シン世紀エヴァンゲリオン アイ   作:ケプラー星人

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第八話 神なる器、七回目の災厄

 

 エヴァンゲリオン四号機―――通称近姦の子。

 カラーリングは全身、眩しいほどの黄色を主軸に、間接部分は赤色で染め上げている。全長はエヴァンゲリオン初号機よりやや高い。設備ピットに佇むその姿は『雷神』そのものだ。

 

 頭の装甲は二つの角が付いており、装甲の隙間から青色の髪が垂れ下がっている。

 どの国家も扱うことは何故か『許されない』特殊鋼を、如何なる大企業も特許を取ることを何故か『許されない』溶接技術で何重にも重ね合わせた装甲を全身に装備、『人間』の造りし兵器ならばATFを使用せずとも、破壊することは到底叶わない。

 

 

 この超特殊装甲を装備している機体は四号機の隣の発射ピットにも存在する。

 

 エヴァンゲリオン七号機―――通称ケルベロス。

 

 地獄の番犬の名が付けられた理由は

文字のまま―――頭部が三つ在るからである。他のエヴァンゲリオンと違い、口が開き、鋭い歯が剥き出しだ。全身灰色に包まれ、黄色の禍々しく輝く六つの瞳が見るものを圧倒する。全長は四号機より小柄なものの、素早い動作が可能な『スピード型』のエヴァンゲリオンである。そのせいか、脚部が人間のそれより、猫型動物に酷似する。

 

 このアマノン・バルバリア支部が誇る二体を発射ピットの架橋で、クリス・ゲルバル―――アマノン・バルバリア支部司令官、アマノンの影の司令官とも噂される、エヴァンゲリオン計画責任者―――アマテラス・平谷博士が二人並んで眺めている。

 

 

 「四号機、七号機のクリアレベルを5まで引き上げて頂いたそうで...... 感謝に耐えません。私達も『本部』に負けないような活躍をせねばなりませんな」

 

 クリス・ゲルバルがアマテラス博士に感謝を述べると、博士は不機嫌そうな表情を浮かべ、クリスに言葉を返す。 

 

 「ふん、お陰で寝不足じゃがな。あと本部と張り合おうなんて考えなさんな。奴らは色々『特別』じゃ。その中でもあのじゃじゃ馬娘はな...... 」

 

 「例の初号機パイロットですか?噂は聞いていますよ、やりたい放題みたいですな。しかしもう『天使』を三体も撃破した凄腕でもあるようですな」

 

 

 「ふん、じゃじゃ馬娘だけの成果ではないがな。『禁姦の子』...... あの機体...... 『U計画』のメイン機体の性能が凄まじいのが主因じゃな。しかも最近覚醒しよった... まあ、神化しないだけマシじゃがの」

 

 クリスは架橋の手摺を強く掴み、目を鋭く尖らせる。

 

 「『禁姦の子』...... 『近姦の子』の兄弟と言っていい機体...... そこまで初号機の進捗が進んでいるのなら『本番』も近いですかな?」

 

 「どうじゃろ?どうなるにしろ『天使』を全て倒さなにゃ、いや『材料』にせねばならん。『天使』はあと六体... それをどうにかせんと話が進まん。これから来る『第五天使』も『母』である『イブ』を狙いに来る。いや、厳密には『グングニル』狙いじゃな。小娘達には情報撹乱のため『天使』は『第三の生命の種』は狙わないと吹き込んであるがの、嘘は言っとらん」

 

 

 「用意周到ですね、博士。私の仕事が省けて助かりますよ」

 

 アルテミス博士とクリス支部司令官が話している後ろから、ハイヒールの靴音を出しながら近寄って来るピンク色の髪を持ち、スタイルの良い女性が見えた。隣にはガッシリとしたガタイの男が側に付いている。

 二人の突然の来客にクリスは素早く駆け寄り、声を掛ける。

 

 

 「おお、これは、これは、アマノン統轄情報局局長に就任したジャリコ・クライハム氏ではありませんか。副局長のジョージ・ワイアルド氏まで御一緒とは...... 今日はどうされたのですか」

