雪風と風の旅人   作:サイ・ナミカタ

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第69話 雪風、その資質を示すの事

 ――慌ただしかった朝食の後、魔法学院の図書室にて。

 

 比較的容易に発見できた〝制約(ギアス)〟のルーンに関する書物と、その用法に関する注意事項をまとめた資料を閲覧しながら、タバサとキュルケは揃って頭を悩ませていた。

 

「予想していた以上に、難しい魔法だった。〝制約〟だけに」

 

「制限がある? タバサ。あなたって、たまに顔色ひとつ変えずに冗談言うわよね」

 

 〝制約〟

 

 水の系統魔法に属するこのスペルは、現在ハルケギニアのほぼ全ての国で使用を固く禁止、あるいは制限されている禁呪のひとつである。

 

 この魔法が禁じられた理由は簡単だ。呪文の対象者に特定の命令を与え、本人の意志に関係なく自在に操れるという効果があるからである。おまけにこの魔法をかけられた者は指示の内容のみならず、操られて動いていたことも、魔法にかかった記憶さえも残らない。

 

 腕の良くないメイジが使用すると、対象者の目に独特の輝き――〝魔光〟が宿るため、比較的簡単に見破ることができるのだが、熟練者が唱えた場合は瞳の奥に〝魔光〟が完全に隠れてしまう。そのせいで、実際に呪文の効果が発動するまでの間、本人は勿論のこと、周囲の者も〝制約〟をかけられていることに気付けない。おまけに〝魔法探知(ディテクト・マジック)〟にも反応しなくなるという、非常に厄介な特性までついている。

 

「ただ……」

 

 手元の書物をめくりながら呟くタバサ。

 

「惚れ薬のような効果は見込めない」

 

「アレは危険すぎたものね。まあ水の秘薬があってこそなんでしょうけど、本当にどんな命令でも聞くって感じだったもの。例外もあるみたいだけど」

 

 うんうんと腕組みしながら同意するキュルケ。

 

 〝制約〟はかつて仲間内で問題を引き起こした惚れ薬のように、対象者を完全な操り人形にしてしまうほど強力な魔法ではなかったのだ。たとえば、

 

『日の入りと同時に』『倉庫の中にある箒を一本持ち出し』『自室の壁に立て掛けよ』

 

 と、いう『発動条件』『行動指定A』『行動指定B』という命令が可能なのだが――。

 

 羽根ペンの先で羊皮紙をこつこつと叩きながら、タバサは呟いた。

 

「このように指定した場合、複数箒があったときにどれを選ぶか、どうやって持ち出すか、立て掛ける位置などについてはかけられた人間の裁量任せになる」

 

 それを聞いたキュルケが、机に頬杖をつきながら続けた。

 

「しかも、条件付けを増やすためにはそのぶんだけ属性を足さなきゃダメとか……! なんで禁呪指定されるほど危険な魔法が『ライン』スペルなのかずっと不思議に思ってたんだけど、こういうことなら納得できるわ」

 

 まず、呪文を唱えるために水属性をひとつ使い、行動内容を指定するためにふたつめの〝水〟を重ねる必要がある。つまり、先に述べたようなみっつの指定を行えるのは〝水〟を四枚重ねることのできる『スクウェア』メイジのみであると、ふたりの前にある資料には記されていた。これを見たタバサは小さく眉根を寄せた。

 

「わたしの基本は風系統。風だけなら四枚重ねられるけれど、水はまだふたつが限界」

 

 もっと修行を積まなければならない。という親友の呟きを受け、キュルケがぼやく。

 

「火系統で『トライアングル』のあたしじゃ無理ね。たとえ唱えられたとしても、まともに効果が発動するかどうか怪しいわ。ただでさえ自分の系統に属さないスペルを唱えるのは難しいのに……反属性の魔法を成功させるのは、ほとんど不可能に近いもの」

 

「他系統のメイジでは、父さまか学院長レベルのメイジでないと、まずまともに扱えない」

 

「オールド・オスマンって、確か全部の系統が『トライアングル』かそれ以上だって噂だけど……タバサのお父さまはどのくらい凄かったの?」

 

 親友の問いに、タバサは小さく頷いた。

 

「全系統『スクウェア』」

 

 キュルケの顔がぴくぴくと引き攣った。

 

「な、何よそれ! 四系統完全制覇ってこと!? そんなの『始祖』ブリミル以外に聞いたことないわ! あなたのお父さまって正真正銘の天才だったのね……」

 

 使用する属性がひとつで済む『ドット』スペルならさほど技量を必要としないのだが、他系統で複数の属性を重ねる必要がある、つまり『ライン』よりも上位の魔法を扱うとなると、生まれつき〝複数系統〟の資質を持つメイジでないと厳しい。

 

