私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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外伝②

 

 ゲテモノ?

 

 

「エリ~?」

「・・・」

「エリ~!!」

「・・・」

「入るわよ」

 

 

 俺の唯一の休みである日曜日にエリカが私の部屋に尋ねてきた。ホント辞めて!!

 

「何?」

「あんた・・・寝てるの?今何時と思っているの?」

「ごめん無理。起きるの無理」

「今日は陸の戦車ショップで新規の物品購入と戦車のワンオフパーツの作成依頼に行く日でしょ?」

「え?」

「ワンオフに関しては図面だけではダメだからって・・・忘れてたの?」

「忘れてた!時間は?」

「まだ大丈夫よ」

「よかった。じゃあシャワー浴びてくる。それと冷凍庫のタッパーに入っているやつ、レンジで3分お願い」

「分かったわよ」

 

 

 

 

 

 

 

「で?」

「何?」

「それ・・・赤飯よね?」

「そうだよ」

「なんでフライパンとバター?」

「この解凍した赤飯を・・・・こうやってフライパンである程度炒める。そしてある程度炒めたらバター投入。全体に馴染んだら・・・OK」

「あんた・・・これ食べるの?」

「え?おいしいよ。一口食べる?」

「いやよ。そんなゲテモノ」

「はぁ?ゲテモノって言った?よし一口食え。不味かったら「ミスト」の新作バッグ買ってやる。もし上手かったら取り消せよ」

「マジ?なら食べてあげるわ」

 

 

 

 

 あれ?これおいしい。普通の赤飯は幾らでも食べてきたけど、何かこう・・・新しい味じゃない。炒めた赤飯がここまでおいしいとは。新作バッグは諦めるわ

 

「おいしいわ」

「でしょ?これ知らないと人生損するわ。どうもっと食べる?」

「あるの?」

「あと3回分ある」

「頂くわ」

 

 

 

 

 

 

 

 「新作バッグ」

 

「処で?」

「何?」

「あんた「ミスト」のバッグ買ってやるって言ったけど、手に入ると思っているの?仮に手に入っても値段がとんでもないのよ?」

「そうなの?」

「あんたそんな事もしらないで言ったの?」

「あんまり」

「簡単に説明すると、10年前に突然人気沸騰し始めた人気ブランドよ。年々人気が出てきて、予約販売なんて1分で完売するし、おまけに転売屋が入ると価格は20倍に膨れ上がってるし・・・わかった?」

「了解」

「じゃあそろそろ用意しなさい。バスの時間に間に合わないわよ?」

「はいはい。処でエリカ?」

「新作バッグにその服装少し合わないから、これ着てくれない?」

「これって・・・あんた!!これ新作のブラウスとスカートじゃない!!」

「エリカは黒ね。私は白で色違いにしようか。バッグはお揃いで色違い♪サイフもあるよ。靴も。どうする?全部「ミスト」でそろえる?」

「・・・これだけで軽く150万超えてる」

 

 

 

 

 

 

 「霧島とミスト」

 

「なんでこんなに「ミスト」の・・・ってこれ未発表のドレスじゃない!!こんなのネットじゃ50万出しても買えないわよ!!エリあんたどうやって手に入れたの」

「「ミスト」って私の叔母さんが立ち上げたブランドなんだけどね。立ち上げ当初は全然ダメで、資金工面のためにウチのお母さんの実家とかに頭下げたりしたんだけど、結局資金完全打ち切りになってたの。残ったのは借金だけ。それでアパート追い出されてウチに居候しにきたの。で、私7歳ぐらいだったから叔母さんに良く遊んでもらったの」

「それって前TVでミストの特番で話してたやつね。まさかあんたの叔母さんだったななんてね。詳しくは話してなかったけど」

「秘密だよ。詳しく話すと、何かの拍子に私が服を汚したから大量に返品された服の一部を私に着せたの。そしたら私が「こんなのいや。こんなの着たくない」って言ったらしいのよ。当時の叔母さんには堪えたそうよ。それに追い討ちかけるように「こんなのユ○クロとかの方がいい」なんて言ったもんだから叔母さんガチ泣きしたの。泣いてる叔母さんに「こんな服要らない。欲しいのは誰もが欲しがる、着ていたら羨ましがる服が欲しい。だから私に合う服を作って。叔母さんが私に着せたい服を1ヶ月で作って。但しいっぱいはいらない。欲しいのは1着だけ」って言ったそうよ」

