案の定というべきか、仕事場で頭ごなしに怒られた。社会人として10分前行動は当たり前で、新人の癖にギリギリ入社した自分に待っていたのは先輩からのキツイお説教だった。
……立花瀧は電車を待ちながら、今日の出来事をずっと考えていた。
事の始まりはある女性との出会い。一目見た瞬間から心の底で想いが高揚し、居てもたってもいられず電車から飛び降りて走った。
走り、たどり着いた先にいた女性は自分と同じように走って来ていて、そのことに瀧はやはり高揚した。
そんな瀧がまず最初に知ったのは名前。
その女性の名前は
「――三葉、か」
瀧の頭にすっと入ってくるほど、自然な名前だと彼は思った。その名前を無意識に呟いては怒られ、ボーとして呟いては頭を叩かれるのが今日の彼の仕事中の出来事。
その割には仕事は着実に終わらせる辺りで、とうとう先輩から大丈夫?と尋ねられ、早退を勧められる次第だ。
瀧はふと、急いでいるからと交換だけした三葉の連絡先を見つめる。スマートフォンに彼女の顔写真と共に登録されるその文字列を見て、一人悶々とする。
――そんな交換してすぐに連絡してみてもいいものなのか? そんなことしたら、引かれるんじゃないか? ……などという草食思考の考えに陥ってしまうのが何とも微笑ましいものである。
「……でもなぁ」
メールの画面を操作して、当たり障りのない文面を書くこと数回。ちょっと冒険したグイグイと攻める文面を書くこと1回。その文面を見られて先輩から憐れみの視線を向けられること十数回。
瀧は既に社内において弄られキャラが定着してしまった一日だったりするのだが、彼がそのことを認識するのはもう少し後のことであったりする。
書いては消して、消しては書いての連続。その文面を要約するのであれば、「また会って話さないか?」というだけなのだが、簡単だからこそ瀧はそのメールを送れずにいた。
本気で三葉という女性を知りたいからこそ、慎重にならざるを得ないのだ。それが奥手すぎると瀧も理解してはいたりするのだが。
『電車が到着します、白線の内側でお待ちください』
などと悶々と考えている間に電車が到着する。
瀧は軽く溜息を吐いて、ポケットにスマートフォンをしまって扉の右側に寄って降車する人を優先する。
そして大方降りきったのを確認して、乗車しようとした。心で「また電車で三葉と会えたら楽なのにな」なんて考えながら。
そんな時、混雑する車内の奥から声が聞こえた。
「す、すいません降ります!」
その女性は急ぐように人と人の間を潜り抜けて降車しようとするも、瀧は突然のことなので流石に避けることが出来なかった。
――突然のこと。まさかその女性が、自分が追い求める三葉であると思いもしなかったからだ。
三葉と瀧の肩が勢いよくぶつかり、その衝撃で三葉は倒れそうになる。
瀧はふと我に返り、倒れそうになる三葉の身体を支えるように抱き留める。
――ふわりと甘い匂いが瀧の鼻孔をくすぐり、何故か覚えがある女性特有の柔らかい感触が彼の身体を刺激した。
その煩悩を振り払い、瀧はまずは彼女の心配をするように
「――大丈夫か? 三葉」
そう、出来る限り優しく割れ物を扱うように、三葉にそう問うた。三葉はそこでようやく瀧の存在に気付いたように驚き、目を見開く。
――それと同時に、本来三葉が降りるはずであった電車の扉が閉まった。
……三葉との再会はそんな風に訪れ、瀧は内心で嬉しくもあり複雑でもあった。
現在瀧が最も興味を注ぐ存在である三葉であるが、しかしそんな女性とこんな至近距離で関わるなんて予想外である。