 そして、ほとんどのメイジはキュルケや『烈風』カリンのように単一系統であることが多い。複数の系統を自在に扱えるというのは、とてつもなく貴重な才能なのだ。

 

 ――余談だが、彼女たちの身近にはオスマン氏の他にも複数系統の持ち主が存在する。

 

 水精霊団のレイナールは基本が風メイジだが、状況に応じて火と風を使い分けることができる。教員ではコルベールがそうだ。火メイジでありながら、反属性の水魔法〝眠りの雲(スリープ・クラウド)〟や〝治癒(ヒーリング)〟を操るとびきりの変わり種である――閑話休題。

 

「父さまが――」

 

 それほどの天才で、ジョゼフ伯父上が魔法的に無能だったからこそ、ガリアは危うくふたつに割れるところだったのだ――そう続けそうになり、タバサは内心驚いた。蒼髪の少女は家族に降りかかった悲劇を他人事のように分析してしまった自分の変化に戸惑いながら、ゆっくりと資料のページをめくってゆく。乱れた心を静めるために。

 

「この本によると〝制約〟はスペルを確実に対象者の耳へ入れなければ効果を発揮せず、命令の指定もできない」

 

 そのタバサの発言に被せるように、キュルケが口を開いた。彼女は資料に視線を落としていたために、親友の微妙な変化に気付かなかった。

 

「おまけに、唱える時には対象者と視線を合わせなきゃいけない上に、相手の意志が詠唱者よりも強かったら、あっさり抵抗されるだなんて、条件が厳しすぎるわよ! それなのに、たったの一回しか発動させられないのよね? 使いづらいったらないわ」

 

「つまり、眠っている人間に〝制約〟をかけるのは無理」

 

「人混みに紛れて狙い打ちする、なんていうのも難しそうね。これを見る限りだと」

 

 タバサはがくっと肩を落とし、うなだれた。

 

「この情報があれば、もっと上手く立ち回れたはず」

 

 〝制約〟はおそるべき魔法だとして、効果が広く世に知れ渡っている。ただし、それはあくまで『呪文の対象者へ、強制的に命令を刷り込むもの』という、非常に曖昧な情報だけに限られる。

 

 タバサは任務で裏仕事に関わることが多かった。よって、一般的なメイジよりも多くの知識――〝魔光〟の存在や〝魔法探知〟にかからなくなるという情報を持ち合わせていた。だからこそ、あの夜襲いかかってきた侍女が、実は〝制約〟によって操られていたのではないかという推理を働かせることができたのだ。

 

 しかしさすがのタバサも〝制約〟という魔法が、これほど発動条件の厳しいものだということまでは知らなかった。元より禁呪であるため、資料の数は限られている。この情報自体、数千年分の蔵書があり、一般生徒立ち入り禁止の『フェニアのライブラリー』でなければ集められなかっただろう。とはいうものの、調べようと思えばいつでも可能だったのだ。タバサは思わず嘆息した。

 

 そんな親友の様子に、キュルケが反応した。周囲を伺い、聞き耳を立てている者が誰もいないことを確認すると、彼女は蒼い髪の少女に囁きかけた。

 

「やっぱり、例の任務に関することかしら?」

 

「そう。彼がわたしに〝制約〟をかけて欲しいと言ってきたのは、おそらくそれが理由」

 

「ねえ。その話、もう少し詳しく教えてもらっても構わなくて?」

 

 タバサは小さく頷くと、キュルケに向かって静かに語り始めた――今回の任務について。あの怖るべき夜の話と、その後に起こった出来事を。

 

 

○●○●○●○●

 

 ――いっぽうそのころ、ヴェルサルテイル宮殿のプチ・トロワでは。

 

 イザベラと王天君が『部屋』の中に置かれているソファにごろりと寝そべりながら、厨房から拝借――例によって『窓』を使ってパクったワインを飲み、新鮮な果物をつまみつつ、昨夜の一件について振り返っていた。

 

「ありがとう、オーテンクン! 本当にどうなることかと思ったわ……」

 

「オメーにはマジで世話になってるからな」

 

「それはわたしの台詞よ! あなたには心から感謝してるんだから!」

 

 トリステインから戻った王天君の報告を受けたイザベラは歓喜した。自分の失態で国に大きな不利益を被るところを救われたからだ。

 

「あんなに怒っていたのに、わたしの下で働いてくれるなんて……!」

 

「アイツは本当にイイコちゃんだからなぁ。お兄サマの言うこたぁ大抵素直に聞くんだよ」

 

 王天君曰く、スネていた弟をうまく宥めることに成功したそうだ。その際に「オメーを探すためにイザベラに協力してもらっていた」と言い添えることを忘れずに。

 

 結果「兄が世話になったのなら」という理由で矛を収め、今後も北花壇騎士団で働くことを了承してくれたらしい。

 