 

 「今日は『第五天使』との戦闘予定があるとのことなので偵察に来ました。これからのアマノン情報システムの再構築に向けて、役立つことがあればと思いまして..... 」

 

 

 「ふん、そんな体裁の良い言葉を吐きおって。本当は結希の駒使いで来たんじゃろ? 今回の『就任』も突然降って沸いた話だったしのう。お前ら結希のこと嫌いだったんじゃないのか? 」

 

 

 ジャリコはアルテミス博士の言葉に、腰に手を当てて冷静に対処する。

 

 

 「博士、随分御挨拶ですね。他意はありませんよ。ただの『偵察』です。そ、それに林原統括司令官はか、関係ありませんよ。今回情報局局長に取り立てて頂いたのも、私達の活躍を認めて 」

 

 「声、震えておるぞ」

 

 アルテミス博士がジャリコの動揺を指摘すると、ジャリコは冷静な立ち振舞いを崩し発狂する。

 

 「ふ、震えてなんか、ないですよ! 震えてなど... ... 」

 

 「まあいい、大方、結希に目論みでも見抜かれて良いように扱われているんじゃろ。じゃが邪魔するなよ、『グングニル』があると言っても第一の種、第二の種、カインと違って『イブ』は剥き出しも同然じゃからの。気は抜けん」

 

 「じゃ、邪魔などしませんよ! 失礼します! 」

 

 ジャリコは怒りを隠せず、肩を大きく振りながら、場を後にする。ジョージは困惑しながら、ジャリコの後を付いていく。

 

 「全く何なんにゃ! あの女は! 人のこと馬鹿にしてるにゃ! 人のこと駒だの、見抜かれてるだの...... 」

 

 

 「それは本当だけどな」

 

 

 「うるさいにゃ! 全く腹立つにゃ! 」

 

 

 

 

 「―――第五天使出現―――」

 

 「―――第五天使出現―――」

 

 「―――第五天使出現―――」

 

 「繰り返す―――第五天使出現―――」

 

 

 

 敵の襲来を伝えるアナウンスがアマノン・バルバリア支部全体を響き渡る。警報も響き渡り、エヴァンゲリオンを拘束していた拘束具が次々と外されていく。二体のエヴァンゲリオンの側にある青色ランプが点灯する。出動準備完了を知らせる合図である。

 それを見たクリスは二人のエヴァンゲリオンパイロットに檄を飛ばす。

 

 

 

 「シェリア! セトナ! 今回は二人で出動だ! 今回の敵も手強い、気を抜くなよ! 」

 

 

 

 「大丈夫ですわ! セトナと二人ならどんな強敵にも勝てますわ! 」

 

 

 「そうだよ、おっさん! シェリ姉と一緒なら神様にだって勝てる! 心配すんな! 」

 

 シェリアとセトナはエヴァンゲリオン専用の拡声器でクリスに強気の返答をする。その発言にクリスは笑みを浮かべる。

 

 

 「よし! 思いっきり戦ってこい! だが無茶はするなよ! 」

 

 上部の特殊ガラスが張られた指令部からバルバリア支部戦術指揮官クライフ・シャハートが会話のやり取りを聞き取り、覚悟を決めるように頷く。

 

 

 「シェリア、セトナは覚悟はいい? 行くわよ! 行くわよ!

 エヴァンゲリオン四号機、エヴァンゲリオン七号機――― 」

 

 

 

 「発進! 」

 

 

 戦術指揮官の号令と共に、カタパルトに載せられたエヴァンゲリオン四号機とエヴァンゲリオン七号機は猛スピードで発射口を駆け抜けて行く。金属が擦り、削り取られる音が発射ピット、発射口隅々に響き渡る。

 

 

 エヴァンゲリオン四号機、七号機は勢い良く地上に飛び出すと、地面を抉りつつ、片膝を付き着地する。

 着地地点はEオーシャンに面する浜辺、四号機、七号機は特殊装備している反重力ブースターで海面を一気に走り抜く! 海が割れんばかりの衝撃で両側面から大きな津波が発生し、海洋生物が大量に空に向かって打ち上げられる。