それに身長差があるからか、先ほどから瀧の腹部に何やら柔らかいものが当たっていた。
「(……っかしいよな。なんか、俺この感触知ってる気が)」
もちろん瀧とて女性経験が全く無いわけではない。元々が端正な顔つきをしているため、たまにサークルの後輩や先輩からアタックされたことがある。
それでも頑なに彼女を作らないことに彼の友人である藤井司や高木真太も疑問を抱いていたほどだ。
だから、女性の柔らかさなんて自分が知っているわけではない……と瀧は思いながらも、三葉の胸の感触に確かな既視感を抱いていた。
……つい視線を逸らしてしまう辺りが、経験不足を否めないが。
そんな瀧を見て、三葉は少しばかり笑みを浮かべていた。
「な、何で笑ってんだよ」
「え? ……ううん。なんかさ、瀧くんがちょっと可愛いなって思って」
「お、男に可愛いとか言うなよ!」
ツッコまれて、大人げなくそう言い返す瀧。
三葉を前にすると、何故か瀧は高校生に戻ったように照れ隠しをしてしまうように、頬を真っ赤にして視線を逸らしてしまう。
……そんな瀧のスーツの裾をキュッと、三葉は掴んだ。
「三葉……?」
三葉の行動に疑念を抱き、瀧は三葉を見下げた。三葉は上目遣いで瀧のことを見つめており、その些細な仕草に瀧はドキッとしてしまう。
――本当に、三葉の所作の一つ一つで、どんどん心が奪われる感覚だ。困った。……なんて、瀧は心の奥で思っていた。
そんな三葉は意を決したように
「――瀧くん、ちょっとお話しない?」
そう言った。
〇●〇●
「三葉、これ」
「……ありがと、瀧くん」
夕暮れ時の公園で、瀧と三葉は缶ジュースを片手にベンチに腰掛けていた。
あれから一駅で途中下車をした二人は、ドギマギとした所作で今いる公園に歩いてきたのだ。
会話を少し交わすも、交わした後で緊張からすぐに沈黙になってしまう。その沈黙が怖くてすぐに話だそうとするも、話題がないから口を閉じてしまうのだ。
……ただ不思議なのは、沈黙で不安であっても、それが苦痛ではないということだ。
「……あはは、何かちょっと懐かしいかも」
「懐かしい?」
ふと、三葉はそう思い出すように呟いた。
三葉は缶ジュースを両手で持って、その手でそれをクルクルと回す。
「昔はね、私は東京じゃなくてもっとすっごい田舎にいたんだ。東京みたいにお茶をするところとかなくて、友達と自動販売機をカフェに見立ててたなー……なんてことを思い出してね」
「田舎か。……俺からしたらカフェないとか考えられないけどな。昔からカフェ巡りが趣味だったから」
「うわ、すんごい都会っ子やね」
不意に標準語が崩れ、恐らくは地元の方言が出る三葉。自然に出た方言に三葉は口元に手を充てて瀧を見た。
「良いよ、気にしなくて。なんか、そっちの方が三葉っぽいっていうか……。自然体の方が、俺は嬉しいかなー……なんてさ」
瀧は少しはにかみながらそんなことを口走る。その言葉で三葉の体温が急上昇していることを、きっと彼は気付いていないだろう。
「……それじゃあ、私も気にせんことにするよ」
――三葉の満面の笑みに、次に体温が急上昇するのは瀧であった。美人は何をしても美人というが、三葉の笑顔にはもっとインパクトがあった。
東京に住んでいる時点で三葉よりも可愛い女の子や美女はたくさんいる。しかし瀧の目にはそのどんな女性よりも、三葉が美しく思えた。
もちろん恥ずかしくて、そんな声を表には絶対に出さないが――
