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「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!」
「「「はーい!!」」」
被服控除。
雄英校入学前に、個性届・身体情報・デザイン等の要望を提出すると、学校専属のサポート会社が最新鋭のコスチュームを用意してくれる素敵なシステム。
しかし、緑谷は入学祝いとして母が贈ってくれたジャンプスーツをもって更衣室へ向かっていた。
手放しで応援すると言ってくれた母の気持ち。たとえ最新鋭でも高性能でもなくても、これを着ずして何を着る。
歩きながらスーツを抱きしめた緑谷に、声をかけたのは逆廻だった。
「なあ緑谷。」
「!?な、何かな逆廻君。」
今朝の件で逆廻に敏感に反応した緑谷だが、当の逆廻は自身のヒーロースーツの入ったケースを真剣な顔で見つめていた。その顔には、先程面白そうにオールマイトとのことを聞いてきたときのような雰囲気は感じられない。
ほう、と緑谷は心の中で息をついた。
「ヒーロースーツってのはそれぞれでデザインやサイズが違うんだろ?これを手配した学校側はどうやって生徒たちの要望に応えたんだ?」
「あれ?逆廻君覚えてないのかな?被服控除っていうシステムで、入学前に個性届と身体情報とデザインを学校側に提出したやつだよ。」
「へぇ、被服控除ね。」
逆廻は腑に落ちない、という顔のままつぶやく。
そんな話をしているうちに更衣室まで辿り着いた1-A男子勢は早速そわそわした様子で着替えだした。
だが、みんないそいそと着替えを済ませる中、逆廻だけはスーツを一度確認した後ケースを閉じてしまい、一向に着替えようとしない。
クラスメイトたちが着替えを済ませて更衣室をぞろぞろと出て行ってしまい、一向に着替えを始めない逆廻と着替えに手間取っている緑谷の2人が残されてしまった。
(どどどどうしよう……!気まずい…!)
スーツが要望と違ったのか、誰かのものと間違えてしまったのか。
緑谷が着替え終わっても、ついに逆廻は何もしなかった。
気まずさに耐えかねた緑谷は逆廻に一言告げる。
「僕も、もう行くけど……、えっと、大丈夫なの?」
「ん?あぁ、少し遅れるってオールマイトに伝えておいてくれ。」
「うん、わかった…。あ、後でね!」
特に不機嫌そうな様子もなく答えてきた逆廻に呆気なさを感じつつ、緑谷は急いで更衣室を後にした。
「……あのクソババア」
後ろから不意に聞こえてきた呟きは聞かなかったことにして。
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「格好から入るってのも大事だぜ少年少女!!自覚するのだ!!!!今日から自分は……」
「ヒーローなんだと!!」
オールマイトの白い歯がキラリと光る。
「さあ始めようか!有精卵ども!!」
「オールマイト先生〜、まだ逆廻が来てないで〜す」
「(ガクッ)な、なんだって!?」
「あ、逆廻君は少し遅れてくるそうです!」
決め台詞を台無しにされたことに大げさにコケるリアクションをとるオールマイト。
走ってちょうどそこに加わった緑谷が逆廻からの伝言を伝えた。
「あ、もしかしてデクくん?」
「う、麗日さん!?」
「かっこいいねー!地に足ついた感じ!」
「ホオオオオオオオオオオオ……////」
話しかけてくる麗日のスーツ姿に赤面する緑谷。
「要望ちゃんと書けばよかったよ…。パツパツスーツになっちゃった。はずかしい……」
えへへ、と笑う麗日。
口元を押さえたままの緑谷の隣で、背丈の小さい紫色の生徒が『ヒーロー科最高』と呟いた。
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「オホン、えー、じゃあ逆廻少年には悪いが先に始めてしまおう。さあ、いよいよ戦闘訓練の時間だ!」
大きく咳払いをして仕切りなおすオールマイト。
「先生!ここは入試の演習場ですが、市街地演習を行うのでしょうか?」
