IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第105話:蒼炎の不死鳥!ハルファス・ベーゼ!!

 

 ~千冬 Side~

 

千冬

「さて…集まったな?」

 

 一夜明け、臨海学校2日目…今日から本格的な実習になる

 まずは各グループに分かれてISの新装備のテストから始める

 そして私の受け持つ班は専用機持ちのみのグループとなっている

 代表候補生5人に一夏と火ノ兄、布仏もいるんだが…

 

「…あの…織斑先生?」

 

 やはり来たか…

 

千冬

「…何だ?」

 

「何で箒がいるんですか?ココには『専用機を持ってる人』が集まるんじゃないんですか?」

 

「………」

 

 そう…ココには何故か専用機を持たない箒がいる

 勿論私は呼んでない

 班分けの時もコイツは専用機を持たない一般生徒達の班にしていたし、真耶や他の教師達からも箒の班を変更する様な話は聞いていない

 つまりコイツは『また』勝手にここに来たという事だ

 だから私は…

 

千冬

「知らん。コイツが勝手に混じっているだけだ。」

 

「!?」

 

 こう言うしかないんだがな

 すると…

 

セシリア&簪&本音&鈴

「またですか?」

 

ラウラ&シャルロット

「また?」

 

 同じような事をした事を知っている4人が声を揃えてそう言った…まあ言いたくもなるか…コイツが勝手な事をしている場所だと大抵面倒な事になるからな…

 

シャルロット

「またって…以前も同じような事があったの?」

 

「ええ、先生の許可も取らずに試合前の一夏のピットに入り込んでたらしいわ。」

 

シャルロット

「え!?それってマズいでしょ?」

 

「マズいに決まってる。」

 

 その通りなんだがコイツはそれが分かって無いんだよな…はぁ~…

 私が内心溜息を吐いていると…

 

「私の班はココだ!!」

 

 とか言う始末だ…本当にどうしようもないなコイツ…

 こんな風に自分勝手な事ばかりしているから昨日も弟を任せるとは言えなかったんだ…

 

全員(一夏以外)

「はぁ~…」

 

 しかも一夏以外は揃って深い溜息を吐いている…私だって本当は溜め息を吐きたい

 だがコイツには何を言っても無駄だろうし、追い出すだけでも一苦労だ…

 だからココは…

 

千冬

「もうコイツの事は放っておけ…相手にするだけ時間の無駄だ…」

 

「なっ!?千冬さん!?」

 

千冬

「織斑先生だ!篠ノ之…この班にいたいなら好きにしろ!だが今日の実習の単位…お前は無いからな?」

 

「な、何でですか!?」

 

千冬

「当り前だろ?お前のやってる事はサボりと同じだ。全員の前で堂々とサボる奴に単位をやる教師が何処にいる?単位が欲しいなら『元』の班に戻るんだな。」

 

 コレで戻ればいいんだが…

 

「私はサボってません!!ココが私の班です!!!」

 

 こんな事で聞き分けるような殊勝な奴なら苦労は無いか…もういい…無視だ無視!!!

 

千冬

「はぁ…もういい…そんなにこの班がいいなら好きにしろ…だが、さっきも言ったがお前の今日の単位は無しだ。それからお前達もコイツの相手はする必要無いからな。何か言ってきても無視して構わん。…では始めるぞ!!」

 

 結局私も溜め息を吐いてしまい、そのままテストを始める事にした

 私が言わなくても全員が箒を相手にするつもりが無かったようだな…いや、一夏だけは気にしているようだが何も言わんか…流石のアイツも箒の身勝手さには口を出せんか…

 

「ぐっ…くぅぅ…」

 

 唸り声をあげる位なら元の班に戻ればいいものを…本当に馬鹿だなコイツ…

 

千冬

「さて…先ずは…」

 

 箒を無視して始めようとした時…

 

永遠

「ムッ!!」

 

 火ノ兄が何かに反応した

 

「どうしたの?」

 

永遠

「何か来るぞ?」

 

全員

「え!?」

 

 何かって…まさか!?

 

 ズドオオオオオォォォォォンッ!!!

 

 私達の近くに何かが落ちて来た

 煙が晴れるとそこには…

 

千冬

「…やっぱりアイツか…」

 

 案の定デカいニンジンが突き刺さっていた

 やはり今日現れたか…

 

「姉さん!!!」

 

 箒の奴…束が現れて喜んでるな…

 アイツ本当にコイツのISを用意したのか?