 当然のことながら、それを聞いたイザベラは歓喜した。

 

「よかった……正直に言うとね、もうダメかと思ってたの」

 

 森ひとつを一瞬で吹き飛ばすほどの〝力〟を持ちながら、泥棒としての腕も超一流。おまけに、王族としての教育を受けているイザベラを遙かに上回る目利き。

 

 これほどの人材を自分の接触の仕方が悪かったせいで逃すところだったが、王天君がフォローしてくれたお陰で確保することができた。喜ぶのも無理はない。

 

「ま、せいぜいこき使ってやんな。つっても、やり過ぎるとまたスネるだろうから気ぃつけろよ……なんてこたぁ、さすがにもう言うまでもねえか」

 

「ええ、くれぐれも気をつけるわ。今後は、あなたの弟に向いた仕事を厳選するようにするわね! それと……シャルロットをいじめるのも、ほどほどにしたほうがいいかしら」

 

「そうしときな。それはともかくよぉ。あいつらのことだが……」

 

 指で果物をつまんでぽいっと口に放り込み、イザベラは笑った。王族としての慎みや気品など欠片も感じられない仕草である。

 

「あの子たちが同じ部屋で暮らしていた……ねえ。まあ、貧乏貴族が見栄を張るために従者を雇ったのはいいけれど、個室を与えるだけの金銭的な余裕なくて自分と一緒に住まわせる――なんてことは別に珍しい話じゃないんだけれど」

 

「へぇ、そぉいうもんなのか」

 

「ええ。だからこそ、一緒にいても学院側が問題にしていないんだと思うわ」

 

 イザベラは手にしていたグラスに新たなワインを注ぎ込みながら嘲笑った。

 

「それにしても……ぷぷっ、あの子もとうとう貧乏根性が染みついてきたってわけね! あれでも一応は王家に連なる者なのに、みっともないわぁ! どうせなら、思いっきりそのあたりを突っついてやりたいところなんだけど……」

 

「仮にも元王族相手にそれをやっちまうと、うるせぇコトになる……か」

 

「そういうこと。まったく面倒だわぁ~、王家の血筋って。おまけに、万が一あなたの弟が人間じゃないことがバレると、それはそれで別の問題が発生するしね」

 

 シャルロットが、よりにもよって強力なエルフの亜種(と、イザベラは思っている)を使い魔として従えていることが外に漏れたら、またシャルル派の連中が息を吹き返すかもしれないわ……と、声を出さずに続ける。

 

 そんな彼女の内心を知ってか知らずか、王天君がニヤリと嗤った。

 

「まぁ、オメーが気にしないってんなら別にいいけどよぉ」

 

「あら、何か含みのある言い方ね? まさか、他にまずいことでもあったの?」

 

「いや……な。アイツは人間が大好きだからよぉ」

 

 これを聞いたイザベラは口に含んでいたワインを吹き出しこそしなかったものの、思いっきりむせてしまった。液体の一部が気管に流れ込んだ影響で、げほげほと激しく咳き込む。

 

 エルフたちはハルケギニアに住まう人間全てを『蛮人』と蔑み、自分たちよりも生物として格下であると認識している。そのため、人間とエルフが結ばれることなどまずありえない。よって、従姉妹が未だ自分の〝使い魔〟の正体を知らないことを差し引いても、間違いが起こる事など絶対にない。イザベラは、そう考えていたのだが……。

 

「内緒で住処を抜け出して、しょっちゅう人間どもの国へ遊びに行ってたっけな」

 

「ちょ、ちょっと待って! ま、まさか……」

 

 果物と同様に調理場から頂戴した干菓子を囓りながら、王天君は続けた。

 

「今はじっくり育ててる真っ最中ってトコだろーな。アイツ、妙にあの人形姫が気に入ったみたいだしよ」

 

「そ、育ててるって! 確かに、あの子は十五歳にしては小さいけれど、それって……」

 

 イザベラの顔色は赤と青を交互に行ったり来たりしていた。

 

(いや、まさかあの子に限ってそんなことは。で、でも、風竜で飛んでいたときのふたりの様子は、まるで……)

 

「まぁ、いくら気に入ったからっつっても、さすがに喰ったりはしねぇだろうが」

 

「つまり、絶対じゃないってことよね!? いくらなんでも、それはまずいわ!!」

 

 従姉妹は既に王族としての身分を剥奪されている。

 

 とはいうものの、元王族ともあろう者が万が一にも人間の天敵であるエルフと情を交わし、さらにそれが外部へ漏れたとしたら……ただの醜聞などという話では済まない。ガリア王家の威信に傷がつくばかりか、最悪の場合国が傾きかねない程の一大事だ。

 

(そもそも、わたしがオーテンクンと同じ部屋にいるところを誰かに見られただけで、王位継承権を剥奪されても文句は言えないくらいなんだから……!)

