この小説を初めて投稿してから1周年になります。お気に入り登録してくださった方、読者の皆様、本当にありがとうございます。
亀更新ではありますが今後も頑張っていきますのでよろしくお願いします
前書きの最後に、ごめんなさい、前後編でまとめることができませんでした。なのでこれを中編とし次回投稿で嵐の中へを締めたいとおもいます
side 群像
艦は行く。横須賀への進路をとりながら太平洋の海中を
「で、どうなんだ群像」
「何がだ?」
「イオナの事だよ。気づいてるんだろ?」
トイレからの帰り道で付いてきていた杏平が以前から懸念していた案件を突然尋ねてきた
「その事か。イオナは霧関連のデータを提示する時、なんらかのデータベースにアクセスしている」
「ああ、こないだのナガラの時も今回の出港の時の会議の時もそんな素振りだったな」
「それが彼女中に存在するデータベースなのか、それとも」
「いまだに霧のネットワークにアクセスできるのか。まあ前者ならイオナのデータベースは2年前で更新が止まってるはずだ。しかし後者なら・・・ちょっと厄介じゃないのか?」
確かに厄介だろう。もしかしたらイオナは霧のスパイかもしれない。そう考えるのであれば。だがそれは愚の骨頂だ。
理由は分からない。いや、理由なんてものは最初からないのかもしれない。オレはこの艦を、彼女を信頼している。そして彼女もまたオレの事を信頼してくれている。それにオレ達をどうこうしたいのであればこの2年間にいくらでもチャンスはあったし、大戦艦『ヒュウガ』を轟沈した時の彼女の行動もそうだ。
「ああ、分かった分かった」
オレが自分の意見を話していると杏平はその事は聞き飽きたかのような顔をしながら遮る
「まあ不安なら横須賀で降りてもらっても構わないんだぞ?今やお前は貴重な実戦経験者だ。学園にも戻れるだろうさ」
「俺が戻る?はっ!ご冗談を。こんな楽しい場所、追い出されてたまるかよ」
そう言いながら杏平はオレの肩に手を回し笑う。このやり取り自体は既に何度もしており落ちもだいたい同じで少し面倒くさく感じてはいるがそれでもいつもと変わらないという安心感が少しではあるが心に余裕ができる
そんな事を考えていると、くぐもった爆発音が聞こえ艦内が揺れ、オレと杏平は目を合わせ頷き艦橋へ駆けて行く
「パシュン」と空気の抜ける音を放ちながら開いた扉をくぐりながら艦橋へと足を踏み入れる
「状況は?」
「たった今4隻目のアクティブデコイがやられました。これで事前展開していたデコイは残り3隻です」
僧の報告を聴きながらメインモニタに展開されている作戦図と僧の席に設置しているモニタに展開しているデコイステータスを確認する
「・・・タカオとその随伴の駆逐艦隊の状況は?」
「タカオは依然、海上を台風の目と共に航行中です。駆逐艦隊は相変わらず動き回っています」
「了解。静はそのまま駆逐艦隊の様子を探っておいてくれ。台風は?」
「我々の真上にあります。勢力は・・・変わっていないと思われます」
報告を聞きながらこの状況をどう打開するかを考える。上陰次官補に貰ったデータチップに書かれていたのは重巡タカオのカタログスペックおよび予測進路だった。しかしその以上のデータは書き込まれていなかったのである
「・・・静。轟沈されたデコイのプロットは?」
「出せます」
静の返答と共にメインモニタに現在のデコイステータスが表示される。その上に轟沈したデコイ、そしてその周りにタカオを中心とした円が描かれる
「これがヤツの今の探知範囲か。イオナ、タカオの本来の探知範囲を出してくれ」
そうイオナに指示を出すとイオナは「ん」と返事をし、静が出してくれたプロットにタカオのカタログスペック上の探知範囲を重ねる
その結果分かったことがある。海上は台風で大荒れになり探知範囲が狭まっていると予測していたが彼女の探知範囲はほとんど落ちていないのである。そうなってしまえばこの作戦は元も子もない。さらに頭上には3隻とはいえ駆逐艦がオレ達を見つけ出そうと哨戒しているため下手に動くことが出来ないのである
「!!敵、駆逐艦接近。針路が被っています」
「おいおい、マジかよ。群像、どうする?」
「とりあえずこのまま息を潜める。下手に動く方が危ない」
駆逐艦隊の哨戒範囲も狭くなってきたのか針路が被り始めている。このまま行けば見つかってしまうのだろう・・・
「駆逐艦、進路を変更しました。本艦から遠ざかっていきます」
「よし、そのまま警戒を続けてくれ」
「艦長、意見具申」
「なんだ、僧」
「とても危険な掛けなのですが暴風圏内を浮上航行するというのはどうでしょう?」
僧の案はこうだ。駆逐艦隊が遠ざかった所で浮上し暴風圏内を台風と同じ速度で浮上航行しタカオのテリトリーを迂回する。その間、残った3隻のデコイも海上と海中を航行させ囮に使う。駆逐艦隊にバレてしまえば1発で終わりだが今の状況をフルに生かして賭けるという事だ
