ポケットモンスター-黒衣の先導者-   作:ウォセ

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また活動報告書きました。
今後の予定とか書いてるんで良かったらお目通し下さい。


氷結の四天王登場 キンセツキッチン!

ホウエンリーグ出場を目指し旅を続けるサトシ達。

とうとう第3のジムであるキンセツジムがある、キンセツシティに辿り着いた!

 

「よーし、とうとうキンセツシティに到着だ! 燃えてきたぜーっ!」

 

「ピカーッ!」

 

キンセツシティはホウエン地方が誇る大都市の1つであり、街のあちこちが近代化されている最先端の街。

それ故に人通りも多いのだが、街の入り口で大声で叫んだサトシに注目が集まってしまう。

 

「もうサトシ、そんなに叫んだら色んな人に見られちゃうわよ!」

 

「いいじゃん! だっていよいよ3つ目のジムバッジに挑戦できるんだぜ!」

 

そう、目的のジム戦に挑めるというだけあってサトシのテンションはもう最高に上がっており、今にもジムに突撃してしまいそうなほどだった。

だがその前にサトシのお腹がグ~と鳴ってしまう。

 

「…お腹減った」

 

先ほどまでの元気はどこへやら。いきなりお腹が減ってしまったサトシは一気にテンションが落ちてしまったようである。

 

「さっきまであんなに元気だったのに…」

 

「サトシってばそんなにテンションを変動させて疲れないの?」

 

「えへへ…」

 

これにはハルカもマサトも呆れ顔だったが、サトシは笑って誤魔化す事しかできなかった。

そしてキンセツシティの事を仲間達よりも知っているソラトはそんなサトシ達を先導するように前に出てキンセツシティの中心部へ向かう。

 

「それじゃ、ジムの前にポケモンセンターに行って…その後腹ごしらえだな」

 

「おう! 腹が減っては戦はできぬ! 沢山食べて、体力つけようぜピカチュウ!」

 

「ピーカチュ!」

 

そしてその後サトシ達は街のポケモンセンターに向かいポケモンを回復させ、ソラトは手持ちのポケモンを入れ替えて、万全の状態にするとどこかで食事をするために街中を散策する事にした。

しかし流石は最先端の大都市キンセツシティと言ったところか、あっちを見てもこっちを見ても店や物で溢れている。

 

「わぁ~、この服可愛いかも!」

 

「あっちに本屋がある! 寄っていきたいなぁ~」

 

「はいはい、それは後にしような。飯を食べてから、色々見て回ろうぜ」

 

ハルカもマサトも思わずあちこちで立ち止まってしまい陳列されている商品に目を奪われてしまう。

だがその前にお腹を満たすのが先決であるため、苦笑するソラトに手を引かれながら名残惜しそうにその場を離れる事になってしまった。

しかしあちらこちらに食事の店も並んでいるためどこで食べるかは悩みどころである。

 

「サトシ、何か食べたいものあるか?」

 

「うーん、美味しければ何でも良いんだけど…ん?」

 

ザワザワと騒がしいお店の一角を見てみれば、そこには幾つかの店が入っているフードコートがあった。

しかもガラス越しに中を見てみれば―

 

「マグカルゴ、かえんほうしゃ!」

 

「マグッ!」

 

「ブーピッグ、サイケこうせん!」

 

「ブーピッ!」

 

―設置されているバトルフィールドで、マグカルゴの放つ灼熱の炎とブーピッグの放つ虹色の光線がぶつかり合い、せめぎ合っていた。

まさかフードコートの中にバトルフィールドがあるとは思っていなかったサトシ達は驚いて目を見開く。

 

「なんだここ!? フードコートなのにバトルしてるぞ!?」

 

「もしかして、ここがバトルフードコート…キンセツキッチンか」

 

「お兄ちゃん、知ってるの?」

 

「5年前には無かったが、最近噂だけなら聞いてたんだ。なんでも注文した料理が出るまでポケモンバトルをして、勝った方が席に着いて食事をする事ができるらしい」

 

そう、ここはバトルフードコート・キンセツキッチン。

最近キンセツシティで話題沸騰中。バトルと食事を同時に行う事のできる、バトル好きと食事好きにはたまらない施設だった。

ルールはソラトが解説した通りだが、注文した料理が冷めない内にバトルを終わらせられるかがミソとなっている。

 

「面白そうじゃないか! ここで食べてこうぜ!」

 

「ピカチュウ!」

 

「ああ、俺も賛成だ」

 

「コンテストバトルの特訓にも良いかも! それにご飯も美味しそうだし!」

 

「僕もバトルを見れるしここで食べたい!」

 

満場一致。キンセツキッチンで食事をする事にしたサトシ達は中へ入る事にした。

そして、物陰に隠れながらサトシ達の後をつける怪しい影が3つ。

 

「ニャ~、良い匂いがするニャ」

 

「バトルフードコートかぁ…俺達も何か食べたいぜ…」

 

「お馬鹿! そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」

 

そう、いつも通りのムサシ、コジロウ、ニャースのロケット団である。

今日も諦めず、文字通りのハングリー精神でサトシ達の後を追いかけてきたのである。

 

「そんな事って…」

 

「お腹が減っちゃ力が出ないニャ」

 

「んなちゃっちい事言ってないで、あのフードコートにいる連中のポケモンを纏めて奪ってやるのよ!」

 

「おぉ、そうか!」

 

「あそこには強いポケモンが沢山いる筈ニャ!」

 

「それじゃ、フードコートのポケモン纏めてゲット作戦、開始よ!」

 