――――気付いたときには、瀧と三葉は自然体になっていた。
まるで、元々見知っていた二人と言われても不思議ではないほど、三葉と瀧は親し気に話す。
自分のことを。家族のことを。友達のことを。
ほんの数十分の出来事だが、二人はたくさんのことを話した。
そう――三葉がついつい、約束を再び忘れるほどに。
「そんでそんときテッシーがね――」
ブブブブ……そう、三葉のスマートフォンが小刻みに振動する。それまで心の底から楽しく話していたのを邪魔されたと感じた三葉は、「なんやね」なんて悪態をつきながら表示される着信者の名を見た。
――宮水四葉。その名を見た時、血の気が引いた。
「ん、出ないのか? 俺のことは気にしなくても大丈夫だぞ?」
「え、えっと……」
……約束の時間から既に30分以上の時間が過ぎてしまっていることに、更に先に注意を受けているために三葉は電話に出ることを躊躇う。
――高校2年生の妹に頭が上がらない25歳の姉。そんな情けないところを瀧に見られたくないのだろう。
……三葉は、恐る恐る通話ボタンを押すと――
『おねーちゃん! 今どこおるん!? さっき電話したん、こないもう忘れたん!?』
「ご、ごめん!! ちょっと急な用事できたんよ!! 今すぐ向かう……向かいたい……向かいたくないぃ――どないしたらええん!?」
『知らんわ!!』
三葉が瀧をチラチラと見ながら、コントのようなやり取りをするものだから、瀧は不意に笑いが零れる。
そんな瀧を見て、三葉は条件反射のように声を荒げた。
「な、なんで笑ってるの、瀧くん!? 今、私すごいピンチなんよ!?」
「ふ、ふふふ……いや、なんかすんごい新鮮だからつい……。ほら、妹さん?と約束しているんだろ? 俺のことは……良いことはないけど、男だから我慢する。行ってやれよ」
付き合ってもない癖に、と瀧は心で自分に毒づく。でもやはり、気になる人には恰好を付けたくなるのが男の性だ。
苦笑いをしながらそう瀧に、三葉は幾分かは落ち着きを取り戻す。
一つ深呼吸をしてスマートフォンを耳に当て、四葉と通話を再開した。
「ごめんね、四葉。今すぐに向かうから――」
『ほーほー、なるほどぉ……。そっかそっか。――瀧くん、と一緒に居たんだ、お姉ちゃん♪』
「…………」
あんな大声で「瀧くん」なんて叫べば、電話越しに聞こえることなんて当然である。
しかしながら、三葉は凄まじいほどの嫌な予感に囚われていた。
四葉のこの悪戯な声音は、間違いなくよからぬことを考えているときのそれだ。この17年、彼女の姉をしていれば嫌でも分かる。
宮水四葉は小悪魔的な性格で、とにかく面白いことが大好きな少女なのだ。それに当てはめていくと、自ずと次に彼女が言う台詞は容易に想像できた。
『――連れて来て、お姉ちゃん♪』
四葉はそれだけいうと通話を切った。
それだけ言われて電話を切られた姉、三葉はまるで機械人形のようにギリギリと瀧の方に顔を向けて、半笑いの引き笑いで彼を見つめた。
そして……
「た、瀧くん―――じ、時間、ある?」
「お、おう。げ、元気出せよ? 俺も言い訳、手伝うからさ」
――力のない声で、そう呟くのだった。これから三葉に待ち受けているのは、8歳年下の妹から玩具にされるという現実なのだから、そうなるのも当然であった。
瀧は美しさからかけ離れた表情の三葉を励ますように言葉を掛けながら、まるで介護をするかのような錯覚に囚われたのであった。
●○●○
「初めまして! 私、そこで呆けている宮水三葉の妹の四葉っていいます!
