ジータちゃんが闇堕ちしたら……   作:もうまめだ

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うむ、がんばるぞい


もうまめだです、第12話に(ry


アガスティアの隠し港ってどこらへんにあったんですかね、想像で婉曲して書きました。

それではどうぞ!







侵入の裏で

「大将さんよぉ、ここに入っていけばいいのか? 先が暗くてよく見えねぇんだが」

 

「はい。艇がすべて入ったら明かりをつけて大丈夫です。見つかる危険性はなくなりますので」

 

 ラカムの操艇技術のおかげで俺たちは軍艦に見つかることなく、浮力消失高度ぎりぎりを潜り抜け、隠し港に到着しようとしていた。帝都の下に小さな洞窟のようなものがあり、グランサイファーはその中にゆっくりと入っていく。月の光さえも遮られて真っ暗な中を、針の穴に糸を通すような正確さで艇は進んでいく。失敗すれば大惨事も免れない状況を、まるで楽しむかのようにラカムはこなしていくのだった。

 

「にしても何でこんなところに隠し港があるんだ?」

 

「もともとはエルステ帝国建設時の資材運搬のために使用されていた港のようです。当時はこのような港がいくつもありましたが、帝国建設後にすべて取り壊される予定でした。しかしエルステ帝国を存続させるためには時の宰相でさえ知らない港を用意しておく必要がありましたので」

 

「宰相にも隠しているのか? お偉いさんなのに?」

 

「私の役目は国の宰相を守ることではありません。エルステ帝国そのものを守ることにあります」

 

「なるほどねぇ。おっと、あそこに停泊すればいいんだな。おい、グラン!、艇をつけるぞ」

 

 

 二人の会話を聞きながら操艇の様子を見ていた俺はその場を離れ、あらかじめ決めておいた作戦の下団員たちに指示を出して回る。グランサイファーの見張りと待機を兼ねて艇に十数人残し、戦闘が得意ではない団員は街に出て混乱の収拾、残りはタワーへの侵入の補助、そして障害の排除を任せている。

 

 港に停泊し、団員たちを艇から下した俺たちはアダムの指示のもと道を進んでいく。長い間使われていなかったにもかかわらず隠し港はきれいだった。

 

「ここからは隠し通路となっています。一本道となっていますので道に迷うことはないと思います。通路は地上までつながっていて、出口は中心街の裏道となっています。そこから徒歩で十分程度のところにタワーがあります」

 

「途中に、兵がいる可能性は?」

 

「少ないながらもあります。通路の途中に広めの空間があるのでそこで待機している可能性はありますが、フリーシアはこの港の存在を知らないはずですので。大事を取って私が先行しましょう」

 

 数十名が一列になって細い通路を進んでいく。アダムが先頭を歩き、その後ろに頭にビィを乗せた俺が、そしてその後ろにはルリアが続く。殿はカタリナや、オルキスを連れた黒騎士に頼み、徒歩5分程度の道を進む。

 

 地上から行ったみんなは大丈夫だろうか。艇で隠し港から帝都に入る俺たちは軍艦に見つからないようにするため時間がかかるものも、一気に帝都中心部へと潜入できる。それに対して地上から帝都にはいることにしてもらった秩序の騎空団を含むみんなには、意識を失う人が続出する街の混乱を最小限に抑えるという役割を果たしてもらうことになっていた。街の周りから混乱を収めていき、街の中心部へと進み最終的に俺たちと合流するという予定だ。

 

 しかし、アダムの話によれば星晶獣デウス・エクス・マキナは比較的ランダムに精神を抜き取る人を選ぶため、混乱を収めたとしても新たな被害者が増え続けるため完全に収拾するのは困難なはずだ。そのため中心部での合流は予定よりも遅れ、タワーへの侵入の援助は期待できないだろう。

 

 アダムの言った通り途中に広い空間があったが兵はそこにはいなかった。俺はひとまず安心したがアダムは腑に落ちないようだ。

 

「本当にこの隠し港はフリーシアに見つかっていなかったのでしょうか……」

 

「ん?、だって時の宰相には知らされていないはずだったんでしょ?」

 

「はい。しかしフリーシアは抜け目ない性格です。宰相になる前からこのエルステ帝国については隅々まで調べ上げていました。いくら隠し港といえど、私の知らない資料に記載されている場合も考えられます。もちろん見つかっていないのであれば好都合ですが……」

 

