問題児のヒーローアカデミア   作:わたくしメガネ

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こんにちは。早めの投稿です。閲覧、お気に入りありがとうございます。
今回からUSJ編です。この辺から少しずつ十六夜の活躍やら設定やら出していこうと思っております。



9話

その日の雄英高校は、やけに騒がしかった。

 

 

 

「オールマイトの授業はどんな感じですか?」

 

「"平和の象徴"が教壇に立っているということでその様子などを教えて!?」

 

「教師オールマイトについてどう思ってますか!!??!?」

 

 

あの"平和の象徴"であるオールマイトが雄英の教師に就任したというニュースに、全国からマスコミが連日押し寄せてきているのだ。

 

 

「オールマイトに直接お話伺いたいのですが!!!」

 

「オールマイトをお願いします!!!」

 

「オールマイトを!!」

 

「オールマイト!!!」

 

「オールマイッ!オールマイッ!!!」

 

 

ここ2、3日ずっとこの調子だ。

 

 

 

「彼は今日は非番です。授業の妨げになるんでお引き取り下さい。」

 

「ちょっと!!!少しでいいのでオールマイトに…!!!」

 

 

 

ちなみに、セキュリティ面においては、雄英バリアーなるものが至るところに存在するため問題はないらしい。

 

ネーミングセンス……。

 

 

 

 

 

 

 

そのあと緑谷たちのクラスで学級委員長决めがあったり投票制だったり緑谷が委員長に選ばれたりマスコミが雄英バリアーを何らかの方法で破って不法侵入してきたりそのせいで学校中が大騒ぎになったり飯田が非常口のポーズで収拾つけたりそれをみた緑谷が飯田を学級委員長に推薦したり副学級委員の八百万がなんか複雑な面持ちだったりするのだが、ここでは割愛させていただく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトともう1人の三人体制で見ることになった。」

 

今日も今日とて合理的、簡潔的に連絡事項を済ませる相澤。

 

少し含みのある言い方に、逆廻は欠かさず反応する。

 

(見ることになった、ね。学校側も警戒してるな…。まあ無理もないか。)

 

なぜ学校側が警戒態勢に入っているのか、逆廻には検討がついている。

 

マスコミの不法侵入で学校中が大騒ぎになっている中、逆廻十六夜だけはその原因を探るために校舎から出て敷地内を見回っていた。

 

そして粉々にされた雄英バリアー(笑)と敷地内で騒ぎを起こすマスコミを見つけていたのだ。そのせいで非常口飯田を見れなかったことを非常に残念に思っている。

 

生徒らはただのマスコミの不法侵入だと思っているが、問題はそれだけではない。マスコミがどうやって雄英バリアーを破ったのかが問題なのだ。

 

良からぬものがマスコミを焚き付けたのだ。

 

(教育機関としてヒーローとして、生徒の安全は保証しないとってか。)

 

逆廻は自分の強すぎる力を自覚しているため、守られる必要もないしそもそも危険に晒されることもないと思っている。

 

しかし他の生徒たちは逆廻のようにはいかないし、学校としては世間体もあるのだ。

 

(大変だねぇ先生っていうのは。)

 

「今日は何するんですかー?」

 

「災害水難なんでもござれ、人体救助訓練だ。ヒーロースーツの着用は各自に任せる。訓練場にはバスに乗っていく。以上、準備開始。」

 

説明が終わるとさっさと教室をでる相澤。

逆廻はヒーロースーツには一瞥もくれず体操服に着替え、たまたま近くにいた緑谷と談笑しながらバスに向かう。

そこに麗日も加わる。

 

「デクくん今日体操服なんだね?あと逆廻くんも!」

 

「僕のはこの間の戦闘訓練でボロボロになっちゃったから修復待ちなんだ。逆廻君はこの間も体操服だったよね?ヒーロースーツに不具合があったんだっけ?」

 

「まあそんなとこだな。」

 

実は被服控除なんてものは知らず自分の保護者であるクソババアが勝手に申請していたスーツを着るのか気に食わない、とは言えずに適当に流す。

 

