東方永絆録   作:朎〜Rea〜

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第14話

「お、やっと来たね」

 

 異変解決。人間になっていた妖怪も、元の姿に戻り一件落着。陽も落ちた頃、博麗神社に戻ると、既に宴会の準備が終わっていた。

 

「神奈子様!? なんでこんな所にいるんですか!?」

「なにって、決まってるじゃないか。宴会だよ。小夜の封印が解けたらしかったからね」

 

 宴会の準備をしていたのは神奈子だけではなく、永琳えいりんや幽々子ゆゆこも然りだった。幽々子に至っては既に食事を始めている。鈴仙と妖夢はというと、各自で文句を言っている。

 

 そんな中、私はふと疑問に思ったことがある。

 

「なあ、紫。異変が起こったとき、白玉楼とか永遠亭とか守矢とかが動いてるって言ってたよな? もしかして、あれって宴会の準備って意味か?」

「あら、よくわかってるじゃない。宴会の準備が終わったのになかなか帰ってこないから様子を見に行ったらあんなことになってるじゃない?」

 

 紫はさらりと答えた。

 

「じゃあなにか? 私達はただの時間稼ぎ役だったってわけか?」

「そういうことになるわね。まあ、あんなことになっているのは予想外だったけれど」

 

 それに関しては本当に助かったぜ…… 

 

「ねえ、ちょっと!? 私の依頼人は!?」

「あー。あいつらなら煩かったから追い返したぞ」 

 

 萃香が酒を飲みながら社から出てくる。そういえば、対処に困ったから紅魔館にまで助けを求めにしたんだったっけ。

 

「あんたねぇ……どうしてくれるのよっ!? ああ……報酬が……」

 

 霊夢はわかり易く落胆している。まあ、今回は規模が規模だったからな。

 しばらくすると、よく見知った妖怪どもが集まり、宴会は始まった。

 

「すみません、白蓮さん。役目を果たせずに……」

 

 小夜は白蓮に頭を下げる。

 

「いえ、お気にならさずに。まだ、人と妖怪が平等になる世界は遠いようです」

 

 白蓮は苦笑する。

 

「ええ。ですが、少しずつ、でも着実にその世界は近づいてきているようですね」

 

 小夜は優しい目で霊夢のほうを見る。

 

「スペルカードルール……ですか?」

「ええ。まだあれには欠陥もありますが、この世界の理想形なのかもしれません。人が妖怪に怯えなくなってしまえば、それは幻想郷の終わり。妖怪はこの世界から消滅してしまいますから」

 

 小夜は気になることを口にした。

 

「そういやそうだよ。そもそも妖怪が人間になって消えてしまえば幻想郷は滅びるんじゃないのか?」

「そうですね……魔理沙さんは妖怪とはなんだと思いますか?」

「そりゃ、あそこにいる吸血鬼だったり兎だったりだろ?」

 

 私は吸血鬼姉妹やてゐと鈴仙に目をやる。

 

「ええ、確かに彼女たちは妖怪ですね。ですが、私が言っているのは物質的なものではありません」

 

 この人は何を言っているんだろう……?

 

「例えば、普通の人間の中に一人だけ魔法や妖術を使える者がいたとします。もしあなたが普通の人間だったとして、その人をどう思いますか?」

「そりゃ、羨むんじゃないか?」

「恐らくそれは少数派の意見でしょう。人は自分と違うものを忌み嫌う生き物です。もし、そのような人が居たなら人はその人を蔑み、最後には妖怪や魔女と呼ぶでしょう」

 

「つまり、どういうことなんだ?」

 

 さっぱり意味がわからない。

 

「詰まるところ、この幻想郷が人間だけになろうとも、程度の能力というものがある限り妖怪は消えないのです。人は能力を使えるものを妖怪と蔑みますから。それを確かめるために私は過去にあの異変を起こしたのです。結局は自業自得で封印されてしまいましたが」

 

 小夜は苦笑いをする。

 

「まあ、半分八つ当たりのところもあったんですけどね。私自身、巫女として仕事をしていると、人からも妖怪からも恐れられましたから」

 

 少女は笑いながら話しているが、心のうちはきっと……

 

「だから、自分と同じ人間をつくるために妖怪を人間にした……」

 

 私の隣に座っている霊夢が初めて口を開いた。

 

「そういうことです。でも、霊夢。あなたを見ていると安心しました」

 

 小夜は宴会場をぐるりと見渡す。呼ばれてない妖怪もどんどんやってきて賑わっている宴会。霊夢はこの妖怪たちと戦い、仲良くなった。それは、小夜にとっても難しかったことなのかもしれない。

 

 霊夢は気恥ずかしそうな顔をする。

 

「そういや、白蓮。よく小夜さんの封印のことを知っていたよな」

「いえ、私も知りませんでした。昨日の話ですが、門の前に巻物が落ちていたのです。過去の異変のことはそれで知りました」

 

 ということは誰かが命蓮寺の前に置いたっていうことか?

 

「それで小夜様の封印を解いた、と。どこに封印されているか良くわかったわね」

「それなんですが、巻物と一緒に小夜さんが封印された勾玉が落ちていて……」

 

 こりゃ完璧に仕組まれてるな。

 

 さて、思い当たる犯人は一人しか思いつかなくなってしまった。それは霊夢も同じようで、私達は一斉にある人物に目を向ける。

 

「紫! あんたが黒幕だったのね!」

「何を言っているのかしら? 紫ちゃん分かんなぁい」

 

 なんかムカつく言い方だな……

 

「親友に会いたかったのよ。そこの尼さんにはちょっと手助けをしてもらっただけ。あの封印は魔法使いではないと解けなかったから——って、私は何を話しているのかしら。ほら、小夜。乾杯しましょう」

 

「お、久しぶりに盃を交わすか」

「本当に久しぶりですね」

「ちょっと、食べてるから待ってね」

 

 神奈子、永琳、幽々子。そして、ここに集まった全員が寄ってくる。

 

 友とは永遠なもの。人と人は絆でつながれている。たとえ、それが妖怪と人。狩るものと狩られるもの立場であっても古来より変わらないもの。現に、ほら。今も……

 

 

 

「カンパーイッ!!」

 

 

 

 幻想郷の夜に私達の声が響きわたった。




一応一部完です
次回から二部スタート!!
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