バベルの中に入ると、下へ続く階段があった。
興味本位で降りてみると、そこは大広間で、中央にある、10
気になったので入ると、薄暗くも壁や天井が僅かに発光している、洞窟のような空間だった。
「なんだか面白そう!」
わたしは、奥へと進んでいった。
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『ギギッ!』
「えっ!?」
暫く洞窟の中を歩いていたら、驚くべきことが起きた。
ビキリ、と嫌な音を立てて、壁を割れる。そこから、醜い人型の怪物が出てきたのだ。
『ギッ!』
「きゃあっ!?」
怪物がわたしに襲いかかる。振るわれた腕を、咄嗟に頭を腕で押さえて、屈んで避ける。
間一髪、怪物の腕はわたしの頭の上を通ったが、腕を掠ったような感覚に恐怖した。
避けたはいいものの、怖くて腰が抜けてしまう。
『ギギッ…』
「ひっ」
怪物がまた、こちらを向く。
尻を地面につけたまま、距離を取ろうとして後ずさるが、それも無駄な抵抗だった。
『ギッ』
「あぁあっ!」
怪物が、わたしに体当たりする。攻撃を受けたわたしは、ふっ飛ばされて少し宙に浮き、着地して地面を転がった。
痛みはあまり無いが、恐怖の所為か余計に痛く感じた。
立ち上がろうとしていると、またビキリ、もう一つビキリ、と不快な音が聞こえる。
見ると、わたしに攻撃した奴と同じ怪物が2匹、壁から現れた。
『ギィッ』「ギギッ!』
「っ!?」
合計3体の怪物がこちらに向かってくる。
恐怖で震える体を叱咤し、なんとか立ち上がる。
「あっ!?」
出口に向かって走ろうとしたが、足が縺れて転んでしまった。
隙ありとばかりに、3体が同時に襲いかかってきた。
『ギッ!』『ギギッ!』『ギギィッ!』
「いやぁっ!?」
手で、足で、爪で、歯で、怪物たちはわたしを傷つける。
為す術も無く、頭を守るように蹲っているしかなかった。
『ギィ…』
「痛い…痛いよぉ…」
痛かった。苦しかった。
初めての場所で、このような仕打ち、こんなの、なかった。
『ギィッ!』
また、襲いかかってくる。堪らず、叫んだ。
「やめてぇっ!!!」
『『『ギッ!?』』』
その瞬間、怪物たちの動きが止まった。
「くっ…」
その隙を逃したら、次は無いと思った。フラフラと立ち上がり、必死に出口を目指して走った。
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また雨が降っていた。
気が付けば、路地裏で壁に寄りかかり座り込んでいた。昼間の場所ではなかった。
大穴を出てからはあまり覚えていない。
誰かの目に留まることもなく、周りに見向きもしないで、ただ走っていた。
一度瞼を閉じれば意識を失ってしまいそうだった。
ふと、空を見上げると、雨が降っているのに、綺麗な星がよく見えた。
夜明けが近いようだった。
周囲に人の声や音は無く、皆寝静まっているのだろう。
「…このまま、死ぬの、かな…?」
一滴、また一滴と、涙が頬を伝い、地面に落ちる。
薄れゆく意識の中で、わたしは、願った。
「…死にたく、ないよ…」
そして、わたしの意識は途絶えた。
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「…ぅ…んぅ……」
目が覚める。鳥の囀りが聞こえ、柔らかな風が頬を撫でた。
「…生き、てる…」
胸に手を当て、自分の心臓の鼓動を感じ取る。
「良かった…」
安堵して、息を吐く。
体を起こして、身の回りを確認する。
着ていた襤褸は、初めのときより酷い有様で、服としての意味は殆ど無かった。
髪や襤褸切れは水を吸っていて、肌にへばり付くのが気持ち悪い。
体には特に大きな傷がなく、擦過傷や切り傷、噛み痕から少し血が滲んでいる程度だった。
「うへぇ…」
この程度で、死ぬだのなんだの考えていた自分に少し恥ずかしくなった。