委員長として張り切りから回る飯田を程々に流しながらバスに着席すると、緑谷の隣に座った蛙吹梅雨という蛙の個性を持った女子生徒が緑谷に話しかけてきた。

 

「私思ったことをなんでも言っちゃうの。緑谷ちゃん。」

 

「へぁ!?はい!蛙吹さん!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで。ところで、あなたの個性、オールマイトに似てる。」

 

「そそそそうかな!?」

 

いきなり確信をついてきた言葉に緑谷が慌てる。助け舟を出そうと思う逆廻だが、緑谷は逆廻が個性の秘密を暴いたことをまだ知らない上に、なにより緑谷の慌てた様子が面白いので放置する。

 

「待てよ梅雨ちゃん!オールマイトは緑谷と違って個性使って怪我なんてしねぇぞ!似て非なるアレだぜ。」

 

切島という漢気溢れた男子生徒が会話に割って入る。

 

「しかし増強型のシンプルな個性ってのはいいな!派手だし出来ることもたくさんある!俺の"硬化"は対人じゃ強ぇけど地味なんだよなあ。」

 

ガキン!と腕を硬化してみせる切島。確かに質感と少し形が変わる程度だ。

 

「僕はすごくかっこいいと思うよ!」

 

緑谷は話が逸れたことにほっとする。

もう終わりかと内心少しがっかりする。

 

「増強型といえば逆廻もすげぇパワーだよな!スピードも速すぎて見えねぇし、どっちかっつーと緑谷より逆廻のほうがオールマイトに似てるよな!」

 

「そうか?」

 

「そういえば逆廻って金髪だし髪型ツンツンしてるし、豪快に笑うし!考えてみればめっちゃオールマイトに似てる!!!」

 

ぐいぐいと迫ってくる切島の勢いを適当に流そうとするが、芦戸という肌がピンク色で黒い目をした女子生徒が話を更に盛っていく。

 

「うおおマジだ!っていうか逆廻の個性について詳しく聞かせてくれよ!」

 

「あ!僕も聞きたい!」

 

「うるっせええええ!!!お前ら、ちったぁ静かにできねんか!!!」

 

さりげなく緑谷まで逆廻の個性について聞いてきたところで爆豪の怒りが爆発する。

 

「お前が1番うるせぇよ爆豪。」

 

切島が爆豪を一刀両断すると、一旦クールダウンした芦戸がまた会話を続ける。

 

「ヒーローも人気商売なところもあるし、やっぱり逆廻みたいに派手なほうが人気が出るぜきっと!」

 

「派手で強えっつったら爆豪と轟もだよなー。」

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかりだから人気出なそう。」

 

蛙吹が爆豪に容赦ない言葉をかける。

 

「んだとコラ出すわ!!!」

 

「この付き合いの浅さで既に糞を下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ。」

 

いかにもチャラそうな風貌をした、帯電の個性を持つ上鳴がさらに追い討ちをかける。

 

「てめぇのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」

 

BOOM!!!

 

爆豪がキレる。ていうかキレてた。

 

「低俗な会話ですこと。」

 

「でもこういうの好きだ私!」

 

離れたところで創造の個性の八百万と麗日が会話をする。

 

 

「もう着くぞー。あとあんまり騒ぐんじゃねぇ。」

 

相澤の一言で多少静かになるもののバスの中はまだ騒がしい。

そんな中で逆廻は周りの会話を聞きながら、爆豪にいじられキャラとしての価値を見出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっげええええ!!!USJかよ!!!」

 

バスが到着し演習場に入ると、そこにはまるでどこぞのUSJのように様々な施設が建設してあった。

 

既に演習場に到着していた教師陣である13号が演習場の説明を始める。

 

「水難事故、土砂災害、火事など、あらゆる事故や災害を想定し僕がつくった演習場です。その名もウソの災害や事故(U S J)ルーム!」

 

((((マジでUSJかよ!!!!))))