 だとしたらこの馬鹿もこの班になるんだがなぁ…

 

「束さん参上!!!」

 

 そんな事を考えている間に束が出て来た…クロニクルかもと思ったんだが駄目だったか…

 

千冬

「久しぶりだな…束…」

 

 とりあえず挨拶くらいするか…

 

「そうだね~♪とーくんとセーちゃんが試験を受けに行った日ぶりだね~♪」

 

千冬

「そうだな…あれから数カ月しか経っていないと言うのに随分会って無い気がするな…」

 

「ニャハハッ♪そっちじゃトラブルばかりだったもんね~?」

 

千冬

「全くだ…軽く2,3年は経過した感じがする…」

 

「あ~…ご愁傷様…」

 

千冬

「お前が相手でもそう言われると気が楽になるな…」

 

「なんか棘のある言い方だな~!」

 

千冬

「感謝してると言ってるんだ。」

 

 本心で言ってるぞ?

 

千冬

「さて…それで今回は何の用だ?」

 

 気を取り直して用件を聞くか…大体分かってるが…実際、箒の奴は後ろでニヤニヤ笑ってるしな

 そう思ってたんだが…

 

「うん!『()()()()()()()()』が完成したから持ってきたんだよ!!」

 

「なっ!?」

 

千冬

「何?」

 

セシリア

「はい?」

 

 オルコットの機体だと?

 そっちを持って来たのか?

 

「という訳で全員頭上に注目!!」

 

 束がそう言って言うを指差すと釣られて私達は上を見上げた

 そして…

 

 ズドオオオオオォォォォォンッ!!!

 

 コンテナが落ちて来た

 

「これがセーちゃんの新しいIS!のんちゃんの【ワイバーン・ガイア】のデータのお陰で完成した第5世代型2号機!!その名も【ハルファス・ベーゼ】だよ!!!」

 

 束が名前を言った瞬間コンテナが開いた

 中から出て来たのは全身装甲(フルスキン)のISだった

 元になったのが【ブルー・ティアーズ】の為か全体的に青地に白の装飾のされた機体だった

 中でも目が向いたのは両肩にある巨大な4枚の翼だった

 

セシリア

「【ハルファス…ベーゼ】…」

 

千冬

「お前やっぱり第5世代に改造したな!!」

 

 予想通りと言うか何と言うか…

 

「だって~そうでもしないと今のセーちゃんに着いて行ける機体にならないんだもん!!それにイギリスから許可は貰ってるから第5世代にしても無問題(モウマンタイ)だよ!!」

 

千冬

「何で最後だけ中国語だ!!だが…それを言われたら何も言えんのも事実だしな…」

 

 仕方ないとしか言えんか…

 

「でしょ?それじゃセーちゃん!この子の説明するね♪」

 

 そしてオルコットを呼ぶと束は説明を始めた

 ちなみに箒だが…自分のISが無いショックから放心している…静かでいいな…暫くこのままでいて貰おう

 

 ~千冬 Side out~

 

 

 

 ~永遠 Side~

 

 【ハルファス・ベーゼ】…よもや【ワイバーン・ガイア】に次いで造ったのがコレとは…

 この機体…確か生半可な物では無かった筈じゃ…

 あの束さんの事じゃからデータ通りのISに仕上げたじゃろうな~…

 いや、下手したら更に手を加え取る可能性もあるのぉ…

 ワシがそげな事を考えとる間に束さんの機体説明が始まった

 

「先ずはスペックだけど…第5世代だから元になった【ブルー・ティアーズ】の何倍も高いよ。中でも機動性が一番高くしてあるよ。」

 

千冬

「それは見れば分かるな…こんなデカい翼が4枚もあればな…」

 

 織斑先生の言葉に全員が頷いとる

 じゃがな先生よ…恐らくこの機体はスペックだけのISでは無いぞ…元になった【ハルファス・ベーゼ】の事を考えるとなぁ…

 

「まあね♪そして次に武装だね。この子の能力を十分に発揮出来る物を積んでるからね♪まず近接武器はビームサーベルとビームサイスが2つずつ装備してあるよ。」

 

千冬

「サーベルは分かるが…『サイス』とは何だ?」

 

「鎌の事だよ。」

 

セシリア

「鎌ですか!?何だか怖いですね…」

 

「まあそんなに大きくないよ。片手で使える程度の大きさだからね。でも連結して使う事も出来るからそうすれば両手用の大鎌になるよ。次はセーちゃんの得意な射撃武器だけどこっちは4枚の翼に大型ビーム砲【クロス・メガビームキャノン】を積んであるよ!!」

 

 束さんがそう説明すると全員の視線が【ハルファス・ベーゼ】の最大の特徴とも言うべき巨大な翼に向けられた

 

