シン世紀エヴァンゲリオン アイ   作:ケプラー星人

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第十五話 八人の戦士、二体の光の天使

 「取り敢えず、『カミムス』に一発『極電磁砲』を撃ちましょう! 弱体化させないとお話しにならないわ! 」

 

 「真理谷戦術指揮官、『極電磁砲』は未完成品です! 発射出来ても二発、上手くいって三発が限度です! 無理をすれば整備不足で暴発の可能性も...... 」

 

 「このままじゃ徐々に消耗させられてジリ損だわ! 緑、早く発射準備を! 」

 

 「しかし...... 」

 

 真理谷ルイ戦術指揮官と緑のやり取りを聞いた林原結希アマノン統括司令官はルイの肩を持つ。

 

 「緑ちゃん、早く準備して。ルイちゃんの言う通り、ジリ損状態よりかはいいわ。早くして」

 

 

 「......了解しました」

 

 

 「クリスちゃん、バルバリア戦線も一発『極電磁砲』を使いなさい。モニターで見ている限り防戦一方じゃない。エヴァンゲリオン一体を使い、出来るだけATFを中和させてその隙を『極電磁砲』で狙うのよ。」

 

 「ただ両戦線とも『極電磁砲』を当てたら、そのまま攻勢へ持っていく必要があるわ。『ウラノス』『カミムス』二体同時に撃破しないと、攻撃を与えてもすぐ復活する。そのまま倒す意気込みでいて! 」

 

 林原司令官、宮本副司令官に指示を受けたバルバリア支部司令官、クリス・ゲルバルはただ頷く。

 

 「了解しました。四人共、聞いていただろう! 誰かATFを中和するんだ!」

 

 

 「あ、あたしが行くわ! この七号機がい、一番スピードがあるから......」

 

 

 「セトナ、駄目ですわ! 私が行きます! 」

 

 「それこそ駄目だよ、シェリ姉、シェリ姉と四号機が狙撃するのが一番成功する可能性があるよ。あたしが......行く......」

 

 

 「セトナ...... 」

 

 

 「俺も中和に行く! 二人なら多少マシだろう」

 

 燃山マサルが加勢を名乗り出るとガドウ・シャブルも続く。

 

 「俺は狙撃中、無防備になる四号機をシールドとATFで守る。四人で『ウラノス』に一発かましてやろうぜ! 」

 

 四人のエヴァンゲリオンパイロットが同時に頷くと五号機と七号機が『ウラノス』に向かって同時に走り出す。

 

 

 「来るぞ! 避けろ! 」

 

 マサルの掛け声を聞き、七号機は横に飛び跳ねる!同時に地面を横薙ぎする光線が襲いかかる! 五号機と七号機は蛇行しながら『ウラノス』に近付いていく!

 

 四号機と六号機は射撃準備と防御体制準備を完了させる。

 

 「こちらは準備OKですわ! 」

 

 

 「よし! じゃあこっちも... ATF改、全開! 」

 

 

 「あたしも行くよ! ATF改、全開! 」

 

 

 『ウラノス』の肉眼でもはっきりと見える強固なATFは徐々に、徐々に薄まっていく。その異様な顔が少し笑みを浮かべると邪悪な瞳が再び光を帯び、エネルギーを集め出す!

 

 

 「来るぞ! 」

 

 

 

 『ウラノス』の瞳から高熱量の光線が放たれる! 六号機は四号機の前に立ち特殊シールドを構え、ATF改を展開する。

 

 「来るなら来い! 」

 

 『ウラノス』の破壊光線は六号機のATFに直撃する! 直後からシールドと六号機が熔け出していく。ガドウは苦痛の表情を浮かべた。

 

 

 「ぐうう! ね、姉ちゃん、なるべく早くしてくれ! あまり持ちそうもねえ! 」

 

 「シェリ姉! 」

 

 

 (必ず当てる! )

 

 四号機が『極電磁砲』の引き金を引く! ウラノスの破壊光線に勝るとも劣らない程のエネルギー光線が超高速で目標に向かう!

 

 

 「巻き添え喰らうよ! マサル君、飛んで! 」

 

 五号機と七号機が横に避けると同時に極電磁砲弾が『ウラノス』を貫く!

