Alderamin of  kaleidoscope   作:幻覚の彼女

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公国の頭脳と帝国の箱

あれから2ヶ月…

兵団には期待が高まっていた。

まさにパフォーマンスとも言える采配、新兵器の登場。

この男、今世の聖騎士なら……

今迄、肩身の狭い思いをしてきた小国でも……

この功績は防衛、哨戒しか思考になかった兵団に攻撃と言う新たな思想を生んだわけだ。

 

「ここまでは、想定内なんだ。でもちょっと違うんだよこれが——」

 

城内を歩くメルジオンの碧眼には確かに未来が見えていた。彼を超える他国の指揮官の存在。戦争の新たな形。そして変革。

‘公国を守る’を使命とし、400年受け継がれてきた聖騎士の血が彼を焦らせるのだった。

 

ドンッ——

 

勢いよく人にぶつかってしまった…ここは城内だというのに迂闊だった、と反省する。

「すまない、私の前方不注意だ。怪我は……」

ん?

柔らかい。どことなく安らぎを感じる香り。少し顔をあげれば見慣れた明るい笑顔があった。

「まーた、考え事してたの?たまには空でも仰いできなさいな。いい閃きはいい心からってね?」

長い黒髪。後ろで高く結った素敵な女性。彼女には少し不釣り合いとも言える軍服を着崩している。

「いや、どこかの誰かみたいに天才ではないものでね。思案には君の3倍は時間をかけなければならないのだよ。」

ふーん。と目をそらしつつ、半ば強引にシュロに書類を押し付ける。

 

「そうだ。これ、帝国で開示された箱《遺産》の資料と、私の見解。相変わらずの情報量よ。」

 

かつて帝国に異端者が居たという。

主神を信じず、信仰を否定する者。神学を科学で塗り替えようとした者。

当然、帝国が黙認する訳もなく、現在はキオカに亡命しているらしい。

しかし帝国に残された彼の遺産

《アラナイの箱》は健在である。

この情報一つで世界の運命が変わるとさえ言われるほどの物なのだ。実はそれが先日一部開示された。その情報は帝国にいる内通者を通じて、彼女の元に伝えられた訳だ。

要件を済ませられてラッキーとばかりに立ち去ろうとした時、彼女は満面の笑みで付け加えた。

 

「そういえば、あの弓モドキ、役に立ったそうね。懐かしいものを引っ張り出してくるじゃない。まぁ、この天才の手にかかればあの成果は当然な訳だけど♡」

 

彼女は無類の天才である。思考回路が他人とちがう領域にあるのだ。困るのは彼女にその自覚があること。

彼女を一言で言い表すなら……

——傲慢にして完璧——

公国兵団 特別中将 シャリ・フルメイス

創造の天才。

 

先日のトロッコしかり、弩しかり。全て彼女の発明だ。アラナイの箱が世界を変えるなら、彼女の頭脳はそれを覆す。

 

いつも彼女にはペースを崩されてしまう。崩すのは敵陣だけで十分だというのに。それだけ天才的であり、頼れることに変わりはないが。部屋に戻り貰った資料をパラパラとめくる。ビッシリと書かれた資料に所々赤い文字が挿しこまれている。

一読の後、机の上に置かれたその資料。

一番上にはこうあった。

 

新型風銃。射程大幅向上、弾を螺旋回転…

——最警戒。なお対抗物資開発済み




なかなかつなぎに時間がかかってしまいました…
設定に手を加えながら少しずつ更新させていただきます。
今後ともよろしくお願いします。
又、設定の訂正いただき大変助かりました。
感想評価等頂けると嬉しいです。
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