「お、おう……よろしく」
四葉の視線が完全に三葉を弄るものだと瀧は確信しつつ、差し出された手を取って握手をする。
やけに「末永く」という部分が協調されていたと瀧は感じるも、とりあえず好感は持たれているということだけは理解した。
対する姉の三葉は彼女の言う通り呆けており、非常に情けない表情を浮かべていた。
そんな彼女のことをどこか愛らしいと感じている瀧は、やはり苦笑いを浮かべた。……そんな瀧を観察するように凝視しているのは四葉。
……あれから瀧は呆ける三葉を連れて彼女が約束の地としていた新宿に向かい、そしてそのまま新宿で三葉を待っていた四葉と対面した。
そして今は新宿のカフェテリアで四葉を前にして、瀧と三葉は対面している。
「えっと、俺は立花瀧。年齢は22歳だ」
「あ、お姉ちゃんの方が年上なんだ――それでそれで? お姉ちゃんとはどこで知り合ったんですか? っていうかぶっちゃけどこまで進んでいるんですか? あ、もしかして結婚を前提の」
「ち、ちょっと待って四葉!? 話が飛躍し過ぎやから!!」
あまりにも話が飛躍する四葉の言葉を止めるように、三葉は彼女の口を両手で塞ごうとするも、彼女は悠々とそれを避ける。
……瀧はそんな彼女を「今時の女子高生」と思った。二つ結いのツインテールに自分の地の良さを生かすためのナチュラルメイクで制服を着こなしている容姿。
可愛いらしく、恐らく学校ではモテるだろうと瀧は思った。
……が、やはり視線は三葉に向かう。
「……ふぅん♪」
「……な、なんだよ」
「いえいえー。瀧くん、やっぱりお姉ちゃんに視線が向かうんだなーって」
……矛先が次は、瀧に向かう。その言葉は図星で、瀧は四葉の言葉で顔が真っ赤になった。それを見た四葉はクスクスと笑った。
――この天性の小悪魔め、なんて瀧は内心で思っていたりする。
「これはやっぱり出来てるのかー? ねね、お姉ちゃん」
「うぅぅぅ~~~」
妹に好き勝手されて顔を真っ赤にして唸る三葉は、視線をテーブルに向ける。
……瀧ははぁっと少しばかり息を吐いて、四葉からの弄りを受けることを覚悟した。
ツンツンと三葉の腕を肘で突いて化粧室の方に注意を向けると、彼女はその意味を理解したのか席を立った。
「お、お化粧直ししてくる! 瀧くん、その間、四葉の相手をよろしくね!」
「あ、逃げた」
「逃げてへんわ!!」
三葉は分かり易く反論しながら、鞄を持って化粧室に向かう。
その光景をニヤニヤと笑いながら見る四葉に、瀧は話しかけた。
「趣味悪いぞ、妹」
「いやぁ、お姉ちゃんは弄り甲斐がありまして♪ それに瀧さんも良い感じです」
「……その、新しい玩具を見つけたって顔止めろ」
そんな会話を続けていると、四葉は不意に瀧の顔をじっと見つめた。
その表情に瀧はドキリとする。
――まるで、瀧を見定める目。先ほどまでのふざけた表情ではなく、真剣な表情だった。
「……お姉ちゃんね、すっごく優しいんよ」
四葉は手元にあるフラペチーノに刺さるストローを弄りながら、そう呟いた。
「四葉があんな風に弄っても許してくれるし、家事とかも引き受けてくれるし、でも怒る時は怒ってくれる――でも、結構な頻度で寂しそうな表情浮かべてたんだ。鏡で自分の顔を見ながら、手の平を開いたり閉めたりしてさ」
「それって――」
――瀧はその癖について、どこか聞き覚えがあるような気がした。
当たり前だ。それはいつしか、瀧の身に染みついていた癖と同じものだったからだ。まるで何かを忘れたように自分の顔を毎朝見つめ、まるで何かを失くしたように手の平をじっと見る。
まるで何かを求めるように、毎日毎日飽きもせず。
――でも今は不思議に、その癖をしようとは思わなかった。
本当に何でかは分からない……なんてことはないと瀧は苦笑する。
……そうだ、彼だって理解している。
彼の中にあった空洞は、彼女の中にあった空白は、もう既に存在しない。
二人は出会って、知ったから。
――名前を。立花瀧を、宮水三葉を。
彼の求めていた空洞はきっと三葉だったんだ。だって彼女と出会ってから瀧は、心からの笑みで埋もれているのだから。
瀧は知る――三葉も、同じであったと。
なんの奇跡かも分からず、何のオカルトチックで前世の記憶かも分からない。理屈云々より分かることはたった一つ。
