「ラナー様」
孤児院の子供たちが庭で物思いに耽っていたラナーのもとに駆けよってきた。
「どうしたの? みんな」
ラナーは優しく笑顔で子どもたちをみる。一番近くによってきた女の子の頭を優しく撫でた。
「えへへ。ラナー様、またあの箱を開けて! まだ見ていないの子どもたちがいるの!」
子どもたちは目をキラキラさせている。だが、ラナーは寂しそうに笑う。
「ごめんね、ほら……」
ラナーがオモチャの箱を開けた。箱の中は空であった。本来であれば作り物のカエルが飛び出してくるはずであった。だが、そのカエルはどこかへと行ってしまった。
「ごめんね、この箱の中の
「え~! どこにいっちゃったの?」と子どもたちは口々を開く。
「どこにいっちゃったのかな。ごめんね。また市場で見つけたら買ってくるからね。ほら、泣かないの」
「じゃあ、クライムお兄ちゃんは? クライムお兄ちゃんと剣の練習をして遊びたい!」
「クライムはいま、街に出かけているわ。カシェバさんを探しているの。カシェバさん、昨日から姿が見えないの」
「かくれんぼしているの?」と一人の子どもが言った。
「そうね。かくれんぼしているのかもね。もしかしたら、カシェバはこの孤児院の中のどこかに隠れているのかも知れないわね。見つけてくれる?」
「うん! じゃあ、探す~!」
「みんな頑張ってね! もし、見つけたら教えてね」
「うん! じゃあ、まずお庭を探してみる!」
「俺は部屋を!」
子どもたちは、それぞれ思い思いの場所へと行く。
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再び一人となったラナーはつぶやく。
「アルベド、どうやら失敗したようね……」
ラナーは考える。
アルベドはおさまるところにおさまってしまったのだろうと。
アルベドが成功していたら、今頃自分は帝国と王国を手に入れ、クライムを馬鹿にした奴等を皆殺しにしているだろう。
アルベドが失敗して殺されていたら? ナザリックに、帝国や王国を治めるだけの能力があるのはデミウルゴスだけ。そして、デミウルゴスなら帝国や王国を統治するために、自分に白羽の矢を立てただろう。そうなれば、一気に、自分は魔導国の、魔導王、デミウルゴスの次に権力を握る者となれていただろう。
そのいずれでもない。つまり、あの甘々の魔導王が、アルベドを許したということだ。
「残念です、アルベド。私とあなたは気が合うと思っていたのに。愛する男のために、世界の一つくらい壊してくれると思っていたのに……」
今回は、自分にはまったくデメリットのない美味しい話であった。偶然手に入れたチャンス。
自分は、”ぷれいやー”なる存在を発見したら、報告しろと命じられていた。だから、報告しただけ。命令通り行動しただけ。責められることなど何処にもない。
あと、アルベドと愛する男と添い遂げるためにはどうしたらいいのか、恋バナをしただけだ。責められるいわれは何処にもない。勝手にアルベドが行動しただけ。私は上司であるアルベドの指示に従って行動しただけ。
「せっかく面白いオモチャ、
ラナーのつぶやきを聞く者はいない。
ご愛読ありがとうございました。
完結まで時間がかかって申し訳ありませんでした。
本作は、オーバーロードの三次創作、『かごの悪魔企画』企画でございました。
拙作が一番完結が遅かったのですが、他の作者様でも『かごの悪魔企画』がございますので、
合わせてご覧戴けたら嬉しいです。