かった。

 父は、生活力については破滅的にダメな人だった。おそらく大人としてもダメだった。私が怪我を負っても、平然と仕事に打ち込み家事を任せきりにする無神経な人だった。だが、生まれた時からともに暮らしてきた。母とは違って話は合うし面白い、一緒にいて楽しい。気分屋で感情の揺れ幅も激しく時折頬を張ってきたり殴りつけたりもするが、そんなところもいい。決まって後には、泣きながら平謝りして好きなモノやご馳走をたくさん買ってくれるから。年齢を重ねれば操縦法も心得てくるので殴られるようなことも少なくなった、ますます好きになった。……だから私は、勝利を贈ろう。そう思った。

 やり方は心得ていた。いつだって、どういうわけかわかっていた。ソレが本当に正しいのかなんて疑問にも思えないほど、全身が痺れるような直感だから。仕組みは後でじっくり考察すればいい、今はそれに従う。だから―――ナーヴギアを手にとった。

 

 父が『かの男』から依頼された仕事。日本の警察や政府、果ては世界全てを騙すための隠蔽工作。

 私も協力させてもらったその仕事のおかげで、彼がこれから何をするのかさきに教えてもらった。そのために必要なナーブギアと『ソフト』を一セット、プレゼントもされた。どこかに欠陥がないか調べて欲しいと、下手に出た言葉を加えて。彼がそんな間抜けな余地など残すわけがないと知っていた父は、ソレを自慢と捉えていた。見てしまえばさらに、格の違いを見せ付けられるだけだと。……渡されたそれは、家の隅で埃をかぶっていた。

 絶対に使ってはならない、使えば出てこれなくなる。口酸っぱく言いつけられたソレを、冠った。起動させた―――。

 戦う前から勝負は決まっている、なんていうのは嘘っぱちだ。戦ってみなければ勝負はわからない、戦わなければ勝ちも負けもない。決まっていると思わされて尻込みしてしまえば、相手の不戦勝になってしまうだけ。なんの傷も被害も負わせず、丸ごとかっさらわれてしまうだけ。……父に必要なのはコレだ。下手に先が読めてしまうから、勝負の手前で足踏みをしてしまう。だから―――私が戦う理由になる。

 私がココにいれば、いやがおうにも戦うしかない。

 

 

 

 ほんの数十分後、父は私に気づくことだろう。ナーブギアを被って横たわっている私に。おそらくはさぞ、泣き喚いたことだろうが……ソレを知るすべはない。

 その後どうなったのか、私は知らない。私はもう、そこにはいなかったから。

 

 

 




 長々とご視聴、ありがとうございました。

 原作のPohの中の男より、格上の子に仕立てましたが……できましたでしょうか?

 感想・批評・誤字脱字のしてき、お待ちしておりました。
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