蒼き鋼のアルペジオ─ディソナンス─   作:葱沢 桐ノ丞

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2ヶ月以上更新しなくて申し訳ありませんでした

更新していない間にお気に入り登録してくださった皆さま、本当にありがとうございます

更新できなかった理由などは後書きで・・・


あ、あと今回は前後編で分けております。後編の投稿はまた後日行います


Depth.010 嵐の中へ・前編

 

side 群像

 

SSTOの1件の後、俺達は宇宙センターから少し離れた有明海のとある港に停泊していた

 

「なあ、イオナ。オレと出会った時の事を憶えてるか?」

 

「ああ、憶えてる」

 

俺はイ号401の甲板の上で横になりこの船のメンタルモデルであるイオナに尋ねる

 

「あの時のオレ・・・どんな顔してた?」

 

「情けない顔をしてた」

 

「・・・あの時のオレはこの封鎖された世界から無性に出たいと踠いていた。世界に風穴を開けてやろうそう思っていた。だからお前と出会って狂喜しそうになったよ。これでやれる・・・やってやれるってな」

 

「風穴開けられたか?」

 

「いや・・・全然。それどころか彼女の言う世界の果ての入口とやらにもたどり着いていないのかもしれない」

 

「ああ、そういえばその事で話さなければいk」

 

「千早・・・群像君だね」

 

イオナが何かを思い出し俺に告げようとした時、何者かが俺に声をかけた。その男はラフな服装にサングラスという少々胡散臭い格好をしていた

 

「君に鹿島打ち上げセンター沖に陣取っていた『霧の艦隊』所属の巡洋艦轟沈を依頼したものだ。先だっては通信回線で失礼した」

 

なるほど。この人があの仕事の依頼人か。ということはこの人は政府のお偉いさんになるな

 

「・・・で、何のようです?」

 

「君に・・・君の『イ401』にまた仕事を頼みたい」

 

「仕事?仕事の依頼ならばこの前のもう1隻の方に頼めばいいじゃないか」

 

「その件については黙っていて悪かったと思っている。だがあの艦は君たちを待っていたようだ」

 

「どういう事だ?」

 

「さあ?私には彼女の考えていることは分からない。だがこの仕事は・・・人類の最後の希望を運ぶ仕事は彼女が君たちに任せるよう言っていた」

 

「人類の・・・最後の希望?なんだ・・・それは」

 

俺はその話が出た時点で何かを感じ取る。それはきっと人類にとっての希望と共に俺たちみたいな者にとっては絶望なのでは、と

 

「今は新兵器とだけ言っておこう。引き受けてくれるというのであれば詳細な資料をお渡しする」

 

「新兵器?」

 

彼から・・・上陰次官補から渡された名刺に目を向けながら尋ねる

 

「今まで霧の艦艇にダメージを与えられるのは君たちが持つ『侵食魚雷』だけだった。だが、これからは違う。この新兵器は霧の艦艇の防御力に対抗し得る物だ」

 

「ここ数年至る所で同じような話を聞いた。しかしその度にそんな話は眉唾だった」

 

「だが今度は本物だ。既にテストも完了した」

 

「ならとっととそれを量産して使えばいいじゃないか」

 

「それがそうもいかない。我国には既に量産できるような資源も工業力もないからな」

 

「・・・」

 

やはりと言うべきか。日本という国は他の国から資源を輸入に頼らなくては立ち行かなくなる。それは第二次世界大戦の頃にも実証されているはずだ。そして霧の艦隊による海上封鎖。この影響により日本は対外政策を満足に行えなくなったという所だろう

 

「この17年間霧の艦艇によって海上封鎖されてきた我国は同盟国からのSSTOによる支援物資で細々と生きながらえてきたに過ぎない。それは君も分かっているだろう?」

 

「・・・」

 

「そこでだ。この兵器を量産配備できる国にサンプルと資料一式を運んで欲しい。そしてその国で量産、配備され人類の大反抗への足がかりを作る」

 

「で、その国は?」

 

「アメリカ・・・合衆国」

 

なぜアメリカなんだとか思ったが確かにそれが安心できることなのだろう。ロシアや中国も視野には入れたのだろう。だがその2国は日本と同盟を結んでいる訳では無い。だから海の向こうのアメリカなのだろう

 