「――三葉に会えて、よかった」
ただ、それだけであった。
「……それが、お姉ちゃんを笑顔にしてくれたきっかけなんだね」
瀧の言葉を聞いて、四葉は満面の笑みを浮かべた。そこには先ほどまでの真剣なものはなく、心の底から嬉しそうな優しい笑みだった。
「……それは本当に、分からないんだよな」
「……んん? でも瀧さんと出会ってからお姉ちゃん、昔みたいに元気になったよ?」
「いや、きっかけも何も――俺と三葉が出会ったのって、今朝だし」
――俺のふとした言葉で、四葉は口をポカンと開いて目を丸く見開いた。
当然の反応だ。ここまで深い話をした人物が、まさか今朝知り合ったばかりの存在であると四葉は思いもしていなかったのだから。
大方姉が存在を隠していた気になる人と思っていただけに、その衝撃は凄まじい。四葉はそのため、しばらく呆然としているのだった。
「ただいまー。瀧くん、四葉何か失礼はなかっ――四葉? 何呆けてるの?」
なお、化粧室から帰ってきた三葉に心配されるのは必至だった。
●○●○
暫くすると四葉は自分を取り戻し、瀧と三葉に言葉通り根掘り葉掘り事の次第を追及すること数時間。
二人の出会いがあまりにも運命めいたものを感じた四葉は、今時の女子高生の習性からか、目をキラキラさせて二人の話を聞いていた。最初とはまた違う意味で二人の経緯に興味を抱いた四葉の攻めに最後は二人して肩を落としており、逆に四葉は艶々していたというのはご愛嬌だ。
……瀧は夜も遅くなっているため、三葉と四葉を見送るために彼女たちの最寄り駅で途中下車した。
四葉は二人よりも少し先を歩いており、瀧と三葉は肩を揃えて夜道を歩く。
「今日はごめんね? 四葉が遠慮なく色々聞いてくるから」
「いいよ。俺も疲れたけど、でも楽しかったし」
「……そう言ってくれると、助かるよ」
三葉が柔らかい笑みを浮かべると、瀧はすぐに視線を逸らす。
――雲間から漏れる月の光に照らされた三葉の笑みが、あまりにも綺麗と感じたから。
幸い辺りは暗く、瀧の顔色は見えないだろう。
……良かった、これでは完全に初心な年下男子だ。
瀧はそう思った。
「……正直さ、今でも良く分からないんだ」
「私もだよ。でも私、あの時に確かに感じたんだ」
……それは二人同時に紡いだ一つの糸のような言葉。
一本では紡ぐことが出来なくとも、二本になれば紡げる、確かな言葉。
「「
瀧の手の平と、三葉の手の平が重なる。
ただそれだけで二人の心臓が痛いほどにドクンドクンと鳴り響く。
瀧の目と三葉の目が交差して、その目に吸い込まれるような感覚に包まれる。
「私が求めていたものは言葉に出来ないものだった。心にすっぽり空いてしまった何か。その何かも分からなかったんだ――8年前の、あの時から。でも、今は違うの」
「……この手の平に、三葉の手の平があるだけで何か安心するんだ――無くなっていた何かが、埋まったみたいだ」
……近くに四葉がいるのに、その手を離せずにいる。
もっと、この手の温もりを体全体で感じたいと思ってしまう。
瀧にも三葉にも分からなくて、そして分からない癖に納得できる想い。
――もっと傍にいたい。もっと触れ合いたい。少しでも長く、少しでも一緒に。こんな風に想えるのは、瀧も三葉も初めてだった。
――でも何故か、初めてとは思えなかった。
……その真実が分かるのはきっと今ではない。二人が全てを知るのはまだまだ先だろう。
ただ今は二人は――
「――三葉。三葉、これからも……よろしく!」
「――瀧くん。瀧くん、うん! 私もずっと……よろしくね!」
――お前が世界のどこにいても、俺が必ず、もう一度逢いに行く。
それは今はもう忘れてしまった、彼が誓ったこと。言おうと思って、言えなかったこと。
……温もりを通して、幸せは広がる。
そう――二人の未来は、始まったばかりだ。
四葉ちゃんのキャラ情報を幼少期から進化させたのが本作の小悪魔四葉ちゃんです! ええ独自解釈ですよ(笑)
ここまでの話は本作におけるプロローグです!
とりあえずすっきりと呼んでいただきたいので速攻でプロローグ編までを一気に書いたので更新が速いですが、次回以降は他作品と並行して進めるので更新速度は堕ちます!
ただこちらの作品は一話に対する文字数が短めなので、まだ更新が速いと思います!
それでは!