Schmelze【マッキー×ルサルカ】 作:mobimobi
原作:Dies_Irae
タグ:R-15 Dies_Irae ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン ルサルカ・シュヴェーゲリン 恋愛 阿片スパァ
・みじかい
・捏造カプ
・マッキーのこれじゃない感
これらの要素を含みますのでいい感じに阿片スパァした上でお読みください。
(゚∀。)y─┛~~< 愛い、愛い。お前たちの為ならいくらでも用立ててやろう
Pixivにも投稿済みです。
挿絵も貰ったんですが、やや際どいので通るかびみょかったり。通らなかったらごめんなさいで。
・みじかい
・捏造カプ
・マッキーのこれじゃない感
これらの要素を含みますのでいい感じに阿片スパァした上でお読みください。
(゚∀。)y─┛~~< 愛い、愛い。お前たちの為ならいくらでも用立ててやろう
Pixivにも投稿済みです。
挿絵も貰ったんですが、やや際どいので通るかびみょかったり。通らなかったらごめんなさいで。
追記:自動許可だったんですね。改めて、消えたらごめんなさいで。
窓から差し込む光を感じ取り、男がゆっくりと目を開いた。
持ち上げた瞼を一度瞬かせ、ぼやけた視界を一新させると身体を持ち上げる。
まず見遣るのは己が傍ら。寄り添う体温の持ち主を見下ろして、厳めしい顔立ちをほんの僅かに綻ばせた。
「――アンナ」
低く名を呼び、手を伸ばす。艶やかな髪に男が触れた。
安らかに眠るのは、名からも分かる通りに一人の女である。鋼の様な巨躯の男と並べば、否、並ばずとも子供の様だと称されるであろう矮躯からするに、少女、と呼称するのが妥当だろう。
だと言うのに浅く掛かったシーツから覗き見えるのは、これもまた白く柔らかな素肌だった。その胸元には淡い痕。この二人、果たして昨夜に何をしていたのだろうか。いや、間違いなくナニなのだろうが――ともかく。
壊れ物を扱う様に、男の硬い掌が少女の前髪に触れて、そのまま指を絡ませる。先端のみを梳いて、額へ、頬へ――慈しむ様に。
その光景を、この男の知己が目にしたならば絶句することだろう。男の両手が、人を愛しむ姿を全く想像していなかったから。その剛腕に触れる物はすべからく打ち砕かれて塵に還るのみなのだと信じる者が殆どであるから。
己ですら現状を鑑みる度に疑問を持ちそうになるのだから、仕方のない事だ、とそんな事を考えていたからだろうか。――ふと思考が過去に飛んだ。何故こうなっているのか、と、男は一人、思いを馳せる。
己の何処に興味を持ったのか、何が契機となったのか。気まぐれに寄って来た少女。
放っておけば離れるかと思いきや、飽きずに続く続く干渉。それを厭って、こうしてやれば良いのだろうと冗談交じりに向けられていたのだろう相手の誘惑に無表情で乗ってやった過去。
それ以来、より頻度を増してやってくるようになった相手に、何をしたいのだと聞いてみたが曖昧に濁されるばかり。ただただ、互いの距離感のみが潰されて――何時しか求められれば応える事が常態化していた。流石にそこまで来れば、多少は理解も及ぶと言うもの。
――俺の足を引いた所で、報われんぞ。俺は既にして、止まった身だ。
迎えたはずの終焉の後、不本意にも甦らされ――全てが終息した今となっては何処にも行けずに立ち止まっている。その様な男を望んで何になる、と。
睦事を終えた後、思い付いた様にそう告げた。
――それでいい……ううん、それがいいの。私は歩くのが遅いから。でも止まっている男だったら、いつかは追い付くじゃない?
微笑んで返され、何れ来るであろう敗北を幻視した。
この女が諦めずに歩み続けるならば、己は必ず捕らわれるという確信を覚えた。
――そうか。ならば、好きにすると良い。
思えばそれが契機だったのだろう。
約束された敗北に向かうだけの日々。少しずつ迫ってくる魔女。
何時しか、視線を向けていた。
何時しか、己から触れていた。
何時しか――自ら求めていた。
確信した通りに敗北は訪れて、黒騎士は足引きの魔女にその身を囚われていた。がんじがらめに縛り付けられて、今や離れる気にもならない。
お前が飽き果てるまで共に居れば良い。否、――共に居させてくれ。
凍った鋼に温もりが灯る。剥がれなかった外装が崩れ、落ちて、人の地肌が覗いていた。
ふと気付けば、視線の先で少女が微かに瞼を震わせていた。
目覚めの兆しと察し、手を引くに合わせて開かれる眼。眠たげな翡翠が輝きを取り戻す前に、男は短く告げた。
「おはよう、――アンナ」
「んう……おはよ、みはえる……」
互いに高く、とまでは言わないが――人であった頃の名を呼び交わして。眠たげに微笑む魔女の矮躯を、男が軽々と抱きよせる。
責める様な声を嬉しげに上げる魔女を腕の中に納めながら、ふと胸中に思い浮かんだのは戦友の奉じる祈りの言葉。男は微かに口元を緩めた。…ああ、確かに。今更ながらに理解できたぞ、とでも言う様に。
――この刹那を永遠に。時よ止まれ。なるほど、こういった心地か。
愛しい無二以外では見抜けないほどに薄く、微かな苦笑を零して、黒騎士は静かに瞼を伏せた。