東方永絆録   作:朎〜Rea〜

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紫の居場所

「そんじゃ、ごっそーさん」

 

 私は博麗神社から飛び出した。

 

「とりあえず紫を探さないとだな。っても、あいつってかける専用の携帯電話みたいなもんだからなぁ」

 

 困ったな……

 あいつがどこに住んでるかなんて私は知らないぞ……

 

「ううん……マヨイガにでも行ってみるか……何かわかるかもしれないしな」

 

 最悪、橙を人質……猫質に取ればなんとかなるか?

 

「で、あの廃村って何処にあったっけ……」

 

 前にあそこにたどり着いたときも偶然だったからなぁ……

 適当に飛んでれば、適当につくだろ。

 

 

 

 数分後、霧の深い山奥で私は迷子になりました。

 

「どこだよここ……」

 

 また迷子です。正直洒落になんないよな……

 

「ま、そう言ってると見つかる場所なんだけど、あこそは」

 

 霧の中に村を発見。マヨイガだ。私はマヨイガに降りた。

 

「やっぱり、廃れてるよなぁ。おーい、ねこー。いるかー?」

 

 響くのは私の声だけ。返事も何もない。

 

「ううん。なんか虚しいぜ……」

 

 私は以前橙と出会った家に向った。卓袱台の上には昼飯と思われるものが置いてある。

 

「猫まんまか。まあ、いるって事は分かってたけど。でも、いないようだし仕方ないよな。食べ物を粗末にはできないぜ。いっただっきまー——」

「だめぇぇえええっ!!」

 

 ほら、釣れた。猫の一本釣り成功だ。

 

「うん。ちと味が薄いかな。60点」

 

 ちなみに、及第点は70点だぜ。

 

「なんで食べてるの!? 普通は食べないんじゃない!?」

 

 橙は涙目でこちらを見てくる。

 

「そりゃ、私も腹が減ったからに決まってるじゃないか。昼飯にありつけてラッキーだったぜ」

 

 そう言っている間にも食べ続ける。

 

「ああぁぁっ!! 食べた……全部食べたぁ!! このぉっ!」

 

 橙は涙目ながらも戦闘態勢に入った。こんな狭いところで弾幕ごっこなんてしたくない。それに、食後の激しい運動は避けないとな。

 

「まてまて、ちょっと待ってろ。代わりに昼飯を作ってやるから。台所借りるぜ」

「そういうことなら……」

 

 橙は渋々首を縦に振った。

 

「どうせいつもご飯に鰹節をふりかけたようなのしか食べてないんだろ?」

 

 台所には様々な食材があった。もちろんその中には沢山のキノコも。

 

「しかたない、私がキノコ料理を振舞ってやるぜ」

 

 

 

 数分後、キノコ料理が完成。

 

「ほら、できたぞー」

 

「すご……黒白が料理ができるなんて……」

 

 橙は意外そうな目で私を見る。

 

「侵害だな。私だって自炊してるんだからこれくらいはできるさ。ほら、食ってみな」

 

 私は料理の乗ったお盆を橙に渡した。

 

「ごちそうさま。迂闊にも美味しかった……」

 

「お粗末様。一言余計だが、そりゃ良かった。というわけで、紫の居場所を教えてもらおうか」

 

「なっ! 卑怯だぞ! 最初はあんたが私のご飯食べたんだからおあいこでしょ!?」

 

 橙はばん、とテーブルを叩く。

 

「やっぱりそうだよな。そんじゃ、弾幕ごっこといきますか。私が勝ったら紫の居場所を吐いてもらうぜ」

 

 私は帽子を深くかぶりなおす。

 

「私が勝ったらさっさと帰ってもらうからね」

 

 橙は戦闘態勢に入った。私はそれを傍観者のように見る。

 

「なに? 前に一度勝ってるからって舐めないでよ!」

「いや、そろそろ効いてくるかな、と思ってさ」

 

 橙の頭の上にはてなマークが浮かぶ。

 

「……っ!?」 

 

 そして、橙は倒れた。

 

「お、ナイスタイミング」

「ひ、卑怯だぞ……私に何をした……?」

 

 橙は倒れたまま苦しそうに問う。

 

「さっきの料理だけどな、ちっとだけ麻痺茸を入れたんだ。どうせこんなことになると思ってたからな」

 

 私は倒れた橙に歩み寄る。橙は必死に動こうとしているが、それはできない。

 

「麻痺茸って結構強力だから、無理に動かない方がいいぜ」

 

 橙の前にしゃがみ込み、デコピンをする。

 

「いたっ……」

「これで被弾、と。さて、紫の居場所を吐いて貰おうか」

 

 といっても、この猫は強情なところがあるからな。素直に吐いてくれるとは到底思わない。

 

 現に、橙は口を閉じている。

 

「そんじゃ、交換条件だ。もし話してくれるならこれをやろう」

 

 私は懐から小瓶を取り出した。

 

「なんだ、それ?」

 

「所謂解毒剤ってやつだ。これを飲んだらすぐに麻痺は解けるだろうさ。ちなみに、そのまましてたら丸一日は麻痺が解けないぜ」

 

 私は小瓶をちらつかせる。

 

「……分かった。話すから……」

 

 橙は呟くように言った。実際、喋るのも辛いだろうな。

 

「そんじゃ、交渉成立だ。ほら、飲めるか?」

 

 橙を起こして、瓶に入った液体を口に流し込む。

 

「とりあえずこれでちょっとは楽になっただろ。一、二時間もしたら麻痺は完全に取れるだろうよ。で、紫はどこにいる?」

「誰が教えるもんか……」

 

 はい。予想はしてました。

 

「そうか。ここに注射器がある。中にはさっきの麻痺茸の数倍強力な毒が入ってる。まあ死にはしないけど、一週間は麻痺したままだろうな」

「紫様は藍様と一緒に白玉楼に行きました」

 

 橙は随分とあっさり答えてくれた。

 

「ご苦労。仕方ないから布団くらいは引いていってやるよ」

 

 私は倒れた橙を布団に寝かせてマヨイガを出た。

 

 注射器の中身はただの水だったんだけどな。やっぱり、持っておいて正解だったぜ。

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