 一度歩く順番を変更し先に進む。出口は裏道にあるが、さすがに大人数が一度に外に出てしまうと不審に思われ見つかる可能性が高い。そこで何回かに分けて地上に出ることになった。最初にでるのは時間的に余裕のない、リアクターを止めるためにタワーに侵入する部隊。そのあとタワー侵入を援助する部隊、そして最後に街の混乱を中心街から収めていく部隊。カタリナや黒騎士はタワーへの侵入に参加するので、前に来てもらった。その代わりアダムが一番後ろに回る。

 

「俺としてはアダムも一緒にタワーに侵入をしてもらいたいんだけれど……」

 

「見つかる危険性を考えて少人数が好まれます。それに……私にできるのはここまでで、せいぜい住民の安全を確保することです。ご武運をお祈りいたします」 

 

 

ーーー

 

 裏道から街に出た俺たちは不審に思われないように装いながら、メインの通りに入っていく。タワーの近くは中心街となっていて、店も多ければ人通りも多く、また兵も多い。しかし、予想通りというべきか、不幸にもというべきか、すでに混乱は広がっていた。

 

 一目で異様さが伝わった。道の真ん中で倒れている人が二人がかりで運ばれていく。その先には少し前に意識を失ったのだろう、横たわった人が何人も連なっている。あらゆる場所に倒れたまま動かない体があり、それらが無言の助けを求めてるが、助けるほうもパニック状態にあり統率を図れていないようだ。兵士たちに助けを叫んでいる人もいるが、その兵士たちでさえ何が起こっているのか理解できていない。

 

「これは……ひでぇな。この混乱も最後にはなかったことになるんだから、我関せずって感じか、フリーシア宰相様は……うわっ、おい!」

 

 助けを呼ぶために走っていた人が、ラカムの前で突然倒れた。頭ががくんと下がり、足がもつれ、地面に倒れこむそのさまがスローモーションのように目に焼き付く。隣にいたルリアが声の出ない悲鳴を上げる。

 

「うっ……カタリナ! 後ろのみんなに俺たちの助けはいらないって伝えて。その代りにすぐに街の混乱の収拾と、住人の救援に取り掛かるようにって。俺たちは先にタワーに向かってる!」

 

「分かった!、すぐに追いつく!」

 

 

 目の前の惨状を無視したかのような罪悪感に苛まれるが、俺たちはその場を離れタワーへと走り始める。リアクターがすべての原因であり、それをできるだけ早く止めることが最善の解決策なのだが、途中で何度も助けを求められ、それを無視してまで進まなければいけない自分たちに怒りを覚える。それを何とか抑え込み、走り続けた俺たちは無事にタワーの入り口まで着くことができた。暗闇を模したかのように巨大で真っ暗なその建造物はすでに異様な雰囲気を放っていて、そしてなぜだかわからないが、俺たちを迎えるかの如くその入り口を開けているのだった。

 

「なぁ、なんでタワーの門は開いているんだ」

 

「罠かもしれない。でも俺たちの最終目標はこのタワーにあるリアクターを止めることなんだ。だったら罠でもなんでもいい、むしろ好都合でしょ?」

 

「おいグラン、さっさと入るぞ」

 

「カタリナがくるまで待ってくれない? 黒騎士が焦っているのもわかるけど、ここからは慎重にいかないと……」

 

「ふん、すぐに来るんだろうな」

 

「当たり前だ」

 

 内心は不安に押しつぶされそうになっていた。タワーの入り口が都合よく開いているなんてことがあるだろうか? それもフリーシアにはすでに俺たちの軍の施設への潜入は伝わっているはず。ならなおさら警戒しなくちゃいけないはずなのに。

 

 そしてあの場から離れたジータ。……確か、フリーシアに会いに行くって言ってなかったか? それなのにリアクターの起動は始まっている。あれだけの強さのジータがフリーシアに会うのに失敗したのか……、いやでもここが開いているのならタワーに入ることはできたはず。ならどうして……

 

 様々な推測がピースとなって俺の頭の中を飛んでいた。そしてそれらはうまくくっつきそうなのに、何かに阻まれるがごとく近づくことさえない。ふと視界にルリアと、黒騎士のそばに立っているオルキスが見えた。……何か、何か重要なことに気づけていない……。ピースが活性化したかのごとく、脳内ではじけ飛ぶ。

 

「グラン!、遅れてすまない。ん?、どうしてタワーが開いているんだ、おい、グラン?」

 

「あ、あぁ、カタリナありがとう。タワーが何で開いているのかわからないけれど好都合でしょ? よし、みんな行くよ」

 