「それで?」

「出来上がった服を私に着せてもう一度資金の融資にいったの。そしたら融資が決まって、その服を数量限定で販売したら即完売」

「もしかしてミストの服って、エリの成長に合わせて作ってるの?」

「らしいよ、まぁありがたいけどね。処でエリカ?」

「何よ?」

「なんで香水まで勝手に使ってるの?それ高いよ?」

「ああああ!!ごめん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お使い

「じゃあこの部品を13両分お願いします」

「納期は3ヶ月ですが大丈夫ですか?」

「問題ありません。よろしくお願いします」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 

 

「終了~」

「順調に終わってよかったわね」

「これも全てエリカの下調べのお陰ね」

「いいわよ」

「お礼にそれ上げるから」

「いいの!!?」

「いいよ。私はこの色が好きだし、そっちはエリカに似合ってるし」

「じゃあ遠慮なく貰うわ。しかし今日は視線が凄いんだけど」

「そりゃミストの新作着ていれば注目されるよ」

「確かに」

 

 

 

『あの~写真いいですか?』

『すみません!!写真いいですか?』

『すみません。インタビューよろしいですか?』

 

 

 

「疲れた」

「この服の影響凄すぎるわね」

「まったくだ。さっさと帰って寝よう」

 

 

 

 

『今日は熊本に来ています。このアウトレットで一際目立っているのが、「ミスト」の新作を着ているこの2人です。この新作は世界の女の子に人気で数量が凄く少ない、おまけに「ミスト」曰く、『スタイルに自信がなければ着ないでください』と言っていますが、この2人は顔もスタイルも抜群!!お話を聞いてみましょう!!すみません!!インタビューいいですか??』

『はい、いいですけど』

『今日はどういった御用時で?』

『先ほどメーカーとの打ち合わせが終わったので、少し遅い昼食をと、ここに寄りました』

『え?OLさんですか?』

『いえ学生です』

『学生が直接メーカーとのやり取りを?』

『このぐらい出来なければ社会に出た際に困りますから』

『なるほど、そのメーカーはミストさんですか?』

『いえ、違いますけど。ああ、この新作の入手経路ですか?残念ながら教えることは出来ませんよ?』

『そ、そうですか』

『では』

 

 

 

 

 

 

 黒森峰にて

 

 

「隊長!!」

「ミストの新作をどうして!!入手経路を!」

「ダメ」

「隊長~~」

 

 

 

 だから着たくなかった。この服のデザインは大好きなのだが、ブランド名が大きすぎる。そもそもミストって「霧島」→「霧」→「ミスト」は安直すぎるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 叔母さん

 

『エリちゃん~久しぶり』

『ご無沙汰してます』

『TV見たよ。想像以上に似合ってたよ』

『地方TVなのにチェックしているんですか?』

『ローカルまでチェックしてるわよ。処で一緒に居た子は友達』

『ええ、戦車道の副隊長であり、私の友達です』

『へ~~、黒森峰の子達ってみんな可愛いのね』

『ダメですよ?』

『まだ何も言ってないわよ?』

『うちの隊員をモデルにしたいという話ですよね?』

『流石エリちゃん!!話が早いわね・・・ダメ?』

『あまり大きくすると色々めんどくさいので断りたいところですが』

『だけど?』

『もう直ぐ文化祭があるので、そこでファッションショーを戦車道で行う・・・で如何ですか?』

『ホント?ありがとう!』

『いえいえ』

『で?』

『はい?』

『本音は?』

『スポンサーになってください。それと黒森峰から才能ある人間をミストへ就職の斡旋とか?』

『いいわよ。日本の学生の技術も気になるし』

『では私は学校に話をしておきます』

『お願いね~~』

 

 

 

 

 

「って話がありました」

「・・・」

「エリカ?」

「そんな大事な事を電話一本で・・・」

「大丈夫。叔母さんこないだ電話で10億の商談したらしい」

「流石霧島家」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 前から少し書きたかった内容です。

 時系列は主人公が2年生の時期と思っていただければ


 因みに赤飯のバター炒めは最高と思っています。

俺「何それ?」
嫁「赤飯のバター炒め」
俺「はぁ?普通にたべなよ」
嫁「おいしいよ。一口たべてみな」
俺「ヤバ!!超ウマ」


 というやり取りがありまして、今では好物の一つとなりました。

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