「「ラジャ!」」

 

はてさて、今日こそロケット団の作戦はうまくいくのだろうか。

一方、キンセツキッチンに入ったサトシ達は店の看板やメニューを見てどの料理を注文しようかと考える。

 

「さて…何を食べるかな」

 

「あっ! 私はアレにするわ!」

 

ハルカが選んだのはビレッジセットというサンドイッチのようなメニューで、お洒落で美味しいという、女子受けの良さそうなメニューを選択した。

 

「お姉ちゃん、僕のも一緒に頼んできて!」

 

「オッケー、任せなさい!」

 

マサトもハルカと同じビレッジセットにする事にし、カウンターに並んで注文を済ませる。

料理が完成するまで少しだけ時間がかかるので、ここからがキンセツキッチンの本番であり醍醐味である。

ハルカは料理が完成したら音と振動でそれを伝えてくれる機械を受け取ると、周囲を見渡して席を探す。

だがキンセツキッチンはほぼ毎日満員御礼。空いている席は無かった。

 

「うーん、ほとんど満員かも」

 

「じゃあやっぱり、座るにはバトルをして席を勝ち取るしかないんだね」

 

「…なら、俺とバトルしないか?」

 

席を探すハルカに声をかけたのは、近くの席に座っていた少年だった。

 

「俺はシロウ。俺のこの席、バトルしないで座れちゃったからさ。この席を賭けてバトルしようぜ!」

 

「よーし、望むところだわ!」

 

シロウと名乗った少年に座る席を賭けてのバトルを提案され、ハルカはそれを受け入れた。

店内に設置されているバトルフィールドに移動すると、ハルカとシロウが向かい合い、店が雇っている審判がやって来る。

 

「それでは、席を賭けたバトルを開始します! 使用ポケモンは1体、時間無制限、どちらかのポケモンが戦闘不能になったらバトル終了です!」

 

ハルカとシロウのバトルが始まるということで、マサトは勿論サトシもソラトもハルカのバトルが見える位置まで移動してきた。

 

「頑張れよハルカ!」

 

「お姉ちゃん! 僕の席もかかってるんだから、しっかりね!」

 

「分かってるわよ! お願い、アチャモ!」

 

「チャモチャモチャー!」

 

ハルカが繰り出したのはアチャモ。

それを見てシロウも構えていたモンスターボールを投げてポケモンを繰り出した。

 

「行けっ、マンキー!」

 

「ブキッ! キキキッ!」

 

「あれは…」

 

シロウのポケモンは白と茶色の毛色と器用な長い尻尾が特長的なぶたざるポケモン、マンキーだった。

マンキーを見たことがなかったハルカは、ポケモン図鑑を取り出してマンキーを検索してデータを表示する。

 

『マンキー ぶたざるポケモン

体が震え、鼻息が荒くなれば怒り出す前触れなのだが、あっという間に激しく怒り出すので逃げ出す暇は無い。』

 

図鑑の説明通り、マンキーは好戦的な性格をしているが攻撃力以外はそれほど高くないためアチャモでも十分に対抗できるだろう。

 

「それでは、試合開始!」

 

「キキーッ!」

 

審判の合図と共に、待ってましたと言わんばかりにマンキーがアチャモに向かって飛び掛った。

 

「よしマンキー、みだれひっかきだ!」

 

「キーッ!」

 

いきなり凄い勢いで間合いを詰めてきて攻撃をしてくるシロウとマンキーだが、ハルカもカイナシティのコンテストバトルで色々学んでいる。

勢いに任せた直線的な攻撃を受ける筈もなく、冷静に対処した。

 

「アチャモ、かわすのよ!」

 

「チャモッ!」

 

マンキーの爪から繰り出される連続攻撃を、その場から飛び退く事で避けたアチャモは攻撃の体勢に入る。

 

「ひのこで反撃よ!」

 

「チャモーッ!」

 

「キキキッ!?」

 

雨のように降り注ぐ炎の弾丸を受けて思わずマンキーは蹲ってしまい、更なる隙を晒してしまう。

その隙を見つけたハルカとアチャモは思い切り踏み込む事にした。

 

「隙ありよ! アチャモ、つつく攻撃!」

 

「チャモチャモチャモッ!」

 

「まずい! マンキー、かわすんだ!」

 

「ブキ…!? キーッ!?」

 

嘴にパワーを集中し、マンキーに突撃するアチャモを見てシロウは慌ててマンキーに回避の指示を出すものの、ひのこを受けて蹲ってしまっていたマンキーは攻撃を回避する事ができなかった。

こうかはばつぐんの攻撃をまともに受けてしまったマンキーフィールドの隅まで弾き飛ばされてしまうが、何とか持ちこたえて立ち上がった。

 

「キ…!」

 

「よく持ちこたえたぞマンキー! 反撃のクロスチョップだ!」

 

「ウギッ! キーッ!」

 

反撃に出たマンキーは勢いをつけてアチャモに迫りクロスチョップを繰り出した。

思い切りつつくを繰り出していたアチャモは隙ができてしまっており、クロスチョップの回避は間に合いそうになかった。

かくとうタイプの大技がアチャモに迫り、ハルカは慌てて指示を出す。

 

「アチャモ…! ええと…屈んで避けるのよ!」

 

「チャモ!」

 

咄嗟の事でやや思いつきの指示しかできなかったものの、アチャモは地面に倒れるように伏せる事にした。

するとどうした事か、フィールドにあった砂埃がアチャモの脚に蹴られて舞い上がりマンキーの目に入ると、マンキーは目を閉じてしまい狙いが外れてしまった。

 