しかし、満身創痍だったので、仕方ないと割り切り、立ち上がる。
「へくちっ!…寒っ…」
雨で全身ずぶ濡れだった。ブルブルと体が震える。
そして、グゥ、と腹の虫の一声。
「お腹も減ったなぁ…食べ物を探さなきゃ」
とりあえず、この状態をなんとかするために路地裏を出た。
そのとき、
「ふぎゃっ!?」
「きゃっ!?」
誰かとぶつかってしまった。
「痛てて…もうまったくぅ!どこ見て歩いているんだい?」
「ご、ごめんなさいっ」
咄嗟に謝る。ぶつかった相手は、地面で尻を打ったようで、そこをさすっていた。
自分より小さい女の子。
吸い込まれるような綺麗な黒髪はツインテールになっており、髪留めには鈴の装飾。
同じ人間なのかと思うほど整った顔に、透き通った青い瞳は、まるで宝石。
首には青いリボンが巻かれている。
幼さに見合わない豊かな双丘を包んでいるのは、背中と胸が大きく開いた純白のワンピース。
そこから伸びる肢体は美しく、手には純白のショートグローブ風の手袋、足にはサンダル。
そして、胸の下を通すように二の腕に結ばれている青い紐。
神秘的な美しさの少女に、思わず見惚れる。
「―――み、君!おい、君!大丈夫かいっ!?頭でも打ったのかいっ!?」
「は、はいっ!い、いえいえ、大丈夫ですっ」
少女の声で意識が覚醒する。声さえも、美しい。無意識に敬語になる。
「そんなにボロボロで大丈夫なわけないだろう!?冒険者なのかい!?ならどこの【ファミリア】なんだ!?」
「【ファミリア】?」
少女は焦った様子で質問してくる。そして、わたしは、知識には無い言葉に首を傾げる。
「【ファミリア】のことを知らないのかい?君はオラリオの外から来たのか?」
「いや、わたしには…」
おそらく、少女が言った「オラリオ」というのは、この都市の名前だろう。
少女の質問攻めに、どう答えるか悩んだ末、打ち明けることにした。
「何も言わなきゃ分からな―――」
「記憶が、無いんです。わたしには」
少女の言葉を遮って、言う。
「っ!?…そう、か…記憶が…」
「はい」
記憶が無い。そう伝えると、涙が溢れた。
「うっ、ぐすっ」
誤魔化して押し止めていたものが爆発しそうになる。
「辛かったね」
そう短く言って、私を抱きしめた幼い少女。
「知ってるかい?辛いときは、さ」
少女は、わたしより小さいはずなのに、とても大きく感じる。
わたしには充分過ぎる包容力だ。
「―――思い切り泣いてもいいんだぜ?」
「う、あ……うわああぁああんっ!!ひぐっ、えぐっ……ああああああんっ!!」
堰を切ったように涙が止まらなかった。
頽れて、わたしは少女の腕の中で泣き続けた。
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その後、一頻り泣くと、漸く落ち着いた。
「ぐすっ…すみません。お見苦しいところを…」
「いいのさ、そんなこと。子ども達を愛するのがボクだからね!」
その言葉におかしいところを感じたが、聞き流した。
「君、帰る場所はあるのかい?」
「…いえ、ありません」
「なら、僕と一緒に来ないかい?」
「えっ?」
流石に、今日会ったばかりの、それも自分より小さな子に、これ以上迷惑は掛けられない。
断ろうとするが、それより早く、少女はわたしの手を引いて歩き出した。
「よしよし、そうしようそうするんだっ!そうと決まったら…いざ!ヘファイストスのところへ!」
「あ、あのっ?ちょっとっ!?」
「大丈夫大丈夫!女の子なんだから、まずは綺麗にしないとね!」
強引に連れて行かれる。わたしの腕を掴む、小さな温かい手を振り払うことができなかった。
少女は、やれ傷の手当だの、やれ服の調達だの、何を先にするか悩ませながら足早に歩く。
そこで、わたしの腹の虫がなる。
少女は笑った。素敵な笑顔だ。
「ご飯も用意しないとだね」
「うぅ…すみません…」
「謝る必要なんか無いさ。ボクが好きでやっているんだからね」