 

「ヤハハ!」

 

「スペースヒーローの13号だ!!」

 

「災害救助で目覚しい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

 

「わー!私好きなの13号!」

 

13号好きの麗日と、ヒーローのことなら何でもござれな緑谷が興奮している。

 

 

相澤は13号に話しかける。

 

「13号、オールマイトは?まだ来ていないのですか?」

 

「先輩、それが……」

 

13号は生徒に聞こえないように小声で続ける。

 

その様子を見ていた逆廻は、少しだけ意識を耳に集中させる。13号は宇宙服のようなヒーロースーツを着用しているため口の動きが確認できず読唇術が使えないが、この距離なら普通に聞き取れる。

 

「通勤中に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで仮眠室で休んでいます。少しだけなら顔を出せるようです。」

 

(制限ギリギリ・・・?オールマイトは今万全の状態ではないのか?)

 

オールマイトの活動に制限があることを中途半端に知ってしまった逆廻は詳細が気になって仕方がない。

 

(もしかしてそれは緑谷に個性を譲渡したことと関係あるのか。)

 

「不合理の極みだな……。仕方ない、始めるか。」

 

逆廻が考えを巡らせる。

その間に教師陣は会話を切り上げる。

 

「えー、始める前にお小言を少しだけ。皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」

 

13号は指先にブラックホールを発生させて実演してみせる。

 

「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

 

生徒が興奮気味に捲し立てるが、それに反して13号の声は静かだ。

 

「ええ。しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう個性をもっている子がいるでしょう。」

 

一気に生徒間の空気が重たくなる。

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しくすることで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる力を個々が持っていることを忘れないでください。」

 

13号は生徒たちに優しく言い聞かせる。

 

「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。」

 

ごくり、と誰かが息を呑む音がした。

 

「この授業では心機一転!人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう!君たちの力は人を傷付けるためにあるのではなく、助ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご清聴ありがとうございました!」

 

((((かっこいい!!!))))

 

「ブラボー!」

 

13号に生徒たちから拍手喝采が巻き起こる。

 

 

 

「そんじゃあまずは……?」

 

 

相澤がとある一点を見て目を見開く。

 

逆廻もその気配に気づき、巡らせていた頭を一旦止める。

 

 

「一かたまりになって動くな!!!13号!生徒を守れ!!」

 

「何だありゃ!?もう始まってんぞパターンか?」

 

いきなり戦闘モードに入った相澤に、まるで生徒たちはついていけない。

相澤は端的に説明する。

 

「動くな!あれは敵だ!」

 

 

今自分たちがいる高台の階段の下。

そこにある広場に黒い影が浮かび上がり、その中から怪しい雰囲気をもった人間がぞろぞろと出てくる。

 

(空間系の個性・・・。ワープってあたりか。)

 

その様子を上から眺めた逆廻は相手の個性がどのようなものなのか分析する。

 

「敵んん!?バカだろ!ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎんぞ!?」

 

「先生!侵入者用センサーは!?」

 

「もちろんあるはずですが・・・!?」

 

いきなりすぎる敵の襲来にパニックを起こす。

しかし冷静な生徒もいた。轟焦凍だ。

 

「現れたのがここだけか学校全体か・・・。何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういう個性を持った奴がいるってことだな。」

 

轟は慌てず、冷静に敵を分析していく。

 

「校舎と離れた隔離空間。そこにクラスが入ってくる時間帯。バカだかアホじゃねえ。これは何らかの目的があって、用意周到に画策された奇襲だ。」

 

轟のその言葉に、その場の緊張感が増していく。

 

 

 

 

 

一通り人間を出し終わったあと、黒い影は人型ににまとまり、教師陣を確認すると呟いた。

 

「13号に、イレイザーヘッドですか……。先日頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですか…。」

 

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか…。」

 

相澤は舌打ちする。

今度こそよからぬ者が侵入してきた。

 

「どこだよ…。せっかくこんなに大衆引き連れてきたっつーのに、平和の象徴がいないなんて……。子どもを殺したら来るのかなぁ?」

 

灰色の髪をした、顔面と身体中に手の模型をつけた細い男が、苛立たしげに首筋を掻く。

 

生徒たちに向けられたそれは、途方もない悪意だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そのようなことは、この男にだけは関係がない。

 

 

