学生運動のシヴィルウォー ーハイスクールD×D外典   作:グレン×グレン

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平和なようで実は違って―

 

「部長ぅううううう! 皆ぁあああああ!!」

 

 深夜。それは悪魔にとって仕事の時間である。

 

 そんな中、イッセーが悲鳴を上げて駆け込んできた。

 

「どうしたんだい、イッセーくん!?」

 

 錯乱一歩手前の精神状態のイッセーをみて、真っ先に佑斗が駆け寄った。

 

「くそ! こんなに混乱しているなんて誰がイッセー君にひどいことを!! 僕がいるにもかかわらずこんなことになるなんて!!」

 

「佑斗、なんで私より激昂しているのかしら?」

 

 人間は、自分をはるかに上回るほどの感情的になっていると感情の暴走が抑制されるものだ。それは悪魔でも関係ないらしい。

 

 だがなぜ男である佑斗がリアスより感情的になっているのか。

 

 ガヒドですら、リアスがイッセーに好意を持っていることはわかっている。というより、オカルト研究部の女子はほとんどイッセーに好意を抱いている。

 

 ガヒドはイッセーが覗きの常習犯だと聞いている。教会なら間違いなく生理的嫌悪クラスだろう。自分も大概女遊びは激しかったが、さすがに犯罪はしなかった。

 

 悪魔は変わってるなぁなどと思っていたが、しかしイッセーの話を聞いて目を見開いた。

 

 ・・・最近のイッセーの契約相手が、実は堕天使総督のアザゼルだったとのことだ。

 

「小猫ちゃんだっけ? あいつもしかして結構もてんの?」

 

「頑張り屋さんなので。あと部長たちはいやらしいことに寛容なんです」

 

 小猫の説明に納得する。

 

 さすがは欲望に強い悪魔というべきか。などと感心しながら、しかし警戒心を強めていく。

 

 今はコカビエルの暴走により、三大勢力での緊張は高まっている。

 

 戦争勃発をもくろんでいたコカビエルを止めるために、白龍皇を派遣したことはリアスたち悪魔もジョージ達教会も上に伝えていたはずだ。だからといって心配できないわけがない。

 

 ガヒド自身何度も見てきたが、教会の悪魔祓いには悪魔や堕天使に家族を殺されたことがきっかけになって入ったものも多い。何より生まれたときから敬虔な信者の元で育ち、悪魔が敵だと教えられてきた者たちばかりなのだ。

 

 悪魔だってそうだろう。冥界で活動している者たちは人間に接してきたものも少ないだろうから偏見も多いだろうし、人間界で活動していて、教会側ともめなかった悪魔など少数のはずだ。

 

 一歩間違えれば戦争再開の可能性もある。じつに嫌な時代に生まれたものだと思った。

 

「それでどうすんですか部長ぉ? さすがに今殴り込みすると会談前に揉め事になって上に怒られそうなんで勘弁してほしいんですけど?」

 

「さすがにそれぐらいわかってるわよ。でもそれだってアザゼルも同じだわ。あの戦争の関係者である敵側の人物に無断で接触なんて、ふざけてるのかしら?」

 

 一応釘を刺したことで冷静さを取り戻したリアスは首をかしげる。

 

 確かに現在三大勢力は今までとは違った意味で緊張状態なのだ。

 

 そんな状況下で、トップ自ら下っ端にちょっかいをかけるなど何を考えているのだろう。

 

「・・・アザゼルは、昔からそういう男だよ」

 

 突然声が響き、全員が一斉に振り返った。

 

 そして、そこにいるものの姿を見てそのほとんどが目を見開いた。

 

「お、お兄様!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれがサーゼクス・ルシファーか。生で見る機会があるなんて思わなかったぜ」

 

 そんなことをポツリとつぶやきながら、ガヒドは缶ジュースをあおった。

 

「あ~、酒飲みたい。ヨーロッパなら少し前から飲めたから、ハマってたんだよなぁ」

 

「最初のころからそういうことし続けると体に悪いっていうよ」

 

「・・・お酒は二十歳になってから」

 

 帰り道、方向が一緒だったので一緒に帰っている佑斗や小猫にそう突っ込まれながら、ガヒドは空を仰いだ。

 

「しっかしお茶目というかなんというか。まさか部下にハリセンでどつかれるような奴だとは」

 

「普段からあんな感じではあるけどね。僕達としてはあれが普通だよ」

 

「・・・ノリが軽いんです」

 

 確かにそんな感じだった。

 

 悪魔の王というのだから、もっと厳かな感じをイメージしていので、いろいろと肩透かしな感じでもある。

 

「腹芸とか苦手そうなタイプだよなぁ。交渉事は基本正攻法とかで行くタイプか」

 

 別に全く間違った方法ではない。

 

 誠意を見せるのは交渉事にもいいことだし、少なくとも一般人受けがするだろう。

 

 とはいえ笑顔で握手しながら反対側の手でナイフを持つような輩もゴロゴロいる。実は意外と苦労しているかもしれない。

 

「しかしまあ、部長がイッセーに惚れてるのは魔王様も周知の事実ってことか」

 

 あの様子ではかなり気に入っているようだ。妹の直属とはいえ最近は言ったばかりの新入りの顔まで覚えているとはなかなかだ。

 

「ああ、イッセーくんは特別だよ。実はつい最近部長は婚約を強制されかけてて―」

 

 そこから佑斗が語った内容は、中々驚異深いものだった。

 

 上級悪魔同士の婚約をかけたレーティングゲーム。そしてそこに敗北してからの反撃の戦い。

 

「・・・またゴリ押し一歩手前のいいわけだな。冥界の貴族って典型的な貴族主義がゴロゴロいるらしいが大丈夫か?」

 

「どちらかというと部長の方が大変だね。赤龍帝の力で無理やりごり押ししたっ言っている人がいるらしいんだ」

 

「あ、そっちにいくの?」

 

 送り込んだのは魔王の方ではないかと思うが、どうも魔王相手にゴリ押しできない輩が多いらしい。

 

 どれだけ人気があるのか知らないが、話を聞く限りまだまだ時間があったのにもかかわらずゴリ押ししたのは向こう側の気がするのだが。

 

 どうやら貴族主義というのは実に面倒らしい。もう少し給料を吊り上げるべきだったかと、ガヒドは少し後悔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・敵が間抜け面にいい加減うんざりしました。あいつらのアヌスに一発叩き込んで新しい扉を開かせたいのですが。どうぞ」

 

『まだ結果がどうなるかわからない状況下でそれはやめろ。お前はどうしてその名前でそんな思想なんだ』

 

「上官のつまらない返答で本官のやる気が五割減しました。モチベーションアップのために明日のバナナパフェを本部の金で食べていいですか? どうぞ」

 

『お前はもう少し真面目にやれ。さっきはああいったが、我々は文字通り人類のために戦わねばならんのだぞ?』

 

「わかってますよ。悪魔の存在を点が許すなどあってはならない。我々は等しく愚かで邪悪なのだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・すいません。神に祈りすぎて気が遠くなりました。気付けを持った増援を呼んでください。どうぞ」

 

『信心深いのは結構だが、無理はしなくていいぞ? 仕事中は控えるように』

 




すでに動き始めている各勢力。

さて、ガヒドたちはこの猛攻を突破することが本当にできるのか!?
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