「ウギャ…!」

 

「今の……もしかして!」

 

マンキーが目を擦って動けないでいる内にハルカは図鑑を開いてアチャモの状態を確認すると、新しい技を習得していた。

 

「やっぱり! アチャモ、あなたすなかけを覚えたのね!」

 

「チャモ?」

 

先ほどのはアチャモも自覚しない内に偶然技が出てしまったのだろうが、確かにアチャモはすなかけを習得していた。

命中率を下げるすなかけは、使いようによってはとても有用な技である。

 

「負けるなマンキー! もう1度クロスチョップだ!」

 

「ウギ…キキキーッ!」

 

マンキーは視界は元に戻っていないがハルカとアチャモの動きが止まっている今がチャンスだと思ったのか、シロウの指示の元再びクロスチョップを繰り出した。

おおよその狙いをつけてアチャモを狙うマンキーだったが、ハルカは落ち着いてアチャモに指示を出した。

 

「アチャモ、すなかけ!」

 

「チャ、モッ!」

 

「ブキャッ!? キキッ…!?」

 

アチャモは足を使い、マンキーの顔に目掛けて砂を巻き上げる。

狙い通り、マンキーは再び視界を奪われてしまい攻撃を外すどころか動きを止めてしまった。

 

「よーし今よ! ひのこ!」

 

「チャモーッ!」

 

「ブキャキャー!?」

 

動きが止まった所に受けたひのこによってマンキーは戦闘不能となってしまい、バトルの決着がついた。

 

「マンキー、戦闘不能! アチャモの勝ち!」

 

「やったぁ! よくやったわね、アチャモ!」

 

「チャモチャー!」

 

バトルが終わると同時にハルカの持っていた料理の完成を告げる機械が鳴り、タイミングもバッチリである。

 

「あっ、ビレッジセットができたのね!」

 

「僕受け取ってくる!」

 

マサトが足早に店頭まで向かい、料理を受け取る。

それと同時にシロウはマンキーをモンスターボールに戻してハルカとマサトの為に席を空けた。

 

「やられたよ。この席、使ってくれ」

 

「ありがとう!」

 

こうしてハルカと付き添いのマサトは食事にありつく事ができた。

そして目の前であんなに熱いバトルを見せられたらサトシとピカチュウも黙ってはいられない性格である。

 

「よーし、俺も早速注文してくるぜ!」

 

「ピッピカチュウ!」

 

サトシとピカチュウは近くにあったコイルを模したたこ焼き風の料理、コイル焼きを売っている店を選び、コイル焼き大盛りを注文してバトル相手を探す。

 

「おーい、誰か俺と席を賭けてバトルしようぜ!」

 

声を出して相手を探すと、それに応えるように1人の少女が立ち上がった。

 

「なら、私が受けてたつわ」

 

「おっ、来たな!」

 

「私はモカっていうの。折角だし、ダブルバトルで勝負しない?」

 

「ダブルバトルか、臨むところだぜ!」

 

サトシの挑戦を受けた少女、モカはサトシと相対してそれぞれバトルフィールドに立ち、モンスターボールを構える。

 

「それでは、席を賭けたバトルを開始します! 使用ポケモンは2体のダブルバトル、時間無制限、どちらかのポケモンが2体とも戦闘不能になったらバトル終了です!」

 

先ほどと同じように審判が宣言し、サトシとモカは同時にモンスターボールを投げてポケモンを繰り出した。

 

「クチート、ジュプトル、キミに決めた!」

 

「クート!」

 

「ジュラ」

 

サトシが選んだポケモンはクチートとジュプトルのコンビである。

悪くない選択だがこのコンビだと少々問題があった。それは…

 

「クー! クートクート!」

 

「ジュラ…」

 

「こらクチート、これからバトルなんだぞ!」

 

そう、クチートがジュプトルにメロメロ状態であるという事である。

今もジュプトルの気を引こうとジュプトルの手を取ってスリスリと体を擦り付けている。これにはジュプトルも困り顔になってしまう。

もしヘイガニがこの光景を見ていたら、またしても真っ白に燃え尽きていた事だろう。

 

「私のポケモンは…この子達よ!」

 

「ニドッ!」

 

「ラクラゥ!」

 

対するモコが繰り出したポケモンはどくばりポケモンのニドリーノと、いなづまポケモンのラクライの2体だった。

ニドリーノの毒攻撃ははがねタイプを持つクチートには効果が無く、ラクライの電気技もジュプトルにはいまひとつのためタイプだけ見ればサトシが有利である。

 

「それでは、試合開始!」

 

そして両者のポケモンが揃った所で審判がフラッグを振り下ろした。

 

「先手必勝だ! ジュプトル、ラクライにでんこうせっか!」

 

「ジュラ!」

 

この中で最も動きの素早いジュプトルが放つでんこうせっかにより、あっという間にラクライとの間合いが詰まっていく。

 

「迎え撃つのよラクライ! スパーク!」

 

「ラクッ!」

 

対するラクライは体中に電撃を纏った体当たりで攻撃をするスパークで迎え撃つ。

ジュプトルとラクライがぶつかり合い、衝撃が発生するものの体格と体重、そして加速した際の勢いによりジュプトルに軍配が上がりラクライを弾き飛ばす。

 

「ラクーッ!?」

 

「ラクライ!? ニドリーノ、ラクライをカバーするのよ! ジュプトルにどくばり攻撃!」

 

「ニドッ!」

 