連れられて歩いていくと、工業地帯のような雰囲気がある大通りに出る。
「さあ、こっちだよ」
少女は、この地帯の中でも一際大きな建物に向かって歩く。門には「【Hφαιστοs】」という文字が刻まれている。門の上でヒラヒラと風に揺れる旗には、交差した2本の槌に火山のエンブレム。
「ここが【ヘファイストス・ファミリア】のホームだよ」
「【ファミリア】…」
そう呟くと、少女は思い出したように言った。
「そっか。君は【ファミリア】について、というかオラリオについて何も知らないんだったね」
「はい」
それから、少女の説明を受ける。
曰く、少女の名はヘスティア。最近下界に降りた神である。
曰く、彼女のように下界に降りた神々は、人々に【
曰く、このオラリオには、バベルの地下にダンジョンと呼ばれる迷宮があり、そこからはモンスターが生まれる。
曰く、ダンジョンのモンスターを倒し、【
その他諸々。
彼女が神であることには、最初に見たときの美しさからか、あまり驚きはしなかった。
そして、昨日わたしが入ってしまった場所は恐ろしいものだったことに気付かされる。
その他の説明も理解する。
今、ヘスティア様は目の前の赤髪隻眼の男装の麗人、神ヘファイストスに頭を下げていた。
「―――と、いうわけなんだ。だから…ヘファイストス、頼むっ!お金貸して!」
「まあ、事情は分かったからいいけど…これ、何回目か分かってる?」
「うっ!?」
溜息を吐きながら、右眼の眼帯をポリポリと掻く神ヘファイストス。
それに対して、ヘスティア様は胸を撃たれたような仕草をしている。
余程の借りがあるようだ。
「こ、今回ばかりは自分のためじゃないぞ!ボクはこの子のために―――」
「はいはい、わかったから。ちゃんと今までの分も返しなさいよね?」
「もちろんさ!」
「まったく…ホームも仕事も与えたっていうのに…」
「そ、それは仕方ないだろ!?昨日の今日だっていうのに!」
神ヘファイストスは呆れながらも、ヘスティア様に金貨(お金の単位はヴァリスというらしい)の入った袋を渡す。
「ありがとう!ヘファイストスッ!」
「あ、あの!必ず、お返しします!」
「ん?ああ、いいのよ、別に。これはあなたじゃなく、この子の借金だから」
「ぐっ、ご、ごもっともだよ…」
お金はしっかり返そうと思ったが、やんわり断られる。
というか、ヘスティア様、借金わたしに押し付けるつもりで借りようとしてたんですか?
借金を手にして、ヘスティア様はまたわたしの手を引き、【ヘファイストス・ファミリア】のホームを後にした。
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「記憶が無い、ねぇ…」
男装の麗人、神ヘファイストスは、呟いた。
神友の連れてきた、ボロボロの女の子のことを考えていた。
――――彼女なら、あるいは、
打算的過ぎるかとも思い、頭を振って今の思考を散らす。
「そういえば…あの女の子、なんて名前なのかしら?」
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【ヘファイストス・ファミリア】のホームを出た後、わたし達は最低限の服と
傷を治してから公衆浴場に行き、体を綺麗にした。
神ヘファイストスは少し多めにお金を貸してくれたようで、予備の服や下着も買えた。
ヘスティア様に連れられて、美味しいご飯も食べた。
幸せだった。
しかし、ここまでしてくれたのだ。もう十分だ。
わたしは今、ヘスティア様のホームにいた。
外から見れば、みすぼらしい廃教会だったが、中に地下室への階段があった。
驚いたことに、地下室はアンティーク調の家具があり、生活空間が整っていた。
わたしとヘスティア様は共にベッドに座っている。
「あの、今日は本当にありがとうございました!こんなに色々していただいて…」
「もう、堅いな~。もっとフレンドリーに接してくれていいんだぜ?これからは家族なんだしさ!」