 

 

 

 

 「セトナ! ガンガン飛ばしますわよ! 」

 

 「シェリ姉こそ、付いてきてよね! 」

 

 

 

 二体のエヴァンゲリオンは加速度を増し、Eオーシャンを駆け抜けて行く。四号機、七号機は海上作戦のため自立型エネルギー補給装置『子供達』を登載したエネルギータンクを装備している。

 二人のエヴァンゲリオンパイロットの視界には、第三の生命の種『イブ』が映る。

 正確には『イブ』と同化した『青き月』である。『青き月』はEオーシャンに突き刺さった『イブ』の触手を台として、Eオーシャンに佇む。

 

 シェリアとセトナは、初めて目の前で見る『生命の種』に身がすくむ。『イブ』の体長はエヴァンゲリオン何十体分になるかも解らない程、巨大だ。当然『イブ』がへばりついている『青き月』の体積は『イブ』の何倍もある。

 

 

 「パターンA! 天使です。二人とももう天使と近いです! 」

 

 

 オペレーターがシェリアとセトナに天使の反応を伝えると同時に『第五天使』が海上から姿を表す! その姿はまるで神話に伝えられている『海竜』の姿そのものだった。蒼白い鱗が太陽光に反射し、周りの眩しさを増させる。

海竜はその巨体を生かし、『イブ』に突き刺さっている『グングニル』にかぶり付く! その瞬間、激しい発光が起こり、周辺が白き光で包まれる。

 

 『第五天使』の身体が『グングニル』の結界の力で徐々に溶けていく。が海竜は怯むことなく、母に突き刺さる忌々しい巨大な槍を少しずつ、少しずつ引き抜いていく。

 

 

 「いかん! 金髪娘! 緑髪娘! 急げ! 『グングニル』を抜かれてしまうと、『イブ』と同化され、セブ... いや『サードインパクト』を引き起こしてしまう! 何としても止めるんじゃ! 」

 

 

 「セブ...... ? セブン...... 」

 

 クリス支部司令官はアルテミス博士の言いかけた言葉に引っ掛かりを感じながらも、博士には何も聞かなかった。地球を危機に陥れたインパクトは地球の生まれた時の『ファーストインパクト』、33年前の隕石衝突の『セカンドインパクト』の二回とされている。『天使達』が生命の種を狙っているのは三回目の大災害――― 『サードインパクト』を引き起こすことだと聞かされていた。

 

 しかし、明らかにアルテミス博士はセブン、セブンスと言いかけた気がした...... クリスは確信を得た。

 

 

 「博士、解ってますわ! 『サードインパクト』は絶対に引き起こさせません! 」

 

 

 シェリアは強く決意を表明すると、四号機の更に反重力ブースターを加速させ、『第五天使』に接近する!

 『第五天使』は敵の存在に気付き、自らの尾を海中から持ち上げ、四号機に向け振り回す!

 

 シェリアはブースターの出力を最大にし、空高く飛び上がり、空振りした海竜の巨大な尾は海面を強烈に叩き、海水が宙を舞う。

 海竜の頭上より高く翔んだ四号機は宙で宙返りを何回も繰返し、海竜の頭に激烈な蹴りを直撃させた!

 

 

 『第五天使』は『グングニル』から口を放し、Eオーシャンに沈んだ。その際の衝撃で『イブ』に突き刺さっていた『グングニル』の大部分が抜けていた。

 

 

 「いかん! もう『グングニル』に触れさせるな! それ以上抜けると『イブ』が動き出すぞ! 」

 

 クリスが注意を促すと、二人のパイロットは頷く。と同時に再び『第五天使』は海面から姿を表す、少し離れたところから大きくジャンプしてきた! 海竜は青い空を悠々と舞う!

 

 

 「あの勢いで『グングニル』が捕まれたら、抜けてしまう! シェリア、セトナ! 」

 

 クライフが焦りを見せる、しかし次の瞬間、七号機が海竜に負けない位の大飛翔を見せ付ける!

 

 「とおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 

 セトナは勝負を賭けて叫ぶ! 七号機は常備しているGナイフを極限まで伸ばした!