吹き飛ばされたラクライを助けるため、ニドリーノが角から無数のどくばりを放ちジュプトルを狙う。

どくタイプの攻撃はくさタイプのジュプトルにはこうかはばつぐんであるが、そうは問屋が卸さない。

 

「クチート、てっぺきで受け止めろ!」

 

「クート!」

 

だが降り注ぐどくばり攻撃は、クチートの後頭部の顎を硬質化させる事で防御させた。

どくタイプの技であるどくばりはクチートには効果が無く、更に防御力をぐーんと上げられてしまっては全く意味を成さないだろう。

 

「くっ…あの2体のコンビネーションを崩さないと攻めきれないわね。だったら…ニドリーノ、クチートにメロメロよ!」

 

「メロメロ?」

 

聞きなれない技名にサトシは頭上に?マークを浮かべているが、観戦していたソラトはその技の怖さをよく知っていた。

 

「サトシ! メロメロは違う性別のポケモンを虜にして行動を封じる技だ! 喰らったらクチートが指示を受けなくなるぞ!」

 

「なっ!?」

 

そう、メロメロを受けてしまえばしばらくの間いう事を聞かなくなってしまうのだ。

ニドリーノは♂で、サトシのクチートは♀である。メロメロは十分に効果を発揮するだろう。

ソラトからのアドバイスに慌てて回避の指示をしようとするサトシだったが、知らない技に反応が遅れてしまう。

 

「ニードッ」

 

ウィンクをしたニドリーノから渦を巻くハートマークが放たれ、クチートを取り囲む。

 

「逃げろクチート!」

 

サトシの指示を虚しく、ハートはクチートを包み込んでメロメロに―

 

「クーッ!」

 

―しなかった。

 

「へ?」

 

自分を取り囲むハートをうっとおしく思ったのだろうか、クチートは片手を振り払うようにして周囲のハートを弾き飛ばしてしまいメロメロを防いだ。

そして自分の活躍をジュプトルへアピールするようにウィンクする。

 

「クーッ、クート?」

 

「ジュラ…」

 

どうやらジュプトルに既にメロメロであるクチートには他のメロメロが通用しない、という事なのだろうか。

 

「そ、そんな…メロメロを弾くなんて…!?」

 

「よく分かんないけどチャンスだ! クチート、ニドリーノにかみつく攻撃!」

 

「クーッ、クト!」

 

「ニド!?」

 

メロメロが効かなかった事によって驚き、隙を晒してしまったニドリーノはまともにクチートの噛み付く攻撃を受けてしまう。

更にそれに留まらず、クチートは後頭部の顎を振り回してニドリーノをラクライに向けて投げつけた。

 

「ラクッ!?」

 

「ニドーッ!?」

 

結果、ニドリーノとラクライはもみくちゃになってフィールドの隅にまで転がってしまい、動きが止まってしまった。

 

「今だ! ジュプトルはエナジーボール! クチートはようせいのかぜ!」

 

「ジュルラァ!」

 

「クーット!」

 

そしてジュプトルとクチートの同時攻撃が決まり、ドカン!と大きな音と共にニドリーノとラクライはそれぞれフィールド外まで吹き飛ばされた。

2体の様子を見れば、目をグルグル回して立ち上がる気配は無い。

サトシの完勝である。

 

「ニドリーノ、ラクライ、共に戦闘不能! クチートとジュプトルの勝ち!」

 

「よっしゃぁ! よくやったな、クチート、ジュプトル!」

 

「クーット!」

 

「ジュラッ!? ジュルル…」

 

勝った事で感極まったのかクチートは再びジュプトルの手を取って抱きついた。

ジュプトルは相変わらず困惑しているようだったが、今回の勝利はクチートがメロメロを弾いた事でできた隙を突いた所が大きかったため、やれやれといった態度でクチートのスキンシップを許していた。

 

「やられちゃったか…戻って、ニドリーノ、ラクライ。それじゃ、ここの席使ってね」

 

「おう! サンキュ!」

 

そしてサトシは丁度出来上がったコイル焼きを受け取るとモカから勝ち取った席に座り、ピカチュウと、バトルを頑張ってくれたクチートとジュプトルと共にコイル焼きを食べる事にした。

 

「ほら、クチートとジュプトルも食べてくれ」

 

「ピカッ!」

 

「ジュラ」

 

「クート」

 

それぞれサトシからコイル焼きを受け取ると、大きく口を開けて大きく頬張った。

 

「もぐもぐ…熱-っ!?」

 

「ピカーッ!?」

 

「ジュラーッ!?」

 

「クーッ!?」

 

出来立てホヤホヤ、アツアツのコイル焼きに口の中を火傷するのではないかというほどの熱を感じたサトシ達は、揃いも揃って口からかえんほうしゃ並みの熱を吐き出した。

その様子を見ていた周囲は楽しそうに笑っていた。

 

「もう、サトシったら。食べてる時も元気かも」

 

「でもコイル焼きも美味しそうだね。後でちょっと分けてもらおっと!」

 

「ははは…さて、俺も何を食べるか決めないとな」

 

ハルカとマサト、そしてサトシも無事に席を勝ち取って食事の手を進めている。

ソラトもそろそろ自分の分を確保しなければと思い、目に付いた店のメニューを注文する。

 

「すいません、キンセツチャンポン1つ」

 

「分かりました。では出来上がったらこちらでお知らせしま―」

 

ソラトがキンセツチャンポンというメニューを注文していると、突然店内がザワワッと騒がしくなった。

その原因はたった今バトルフードコートに入ってきた人物だった。

 