「えっ?」
今、ヘスティア様は何と言っただろうか。家族と言ったのか。
わたしで、わたしなんかでいいのだろうか。
「あっ、もしかして、嫌だった、かい…?」
「い、いえ…そういうわけじゃ…ただ……」
「ただ?」
ヘスティア様は尋ねる。
暫く逡巡して、心の内を明かす。
「わたしなんかで、いいのでしょうか…?」
今日会ったばかりの見知らぬ人間が家族になる。
わたしにとっては嬉しいことだが、ヘスティア様にとってはどうなのだろう。
最初に見つけた責任感で、というのはなんというか申し訳ないし、可哀相だからというのも、無暗に同情を引いている気がして心苦しい。
そう考えて、答えるのを躊躇っていた。
そして、
「君が良ければ、もちろんさ!僕も家族が欲しかったんだ!」
ニコッ、と微笑んで、ヘスティア様は言った。
「ほ、本当に…わたし、で…?」
「ホントのホントさ!なんだい?ボクが変な責任感や同情で、君と家族になるって言ったと思ってるのか?」
見透かされてしまった。
「う、それは…」
図星だった。神様というのはすごい。
「ボクは君だから、家族にしたいと思ったんだ~」
「わたし、だから…?」
「うんっ!」
目の前の神様は、心底嬉しそうだった。
「君だから、だよ」
静かに、涙がわたしの目から零れる。
何も分からない場所で、何も知らない自分に―――
「それで、ボクの
―――家族が、できた。
「はいっ!喜んでっ!」
涙を拭い、わたしは笑った。
========
神ヘスティアは、心の底から嬉しく思っていた。
下界に降りてから、初めての
出会ったときはボロボロだった、綺麗な亜麻色の長い髪に、ワインレッドの目をした少女。
控え目で泣き虫なところはあるがとても可愛い娘だと、彼女は思っていた。
さておき、少女には、記憶が無いらしい。
聞けば、何処から来たのかも、自分が何者なのかもわからないとのことだった。
ボロボロだった理由は、ダンジョンに行ってモンスター達に襲われたからだと、少女は答えた。
ヘスティアは仰天した。
まさか、【
実際に少女はピンピンしているし、嘘もついていない。彼女は神であるから、
無事なのだからいいだろうと、彼女は考えるのを止めた。
まずは少女に【
少女に、上半身裸になってベッドにうつ伏せになるように伝える。
「あの、ヘスティア様?これから何を…?」
「ふふーん!これから君に家族の証をね!…って、そうだ」
「…?」
「君に名前をあげなくちゃ、だね」
「あっ」
そういえばそうだ。彼女は自分の名前も忘れている。
そう、可愛い名前がいい。彼女に似合う素敵な名前。
「ん~、どうしようか…」
少女は期待に満ちた目でこちらを見つめている。その姿がまた一段と可愛い。
「ケイト…」
「え?」
「ケイト、というのはどうだろうか?君に似合う素敵な名前だと思うんだけど…」
流石にファミリーネームまでは烏滸がましいと彼女は思った。
「ケイト…」
「気に入らないかい?」
「い、いえいえ、そんなことは!」
少女は笑って、言った。
「とっても素敵な名前です!ありがとうございますっ!」
「そっかそっか!それは良かった!じゃあ、早速【
「はいっ!」
ヘスティアは、再びうつ伏せになった少女、ケイトに跨り、針で人差し指に傷をつけ、彼女の血、
そうして、ケイトの背中に恩恵が刻まれた。
ヘスティアは
……………………
■■■■■■ → ケイト
Lv.2
力:E473
耐久:S901
器用:F339
敏捷:D517
魔力:C620
守護:I
《魔法》
【アイギス】
・即発魔法
《スキル》
【
・耐久の熟練度上昇値に補正
・武器装備時、全アビリティ大幅低下と
・防具のみ装備時、耐久に上方補正
・防具のみ装備時、得られる【
……………………
(なっ!?なんだこれっ!?レベルが2になってるし、基本アビリティも高い!?それにこの魔法とスキル、間違いない!かなりのレアものだっ!)