真っ先に挙手をして意見を述べた生徒はスーツで全身が覆われているため一見誰だかわからないが、それでも滲み出す生真面目さと発せられた声で緑谷はその生徒が飯田だと判断した。
(おおお、飯田君だったのか。かっこいい。)
「いいや、もう2歩先に踏み込む。」
指を2本たててオールマイトは解説しだした。
「敵退治はよく屋外で見られるが、統計的に言えば屋内のほうが、より凶悪な敵の出現率は高いんだ。」
ゴクリ、と息を呑む。
「監禁、軟禁、裏商売。このヒーロー飽和社会……ンンッ、真の賢しい敵は闇に潜む。……これから君たちにはヒーロー組と敵組に分かれて二対二の屋内戦を行ってもらう。」
「基礎訓練も無しに?」
「その基礎を知るための実戦さ!ただし、今度はぶっ壊せばいいロボじゃないのがミソだ!」
オールマイトの言葉をきっかけに、生徒たちの質問が殺到した。
「勝敗のシステムはどうなります?」「ぶっ飛ばしてもいいんすか」「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」「分かれるとは、どのような分かれ方をしたらよいのでしょうか」「このマントやばくなぁい?」
「くうぅぅぅ!聖徳太子ぃ!」
なんだか笑いながら唸っていた。
「いいかい?」
そう言いながらオールマイトはカンペを取り出した。
((((カンペだ。))))
「状況設定は、敵が建物のどこかに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは時間内に敵を確保するか核兵器を回収すること!敵は制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえること!」
((((設定アメリカンだな))))
「コンビ及び対戦相手はクジだ!」
「適当なのですか!?」
一見何も考慮されていない方法に飯田が思わず突っ込む。
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いし、多分そういうことじゃないかな?」
「! そうか…、先を見据えた計らい……。失礼致しました!」
飯田はきっちりかっちり腰をおって謝った。
「いいよ!早くやろう!」
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くじ引きの結果、緑谷はA〜Jチームの10組中、Aチームになった。
そして肝心の相方は
「すごーい!縁があるね!よろしくね!」
麗日だった。
(マジか!!!ちゃんとしゃべらないとコレ!!!)
未だに麗日と話すのに慣れない緑谷であった。
「先生!逆廻君は一体どうなるのでしょうか!」
Dチームで爆豪とペアになったことを確認した飯田が、挙手をしながら質問した。
確かにこのクラスの生徒の人数は21人で奇数。
未だに到着しない逆廻がどうやら余ってしまっているらしい。
(そういえば逆廻君、どうするんだろう。)
しかし飯田や緑谷の心配は無用だったらしく、オールマイトはまた別のクジを取り出し、説明をし始めた。
「それはこれから逆廻少年にこのクジをひいてもらって、バランスは悪いがどこかのチームに」
「その必要はないぜオールマイト。」
「「「!?」」」
オールマイトの説明を遮った声は逆廻のものだった。
「俺は今日は見学させてもらうからな!」
ヤハハ、といつも通りに笑う逆廻。
その場にいた全員が声のする方向へ顔を向けた。
クラス全員からの視線を浴びているのにも関わらず、特に変わった様子もなく、ただ悠々と歩いている逆廻。
そんな彼が身にまとう衣装は、袖は七分丈で首元はハイネック、下はシンプルなズボンになっていて、上下とも青色をベースに、アルファベットのUとAのような形で白いラインが入っている。アクセントで少々赤色の入ったその服は……
「「「学校の指定ジャージ!?!?!?」」」
「悪ぃな!ジャージ取りに戻ってたら時間かかっちまった!」
悪びれもなく、ヤハハと逆廻は言い放った。
「さ、逆廻少年。私はヒーロースーツを装備するように言ったはずなのだか……」