 人類の造り上げた最強兵器は爆音を立てることもなく、ただ巨人の胸元に風穴を開けた。目標を貫いた極電磁砲弾は地平線の彼方に消えていった。

 

 『ウラノス』は悲鳴を上げると、ナヤリバ島に落下した!

 

 地面は割れ、津波が島を襲う!エヴァンゲリオンも衝突直後はまるで動けなかった。

 

 クリス・ゲルバル支部司令官はここぞとばかりに号令を掛ける!

 

 「今がチャンスだ!ウラノスにダメージを与え続けて、ATFを展開させるな! 」

 

 

 

 

 

 *********

 

 

 

 「愛! む、無茶は駄目よ! 」

 

 エヴァンゲリオン初号機はステルス状態で『カミムス』のATFを中和しながら縦横無尽に敵の身体をGナイフで切り刻む! カミムスは標的の姿が見えないまま、無差別に両肩から生える四本の触手を振り回していた。

 

 「もたもたしないで早く誰か撃ちなさいよ! 最初から『子供たち』を搭載しているからってステルスはエネルギーを喰うのよ! 」

 

 「私が撃つわ...... 」

 

 エヴァンゲリオン八号機――――――オレンジ色が特徴の五号機と同じオーソドックスエヴァンゲリオンだ。ただ狙撃命中率を上げるためか、腕が八体のエヴァンゲリオンの中で一番長い。

 

 タニア・那間・翔子が名乗り出ると八号機は戦闘地帯から少し離れた『極電磁砲』を取りにいく。二号機、三号機は中距離からEライフルで触手を攻撃していた。

 

 

 「だいぶ弱ってきたわ、あとはタニア、頼んだわよ! 」

 

 真理谷ルイ戦術指揮官が期待をよせると、タニアは静かに目を瞑る。

 

 「神アスカよ、どうか私に御加護を......」

 

 タニアは頭の中に過去の記憶が過った。

 

 燃山マサル、ガドウ・シャブル、タニア那間・翔子の三人は戦争孤児だった。天上ウル帝国の周辺国の一つであるグマリアン国で生まれた三人は物覚えした時から戦争状態が日常だった。両親を失い、何もない子供たちに残された道は少年兵として戦うことだけだ。同い年の同僚の頭が吹き飛ぼうが、足が消え去ろうが逃げることは許されなかった。長年戦場で生き残った三人が汎用兵器パイロット試験に合格するのは当然だった。

 

 苛烈な戦場での記憶、感覚がタニアの神経を尖らせる。

 

 エヴァンゲリオン初号機が触手の先端を切り裂いた瞬間、八号機は引き金を引いた!

 

 (ここだ! )

 

 

 極電磁砲弾は超高速で『カミムス』に向かう、が敏感な素体は、俊敏なる動きでしゃがむ!

 極電磁砲弾は触手を二本消し飛ばして、大空に消える。

 

 

 「くそ! 直撃為らずか...... 」

 

 「続けて攻撃し続けないと直ぐに復活するわ、急いで! 」

 

 我蛭ミサ副戦術指揮官が嘆くと真理谷ルイ戦術指揮官が透かさず命令を下す。タニアは意気消沈していた。

 

 

 「すいません...... 私のせいで...... 」

 

 

 「謝っている時間はないわ! 『極電磁砲』は撃ててもあと二発よ、次は直撃させて! 」

 

 「分かりました......」

 

 

 「タニアちゃん! 来るわよ! 」

 

 アリスが注意を呼び掛ける。

 

 「! 」

 

 

 『カミムス』の一本の触手はその長さを伸ばし、八号機に襲いかかる。八号機は極電磁砲を抱えたまま、走り出す。

 

 「八号機、いや、極電磁砲が厄介だと気付いたか? 随分賢いわね。」

 

 

 「林原愛、避けろ! 」

 

 黒空詩丹が叫ぶ。暫くすると二号機の後ろから初号機が姿を表した。

 

 

 「よし、喰らえ! 」

 

 

 二号機の持つロケットランチャーからアンチATF弾は『カミムス』の頭を直撃した。しかし、顔が吹き飛んでも『カミムス』が止まる気配はない。残った二本の触手を出鱈目に振り続ける。

 

 「ルイ! 向こうはどうなってる!トドメを刺せるなら刺そう! 」

 

 愛が叫ぶと真理谷指揮官と林原司令官がアイコンタトを取り、お互い頷いた。

 