「ヘスティア様?どうかしましたか?」
「い、いやっ!?ちょっとね…」
「…?」
彼女には、その異常なスキルは、加護のようにも呪いのようにも感じられた。
焦ったヘスティアの気配に、ケイトは怪訝に思ったのか、質問を飛ばしてきた。
ヘスティアは慌てて【ステイタス】を紙に写し取った。
二人でベッドに横並びに座り直し、ケイトにそれを手渡す。
「…これって、すごい、んですよね…?」
「すごいで済むもんか!はっきり言って異常…いや、待てよ…」
自分の【ステイタス】を見たケイトも驚いていた。
そこで、ヘスティアの頭に、ある考えが過った。
しかし、それは少女にとっては残酷なものだった。
でも、伝えなければならないだろう。
ヘスティアは決心した。
「ケイト君?これは、ボクの推測なんだが、落ち着いて聞いてくれ」
「は、はい」
急に真剣になった彼女の様子に戸惑うケイト。
ヘスティアは、前置きをしてから、彼女に告げる。
「君は、以前に【ファミリア】に入っていた可能性がある」
彼女は静かに聞いているが、緊張しているようだ。ゴクッ、と唾を飲んで喉が鳴る。
でも、と一呼吸置いてから、彼女はまた、少女に告げる。
「仮にそうだったとしても、君の主神は、この世にはもういない。天界に還っているだろう」
もしかしたら、彼女にとって、家族を一人失っていることも同然だった。
今回のことは、ある意味【
それを聞いて、彼女は俯く。
(やっぱりショックだよね…でも、ボクには、慰めることしか…)
(…いや、ボクが落ち込んでいてどうするっていうんだ!)
ヘスティアは自分に叱咤し、俯くケイトに声をかけた。
「でもね、ケイト君?これはまだ推測の域を出ないし、もしかしたら君が元からめちゃくちゃ強いって可能性も―――」
「ヘスティア様」
彼女の言葉は、突然声を発したケイトに遮られる。
「わたし、夢を見たんです」
「ゆ、夢?」
「はい」
俯いたまま、彼女は続ける。
「誰かは分からなかったけど、とても大きくて、温かい手を、わたしに伸ばしてくる夢を」
「…」
「今なら感じるんです。その温かさを、ここから」
そう言って、ケイトは胸に手を当てる。
彼女は、顔をあげて
「だから、わたしとその人はどこに居ても繋がっているんだと思います」
「…」
「どうしてこの街に居たのかは分かりませんが…まあ、情報は追々集めます」
そして、
「その人は家族だったかもしれませんが、今はヘスティア様も家族です」
「…うん」
「もし、ヘスティア様の言う通りだったら、今度は絶対に―――」
今はもう、朝に泣いていた少女の面影は無い。
微笑みを浮かべて、少女は、誓う。
「―――わたしがあなたを守ってみせます」
「ケイト君…」
「天界になんて還してあげませんから、覚悟してくださいね?」
悲しみに打ちひしがれていた少女。随分と大人びて見える。
ヘスティアは感激した。
「うおおおぉおぅ!ケイトくぅぅんっ!」
「ちょっ!?へ、ヘスティア様!?」
堪らなくなって、ヘスティアはケイトに向かって飛び込んだ。
二人一緒にベッドに倒れこむ。
「ボクも君を放すもんかぁあっ!」
「ふふっ…ええ、そうしてくださいっ!」
こうして、少女と女神は互いに初めての家族となった。
========
余談ではあるが、その後ケイトが魔法名を呟き、出現した盾にヘスティアが潰されそうになった。
そこには、涙目になって拗ねる
お目汚し失礼いたしました。
配分が一話ごとにバラバラなので調節していきたいですね。
ちょっとケイトを強くしすぎかとも思いましたが、多分大丈夫。
次回からは1話後に戻ってお話を進めたいと思ってます。
感想・ご指摘、どうぞ気軽に。お待ちしております。
9/9 アビリティが一部間違ってたので修正