 

 

 

 ――――――刹那――――――

 

 

 

 

 

 海竜の頭が宙に舞った、青き血がまるで花吹雪のように海を色鮮やかに彩どった。少し遅れて七号機がEオーシャンにダイブする。

 

 

 「へへ、やったよ! シェリ姉! あたしもやるだろ? 」

 

 「もう、セトナったら、無茶しちゃって! 」

 

 

 

 「二人ともよく殺ったわ! 『第五天使』撃破! 」

 

 クライフ戦術指揮官が撃破の報を司令官に伝えるとバルバリア支部全体が歓声に包まれる。隊員同士が抱き合って喜ぶ。この光景はアマノン本部では決して見られないであろう。

 

 

 「随分アッサリ倒したのう...... やはりチームワークが良いとこうも効率が上がるのかのう。本部の連中も見習ってほしいもんじゃ」

 

 「やはりあの二人、幼い頃から生死を共にしたあの二人だからこその活躍です」

 

 

 「あの時、奴らを拾ったのは大正解じゃったの」

 

 クリスは誇らしく笑みを浮かべながら大きく頷く。

 

 

 

 

 

 「さあ、セトナ、海水浴はもう切り上げて帰りましょう。皆が待っていますよ」

 

 

 「もうシェリ姉! 」

 

 「うふふ、さあ、掴まって! 」

 

 四号機は手を差し出し、七号機を引き上げようとした――――――

 

 

 

 

 

 

 

 ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

 

 

 

 突如、海面が大きく揺れ、地響きが響く。大波が打ち立て、海上を飛ぶ鳥は此れから起こる『恐怖』を察してか、素早く空高くに逃げ込む。

 四号機の手を掴み損なった七号機は反重力ブースターの力で海面に立つ。

 

 

 「一体何事ですの? もしや『第五天使』を仕留め損なった? 」

 

 

 「シェ、シェリ姉、あれ! 」

 

 

 七号機が上に向かって指を向けた。

 

 

 「 ! 」

 

 

 シェリアが後ろを振り返るとそこには信じられない光景が写し出されていた。

 

 

 

 第三の生命の種『イブ』が両腕をおぼつきながらも動かし、自分を貫いている『グングニル』を抜こうとしていた。動作は鈍重だが、ゆっくりと、しかし確実に自らに課せられた『咎』を外していく。

 

 

 

 「イ、イブが...... 解放された? 」

 

 「結構抜けていたからのう。金髪娘! 緑髪娘! 早く『グングニル』を再び奥まで突き刺すのじゃ! 『イブ』が覚醒したらシャレにならんぞ! この星の全てが吸収されてしまう! 」

 

 

 アルテミス博士の命令を聞くと、セトナはブースターを最大出力にし、黒き女神の暴走を食い止めるべく『グングニル』に向かい宙を舞う。

 

 

 「よし、掴んだ! で、でも、痛っっっ」

 

 七号機は『グングニル』を掴み、徐々に突き刺し返すが、結界の力で超特殊鋼が泥々に溶けていく。

 激しい痛みを受け続けるセトナは鬼の形相で操縦レバーを握り続ける。

 

 

 「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 

 

 

 セトナは叫び、七号機は巨大なる槍を巨大なる黒き女神に突き刺し続ける。『イブ』も槍を両手で掴み、押し返すが目覚めた直前なのか、七号機に力負けする。

 

 「い、行けるわ! 」

 

 クライフ戦術指揮官が勝利を確信した、その時――― Eオーシャンの海面から突如、巨大な触手が立ち上がる。

 

 

 

 黒々とした気色の悪い触手は、先端部に付いている口を限界まで開き、必死に『グングニル』に掴みついている七号機を補食した!

 

 

 

 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 

 

 

 「セトナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ! 」

 

 

 セトナと七号機が飲み込まれる状況を見て、シェリアは発狂する。四号機はふらつきながら、七号機を飲み込んだ巨大触手に向かう!