入り口にいるのは、美しい金髪をした優雅な貴婦人。

薄紫色のドレスが彼女のミステリアスな雰囲気を表しており、注目が集まる理由も分かるというものだ。

しかし注目が集まっている理由はそこではない。

彼女は容姿は勿論だが、別の理由でも有名なのだ。

その理由は―

 

「プ、プリムさんだ! 四天王プリムさんが来たぞ!」

 

「キャーッ! プリム様ぁ!」

 

「す、凄い…! 生の四天王、初めて見た…!」

 

そう、彼女こそホウエン地方における四天王の1人なのだ。

 

「四天王だって…!?」

 

「ピカ…」

 

「四天王って、確か地方に4人しかいないチャンピオンの次に強い人だったわよね?」

 

「その四天王がどうしてここにいるんだろう?」

 

突然の四天王プリムの登場にサトシ達も驚きを隠せず、視線を向ける。

だが有名人であるプリムはそんな大衆からの視線に慣れているのか特に気にした様子もなく優雅な足取りでソラトのいるキンセツチャンポンの店にやって来る。

 

「失礼、いつものお1つお願い致しますわ」

 

「はい、プリム様。キンセツチャンポンですね」

 

優雅な佇まいでキンセツチャンポンを注文したプリムは振り返りフードコート全体を見渡すと、芯の通る声で問いかけた。

 

「わたくしと席を賭けてバトルして頂けるトレーナー様はいらっしゃいますか?」

 

「「「……」」」

 

だが誰一人としてその言葉に応える者は居なかった。

当然である。四天王のプリムは実力も相応のものであるため、その辺りの一般トレーナーがバトルすれば敗北は必至と言える。

確かにプリムと戦える機会など中々無いが、流石に実力差があり過ぎる。

 

ただ1人を除いては。

 

「俺が受けます」

 

それはプリムのすぐ横にいた黒衣のポケモントレーナー。

ソラトはプリムとバトルができる貴重な機会に不敵な笑みを浮かべており、傍目からでも分かるほどうずうずしていた。

 

「あら、貴方は…?」

 

「旅のトレーナー、ソラトといいます。俺とバトルをして、勝った方が次に空いた席に座るというのはどうでしょう?」

 

「…ウフフ、よろしくてよ」

 

不敵な笑みを浮かべるソラトに何かを感じ取ったのか、プリムもミステリアスな微笑みを浮かべ、バトルフィールドへと足を進める。

相対するは黒衣のトレーナーソラトと氷結の四天王プリム。

審判も普段より緊張した面持ちでフラッグを握り締めていた。

 

「それでは…折角ですしバトルはトリプルバトルに致しましょう」

 

「分かりました」

 

「「トリプルバトル?」」

 

トリプルバトルという聞き慣れない言葉を耳にして、サトシとハルカは首を傾げる。

そんな2人にマサトは自慢の知識の中からトリプルバトルのルールを引っ張り出して2人に聞かせる。

 

「ポケモンを3体同時に使って戦うバトルルールだよ! それぞれに指示を出さなきゃいけないし、ダブルバトル以上にコンビネーションを考えなきゃいけない上級者向けバトルだ!」

 

「3体同時だって…!?」

 

「す、凄いバトルになりそうかも…! 頑張って、お兄ちゃん!」

 

バトルに出すポケモンを選び、ソラトとプリムはそれぞれモンスターボールを3つ構える。

 

「それでは、席を賭けたバトルを開始します! 使用ポケモンは3体のトリプルバトル、時間無制限、どちらかのポケモンが3体とも戦闘不能になったらバトル終了です!」

 

「頼んだぞ! スイゲツ、クロガネ、ザンゲツ!」

 

「ラグ!」

 

「ゴドォ!」

 

「ハッサム!」

 

ソラトが繰り出したのはラグラージのスイゲツ、ボスゴドラのクロガネ、ハッサムのザンゲツである。

そしてプリムもポケモンを繰り出した。

 

「お行きなさい。オニゴーリ、トドゼルガ、ツンベアー」

 

「オーゴッ!」

 

「トドォ!」

 

「ベタァ!」

 

それに対し、プリムはオニゴーリとトドゼルガとツンベアーである。

大方の予想通りの選出に、ソラトは僅かに口の端を上げた。

ソラトのポケモンの選出はこおりタイプに拘りを持ち専門とするプリムに対して有効なポケモン達であり、相性ではソラトが有利である。

だがそれだけでは勝てない。

以前に石の洞窟でチャンピオンであるダイゴと戦ったソラトだからこそそれが分かった。

 

「やはりこおりタイプのポケモン…流石は氷結の四天王ですね」

 

「えぇ。特に、わたくしのオニゴーリはとても強いですわよ」

 

「えぇ、そうでしょうね」

 

ソラトはプリムのオニゴーリから強大な波動を感じ取っていた。

はち切れんばかりのパワーとエネルギーを内包しているのが、それだけでも分かるというものである。

 

「それでは…バトル開始!」

 

審判の合図と共に、先ずはソラトが牽制の一撃を放つ。

 

「スイゲツ、ツンベアーにマッドショット! クロガネはオニゴーリにがんせきふうじ!」

 

「ラグラァ!」

 

「ゴドォ!」

 

手始めに遠距離から攻撃を仕掛けるが、プリムも余裕のある優雅な姿勢を崩さない。

 

「オニゴーリ、フリーズドライ!」

 

「ゴーッ!」

 

オニゴーリの力により、飛んでくるマッドショットとがんせきふうじを急激に冷却すると、泥と岩はカチコチに凍り付いてしまい砕け散る。

そしてプリムがそのまま反撃に出る。

 

「ツンベアー、ハッサムにつららおとし!」

 