「ああ、そのヒーロースーツに不都合があってな。しばらくはこのジャージで許してくれ。」
「そういうことならスーツのことは了解した!が、見学するとはどういうことだ?どこか具合でも悪いのかい?」
「いいや?別にどこも悪くねぇさ。ただ単純にバランスを悪くしてしまうくらいなら、考察役に専念してみようかと思っただけだ。」
「しかしそれでは……」
簡単に授業を休ませる訳にはいかないオールマイトは、逆廻を説得しようと食い下がる。
しかし、そんなオールマイトの様子に気づいていないのか、もしくはわかっていて気づかないふりをしているのか、逆廻は簡単に、挑発するかのように告げた。
「それにオールマイトだって分かってるだろ?実戦に関して、俺に基礎訓練なんて必要ないってことは。」
これ以上ないほどの、自分勝手で傲慢な発言。
クラス中にどよめきが湧いた。
しかし逆廻十六夜という男は、本当に、驕りなどなく、ただ単純な事実だというかのように軽く笑ってみせた。
「別にサボタージュしようなんて考えてるわけじゃない。何ならみんなの前で1チームずつ、1戦ごとに講評をして、それを評価してもらってもいいぜ?それでもどうしても実戦をやらせたいっていうなら……」
逆廻のアメジストの瞳が妖しげにキラリ、と光る。
「オールマイトと1VS1……、なんてどうだ?」
その一言にどよめきは一気に大きくなる。
そんななか、緑谷は焦っていた。
(ど、どどどどうしよう…!)
この中で自分しか知らないオールマイトの秘密。
オールマイトは過去の怪我で酷く消耗しており、ヒーローとしての活動時間がかなり限られてきている。
マッスルフォームでいるだけでも、かなり辛いはずなのだ。
そして相手はあの逆廻十六夜だ。
あの強力すぎる個性が相手だと、たとえオールマイトと言えど苦戦を強いられるだろう。
(いや、もしかしたら逆廻君のほうが……)
緑谷はゴクリと喉を鳴らした。
そのとき、オールマイトも緑谷と同じようなことを考えていた。
逆廻は軽く言ってきたが、おそらく冗談ではない。
このまま無理に言いくるめても、彼はどこぞの爆豪のように暴れたりはしないのだろうが、実はオールマイトも、逆廻をこの授業に出してもいいのだろうか、と不安に思っていたのだ。
逆廻十六夜に実践をさせるには少々不安要素がある。
授業を始める前には、彼なら大丈夫だと割り切っていたが、もしかしたら彼自身も気づいているのかもしれない。
逆廻十六夜の、弱点と言えないような決定的な欠点に。
「…分かった。今日は逆廻少年には悪いが見学してもらおう。」
オールマイトの決断に、安堵した生徒もいればつまんねー、と文句を垂れる生徒もいた。しかし、とりあえずは落ち着いてきたようだ。その中で一人、緑谷は密かに安心していた。
「そもそも私が二対二なんて余りの出てしまうような組み合わせにしてしまったのが間違いだった。いやー、教師とは難しい!」
生徒たちをなだめるように言うオールマイトはHAHAHA!と仰け反って一頻り笑った後、真剣な表情に戻る。
「しっかり厳しめに評価させてもらうから逆廻少年は覚悟しておくように。」
「ヤハハ!100点満点つけさせてやるよ!」
「みんなもしっかり実戦の様子を見て参考にするように!」
「「「 はーい 」」」
▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤
「よーし!チーム分けもひと段落ついたところで、最初の対戦相手はコレだ!!!」
オールマイトが箱から取り出した二つのボールに、みんなの視線が集中する。
そして緑谷はそのボールに書かれた文字に絶句した。
「Aチーム VS. Dチーム!」
まさかの幼馴染み対決に、また一波乱ありそうだと、逆廻は楽しそうにヤハハと笑った。
問題児の原作を知っている方はクソババアがどんなヒーロースーツをチョイスしたのかわかると思います!
問題児をお読みでない方はまたしばらくお待ちください。
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