そんなことを考えていると胸ポケットに入れていた携帯がなる。確認すると杏平からのメールで内容は両生類がウヨウヨしているという事だった。俺は杏平に返信で隔壁閉鎖の指示をだす。そして再び上陰次官補に質問することにした

 

「俺達に太平洋を渡れと言うのか?霧がウヨウヨいるあの海を?」

 

「そうだ。可能な限り支援はする」

 

「SSTOで送るってのは無し・・・だよな。第一、試してないわけないか」

 

「君たちのおかげで打ち上げには成功した。が、先ほど受け取り側からハワイ上空で撃墜されたとの報せが来た」

 

なるほど、アレがそうだったのか。だから霧があそこに陣取りその排除のために俺たちが呼ばれたわけか

 

「他にも考え得る限り出来得る限りの手は試してみた。だがそれらも全て阻止され、ダメだった。既に5セット用意していたサンプルと資料は1セットしか残っていない。これを君たちに託したい」

 

「仮に引き受けたとして報酬は?」

 

「その点は君たちと相談させてもらいたい。取りあえず前払いと言ってはなんだがすぐに用意出来るものを持ってきた」

 

そう言いながら上陰さんは2通の封筒を取り出し俺の目の前に差し出す。その封筒には日本政府公式書簡と書かれておりそれを見ただけで中身の想像はついていた

 

「『イ401』の所有を政府が法的に認める証書と今までの違法行為を特赦する証書だ。まあこれが君たちにとって最も意味の無いものだということは分かってはいるのだがね」

 

最後の方は完全にボヤキだった。だがその通りなのである。俺達が乗り込んでいるとはいえ『イ401』は霧の艦艇だ。大海戦で霧の艦艇の強さを知った人類には俺達に手出しすることはほぼ無いだろう

 

「だが無意味なものとはいえ大手を振って日本中を歩き回れるようにはなると思うがね。ああ、それとこれも渡しておこう」

 

そう言って胸ポケットから小型記憶媒体を取り出し封筒の上に置く

 

「これは?」

 

「ある人物から渡すように頼まれていたものだ。そしてその人物からの伝言だ。横須賀で会いましょうとの事だ」

 

「・・・」

 

マイクロメモリを手に取り少しの間考えている素振りをする。そして問いかける。友人に両生類はいるか、と

 

「ひとり・・・心当たりがある。話しておこう。迷惑をかけたね」

 

「いえ」

 

「これ以上は機密も多い話になる。仕事を引き受けてくれるかどうかは別として横須賀へ来てもらえるとありがたい。頼みたい荷もそこにある」

 

横須賀・・・。やはり過去と向き合えという事なのだろうか・・・

 

「それに翔像大佐の話もできる」

 

翔像大佐の・・・オヤジの話・・・。

 

「ああ、そうそう『第4施設跡地』には慰霊碑が建てられたよ。1度くらい訪れてみたらどうかね?」

 

そう言って上陰次官補は立ち去ってゆく。その背中を見つめながら俺は『あの事件』の事を思い浮かべ、そして書簡に目を移しイオナに声をかける

 

「侵食魚雷はあと何本ある?」

 

「あと8本」

 

「・・・」

 

少し思考を巡らせた後、オレは艦内に戻った

 

side end

 

 

 

 

no side

 

上陰次官補がイ401を訪れてから数時間後、きらめく夕日の光を浴びながらイ401は港から出航していた

 

自分たちを見張る者がいるとも知らず・・・。そしてその者が次に戦うであろうと思考していた者とは知らずに・・・

 

 

 

その女性は(ふね)の上から海を眺め不敵に笑う

 

「そうか・・・401が出航したか。ちょうど良い。例の戦術を試してみようか?501」

 




はい、という訳で言い訳タイムです。

更新できなかった理由としましては8割ほどプロットが完成した辺りで急に仕事の方が忙しくなり謎の12連勤とやらを経験。その後オリジナル小説を友人の某提督と話し合いながら設定を考えてました(ちなみに仕事が忙しくて仕事の休憩中にオリジナル小説の設定を考えて仕事終わってからはこの小説をチビチビとやってました)

そういう理由がありましてこんな更新が遅くなりました。ただ、まだまだ仕事の方が忙しいので次回の投稿も遅くなることは確実です。申し訳ありません

それではまた次回。
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