 

 「クリスちゃん、『ウラノス』も大分弱ってきたようね。トドメ刺せる? 」

 

 「ええ、なんとか... 合図は統括司令官にお任せします。」

 

 

 「よし、八人のエヴァンゲリオンパイロット、今の聞いてたわね? 今から同時に『ウラノス』『カミムス』を撃破する! 極電磁砲を持っている機体とパイロットは狙撃の準備をして。あとは狙撃者の支援を、失敗は許されないわ。」

 

 

 (失敗は許されない...... )

 

 タニアは緊張で手汗が止まらない。先程の失敗が堪えているようだ。

 

 八号機は蛇行しながら場所を探す。『カミムス』に邪魔をされず、且つ狙撃に適度な場所を。そこは小山の頂上、愛の父親との思い出の公園がある場所だった。

 

 「ここだわ! ここなら目標より高度から狙撃出来る。」

 

 

 「そこは...... ちぃ! 」

 

 愛が舌打ちする。自分の唯一の大切な人間である父との思い出が破壊される可能性に抵抗感があった。愛はEライフルで『カミムス』を攻撃しつつ、徐々に八号機への方へと向かう。

 

 

 

 

 ****************

 

 

 

 異様な巨人は雄叫びを上げながら、無差別に光線を目から繰り出す。極電磁砲を持つシェリアは狙撃準備をするチャンスを伺っていた。

 

 

 「シェリア、本部戦線のほうは狙撃準備に入った。シェリアも早く準備に入るんだ。」

 

 「ええ、しかしこの光線の嵐だと厳しいですわ。」

 

 

 「シェリ姉、私に任せて! 」

 

 

 七号機は『ウラノス』の背中に駆け足で登ると、ハイジャンプする!

 

 

 「とりゃあぁぁぁぁぁぁ! 」

 

 

 七号機の持つ長く伸ばしたGナイフは目標の頚に食い込み、邪神の首を撥ね飛ばした!

 

 『ウラノス』は自己を支えている腕は維持しているものの攻撃能力を失い、何も出来ずにいた。

 

 

 「シェリア! 本部の方も準備が出来た! タニアと連絡を繋いだ、同じタイミングで狙撃するんだ! 」

 

 

 

 「シェリア、十秒数えるわ。ゼロで狙撃、お願いね。」

 

 

 「分かりましたわ! 」

 

 タニアとシェリアは共に数え始める。緊張なのか、二人の口は震えていた。

 

 「10......9......8......7......」

 

 

 

 「これでわたしは撤退するわ、あとは任せたわよ! 」

 

 アリスが操作する三号機は『カミムス』の左足をGナイフで切り落とすと後ろに跳躍する、二号機も後に続く。

 

 

 「6......5......」

 

 

 「タニア! 」

 

 

 真理谷指揮官が叫ぶ。タニアが反応すると『カミムス』の触手が此方に向かってくるのが見えた。しかし体勢は崩せない、チャンスを失う。

 

 「ちっ! あんたは続けな! 」

 

 

 「初号機パイロット? 」

 

 ステルス状態を解き、姿を表した初号機がカミムスの触手を両手で受け止める! 愛はここを破壊させる訳にはいかなかった。

 

 

 「2......1......」

 

 

 「ゼロ! 」

 

 

 

 数千キロ離れた四号機と八号機は同時に極電磁砲の引き金を引き、極電磁砲弾を放つ!

 

 

 

 

 

 

 ドシュ!

 

 

 

 

 本部のモニターに写し出されていたのは上半身を失い、活動を停止した『ウラノス』と『カミムス』の姿だった。しかし......

 

 

 

 

 「あれは......一体何? 」

 

 

 ルイが呟きと『ウラノス』と『カミムス』の失った上半身部分から黒い影のような物体が出てくて、膨らみ続ける。

 

 

 「寄生先を消しただけでは倒せないか...... あれが『第八天使』本来の姿...... タニアちゃん、シェリアちゃん、もう一度狙撃、急いで! 」

 

 林原司令官は再び狙撃命令を出す。タニアとシェリアも再び数字を数える。

 

 

 「さん、に、ち、で行くわよ! 3......2......1......」

 

 

 「ゼロ! 」

 

 

 弾は出なかった。二人とも何度や引き金を引いても極電磁砲弾は出ない。

 

 

 「弾が出ませんわ! 」

 

 

 「整備不足か...... あっ! 」

 

 

 

 

 『第八天使』は黒い影の腕を三本、八号機に向け振り回す! 愛は怒りの雄叫びを上げながら初号機専用の特殊結界を張る!