「ベッタァ!」

 

ツンベアーが生み出す冷気によって生成された氷の氷柱が上から放たれてザンゲツに襲い掛かる。

タイプ的には不利ではないが、四天王のポケモンだけあって通常のつららおとしよりも圧倒的に氷柱が大きい。

それにつららおとしは受けてしまえばひるんでしまう可能性もあるため、出来るだけ受けるべきではない。

 

「スイゲツ、ザンゲツの前へ! まもる!」

 

「ラグ!」

 

そのためソラトはザンゲツを庇うようにスイゲツを前に出して守らせた。

緑のバリアに氷柱が防がれ、砕け散っていく。

 

「ザンゲツ、この隙につるぎのまい!」

 

「ハーッサ!」

 

舞いを披露して攻撃力をぐーんと上げたザンゲツは攻撃を防いでくれたスイゲツの横を抜け、ツンベアーに対し鋭い一撃を繰り出した。

 

「ザンゲツ、バレットパンチ!」

 

「ッサム!」

 

「トドゼルガ、こおりのキバ!」

 

「トドッ!」

 

今度はツンベアーを庇い、トドゼルガが大きな口を広げ、その自慢の牙でザンゲツのバレットパンチを受け止めた。

ギギギギと音を立てて鍔競り合いになる2体だったが、パワーはつるぎのまいで攻撃力を大きく高めているザンゲツの方が上であり徐々にトドゼルガを押していく。

 

「そのまま押し切れ!」

 

「トドゼルガ、更にこおりのキバ!」

 

「ドドォ!」

 

とてつもない冷気を帯びた牙が、ハッサムの鋼鉄の鋏に食い込んで凍らせていく。

 

「サァッ…!?」

 

「まずい…! 離れろザンゲツ!」

 

「サム…!?」

 

急いで離脱しようと試みるものの、しっかりと噛み付かれているため離れる事ができずに鋏から徐々に凍らされてしまい、数秒で全身が凍ってしまった。

これはこおり状態。こうなってしまえば氷が溶けるまで動く事ができない。

 

「くっ…! スイゲツ、トドゼルガにグロウパンチ!」

 

「ラーッグ!」

 

「ツンベアー、きりさく」

 

「ベターッ!」

 

凍ってしまったザンゲツをカバーするためにスイゲツが飛び込んで闘気を纏ったパンチを放とうとするが、その前に立ち塞がったツンベアーの爪で受け止められてしまい、弾き合う。

再び距離が離れた両者だったが、その隙にトドゼルガが動いた。

 

「トドゼルガ、ハッサムにトドメですわ。のしかかり」

 

「トードド!」

 

こおり状態で動けないザンゲツから先に仕留めるために、トドゼルガが大きく体を反らして覆いかぶさった。

バキンッ!と音を立ててザンゲツの体を包む氷が砕けると共に、ザンゲツは戦闘不能となってしまった。

 

「ハッサム、戦闘不能!」

 

「く…! 戻れザンゲツ、よくやった」

 

ソラトの手持ちの中では新参であり、レベルが足りなかったのだろう。

己の不甲斐なさに歯噛みしつつ、ソラトはザンゲツをボールに戻した。

 

「まだまだこれからですわ。オニゴーリ、フリーズドライ!」

 

「クロガネ、スイゲツを庇うんだ!」

 

「ゴドォ!」

 

みず/じめんタイプであるスイゲツに本来ならこおりタイプの技は普通の効き目だが、フリーズドライはみずタイプに対してもこうかばつぐんになるという特徴がある。

そのためスイゲツが受けてしまえば効果絶大、4倍のダメージである。

だからソラトはこうかはいまひとつになるクロガネにあえてフリーズドライを受けさせた。

 

「ゴドォ…!」

 

強烈な冷気がクロガネを包むものの、クロガネはフリーズドライを耐え切った。

 

「よし! クロガネ、メタルバーストだ!」

 

「ゴッドォオオオオオオオオオッ!」

 

「オッゴ…!?」

 

「トドォ!?」

 

「ベターッ!?」

 

今受けた攻撃を増大させて相手に返すはがね技であるメタルバーストを放ち、エネルギー波がオニゴーリ、トドゼルガ、ツンベアーを襲う。

こうかはいまひとつだったものの、四天王プリムのポケモンだけありかなりの威力だったフリーズドライ。

それを増大させて返すため、こうかはばつぐんも合わさりかなりのダメージになる。

 

「トドォ…」

 

先ほどのザンゲツのバレットパンチを受け止めた際にもダメージが入っていたのも合わさり、メタルバーストを受けてプリムのトドゼルガが戦闘不能になった。

 

「トドゼルガ、戦闘不能!」

 

「まぁ…! トドゼルガ、お戻りなさい」

 

これでバトルは2対2のダブルバトル形式となる。

このソラトとクロガネの反撃でトドゼルガがやられた事にはプリムも驚き、周囲でバトルを観戦していた人々もざわつき出した。

 

「プリムさんのトドゼルガがやられたぞ…」

 

「あいつも結構やるなぁ!」

 

「この勝負、どうなるかまだ分からないわ」

 

周囲が固唾を呑んで見守る中、今度はソラトが仕掛けた。

 

「スイゲツ、ツンベアーにたきのぼり!」

 

「ラガァ!」

 

「オニゴーリ、フリーズドライですわ!」

 

「オーゴッ!」

 