「1人で戦うにはちょっと数が多いよなイレイザーヘッド。助力するぜ。」

 

わらわらと群がる敵を呆れた顔で見下ろしてボヤく逆廻。

 

「何をする気だ逆廻。」

 

「まあ見てろって。」

 

逆廻は愉快そうに笑うと、足にほんの少しだけ力を込めた。

それはほぼノーモーションで行われたにも関わらずドゴォ!!と音を立てて崩れた床に、その一連の様子を見ていた者達の目は釘付けになる。

 

「・・・は!?」

 

「見たところそんな骨のあるやつはいねぇ。石でも投げときゃ半数以上は大丈夫だろ。」

 

逆廻は手頃な大きさの破片を拾い上げると、よっ、と間の抜けた掛け声と共に軽く放った。

 

投げられた石は、凄まじいスピードで敵に向かって飛んでいき、着地するとまるで爆弾するように、その場にあった全てを吹き飛ばした。

 

「「「うわああああ!!!」」」

 

机の上から払われる消しカスの如く吹っ飛んでいく敵を目の当たりにした緑谷は、驚きのあまり、言葉を口にできない。

 

「・・・ええええ!!!今何が起こったの!?」

 

「今よっ、ってやったじゃん!よっ、って!なんであんな威力が出るんだよ!?」

 

「知りたいか?」

 

「いやできたらいいけども!できる気がしねぇ!」

 

「ヤハハ!教えねぇよ!」

 

「なんだこいつ!!」

 

逆廻は軽口を叩きながらも石を投げる手を止めない。

ゴミ箱に紙屑を狙い入れるような軽い調子なのにも関わらず、石は逆廻の指を離れた途端にとんでもないスピードで敵たちに襲いかかる。あんな石が直撃したら、人体はいとも簡単に潰されるだろう。

たとえ敵であろうと相手は人間だ。緑谷は死者が出てしまっているのではないかと心配になるが、勇気を出して見渡しても怪我人はいるが、致命傷を負っている者は見当たらなかった。みんな元気に逃げまわっている。

どうやら逆廻は直撃しないように、尚且つ戦闘不能にするレベルの打撃を与えられる場所を考えて石を投げ込んでいるらしい。

 

「おーい、もう三発いくぞー。」

 

逆廻はもう一度足場を軽く崩して破片を拾い上げる。弾切れはない。逆廻が弾にしようと思えばその場にあるものがすべて弾になるのだ。なんとも恐ろしい。

 

しかしいつまでも翻弄され続けるほど敵もバカではない。いきなり敵を庇うように現れた黒い影に石が飲み込まれた。

 

(あいつ、ワープ野郎か。)

 

逆廻は投石を中断する。

 

いきなり出鼻をくじかれた敵のリーダーらしい少年は、苛立ちを隠せない。顔面や身体中に手のようなものをつけていて見た目も仕草もかなり不気味だ。

 

「あー・・・。何あいつの馬鹿力は。さすが雄英ってことかぁ。オールマイトもいないしさぁ、どうなってんだよ・・・。」

 

傷ができるほど首筋を掻き毟る。

 

「死柄木弔。傷が増えます。」

 

先程のワープの個性をもった影が慣れた様子で宥める。どうやらやつの名前は死柄木弔というらしい。

 

(あいつ、死柄木弔っていうのか。)

 

逆廻は敵のリーダー格である男の名前を覚える。

 

「こんなとこか。じゃ、イレイザーヘッド。あとは任せたぜ~。」

 

敵たちが会話に夢中になっている間に引っ込む逆廻。

 

「お前は・・・!っ、お前ら避難開始!学校に連絡試せ!センサーの対策も頭にある敵だ。電波系の個性を持った奴が妨害している可能性もある。上鳴お前も個性で連絡試せ。」

 

簡潔に指示を出すと相澤は階段を飛び降りて、敵の元へと突っ込んでいった。

 

それを見送り、よしお前らさっさと避難するぞー!と逆廻は気の抜けた様子で歩き出す。

 

「相澤先生・・・。大丈夫かな。」

 

緑谷が移動しながらも不安そうな面持ちで呟く。

 