 

 イザベラの顔から、ざあっと血の気が引いた。

 

 蒼髪の王女は慌てて立ち上がると『部屋』の外へ飛び出そうとした。だが、王天君がそんな彼女を引き留めた。

 

「おい、イザベラ。まだ話の途中だぜぇ?」

 

「悪いけど、また後でね! 急いで部屋を別にするよう命令しないといけないし!」

 

「なんでだよ? さっきまでは気にしないって言ってたじゃねぇか」

 

「だって、あなた言ったじゃないの! 弟が、あの子のことを育ててるって!!」

 

「あぁ。アイツのことだから、たぶん色々面倒見てんじゃねーかと思ってな」

 

「だから! それがまずいっていうのよぉ!!」

 

 自慢の蒼髪を振り乱して叫ぶイザベラに、王天君はニヤリと嗤って見せた。

 

「そーか。やっぱりアイツが人形姫の勉強を見てやるのはヤバイことだったのか」

 

「は?」

 

「アイツ、口では面倒くさいだのなんだのと文句は言うが、結構なお人好しだからよぉ。人間ともすぐに仲良くなっちまうんだ。ちらっと部屋ん中見た限りじゃ、効率よく風を起こすための基礎から教えてやってるみたいだったな」

 

「ええっ?」

 

「従者っつーより、親の顔だよなぁ。いや、兄貴か? 惚れ薬の影響残ってんじゃねーかっつーくらいあの人形姫のこと気にしてるしよ……ったく本当に物好きなヤツだぜ。ああ、ちなみに太公望もオレと同じで、肉は喰えねーからな?」

 

 イザベラは思い出した。

 

(そうだ、あの男は心を強制的に塗り替える効果を持つ魅了の秘薬・惚れ薬を飲まされてもなおシャルロットを妹認定したのだ。つまり、あの子のことを異性として全く意識していない――)

 

 と、ここまで考えるに至ってイザベラはようやくその事実に気付き、顔を熟したリンゴのように赤らめた。

 

「オーテンクン。あなた、わたしのことをからかっていたのね!?」

 

 その声に、実に悪い笑顔でもって応えてきた王天君を見て、イザベラは叫んだ。

 

「もうっ! オーテンクンのいじわる~ッ!!」

 

 ガリア王国のプチ・トロワ宮殿内は、今日()平和であった。

 

 

○●○●○●○●

 

 ――そして場面は再びトリステイン魔法学院の図書室へと戻る。

 

 キュルケは背中にびっしょりと嫌な汗をかいていた。

 

「聞いておいてよかったわ……」

 

「どういうこと?」

 

「ああ、気にしないで。こっちの話だから」

 

「……?」

 

(危なかったわ……あのとき下手にイジっていたら、せっかく盛り上がってきていた雰囲気が完全に壊れちゃってたかも)

 

 キュルケは絶妙なタイミングで乱入してきてくれたオスマン氏に、心の底から感謝した。

 

「〝制約〟で暗殺命令を与えられていた可能性のある侍女……ね。だけど、今聞いた話とこの資料を調べてみた限りでは、なんだか違うっぽいわね」

 

「そう。だからこそ、このことを知っていれば」

 

「別の可能性も追えたってことね」

 

 青い頭がコクリと揺れる。

 

 なるほど……と、キュルケは思った。確かにタバサの言う通り、ミスタ・タイコーボーはそれを知りたいが為に〝制約〟をかけて欲しいと言ってきたのだろう。そういうことなら任務という言葉に反応した理由として納得もできる。ただ、それなら何故彼は寝不足気味だったのだろうか。

 

「ねえタバサ。夕べ、何かおかしなことはなかった?」

 

「わからない。どうやって寝間着に着替えたのかも、よく覚えていない」

 

 一瞬「ミスタが着替えさせてくれたんじゃないの?」などと、からかいたくなったキュルケであったが、先程の件があったので、さすがに自重することにした。

 

「ああ、それならあたしが着替えさせてあげたのよ。あのときミスタに頼まれて……って、あああああっ!!」

 

 いきなり発せられたキュルケの大声に、タバサは思わずビクリと身体を震わせた。図書室出入り口付近のカウンターにいた司書がものすごい顔で睨み付けてきたことに気付き、慌てて彼女の口を塞ぐ。

 

「ここで大声はだめ」

 

「ご、ごめんなさい。けど、あたし、大変なことを忘れてて……!」

 

「大変なこと?」

 

 夕べ、他にも何かあったのだろうか? 思わず首をかしげてしまったタバサへ、キュルケが至極真面目な顔で囁いた。

 

「ミスタ・タイコーボーは〝念力(サイコキネシス)〟と〝(ウインド)〟しか使えないんでしょう?」

 

 ……それはつまり。

 

「部屋に戻れない?」

 

「そうよ! あたしたち、行き場のない彼を放り出して来ちゃったのよォ~!」

 

 今まで、あまりにも自然に――必ずふたり揃って、あるいはタバサが側にいる時だけ部屋への出入りをしていたので、全くその事実に気付けなかった彼女は愕然とした。

 

(まさか、あれも偽装……?)