水を纏いツンベアーに向かって突撃するスイゲツに対しプリムはツンベアーを守るためオニゴーリのフリーズドライで迎撃する。

ズイゲツの纏っていたたきのぼりの水が瞬間冷却されてカチコチに凍ってしまう。

だがたきのぼりの勢いは止まらずに、凍ったままスイゲツは突撃を慣行した。

 

「いけぇっ!」

 

「なっ!?」

 

「ベタァーッ!?」

 

大きな氷塊をの突撃をまともに受けてしまったツンベアーはフィールドから弾き出されると壁に激突して崩れ落ちた。

同時にズイゲツを包んでいた氷が砕け散り、効果絶大のフリーズドライを受けたせいでスイゲツも膝を折って倒れてしまう。

 

「ベタ…」

 

「ラグ…」

 

「ツンベアー、ラグラージ、両者戦闘不能!」

 

「よくやってくれたスイゲツ、戻って休んでくれ」

 

「お戻りなさいツンベアー。面白い戦術をお使いになられますわね」

 

スイゲツの氷のたきのぼりとオニゴーリのフリーズドライにより、残る互いのポケモンは1体ずつ。

残されたクロガネとオニゴーリは睨み合い、相手の隙を伺っている。

周囲のギャラリーも再び息を呑み、クライマックスに差し掛かるだろうこのバトルの行く末を見守っている…。

 

「クロガネ!」

 

「ゴドォオオオオオッ!」

 

「オニゴーリ!」

 

「ゴォオオオオオリッ!」

 

そしてソラトとプリムが同時に目を見開き、合図をすると両者が激突するために駆け出した。

決着か―そう思った瞬間、突如としてフードコート全体に強い風が吹く。

しかも唯の風ではなく吸引するような強力な風であり、フードコートにいたトレーナーが身に付けていたモンスターボールが風に乗って吸い込まれていってしまう。

 

「わああああっ!?」

 

「ちょ、ちょっと何なのコレ~!?」

 

「ちょっと何なのコレ~!? と聞かれたら」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

 

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の2人には」

 

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」

 

「なーんてニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

フードコートの入り口に姿を現したのは、毎度お馴染みロケット団の3人組とソーナンス。

コジロウの手には大きな掃除機のような物が握られており、吸い込むような風はあの掃除機が起こしているのだろう。

トレーナー達のモンスターボールは掃除機に吸い込まれていき、タンクに溜まっていく。

 

「ロケット団!」

 

「ちょ、ちょっと! この風止めなさいよ!」

 

「そうはいくか! このモンスターボール収集掃除機・スイスイスイトール君8号で、ここにいるやつ等のポケモンを全部奪ってやるぜ!」

 

「更に出力アップニャ!」

 

「おう!」

 

ニャースの指示でコジロウはスイスイスイトール君8号の出力を上げると更にフードコート中のモンスターボールを吸引してしまう。

しかもそれだけではなく、サトシの傍にいたピカチュウ、クチート、ジュプトルまで宙へ浮かんでしまう。

 

「ピィカ~!」

 

「クーッ!?」

 

「ジュラ…!」

 

「あっ!? ピカチュウ!? クチート、ジュプトル!?」

 

あえなく吸引されてしまったピカチュウ達とモンスターボール。

いつの間にかサトシとハルカの所持していた他のモンスターボールまで奪われてしまっている。

 

「きゃあああああっ!?」

 

「ああっ!? 俺のモンスターボールが!」

 

フードコートのあちこちでも、他のトレーナーの悲鳴が上がっている。

サトシは踏ん張りながらもピカチュウ達を助けるためロケット団の前へ出た。

 

「やめろロケット団!」

 

「やめろと言われて止める悪党はいないのよ!」

 

「ジャリボーイのポケモンも全部吸い込んだし、今回は楽勝だぜ!」

 

「ソーナンス!」

 

その調子でしばらくボールを吸い込み続けたロケット団だったが、ボールが飛んでこなくなるとスイスイスイトール君のパワーを落とした。

 

「よーし、そろそろほとんどのボールを吸引できた筈だニャ」

 

「それじゃ、そろそろ逃げるわよ!」

 

今回こそは作戦大成功でその場から逃げ出そうとしたロケット団だったが、フードコートの出口にプリムのオニゴーリが立ち塞がった。

 

「オーゴ…!」

 

「うわっ!? ちょっと、何よアンタ!? まだ吸い込んでなかったポケモンがいたの!?」

 

「コイツはオニゴーリだな…重すぎて吸い込めなかったんだろ」

 

そして今度はロケット団の背後側に、ドスンと重々しい足音を立ててクロガネが退路を塞いだ。

 

「今度はヒーローボーイのボスゴドラだニャ!」

 

「ゴド」

 

体重が300キロを超えるオニゴーリとボスゴドラなら先ほどの吸引を耐えるなど簡単な事である。

そして退路を塞がれたロケット団の前にプリムとソラトも駆け寄り睨みつけると、四天王であるプリムの凍てつく視線に怯んだロケット団は萎縮してしまう。

 

「な、何よ…!?」

 

「まったく…久しぶりに手ごたえのあるバトルだったと言うのに、こんな横槍が入ってしまうとは。興ざめですわ」

 

プリムの事が誰か分かっていないロケット団だったが、とにかく自分達の邪魔をする相手だというのは理解できたためオニゴーリとクロガネを排除するためモンスターボールを構えた。

 

「何だかよく分からんが、邪魔するならタダじゃおかないぜ! 行けサボネア!」

 

「やっちゃいなさい、ハブネーク!」

 

「サーボ…ネッ!」

 

「いでででで! ち、違うだろだから~!」

 

「ハッブネーク!」

 

