Alderamin of kaleidoscope 作:幻覚の彼女
公国の領土には、常に暖かい海風が吹く。 温暖で過ごしやすいこの国は、隣国キオカ共和国の4分の1ほどの領地しかない小国、エテル公国だ。軍事大国キオカのお膝下、滅びた国は数知れず。しかしこの国は建国から1000年経った今も平和な時間が流れている…
「まぁそれにしても平和すぎて今日も気持ちが悪い…いっそ微睡みの公国とでも改名すべきじゃないか?ははっ……」
大都市 アイラールの大通りのど真ん中を、悠々と歩くこの少年。歳は若干15。小柄な彼を目立たせているのはその白黒混ざった長髪と、胸に輝く徽章である。
「シュロ、いいことではないですか。殺気立っていてはやっていけません……」
腰のポーチから小さな姿が顔を出す。黄色の肌に小さな手足、「精霊」と呼ばれるその生き物がやはり彼を支える。 シュロと呼ばれたこの少年、シュロ・メルジオンとその相棒 光精霊 ミラはいつものようにフラフラと街を漂う。
「クル婆〜アロエ貰うよ〜」
「はいはい。お代はー」
店主の頭に金貨が降る。
白と黒の長髪は気がつけば人混みに紛れていた。
「うむ、相変わらずのみずみずしさ。帝国一美味だと 僕 は思うよ。」
こんな調子で3軒4軒を行ったり来たり。
アロエや果実を常に両手に抱えご満悦の少年はここで歩みを止める。
「相変わらずだなキミは。今日もつまらなさそうだ。」
影が覆う。その風格は例えるなら鬼といったところだ。身長差はゆうに30cm、肩幅に至っては2倍ほどあるだろう。腰に長い太刀を据えた軍服の彼は、胸に大将の称号を輝かせ部下を連れてパトロールという感じである。
「ギラフ、君は真面目すぎるんだよ。わざわざ仕事を作る必要はないんだ。第一、作った仕事など手間はかからない。」
体格差などあって無いようにサラリと言い放つ。
鬼《彼》も時間を置かずに切り返す。
「ほぉ、では意味もなく浮遊しているキミの営みの方が有意義なのかな?」
シュロは顔色を変えることなく欠伸をしながら一言。
「まぁ、僕 の気まぐれだね、そのうち役に立つのさ、ハハッ」
鬼《ギラフレイ・アトワール》も笑みをほころばせた。これは日常であり、いつもの会話である。1つ付け加えるとするならば、彼等は15年この関係を続けている。
はたから見れば大男が少年を弾糾している様に見えるが、実態は同い年の親友が挨拶しているにすぎないのである。
「クル婆のとこのアロエだろう?一口くれるか?」
「こう言って僕があげたことがあったかな?生憎今日のはみずみずしさが完璧でね。一人で食べたいのさ。
君も買ってきたらどうだい?ハハッ…」
「哨戒中の買い物が許されるほど、この国も緩くないからな……」
「ーー大佐殿、そろそろ……」
「そうであったな。シュロ、訓練の時間には戻れよ。」
「はいはーい。」
2人はまたそれぞれの生活に戻る。
5歩ほど進むとミラはなにか確認する様に目の前に飛んできた。
「訓練まで1時間切りましたね。そろそろ……いや、心配には及びませんか……」
なにか含みのある言い方をした精霊を横目に 彼 は目を瞑る。
「あぁ。 俺 の時間だ。」
これは
胸に唯一無二の徽章。
この国を守り続ける英雄、この国の希望にして、これからの世界を変える鬼才。
「聖騎士」シュロ・メルジオンの物語である。
少し短いですが、読んでいただきありがとうございます。
初投稿作品につき、手探りな状況でして…拙い文章ではありますが、とりあえず少しずつ書いていこうと思っております。
また、これから文章の書き方が変わってく可能性もあります……
ここから国内の話をした後、原作に割り込んでいくつもりです。
宜しければ感想、アドバイス、等々頂けると光栄です。
(2016 9/13 9:40改訂版)