 

 しかし、キュルケがここまで慌てている理由がわからない。

 

「彼は子供じゃない。ひとりでも大丈夫」

 

 どこかで適当に時間を潰しているだろうと続けたタバサを、キュルケは大声で遮った。

 

「そういう問題じゃないのよ! 大人だからまずいの!!」

 

「どうして?」

 

「このままだと彼の好感度が…… と、とにかく! 早く戻って謝らなきゃ!」

 

 再びギリギリと睨み付けてきた司書に向かって慌てて頭を下げたふたりは、大急ぎで資料を片付けて寮塔へと戻った。

 

「どうだった? タバサ」

 

「部屋にはいなかった」

 

「食堂でも見かけなかったわよね。もしかして、いつもの中庭かしら? あそこなら、寝そべるにはちょうどいいベンチもあるし」

 

「可能性は高い」

 

 しかし、そこにも太公望の姿はなく。揃ってあちこち探し回った末に、彼が本塔裏の日陰に座り込み、瞑想という名の昼寝をしているところを発見したのは、既に太陽が空の真上へと昇った後であった……。

 

 余談だが。太公望を発見したタバサとキュルケは、当初彼が昼寝をしていることに全く気付けなかった。声をかけても完全に無反応。そっと近寄ってみて、ようやく彼が寝息を立てている――つまり、眠っているという事実に到達することができたのだ。

 

「だって、あれはどう見ても……」

 

「瞑想しているようにしか見えなかった」

 

 ……とは彼女たちふたりの素直な感想である。仙人になる修行をしていた時代と変わらず、おかしなところで器用な太公望であった。

 

 

○●○●○●○●

 

 ――軽い昼食の後。

 

 彼ら三人は揃ってタバサの部屋で、夕べの出来事について話し合うこととなった。

 

 当初は立ち会いを遠慮していたキュルケであったが、詳しく話を聞いていくうちに同席しておいて良かったと心の底から安堵した。何故なら、昨夜太公望の兄が現れたという重大な話を聞くことができたからだ。

 

 キュルケは心の中でそっと呟いた。

 

(危なかった……もしもこのことを知らないまま、あたしが余計な気を回してたら、タバサの恋路を邪魔しちゃったかもしれないわ)

 

 お相手の心を確認せずに、見当違いの茶々を入れるなど『恋愛の伝道師』フォン・ツェルプストー家の娘として、危うくやってはいけない失敗をするところであったと、キュルケは冷や汗をかいた。先の判断の時点で既に暴発寸前だったのはさておくとして。

 

 だが、太公望が語って聞かせた内容は――恋愛云々以前に、彼女たちふたりの想像を遙かに超えていた。

 

「お兄さんと一騎打ちになったって……怪我はないようだけれど、大丈夫なの?」

 

「うむ、背中を少々打ち付けた程度だ。痛みはもう引いておる」

 

「それなら良かった。でも、全然気が付けなかった……」

 

 悔しそうに唇を噛むタバサに、太公望は思わず苦笑した。

 

「おぬしが気に病むことではない。そもそも、王天君の接近に気付けるような者は滅多におらぬ。実際、わしも完全に不意を打たれてしまったのだ」

 

「そ、それで、勝負のほうはどうなったんですの……?」

 

 不安げに自分を見つめてくる少女たちに、太公望はふうとため息をついて見せた。

 

「手も足も出ずに打ちのめされた挙げ句『実戦から離れていたせいだろう、完全に鈍っている』と、叱り飛ばされてしまったわ」

 

 そう呟いた後、がっくりと肩を落とした太公望を見てふたりは仰天した。

 

「お兄さんの話は聞いていたけれど……」

 

「ミスタを完封するって、どこまでとんでもない実力者なのよ!?」

 

 そんな彼女たちを見て、苦々しげに呟いた。

 

「相性の問題でな。接近戦を得意とするわしと遠距離――それも、別空間からの攻撃を主体とする王天君の戦闘スタイルは元々噛み合わぬのだ」

 

「別空間からの攻撃って、どういう意味かしら?」

 

 きょとんとした顔をしているキュルケに、太公望はかみ砕いて説明することにした。

 

「常に死角から攻撃できるメイジだと言えば、怖ろしさを理解してもらえるだろうか?」

 

 これを聞いたキュルケの目が、驚きで見開かれた。

 

「ちょ、ちょっと待って! まさか、あの〝夢世界〟みたいな場所の中に閉じ籠もって、そこから直接〝現実世界〟にいる相手に攻撃できるってこと?」

 

