ジータちゃんが闇堕ちしたら……   作:もうまめだ

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お初におめにかかります、もうまめだです。

グラブルで何か書こうと思って、最初は王道ものの神様転生にしようと思ったのですが、書いている方がほかにもいらっしゃったのでifストーリーにしました。

ジータちゃんのヴァーミリオンのスキンの目をして、闇堕ちしそう……と思ったのが書き始めた理由です。


話としては8月末の古戦場の終わりらへんからです。ジータちゃんのスキンはヴァーミリオンでお願いします、時系列おかしいですが。あとグランとジータの2団長制です。

ジータちゃんが完全に闇落ちするまでにあと2,3話いりそう、展開遅くてすみません。じっくり書きたい派で……。

あとがきに裏設定を書いておきますが、裏設定=独自設定なので大丈夫な方のみお読みください……

それではどうぞ


揺れ動く心

  ーーー今日も蒼空を艇は翔ける……ーーー

 

 

 

「はぁ……」

 

 朝。

 ほかの団員たちはまだ深い眠りの中で、叶うとも叶わぬとも分からない夢を見ているんだろう。昨日までの一週間、戦いづめだった私たちは疲労もピークに達していて、グランが昨日突発的に決めた古戦場の次の日はみんな休日!、というルールに従っていた。いつもなら騒がしい食堂や甲板、起きて!、という叫び声と、まだ眠いとぐずる声の応酬もなく、艇全体が静寂に包まれている。その静寂が今の私にはありがたかった。

 

 空の彼方、雲の隙間から橙の光が差し、グランサイファーを仄かに照らす。もうこんな時間か。独り言はまだ肌寒い空気に溶け込み、誰に聞かれることもなく存在を消す。寝静まった艇が起きて、また一日が始まる。

 

 

 といってももう起きている人もいるだろう。操縦室ではラカムが朝の一服を味わいながら、相棒グランサイファーの行き先を決めているだろうし、食堂ではこれからぞくぞくと起きてくる団員たちのための食事をー今日の当番はヴィーラと、あと誰だったかなー作っているところだろう。そしてそろそろ……

 

 

 扉の開く音がして、一人の少女がその頭上に小さい竜を携えながら、甲板に出てきた。手を空高く伸ばし一度大きく背伸びしたその少女は、ちょこんと座っていた私の姿に気づき、はっとした表情を浮かべて。

 

 

「わぁ、早起きなんですね。ジータ、おはようございます!」

 

「うん、おはようルリア。ビィもおはよう」

 

「おう、おはよう! ほんとジータはいつも朝早いな! 疲れてるだろうし、もっと寝ててもいいんじゃねえのか?」

 

「ううん、大丈夫。それに私はこの騎空団の団長なんだから、みんなが疲れている時こそ頑張らないと……」

 

「そういうところも昔から変わらねぇな。でもあんまり気負いしすぎないほうがいいんじゃねえのか。ほら、グランだっていびきかきながらぐっすり寝ていたぜ?」

 

「うん、ありがとビィ」

 

「ジータ、本当に大丈夫? 元気ないみたいだけれど……、ちゃんと休めた?」

 

 

 ルリアが心配そうな表情で私の顔を覗き込む。実を言うと、昨日から全く寝ていなかった。戦闘に疲れ切っているはずの身体は休養を欲しているのに、それを嫌がっているかのように、いや、むしろ次なる依頼を欲しているかのように、心と頭は冴えていた。古戦場が終わり、そのまま団員たちは打ち上げをして、終わったのは夜1時ごろだろうか。ベッドに入ったのは2時ごろだったが、1時間後に眠れる気配のしない自分に嫌気がさし、外の空気を吸おうと外に出たまま朝を迎えていた。島に停泊していた艇を動かすため起きたラカムに見つからないように一度自室に戻っただけで、あとは風景が目の端から端へ流れていくのをぼーっと見ながら呼吸だけをしていた。

 

 

 

 最近こういうことが増えた。よろず屋のシェロカルテのおかげで各地で名前が売れ始め、舞い込んでくる依頼の数は激増した。それに追従して徐々に増え続けている団員達も癖はあるがいい人達ばかりで、それは優秀な勧誘役である少女と小竜のおかげだが、私やグラン抜きで依頼をこなしてもらうことも増えた。依頼という名の信頼が人と人とをつないでさらなる依頼を呼び、新たに加入してくる団員達もいい人ばかりで流れに乗っている私たちの騎空団。それなのに、いやそのためというべきなのか、いつからか私は気持ちが沈んでいる私を頻繁に見かけるようになった。

 

 