 

 

 

 「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 

 二本は食い止めたが、一本は決して汚されてはならない公園に落ち、破壊していく。愛は怒髪天をついた。

 

 

 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! 」

 

 初号機は八号機から極電磁砲を取り上げると『第八天使』に標準を合わせる。

 

 

 「愛、もう極電磁砲は使えな......」

 

 

 

 ルイが使用を諌めようとした時、初号機の両肩から白く光輝く翼が生えてきた。翼は次々と生えていき、20枚近くになった。七人のエヴァンゲリオンパイロットを始め、モニターでこの光景を見た者は言葉を失う。 

 

 

 「金髪! あんたも何かを守りたいんでしょ? しっかりしな! 」

 

 シェリアは意識を覚醒させる。失敗すれば自分は元よりセトナも危ない。シェリアは自らの想いを口にする。

 

 「セトナは、私が守る! 」

 

 

 直後、四号機の背中からも10枚の白き翼が生える。シェリアは自らのものだけではない妙な一体感に包まれていた。

 

 

 「結希! これは一体...... 疑似神化形態......」

 

 

 「ではない。『共有化』じゃ。最も『禁姦の子』初号機と『近姦の子』四号機しか出来んがの......」

 

 

 宮本副司令官が取り乱すと、アルテミス博士が説明する。

 

 

 「あの二体はどっちも『メイン』みたいなもの、保険よ、理沙。」

 

 

 「「はああぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」」

 

 

 愛とシェリアは波長を合わせ、精神を高める! 二挺の極電磁砲はその形を変え、神々しい兵器に進化した。

 

 「行くわよ! 金髪! 」

 

 「ええ! 」

 

 

 「「撃てぇぇぇぇぇぇぇぇ! 」」

 

 

 

 何かを共有化した初号機と四号機は神々しく変化した極電磁砲から超強大な蒼きエネルギー波を『第八天使』に向け、放った!

 

 

 アマノン本部付近、『イブ』付近、離れた場所に同時にいる『第八天使』は蒼きエネルギー波に反応出来ず巻き込まれ、大気圏を突き抜け、宇宙に消えていった。

 

 

 勝利を手に入れても、歓声を上げるものは誰も居なかった。只、神々しい二体の天使に驚愕するばかりだ。

 

 

 「これで準備は万端か? 結希。」

 

 

 「まあ、挑むことは出来るようになったんじゃないかしら? 『最強の天使』と『U計画』にはね...... 」

 

 

 

 

 

 *************

 

 

 

 

 

 

 「あ〜あ、終わっちゃったよ〜 来た意味ないね、こりゃ。」

 

 

 「わj8・た¥g額初んと>p」

 

 

 「二人ともそう嘆くな、何が起こるか解らぬ状況だった。あのまま『Mの扉』が開くこともありえたしな。『ダウン』達がいる向こうも問題はないらしい。」

 

 「tまja軍s8kmたn6wxbe夜2j4k2らjk44444444444444」

 

 

 「まあ、『グルオン』と『トップ』の言うとおり来た意味はあるか、ねえ? 」

 

 

 「セフィラムちゃん? 」

 

 

 紫の翼を持つ異様の天使、セフィラムはヘリオン市内の一番高いビルディングの屋上にいる『第一始祖民族』達を上空から見つめ、『第一始祖民族』達も睨み返す。

 

 

 「私たちのこの、せかいをあ、あ、あなたた......ちの好きにはさ、せ、ない。」

 

 

 「私の世界? 何、勘違いしているの? この世界はボク達の物だよ? 元『レイダ』のくせに随分生意気だねぇ...... まあ、いいや。ボクたちへの宣戦布告、受け取ったよ。」

 

 異神驪洲ミリヤ、いや、第一始祖民族の一人、『レプートン』は邪悪以外の何物でもない笑みを浮かべ、セフィラムが消えるまで何時までも『敵』を睨んでいた。

 

 

 

 シン世紀 エヴァンゲリオン アイ

 

 第十五話 完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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