 既に「背後に『窓』を開けて剣でズブリ」の話を聞いていたタバサが、ぽつりと呟く。

 

「そんなの察知できるわけがない」

 

「しかも、相手の『空間』を打ち破れるほど強力な術者でなければ『あちら側』へ干渉することすらできぬ。見えない場所から一方的に打ち倒されて終わりだ」

 

「何それ。反則にも程があるわよ……」

 

「戦闘スタイル以前の問題」

 

 と、ここで思い出したかのようにタバサが付け加えた。

 

「そういえば、あなたはお兄さんの接近を感知できたはず」

 

「ああ、なるほど。夕べはそれをずっと警戒していたから、ろくに眠れなかったのね」

 

「うむ。しかしキュルケよ……おぬし、よくわしが寝不足であると気付いたのう」

 

「わたしは全然わからなかった」

 

 ふたりの言葉を受けたキュルケは、得意げな表情で髪を掻き上げた。

 

「オホホホホ。殿方の不調を瞬時に見抜くのはいい女である条件のひとつだもの。そのくらいのこと、できて当然よ」

 

 完全無警戒でぐーすか寝こけていたところを問答無用で亜空間へ叩き落とされ、抵抗する間もなく『労働』を押しつけられたとは、さすがに言えない太公望であった。おもに、自分の威厳を保つ的な意味で。

 

「と、いうわけでだ。あやつが意地悪姫の使いとして現れた事実と、わしに『鈍った』などと言ってきたことから考えるに、今後はさらに危険な仕事が増えるやもしれぬ。わしが至らぬばかりにおぬしを巻き込んでしまって、本当に申し訳ない」

 

 深く頭を下げた太公望をタバサは遮った。

 

「巻き込まれたのはあなたのほう」

 

「いや、そんなことはない。そもそもだな……」

 

 まるで精霊飛蝗(ショウリョウバッタ)のように、ぺこぺこと交互に頭を下げあうふたりを見ているうちに、さきほどまでの機嫌の良さはどこへやら。キュルケの内に、激しい憤怒の感情が湧き上がってきた。その後すぐに、彼女は太公望の『兄』へ向け、心の中で怒鳴りつけた。

 

(〝風使い〟のお兄さんなんだから、少しは空気読みなさいよ馬鹿――ッ!!)

 

 ……と。

 

(せっかくいい雰囲気だったのに。しかも、タバサが言うには任務中に殺されそうになったところをぎりぎりで飛び込んできたミスタに助けてもらったとか。不謹慎かもしれないけれど、そんな女として憧れるようなシチュエーションまで実現してたのに。夕べのタバサは、あんなにも愛らしかったのに! お兄さんのせいで、それが全部吹っ飛んじゃったじゃないのよ、あんまりだわ!!)

 

 別の『空気』を読んだからこその来訪だったわけだが、そんなことは『恋愛の伝道師』たる彼女にはわからないし、関係ない。せっかくの好機を潰されたと、まだ見ぬ王天君への評価と好感度を大幅に下げたキュルケであった。

 

 そんな彼女の思いとは裏腹に、タバサと太公望の話は続いていた。

 

「あなたのお兄さんが、イザベラの使い魔になっているというのは確実? イザベラは命令を出しているだけで、周辺の誰かが本当の召喚者ということはありえない?」

 

「うむ。あの意地悪姫が王天君と共に『窓』から覗いているのを感覚で捉えることができた。あのとき『部屋』の中にいたのは、間違いなくあの娘だけだ。王天君の性格からして、無関係の者を『自分の部屋』へ招き入れることはまずありえぬ。よって、彼女が主人であると判断した」

 

「お兄さんの性格?」

 

「わしと違って、あやつは他者を自分の側に近づけるということをしないのだ」

 

「エルフに似ているから?」

 

 タバサの問いに、太公望は小さく頷いた。

 

「それもあるが、あやつは近接での戦闘は不得手なのだ。基本的に、空間を隔てた場所からの遠隔攻撃を主軸としておるからのう。己の弱点を晒さぬために、敵対の可能性がある他者を自分の側に置いてはおけないのだよ」

 

「なるほどね。それなのにガリアの王女さまが一緒にいたということは……」

 

「そうだ。既に、それなりの信頼関係を築いていると見て間違いなかろう。おまけに、あやつが最も得意とするのは〝紅水陣(こうすいじん)〟という水と縁が深い〝(フィールド)〟なのだ。タバサよ、おぬしはあの意地悪姫の系統を知っておるか?」

 

 太公望の言葉に、タバサはあっという顔をした。

 

「イザベラの系統は〝水〟だったはず」

 

「そういえばミスタは〝風〟で……お兄さまの系統が〝水〟ってことは!」

 