 理由はわからなかった。そして気落ちしている団長という姿は、団員たち、いずれは団全体に移っていくと思った私はそれをひた隠し、いつも以上に元気で活発な団長ジータを演じた。元気な自分を演じれば本当の自分も元気になっていく、とも願って精一杯元気になった。うまくいったと思う。ゼタなんかには、最近元気だね、いい男でも見つけた?、とからかわれるぐらいには。小さいころからの付き合いであるビィにもばれなかったし、命を共有してるルリアにも悟られなかった。そのことに安堵した私は、内面の、本心の私がさらに沈んでいくのを見て見ぬふりしながら、外見を取り繕った。

 

 

 

 

 そして、見破られた。

 

 

 

 

 古戦場が始まる前日、つまり一週間前、明日からがんばろうと自分の心にむち打ち、眠ろうとした私は、自室の扉がノックされる音を聞いた。

 

 

「俺だけど……」

 

「グラン?、どうしたの?」

 

「ちょっと話があって」

 

「そう、うん、入っていいよ」

 

 

 扉を開けて中に入り、椅子に座ったグランは私の顔をじっと見つめて、少し考え込むような顔をして、口を開いた。いつもの誰に対しても分け隔てなく明るくしゃべるグランがあまり見せない表情だったので、私もすこし緊張しながら耳を傾けた。

 

 

「ジータ、最近何かあったか?」

 

「えっ?」

 

「いや俺の気のせいならいいんだけれど。少し前に急に元気になったじゃん。みんなはわからないかもしれないけれど、きょうだいの俺にはわかるんだ。明日から古戦場だし気を抜けないから、もし何かあったんなら……」

 

「えっ……と」

 

 

 悩んだ時間は一瞬だった。隠す。たとえグランであっても。私も……私は団長だから。

 

 

「……最近依頼増えてきたからさ、みんなも疲れてるかなと思って。ならまずは私が元気にふるまって、みんなに元気をあげられればって思っただけだよ。もちろん依頼が増えたのもみんなのおかげだし、それのお礼っていう意味もあるけど。私はだ、大丈夫だから」

 

 

 最後声が震えた。多分私の心に気づいてくれたのはグランだけだろう。それはつまり、私の心の助けに応えてくれるのもグランだけだということになる。それを振り切り、大丈夫という偽りの言葉を発してしまうということは、グランに助けを求めることを自らで拒否したということでもある。声が震えたのは、私の本心の、最後の抵抗だったのかもしれない。

 

 

 グランの表情は明るくはならなかった。むしろ少し翳ったようにも見えたが、それ以上追及することはなかった。それはそれでうれしかったし、淋しかった。もう一声、本当に?、とか、嘘ついているよね、とか言ってくれれば、私の本心があふれ出していただろう。たったその一声のあるなしの違いが、いや、私がグランに本心を見せなかったというその小さな強情さが、大きな変化を生むであろうことに私は気づくこともなく、おやすみと声をかけて出ていくグランの背中を見ていた。

 

 

 次の日に見かけたグランはいつも通り私に挨拶をしてきた。私もいつも通り返した。まるで昨日の会話はなかったかのように。そして、古戦場での戦いが始まった。

 

 

 結果的に古戦場での戦いはうまくいった。私たちは団を創設してからの時間は短いにもかかわらす、ほかの団に引けを取ることなく、多くの星晶獣を討伐していった。最初の2日間で行われる予選を難なく突破した私たちは本選に進み、星晶獣を討伐することで得られる貢献度をほかの本選に出場した騎空団と競い合った。本選はランダムに選ばれるもう一つの騎空団と一対一で貢献度を競い合うもので、制限時間は朝から夜の12時までで、それを5日間行う。最初の4日間を全勝して迎えた5日目は予選4位の騎空団とあたり、善戦むなしく惨敗したが団員たちの顔は清々としていた。健闘を祝った皆が楽しむのを私は静かに見ていた。私は、気落ちしていた理由を見つけていた。

 

 

 本選3日目だった。相手はそれなりに強い団で、終了1時間前の時点で貢献度はほぼ同じという接戦だった。私とグランはサポートに回っていた団員達も討伐に加わてもらうことに決め、背水の意志で私たちのすべての力をぶつけることにした。そのとき私たちは比較的強い星晶獣の群れに遭遇して苦戦を強いられていたが、私はグランに戦闘の場を頼み、その旨を団員達に伝えるためすぐに艇に戻った。団員達は表情を崩すことなく了承し、それぞれの武器を持ち、星晶獣を討伐せしめんと古戦場を進んでいった。私もすぐにグランたちのところに戻った。もしかしたら危険な状況に陥っているかもしれない。私が行って……助けないと。

 

 

 けれど着いてみたらそんなことはなかった。予想は違った、いや、予想に裏切られた。艇に伝えに行き戻るまでにほとんど時間をかけなかったのにもかかわらず、50体はいた星晶獣は皆倒されていた。グランたちは疲労のせいか地面に座り込んでいたが怪我をしている人はいなかった。

 

 

 私の……

 

 

「グラン……、艇のみんなには伝えてきたよ。今はもう全員討伐しはじめてると思う」

 

