Alderamin of  kaleidoscope   作:幻覚の彼女

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火の壁に絶望は降り注ぐ

火の壁が広がる草原を目前にした北軍には案の定、衝撃が広がっていた。

まきがくべられ、轟々と燃える草原。煙は北軍へ流れ、火の向こうは見えない。かろうじて見える兵は、およそ1000人ほどだろうか。明らかに数は少ない。

それに気がついた刹那、テルン少佐の判断はくだる。

 

「風銃兵、両サイドの林に威嚇射撃。そのまま隊列を組み、射撃を継続。騎兵は突撃準備。」

 

広大な土地での戦闘を避け、挟み討ちによる人数差のカバー、更に煙による視界の妨害。絶勝幾重の能将らしい、そして丁寧な仕事である。案の定、林からは射撃がかえり銃撃戦になった。

しかし。

 

「さっきまでは見えてたが……痛え……開くのさえ痛い……」

「この煙…濃くなってないか?」

 

戦闘開始から煙が濃くなる一方。

兵の中には目を開けることも叶わず、視界を失ってしまう兵まで現れた。

「騎兵は下がれ!視野を失うな!風銃兵も射撃を続けながら撤退に移る!」

耐えかねた北軍が撤退に移ろうかという、その時である。

 

——「把握。北軍は左右兵と応戦、騎兵は既に下がりはじめたか。故に…」

 

「弩兵準備。」

 

この戦場において、弩を知るものはいない。弩。1人が抑え、もう一人が引く弓状の公国新兵器。誇るべきはその貫通力、威力、射程、制作段階の改良による弾幕性である。

約500人、およそ250の弩から矢は放たれた。

 

「撤退だ、下がれ、下がれ!何をしていっ——」

燻された軍服は次々に弾幕に飲まれ青く染まる。実際の矢ならば結果は言うまでもない。圧倒的火力による制圧による北軍の損害はおよそ2000人に及んだ。

 

「之で終わらないのが今訓練。

——あとは任せる。ギラフレイ」

 

翔ける白馬。冴える太刀。公国連隊を相手にした兵が今最もおそれる景色。

損害を出しながらも撤退に移った北軍は絶望を視ることとなる。

 

「な、なんで大将達が…後ろにいるんだよ…」

 

 

「覇っ」

三日月を描くが如く太刀は舞う。

勿論、愛刀のそれではない。しかし、重さの違う木刀であっても変わりはない。

ボウガンの矢を峰で払い逆手に持ち替えた太刀で切り込む。

 

「覇っ」

 

寄せ来る敵をたたき伏せる様に進む彼を先頭に、公国連隊随一の騎兵部隊、ギラフレイ隊は撤退路を塞ぐ様に先頭に入る。

 

——15分ほど経っただろうか。

太刀は将の首筋を捉えるところで止まった。

5000の軍に2000の軍が勝利する。

勝負の決着と共に、訓練の閉幕の風砲が鳴り響く。

 

 

 

 

公国暦1000年、絶勝幾重の能将 聖騎士 シュロ・メルジオン、公国兵団合同演習において3000の兵差を覆し勝利を収める。




お陰様で4話目です。テストとかあって実生活忙しかったので更新が遅れてしまいました…
これから帝国やキオカとの話を本編にしたいので少し駆け足に訓練を終えました。次回少し種明かしをしようかなと思います。
感想、評価等いただけると嬉しいです!
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