「〝召喚〟は、詠唱者と相性のよい者を自動的に選択する。タイコーボーのお兄さんの場合、自力でイザベラとの間に『窓』を開いた可能性があるとしても、系統が同じなら、その縁で引き寄せられたとも考えられる」

 

 タバサの言葉に、太公望は同意を示した。

 

「ガリアの裏側を取り仕切る姫と〝金鰲島(きんごうとう)〟の闇を司る策謀家だ。系統だけでなく、相性的にもぴったりなのだ。ある意味、落ち着くべきところに落ち着いてしまったというべきかもしれぬ」

 

 そう呟いた太公望の顔が何故か安堵しているように見えたタバサは、素直にその理由を聞いてみることにした。

 

「なら、どうしてそんな顔を?」

 

「万が一、ジョゼフ王の使い魔になっておったとしたら。最悪の場合――わしは、この命に替えても兄を討伐しに行かねばならなかったからだ」

 

 血を分けた自分の兄を討つ。そう告げた太公望の顔は、どこまでも真剣そのもので。それが少女たちを不安にさせた。

 

「それはお兄さまが凄腕の暗殺者だから、ですの?」

 

 震えるようなキュルケの声に、太公望は深刻な顔で頷いた。

 

「そういう意味では王女の側にいるというだけでも不安なのだが……夕べ見た限りでは自分の意志で行動しておるようだった。とはいえ、できるだけ早いうちにこちらへ引き戻さねばならぬ」

 

 これを聞いたタバサはピンと来た。

 

「あなたのお兄さんに〝制約〟がかけられてしまったらどうなるか知りたかったの?」

 

「うむ。そうなった場合の恐怖をおぬしは身をもって体験したであろう?」

 

 タバサはコクリと頷いた。あの日、彼女は他者に操られた平民の侍女(・・・・・・・・・・・・)の手にかかり、危うく命を落とすところだったのだ。

 

 今回の調査で知り得た情報から判断する限り〝制約〟であのような命令を実行させるのはまず不可能だ。つまり、あの侍女は全く別の手段で操られていたか、あるいは何も知らない被害者のふりをして、周囲を欺こうとしていたのかもしれない。

 

 もしも〝制約〟で似たようなことをしようとした場合、有能な暗殺者を素材(・・)として用意する必要がある。手間はかかるが、その場合は『ライン』程度の指示だけで充分だ。『目標を屠れ』これだけで済んでしまうのだから。

 

(もしも素材となるのが『烈風』と互角以上に戦えるひとを、一方的に打ち倒すほどの実力者だとしたら……)

 

 タバサは思わず身震いした。

 

 それほどの人物が大人しく〝制約〟を受け入れるとは思えないが、万が一ということもある。『狂王』ジョゼフが彼を手に入れ、思いのままに操れるようになったらどうなるか……想像するだに怖ろしい。

 

 ジョゼフ王本人が魔法を使えなくとも、彼の側には大勢のメイジが控えている。イザベラの側にいるだけでも不安だという太公望の言葉が、タバサには嫌というほど理解できた。

 

「わしは〝抵抗〟のための訓練を受けておるので簡単にはかからぬとは思うのだが、できれば機会があるときに試しておきたかったのだ。そうすれば、どれほどの抵抗力があれば耐えられるか、ある程度当たりがつけられるからのう」

 

「お兄さんも訓練を受けているの?」

 

 その問いに、太公望は首を横に振った。

 

「普通の人間よりは耐性があるが、あやつは一度心を壊されておるのでな、精神的な抵抗力がわしと比べて遙かに弱いのだ。だからこそ、心配なのだよ」

 

 この話を聞いてタバサははっとした。確かに〝制約〟は発動条件が厳しい。だが、それ以外にもっと手っ取り早い方法がある。それは魔法薬を使うことだ。抵抗力の高い太公望ですら、惚れ薬の効果から逃れることができなかった。

 

 それに、ジョゼフ王なら母を狂わせたような強力な薬を複数持ち合わせていてもおかしくない。おそらく、彼もそれを不安視しているのだろうと当たりをつけた。

 

「というわけでだ。準備ができたのならば早速実験してみたいのだが……かまわぬか?」

 

 そう申し入れてきた太公望へ、タバサは一も二もなく頷いた。被験者は多いに越したことはないため、キュルケも参加することになった。

 

 

 ――実験開始。

 

 

 被験者、太公望・キュルケ。実行者、タバサ。

 

 実験内容概略:被験者へ『ライン』レベルの〝制約〟をかける

 

 ※注意事項

 

 ・命令内容は『左手を上に挙げる』に統一すること

 

 ・他の魔法を併用しないこと(例:眠りの雲 など)

 

 ・試行回数はそれぞれ五回までとする

 

 

 ――実験の結果。

 

「かからない」

 

「かからぬのう」

 

「魔光も現れないわね……」

 