 十二人と一匹がタワーの内部へと足を運んでいく。奥へと進んでいく彼らは、背後でタワーの門がゆっくりと閉まっていくことに気づいていない。門は外の光が中へと差し込むのを遮り、一人の人影を外に出し、そしてタワーは暗闇と沈黙に包まれる。

 

 

 

ーーー

 

 

「おいクラリス,何でお前はオレ様についてくるんだよ?」

 

「だってカリちゃんの大きさじゃあ一人で人を運ぶのは無理でしょー? だから美少女錬金術師のクラリスちゃんがカリちゃんを助けてあげようってわけ!」

 

「だれがお前に助けを求めたんだよ? それにこれだけ大規模な街だ、二人で行動するよりは一人で行動したほうが助けられる人数が増えるだろ?」

 

「いやぁ~そうなんだけどさ。でもグランがさっき言ってたじゃん?、そのリアクターってやつ?、がうちらの精神を奪っちゃう可能性もあるから二人一組で行動しろってさ! そうすればどちらかが倒れた場合でも助けることができるって」

 

「オレ様の場合は大丈夫なんだよ、精神を一つ上の次元に保存してるからな。だから奪われてもそこからコピーしてくれば問題はねぇ、っていってもお前のおつむじゃ分からねぇか」

 

「えーなにそれずるいね。さすがうちの家のご先祖様だねっ! じゃあうちが倒れたら安心してカリちゃんに助けてもらえるね~」

 

「なんでそうなるんだよ……まぁいい、グランの指示なら仕方ない。オレ様に迷惑はかけんなよ……んっ?」

 

「さっすがーカリちゃん、話が分かるね! って、そっぽ向いてどうしたの?、あっ!」

 

 視線の先には、2人がよく見知った人物が立っていた。一人はある依頼で初めて会いその時の縁で艇の一員に加わった。もう一人は自らを縛りつけていた封印を解いてもらったことで加わった。しかし今、姿かたちは同じでも、長い間仲間だったはずの面影はその人物にはなかった。

 

「よぉジータ、いや今は元団長って呼んであげたほうがいいか?」

 

「ふふっ、カリオストロは手厳しいね」

 

「ジータどうしたの、ここ一週間別人みたいで、そしたら急にしばらく団を離れるって」

 

「クラリスと話すのも久しぶりだね、あぁ、グランはそう言ってたのか」

 

「え、そうじゃないの?」

 

「そんなことはどうでもいい。 おいジータ、団を離れたお前でもこの街の状態はわかっているはずだ。それがオレ様の目の前に現れて、一体何の用だ? 天才錬金術師の技でも学びに来たか?」

 

「もう全部教えてくれたでしょ?」

 

「あぁ、まぁそうだな。お前はグランと違って、魔術も錬金術ものみこみが早かったな。おかげでオレ様の知識すべてを与えちまったが。まあいい、こっちはグランの指示で今は忙しいんだ、話なら後にしてくれるか」

 

「……カリオストロはさぁ、錬金術で私の身体を意識も感覚も残したまま細かく分解してくれたね」

 

「あ?、なんだと?」

 

「クラリスは小さな爆発で私の身体を少しずつ壊してくれたね……」

 

「ジータ?、何言ってるの?」

 

「グランたちが今タワーに侵入してるんだ。でも私のところに来るまで多分時間がかかるんだ。だからさ、」

 

 ジータがその腰にぶら下げた二対の剣の一本を抜き、その剣先を向ける。

 

「私が消える前に、二人には苦痛を与えて、あの時の恨みを晴らさないとねぇ!」

 

「なんでてめえがグランの剣を持ってんのか知らねぇが……やるってのか? いいねぇ、オレ様のすべてを教えた弟子であっても、この、開闢の天才錬金術師には一歩も及ばねぇってことを知らしめてやるよ!」

 

「うちはジータには恩があるけど、やっぱり前みたいな優しいジータに戻ってほしいから……私も手加減はしないよ!」

 

「ふふっ、戦闘不能にしてグランたちへのお土産として持ち帰ってあげるね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか!

タワーに潜入した12人と一匹は、
グラン、ルリア、カタリナ、ラカム、イオ、オイゲン、ロゼッタ、リーシャ、黒騎士、ドランク、スツルム、オルキスとビィです、確かゲームでもそうだったはず


後半部分ではメインキャラ以外が初登場しました、あと何人か出そうと思います!

というわけでありがとうございました

次の話もよろしくお願いします。
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