それを聞きオレは艦全体の状況をチェックする。デコイとの通信は安定しあと二時間ほど動かせるが機関の方は戦闘出力の全力は3分保証するという返事がいおりから帰ってきた
「よし、基本は僧のプランに賭けることにしよう。かかるぞ!」
side end
side 優
数刻前
「優、これを見て」
そう言いながらクマノは衛星から撮ったのであろう画像をメインパネルに表示する。もちろん私達は衛星なんて持っていないためどこかの国のものをハッキングしたのだろう
「これは、タカオとイ401の状況かな?」
「ええ。あなたの言うとうりイ401はデコイを展開しているようね」
「でもこの3つ影が気になるね・・・。まさか!?」
「・・・金剛艦隊の駆逐艦が3隻いるみたいよ」
やられた。私という存在によりこの狂った世界の歴史がさらに狂い始めているのだろうか。私たちの位置は既に横須賀を目と鼻の先にした所に対しタカオは愛知、静岡沖にイ401は和歌山沖を航行していた。
「状況は思ってた以上に大変そうね・・・」
衛星写真やレーダーなどを確認しながら考える。私に出来ることはないか、と
「・・・クマノ、針路反転、機関最大。タカオの索敵範囲を回避しつつ敵駆逐艦を射程に収めたら即攻撃。イ401の援護に向かうわ」
「了解」
私に出来ること。それはイ401の援護のみだ
side end
side タカオ
イ401との戦闘を開始してから数時間。私は台風の目に陣取り、コンゴウが送ってきた駆逐艦隊と私の下にいる艦からのデータを整理していた
「動き出した。・・・暴風圏内に浮上してくるのか。感度は全部で4つ。・・・本体はどれだ?」
私の質問に答えるデータが送られそれを閲覧する。私1人ではこの台風下で、ここまでの探知は不可能だっただろう
イ401本体の位置が分かった事により私は次の行動を開始する。次の行動。それはイ401の強制波動装甲を一撃で臨界にする攻撃だ。
さあ、そのまま浮上しておいで
side end
side 群像
「艦長、タカオ急速回頭中」
「気づかれましたかね?」
「ほかの反応はどうだ?」
「ありません。こちらに回頭後ほぼ停泊しています。駆逐艦隊も我々から離れる針路をとっています」
静の報告を聞き敵の次の行動の予測を開始する。偶然こちらを向いただけであれば全く問題ないだろう。だが、もしこちらに気づいたであれば・・・
「杏平。1~3番に低周波弾頭魚雷装填。装填後、全発射管開け。後部発射管にパッシヴデコイ装填」
「了解。装填完了!」
指示を出しながらも思考を続ける。回頭後、タカオは動かない。我々はタカオの探知能力の外を無音浮上中だ。理論的に考えれば感知される事はまずありえない・・・
そうこう考えているうちに深度は50まで来ており思考する時間がほとんど残されていないことに気づく。しかし、だからといって思考をやめるわけにもいかなかった
「深度0。浮上します」
浮上と共に1つの答えにたどり着く
「そうか!!イオナ、取舵!!」
叫んだ直後、船は揺れ何かにぶつかったかのような衝撃音が聞こえてくる
「急速潜行!バラ撒けるものは全部バラ撒け!!」
先ほど装填していた魚雷やらパッシヴソナーやらが炸裂し海中をかき乱し、一部はタカオに迎撃させる。そして反撃と言わんばかりにタカオから対潜ミサイルが放たれる
「1~3番、音響魚雷発射!7秒後に起爆させ海中をさらに掻き回せ!」
指示出しながらも報告を聞いているとタカオから放たれたミサイルは分離し数は3倍になっていた
「迎撃システム作動!音響魚雷起爆まで保たせろ!」
「起爆まで5!…4!…3!…2!…」
「静、ヘッドホンミュート!」
「1!」
「エンジン停止!パッシヴデコイ射出!」
さて、またしてもかくれんぼに逆戻りだ。その間に再び思考の海に溺れるとしよう
side end
side タカオ
「外した・・・?なぜ?超重砲の発射タイミングは完璧だったはずなのに。その上、ロストだなんて・・・」
私は先までイ401が浮上してきていた海域を見つめる。そこには暴風で荒れる海しか見えはしない
「まあ良いわ。動き出せば分かるもの。観測を続けて、501」
しかし分からない。なぜ401は浮上しきる前に転舵していたのか。その理由が私には分からない。単なる演算ミスなのかそれとも・・・
はい、今回もありがとうございます。え、優の出番なさすぎ?大丈夫です。次回はいいとこ取りする(予定)なので
しかし1年ってほんと短いですよね。投稿を初めてから1周年。2年目に入ったんですもんね・・・。
これからも精一杯頑張ってまいります故、よろしくお願いします
P.S. サーモンラン楽しいいいい