 ルーンは正しく紡がれているのだが、しかし。効果が現れるどころか、命令以前の段階で完全に抵抗されてしまっている状態である。太公望、キュルケ共に同様の結果に終わった。

 

「あたしは反属性の火系統とはいえ『トライアングル』だから『ライン』スペルを簡単に打ち消せるのはわかるとして……『ドット』のミスタ・タイコーボーにもぜんぜん効果が現れないって、どういうことなのかしら?」

 

 キュルケは首を捻った。メイジたちの常識でいえば『ドット』の太公望にまで呪文が通らないというのはおかしなことなのだ。

 

「わしの場合は無意識に〝抵抗〟してしまっておるようだ。魔法が完成した途端、身体の中に嫌な『流れ』が生じるからのう」

 

「具体的には?」

 

 太公望はこつこつと指で自分の頭をつつきながら説明した。

 

「うむ。感情を司るのは頭……つまり脳みそだ。魔法が完成した瞬間、ここの『流れ』を無理矢理歪ませるような気持ち悪い感触があってな。訓練の成果なのだろう、無意識に弾いてしまうのだよ」

 

「そういえば、あなたの国の周辺には精神攻撃を仕掛けてくる妖魔が大勢いたという話を聞いたことがある」

 

 タバサの呟きに、キュルケが納得したといわんばかりに頷いた。

 

「なるほど。だから、ミスタは抵抗力が普通のメイジに比べて高いのね。ところで〝制約〟と魔法薬って同じような『流れ』があるのかしら?」

 

「似たような『流れ』は感知できたぞ、強さは段違いだがのう」

 

「魔法薬のほうが強力ということ?」

 

「そうだのう。わしが実際に受けてみた感覚だと〝制約〟による支配は、あくまで感情と記憶の一部を操作するだけで、タバサの母上に使われた魔法薬のように、魂魄にまで影響を及ぼすことはないようだ。あくまで『ライン』レベルでは、だが」

 

 この実験結果により、ただでさえ精神攻撃への抵抗力が強い太公望には少なくとも『ライン』程度の〝制約〟はかからないことが判明し、太公望はほっと息を吐いた。

 

「この程度ならば、王天君に〝制約〟がかかることはないであろう。ただし、上位のメイジが唱えた場合はその限りではないが」

 

 それについてはタバサの腕が上がった時点で、もう一度協力を依頼したい。そう告げてきた太公望へ、今度はタバサが別の角度からの実験を提案した。

 

「その『嫌な流れ』に、あえて乗ることはできる?」

 

「ふむ、やれないことはないと思う。ただ……その場合、命令内容を知らないほうがよい。どうしても意識してしまうからのう。よって、できれば今の実験とは方向性の異なる『行動』を設定してみてはくれぬか? ああ、言うまでもないことだが……」

 

「大丈夫、おかしな『命令』はしない」

 

 タバサは当然だといった顔で頷いた。

 

「さっきから横で笑っておるキュルケの入れ知恵は無しで頼む」

 

「え~、せっかくの機会なのに」

 

「おぬしはそれだから不安なのだ!」

 

「大丈夫、ちゃんとわたしが考えた『指示』を与える。おかしな真似はしない」

 

「……信用しておるからな?」

 

 ……そして。タバサの提案通り、太公望が『流れ』に乗ってみた結果――。

 

「魔光……瞳の奥に出てたわね」

 

 タバサは小さく頷いた。

 

「しかも、魔法薬で精神を塗り替えられた時のものとは明らかに異なる。あの夜、わたしを襲った侍女のものとも。あちらは完全に光を失っていたけれど、〝制約〟の場合は逆に輝きが増すことがわかった」

 

 手元に置いてあった羊皮紙に実験結果をさらさらと書き記すタバサ。

 

「あれじゃあ『操られてます』って看板を首から提げてるようなものだわ。それにしてもタバサ。あなた、随分とキツい命令したわね」

 

「そうでもない」

 

「確かに、普段の彼なら絶対にやらない行動なのは間違いないけれど……あたし、いくらなんでもあれはないと思うわよ?」

 

「そんなことはない」

 

「タバサって……ううん、なんでもないわ」

 

 

 ――それから、十数分後。

 

「ぐおおおおおッ! く、くく、口の中が! 何故かとてつもない苦みであふれておる! 誰か水を……いや、甘いものをくれ――ッ!!!」

 

 アルヴィーズの食堂内の床を転げ回る太公望を尻目に、タバサはポツリと呟いた。

 

「おいしいのに」

 

「タバサ。あなた、やっぱり酷いと思うわ……」

 

 タバサの出した命令とは。

 

『今日の夕飯に出されるハシバミ草のサラダを完食せよ』

 

 で、あった。

 

 

 




タバサとイザベラは間違いなく血縁。
なお、制約については本作の独自解釈が含まれております。

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