「あぁジータ、ありがとう」

 

「こっちは……、その……、どんな感じだったの?」

 

「ジータいなくなってやばいなって思ったんだけれど、みんなもそう思ったのかな。みんな一気に動きがよくなって、気づいたら全部倒しちゃってた。さすがにその反動で今は動けないけどね、ははっ」

 

 

 私の……

 

 

「ほんとすごかったんだよ。バザラガとか最後は無傷の星晶獣を、ぬんっ!、っていう一振りで倒してたし、ゾーイなんて今にももう一つの姿で顕現するかのような覇気を纏っていたし、ヴィーラなんて……ジータ?、どうかした?」

 

 

 無意識に武器を握りしめていたらしい。不意にグランに声をかけられ、はっとして武器を地面に落とす。さくっという音を伴い突き刺さる武器に視線は動いたが、拾う気にはなれなかった。

 

 

「ううん、何でもない。みんな疲れてるならもう少し休んでて……、私は大丈夫だからもうちょっと討伐してくる」

 

「あぁ、うん、っておい、武器忘れてるぞ」

 

 

 その場を離れようとする私にグランが声をかける。私はいつの間にか張り付いてた笑顔をグランに見せ、剣を拾い納刀する。そのまま無意識に音のないほうへと足が勝手に動いていくが気にはしない。私の背後で声を発する人はいなかった。

 

 

 

 

 歩いた。残り時間が短いことに気づき走った。一体でもいい、弱くても魔獣でもなんでもいい。貢献しなくちゃいけない。私は……団長なんだから。けれど、そのあと私は星晶獣に会わなかった。まるでこの島全体が私に貢献をさせないかのように。私は誰にも、何にも遭わずに制限時間を迎え、そのまま艇に戻った。戻りながら、心中に黒い感情が渦巻き、そして私は気づいた。

 

 

 私はひがんでいたのだ。いつの間にか私よりも強くなっていた団員たちに。私は嫌になっていたのだ。団長という肩書を持っているのに、団員たちよりも貢献できていない私に。私は認められ続けたかったのだ、私に価値があることをみんなに知らしめることで……。

 

 

 私のいる意味って?、価値って?

 

 

 そのあとの2日間は苦しかった。気持ちが沈んでいた原因が、他人へのひがみという醜い理由だったことに。他人よりも強いということでしか、自分に価値を見いだすことができなかったということに。あの日、グランたちのところに戻ったとき、まだ倒していない星晶獣か怪我をした団員がいることを願ったことに……私がいればこうならなかったでしょ?、という私への価値づけをしたかったことに。

 

 

 生物的に女よりも男が強いというのは正しい。ただ強いだけが団長ではない、弱くてもみんなをまとめて支えられれば、それで立派な団長だ、というのにもわかる。でも私は納得できていなかった。団長なんだから誰よりも強くなくては、私がいるというその価値がなければ……

 

 

 

 

「……ータ、ジータってば、聞いてる?、本当に大丈夫?」

 

「えっ、あぁ、うん大丈夫だよ」

 

 少し考え事をしていたようだ。今日寝れずに外で過ごしていたのも、醜い私に気づいてもなお、みんなに認められたいという感情が渦巻いていたからだった。休んでいない脳は無意識に考えたいことも考えたくないことも考えている。こんなんじゃ……だめだね。

 

 

 涙目になっているルリアの頭を撫でて、立ち上がる。息を大きく吸い込むと、空高く新鮮で潤った空気が全身に染み渡る。

 

 

「ねぇルリア、私ってみんなの役に立っているかな?」

 

「えぇっ?、そんなの当たり前じゃないですか!」

 

「そうだぜ!、いきなりどうしたんだよ?」

 

「ううん、ありがとう、ルリア、ビィ。朝ごはん食べに行こうか」

 

「は、はい。ちょっ、ちょっと待ってくださーい!」

 

 

 聞きたかったこたえが返ってくる。そうだ。私はみんなのために役立っているんだ。少なくともルリアとビィはそう思ってる。それでいいじゃない。心の奥底に渦巻く黒い感情をなんとか押し殺し、私は食堂へ向かう。そこに、運命を変える依頼書があることも知らずに。

 

 




お読みいただきありがとうございました。


誤字脱字意見等感想大歓迎です、きつめのコメントは心に響くのであまりうれしくないです……

ビィ君とルリアの口調が難しい……。


というわけでちょっとした裏設定=独自設定
大丈夫な方のみご覧ください

まず、グランとジータですが、一応双子でグランが弟、ジータが姉です。普通は逆っぽいですが。
一応理由はあります……。

あと、ゲームに出てくるプレイアブルキャラは全員いる感じですが、全員は多分でてきません……


気づいたかわかりませんが、本編の古戦場も闇有利の光イベです、ゾーイちゃんは水着です


古戦場の説明少し入れようと思いましたが、間延びしそうでやめました


それではありがとうございました。



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