 

 

 

 「いけない! シェリア冷静になって! Gナイフであの触手を切断するのよ! 」

 

 クライフの忠告を聞き入れ、四号機は肩の装甲からGナイフを取り出す。

 

 

 「しかし、あんな触手、『イブ』には付いていないはずじゃが...... 」

 

 

 「そうか! あの触手は『第五天使』の死骸ですよ。『イブ』は『第五天使』の死骸を海中にある自分の触手で自分の物としたんです」

 

 

 クリスの推察にアルテミス博士は納得する。

 

 

 「それだな、しかし『自分の子供』の死骸まで道具とするとは流石『カレルレン達』が造り上げた最高の部品じゃの」

 

 

 

 ガキン!

 

 

 その音と同時に長く伸びきった刃の半分が空高く上がり、Eオーシャンの藻屑となった。

 

 

 四号機はブースターで浮きながら、狂ったように触手を殴打し続ける!

 

 

 が、『第五天使』の亡骸には少しの傷も与えられなかった。生命の種の力である。

 

 

 

 

 シェリアは過去を振り返る。幼い頃から共に居続けた。本当の姉妹ではなくても、血の繋がった姉妹より強い絆で結ばれていた。その自分よりも大切な存在を助けられない......

 その忸怩たる思いが、シェリアの心の奥から湧き出る絶望を引き出す。

 

 

 

 

 「いち、いちばん、一番大切な、ひと、すら、た、たすけ、助けて、あげられ...... ない...... なんて」

 

 

 

 「わたしは... わたしはァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ! 」

 

 

 

 

 シェリアが絶望の極限へと至った瞬間、四号機の頭上に――――――エンジェルハイロウ――――――天使の輪が浮かび上がる! しかし初号機の輪とは違い、三重の輪が出現した。

 

 

 「あれは擬似神化形態! 金髪娘の強き思いに共鳴したか。 しかし四号機のコアに『魂』は入れておらんぞ? 」

 

 

 「生命の種、死骸とはいえ『第五天使』、二体のエヴァンゲリオン、そしてパイロットの絶望...... 『魂』無きハンデは補える状況では? 」

 

 

 アルテミス博士の疑問にジャリコが自らの推察を呈示する。

 

 

 「そうかもしれんの。しかしこの状況、マズイぞ... ...七号機を助け出したとしても、擬似神化を止める要因がない...... 『イブ』が側にいる以上『サードインパクト』は避けられん」

 

 

 「『サードインパクト』と言う単語を聞くたびに笑ってしまいます! 」

 

 

 

 

 ジャリコの微笑に、クリスは自らの疑念の答えに更なる確信を持つ。

 

 

 「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 

 

 四号機は更に六本の赤き光の翼を背から出現させる。四号機は触手より高く舞い上がり、触手に向けて手を掲げる。

 

 

 

 「ついに擬似神化第二形態に成りおった! マズい、起こるぞ! 七回目の災厄が! 」

 

 

 

 

 「セトナは、世界がどうなっても、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、セトナは、

 

 

 

 ――――――セトナだけは―――――― 」

 

 

 

 「必ず助ける! 」

 

 

 

 

 その瞬間―――四号機の頭上にある三重のエンジェルハイロウは全てを吸い込む異次元への扉へと変化した。

 

 周辺は紅き妖しげな光に包まれ、この世界は異次元との境を無くしていく。『第五天使』の死骸で造り上げた触手はあっという間に七号機を残して、吸い上げられていく。

 

 

 「セトナァァァァァァァァ! 」

 

 

 

 

 四号機が七号機の手を掴んだ瞬間、全世界は赤光に包まれる! 大地震、大津波が巻き起こる ! 空は異次元への扉で埋め尽くされていた。新世界誕生を告げる知らせである。

 

 

 「博士、予定が狂いましたね。本当は『U計画』が実行されるまで『ガフの扉』は開いてはならなかった。33年前、貴女の御父上の最高傑作『ウラノスR』が『ガフの扉』の更に奥に辿り着いてしまった失敗を繰り返してしまうを恐れはあるし、何より予定が大幅に狂う。『カレルレン達』は大激怒でしょう」

 

 「わしに言うな! 最早手立てはない! 『ガフの扉』の奥に行くことはないわい、あの時は焦った『カレルレン達』の一部が『クリシュナの矛』を使ったからの出来事だしの。また新たに世界を作るところから始めるしかないの」

 

 

 

 擬似的な『神』となった四号機は七号機と徐々に融合を開始した。赤き翼は12本に成り、融合しつつ、『ガフの扉』へ向かって行く!