「いくら逆廻君が大分減らしたとはいえ、まだ大勢いるしワープの個性を持った奴がこれから増援を呼ぶかもしれない。いくら個性を消すっていっても、イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は・・・。」

 

「何言ってんだ。」

 

逆廻は緑谷のブツブツブツブツを遮った。

 

「相澤教諭は何よりも合理性を重んじる。そんな男が自分の分かりやすい弱点を弱点のままにしておくはずがないだろ。」

 

「・・・?」

 

あまり理解していない様子の緑谷に、もう一言付け足した。

 

「つまり、一芸だけじゃヒーローは務まらないってことだ。」

 

ぎゃあああ!と相澤のものではない声が聞こえてくる。どうやらいらない心配だったらしい、と緑谷は後ろ髪を引かれはするが、自身が避難することに集中する。

 

「さあみなさんこっちへ!」

 

13号の後について避難経路を辿る。

 

先程までは主に逆廻のせいで緊張感は全くなかったものの、教師たちの対応や緑谷の言葉で、今自分たちは敵に襲われているんだ、という自覚が生まれてくる。

 

騒いでる場合ではない、と誰もが気を引き締める。

 

 

 

 

しかし、やはり邪魔は入るもの。

 

「そうはさせませんよ。」

 

逆廻たちの前にワープの個性をもった黒い影が広がった。

 

おそらく相澤が瞬きをする一瞬の隙を狙って来たのだろう。

 

「はじめまして、我々は敵連合。」

 

律儀に自己紹介を始める黒い影は、人で表すなら丁度首あたりに鉄の首輪のようなものを付けている。

 

「僭越ながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして。」

 

丁寧な言葉遣いで、要約すればオールマイトを殺すと宣った。

 

「「「!!!」」」

 

判明した敵の思惑に一同は動揺する。

 

(オールマイトを殺す!?)

 

あまりにも明確な殺意に緑谷は息を呑んだ。

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるはず・・・。何か変更があったのでしょうか。」

 

やつらの目当てのオールマイトは、通勤中に力をほとんど使い果たし、ただ今本校舎の仮眠室で休憩中だ。

 

(オールマイトがここにいないことを察しているのにも関わらず引き返さない理由。やはり生徒も殺すつもりか。)

 

ていうか敵なんだから誰彼構わずに殺しても不思議ではないな、と逆廻は思い直す。

 

(まだ生徒であるとはいえ、ここは最高峰雄英。さっきの石で吹っ飛んでるようなチンピラじゃちょっとばかり役不足だ。あのレベルでここの生徒を殺すには数で圧倒するしかない。)

 

「まあオールマイトがいようといまいと関係ありません。私は私の役目をこなすまで。」

 

大きく揺らめく影。

 

しかし、思惑に気づいた逆廻や応戦しようとする13号より先に動く者が2人。

 

爆豪と切島だ。

 

「行くな!戻れ!」

 

逆廻の声は届かなかった。

 

同時に飛び出した2人は、影に爆破と斬撃を与える。

 

「その前にオレらに倒されるっていうことは考えなかったのかよ!」

 

切島が叫ぶ。

 

しかし、相手はワープの個性を持つ男。攻撃は効かなかった。

 

「危ない危ない・・・。さすが金の卵。」

 

ユラユラと怪しく影を揺らしながら元の形に戻っていく。

 

「ダメだ退きなさい2人とも!」

 

13号が呼ぶがもう遅い。

 

黒い影が大きく広がり生徒たちに襲いかかってくる。

 

逆廻は舌打ちした。

 

(ぬかった!前に2人がいるせいで13号は個性が存分に使えない!)

 

敵の狙いは、生徒をワープで散り散りにして、少数になったところを数の暴力で嬲り殺すこと。

 

そうならないように、13号が影と応戦している間に避難する予定だったがもう無理だ。

 

逆廻のスピードで全員を影から遠ざけることは可能だが、おそらく反動で半分くらい死ぬ。

 

「避けるな散らばるな!集まれ!」

 

近くの緑谷と峰田を掴んだ時点で視界は黒でいっぱいになった。

 

 

 

 




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