いつも通りのコジロウとサボネア、そしてムサシのハブネークが強引に突破しようとオニゴーリへ向けて一転突破で攻撃を仕掛ける。

 

「ハブネーク、しめつける攻撃!」

 

「サボネア、ミサイルばりだ!」

 

「ハッブル!」

 

「サーボネ!」

 

ハブネークがオニゴーリに巻きついて締め上げ、サボネアのミサイルばりがオニゴーリの頭にヒットする。

だがオニゴーリは全くダメージを受けた様子はなく、変わらず佇んでいた。

 

「オニゴーリ、かみくだく攻撃ですわ」

 

「ゴーリ!」

 

「ハプァッ!?」

 

ガブリと巻きついているハブネークの体に砕くような力で噛み付くオニゴーリ。

あまりの攻撃に思わずしめつける攻撃を解除してりまうハブネークだったが、オニゴーリはそれだけに留まらず、噛み付いたままハブネークを振り回す。

 

「ハプププププポ!?」

 

「そのままお投げなさい」

 

「ゴッ!」

 

「ハブァー!?」

 

「ああっ、ハブネーク!?」

 

そのまま投げ飛ばされてしまったハブネークはかなりの大ダメージを受けてしまう。

それをカバーするためにサボネアがハブネークと入れ替わり前に出て攻撃態勢に入る。

 

「サボネア、ニードルアーム!」

 

「サーボサボサボ…!」

 

「クロガネ、てっぺきだ!」

 

「ゴドッ!」

 

サボネアの繰り出す渾身のニードルアームだったが、そこへクロガネが割り込んでてっぺきを発動してそれを受け止めた。

 

「プリムさん、今の内に!」

 

「フフ、お礼を申し上げますわ。オニゴーリ、フリーズドライ!」

 

「オーゴッ!」

 

「サボッ…!?」

 

冷却された空気でカチコチに凍らされてしまったサボネアは動く事ができなくなってしまい、その場にゴロリと倒れてしまう。

 

「ああっ、サボネア!?」

 

「クロガネ、アイアンテールであのタンクを壊すんだ!」

 

「ゴォオオオドッ!」

 

鋼鉄の尻尾を振るい、ロケット団のスイスイスイトール君8号で吸い込んだモンスターボールが収納されているタンクを粉砕する。

破壊されたタンクからボロボロとモンスターボールが溢れ出てきてそれぞれトレーナーの元へと帰っていく。

無論、ピカチュウ、クチート、ジュプトルもサトシの元へと戻った。

 

「ピカピ!」

 

「クート!」

 

「ジュラ」

 

「ピカチュウ、クチート、ジュプトル! 無事でよかったぜ!」

 

モンスターボールを取り戻し、後はロケット団を成敗するだけである。

 

「ロケット団、よくもやったな!」

 

「お前たちの作戦が失敗したら…あとはどうなるか、分かるよな?」

 

「お覚悟を」

 

「「「ひ、ひぃいいいいいいっ!?」」」

 

サトシとソラトとプリムが並び、ロケット団へそう告げると同時に技を繰り出した。

 

「ピカチュウ、かみなりだ!」

 

「クロガネ、がんせきふうじ!」

 

「オニゴーリ、フリーズドライ!」

 

フリーズドライで凍らされてしまい、岩石と電撃の強烈なコンボにを成す術もなく直撃してしまったロケット団。

ドカーン!という轟音と共に、ロケット団はフードコートの天井を突き破って空の彼方まで吹き飛んで行ったのだった。

 

「「「ヤなカンジ~!」」」

 

「ソーナンス!」

 

今日もまた星になって消えていったロケット団を見送り、トレーナー達はモンスターボールが自分のものかちゃんとチェックし、10分もすればそれぞれ自分もポケモンを取り戻す事ができた。

 

「どうにか皆無事にポケモンを取り戻せたみたいだな」

 

「あぁ、良かったぜ」

 

それをフードコートの隅で見守っていたソラト達だったが、そこへプリムがやって来る。

 

「ソラト君、でしたね」

 

「あ、プリムさん。今回はどうもありがとうございました。勝負は有耶無耶になってしまいましたが…」

 

「その勝負の事ですが…この続きはチャンピオンリーグでお待ちしております」

 

「え?」

 

突然の言葉にソラトも思わず聞き返してしまう。

ポケモンリーグを優勝した者だけが進むことのできるチャンピオンリーグ。

四天王、そしてチャンピオンとバトルを行えるポケモンリーグ制覇を目指す者の憧れ。

 

「あれほどの実力をお持ちでしたら、ポケモンリーグへ挑戦もしているのでしょう? 私は貴方ならホウエンリーグを優勝できる実力だと思っていますので」

 

「…はい。勿論優勝を目指します。では、チャンピオンリーグでお会いしに行きます!」

 

「楽しみにしていますわ。それと…席の件はお譲り致します。では」

 

そう言い残し、優雅に一礼をしてプリムは立ち去った。

これはプリムがソラトの事を認めた証だった。

 

「凄いやソラト! 四天王にあんな風に認められるなんて!」

 

「流石はお兄ちゃんかも!」

 

「確かに…プリムさんにああ言って貰えたのは嬉しいな。これは、ホウエンリーグは優勝するしかないぜ」

 

「おっと、そうはいくもんか! 俺達だって負けないぜ!」

 

「ピカピカ!」

 

四天王プリムと思わぬ出会いを果たし、認められたソラト。

プリムとの再戦のためにも、ホウエンリーグ出場を目指し、サトシとソラトのキンセツジムへの挑戦が始まるのであった…。

 

 

 

to be continued...

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