 

 

 

 

 シェリアとセトナは心を通じ合い、会話を始めた、パイロットである二人も精神的に融合し始める。

 

 「シェリ姉、ごめん。私のせいで、こんなことになっちゃって」

 

 

 「私こそ、サードインパクトを起こさせまいと言って来たのに..... セトナは謝ること、ありませんわ。二人で、新世界で生きていきましょう...... 」

 

 

 

 「うん...... 」 

 

 

 

 この世の『神』と成った四号機は正に『ガフの扉』に入ろうとした――――――

 

 

 

 

 

 「私は語り部、私はさ迷う、永遠の語り部として... ... 」

 

 

 

 「なんだ!あれは! 天使? 槍を持っているぞ! 」

 

 

 クリスが叫ぶとバルバリア支部にいる人間全員がモニターを見る!

 

 

 其処に映し出されていたのは、紫色の翼で宙に浮いた蒼白い肌をした女性であった。

 

 

 「あれは...... あの小娘が言っていた...... 『セフィラム』? 」

 

 

 

 「私は...... この世界で...... 語り継がなければ...... ならない。 永遠に...... 」

 

 

 セフィラムはそう呟くと手にしている赤い双叉の槍を『神』と成った四号機に向け、投げ打つ! 人間が持つに丁度いいサイズだった双叉の槍は加速度を増し、段々と巨大になる!

 

 

 

 

 ズシャ!

 

 

 

 

 四号機に双叉の赤き槍が突き刺さると『神』に進化した四号機は赤き翼を失い、七号機と共にEオーシャンに落下する。『ガフの扉』は消え去り、後に残ったのは七回目の大災厄が残した爪痕が残る世界だけ。

 

 セフィラムは手を『グングニル』の方にかざし、不思議な念力で『グングニル』を『イブ』に再び深く突き刺さす。

 

 『イブ』は活動を停止し、動きを止めた。

 

 

 双叉の槍は自動的にセフィラムの手に戻り、紫色の翼を持った妖しい天使は猛スピードで彼方に消えていった......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ************

 

 

 

 

 

 

 仮面被りし、仮初めの支配者達は次々と言葉を投げ掛ける。林原結希アマノン統括司令官は全面モニターの部屋で目を瞑りながら佇む。

 

 

 

 

 

 「しかし、未遂とはいえ、『セブンスインパクト』が起こるとはな」

 

 

 「『仮の真の神』を作るまでは『セブンスインパクト』は在ってはならなかった...... 『ニア・セブンスインパクト』で終わったのは幸いだったが」

 

 

 「こうした事態も折り込み済みです。そのために泳がせたのですから、『彼女』をね」

 

 結希の強きの発言に『観測者達』はざわめく。

 

 

 「随分強きだな、娘よ。予定が大幅に狂うこともありえたのだぞ? 」

 

 林原結希は不敵な笑みを見せ付ける。もう敵はいないと言っているような笑みである。

 

 

 

 「心配ありませんわ、御父様! 私が責任持って『神達』を『真の神』にへと導きます。『真の神』を創造する『TG計画』...... 私めにお任せ下さい 」

 

 

 仮初めの支配者『観測者達』は動揺を隠せない、しかし林原結希を置いて『TG計画』の実行を任せられる、指揮出来る人間は存在しないのは重々承知だった。結希もそれを察知し、場を自分の物とした。

 

 

 

 「大丈夫です、『神達』の御期待は裏切りません」

 

 

 

 「全ての生命の種を造り上げ、この星の全ての生命の親である『神』―――――『第一始祖民族』――――の期待はね ...... 」

 

 

 

 

 

 

 シン世紀エヴァンゲリオン アイ

 

 

 第八話 完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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