「そんでもってこの翼にはもう一つ、【ブルー・ティアーズ】のビットと同じ遠隔操作武器…【フェザースクゥィーズ】が翼1枚につき4基ずつ装備されてるよ。」

 

セシリア

「…では全部で16基あるという事ですか?」

 

「ピンポ~ン♪大正解♪更に【ブルー・ティアーズ】のビットは射撃しか出来なかったでしょ?でもこの【フェザースクゥイーズ】はそのまま相手に斬り付けたりも出来る遠近両方に対応した装備なんだよ♪」

 

セシリア

「…それ程の物を16基…全て操れるか難しいですわね…」

 

 セシリアは全ての【フェザースクゥィーズ】を同時操作出来るか自信が無いようじゃのぉ…セシリアじゃったら大丈夫だと思うんじゃが…今まで使って来た数が4倍…それも操作方法も増えたともなれば不安になるのも仕方ないかのぉ…

 

「だ~いじょ~ブイ!!そう思って【BTシステム】のデータを改良しておいたから今までよりも楽に操作出来る筈だよ♪」

 

 と思ったら束さんが対処しとったか

 流石じゃな!

 

セシリア

「そうなのですか!?ありがとうございます!」

 

「うんうん、基本装備はこんなとこだよ。後はセーちゃんの持ってる【メイルシュトロム】だね…それと…」

 

セシリア

「?」

 

 束さんは行き成り懐から1本の短剣を取り出した

 つうかアレは…げっ!?

 

「コレをセーちゃんに渡すよ♪」

 

セシリア

「え?」

 

永遠

「待ちんさい!!それは【()()()()()()()()()()】ではないか!?」

 

全員

「【アビス・アポカリプス】!?」

 

 そう、束さんがセシリアに渡そうとしたのはワシが造った【剣刃(つるぎ)】の一つ【深淵の巨剣アビス・アポカリプス】じゃった

 

「それって確か!?」

 

「束さんが持ってる『闇の青の剣』!?」

 

千冬

「束!!お前何考えてるんだ!!いくら何でも【剣刃(つるぎ)】まで渡すのはやり過ぎだぞ!!」

 

 全員パニックを起こしてしもうたか…

 まあ普通なら【剣刃(つるぎ)】を渡そうなんて考えんわな…

 

「だって折角の【剣刃(つるぎ)】何だよ?とーくんに態々造って貰って悪いけど、束さんが持ってても当分の間は研究室で埃を被るだけだと思ったんだよ。それならセーちゃんに持たせた方がこの剣も喜ぶと思ったんだよ…」

 

千冬

「ぬっ…」

 

 ふむ…それも正論じゃな…

 

本音

「でも~確か【剣刃(つるぎ)】って持ち主以外は使えないんじゃ無かった~?」

 

全員

「あ!?」

 

 ん?ああ、それじゃったら…

 

永遠

「大丈夫じゃぞ。」

 

全員

「へ!?」

 

 ワシがそう言った瞬間全員目が点になってしもうた

 

ラウラ

「兄上!!大丈夫とはどういう事ですか!?【剣刃(つるぎ)】は持ち主以外認めないと言ったのは【剣刃(つるぎ)】を造った兄上自身では無いですか!!」

 

 あ~確かにそげな事言ったの~…

 ラウラはその事を身をもって知っとるからの~…

 

永遠

「確かにそう言ったが…そもそもの話…【剣刃(つるぎ)】が所有者のみしか使えんと言うのは光と闇の12本の剣だけの話なんじゃよ。」

 

全員

「えっ!?」

 

永遠

「昨日言ったじゃろ?あの12本は【剣刃(つるぎ)】の上位に存在すると?じゃから所有者機能があるんじゃ。」

 

一夏

「え?って事は俺の【大倶梨伽羅(おおくりから)】は誰でも使えるって事なのか?」

 

永遠

「そうなるの。じゃから渡した時にすぐにISに登録する様に言ったんじゃろうが。そもそも全部の【剣刃(つるぎ)】に所有者機能があればタッグトーナメントで賞品になんぞ出来んじゃろ?あん時ワシが用意した【剣刃(つるぎ)】をワシ自身が使っておったじゃろうが?」

 

全員

「あ!?」

 

 ワシがあの試合の時、乱心したラウラを相手に【フォーマルハウト】と【アルフェッカ】を使った時の事を思い出したか…

 

一夏

「言われてみるとそうだ…じゃあアレはそう言う意味で言ったのか…ちょっと待て!なら【アビス・アポカリプス】はどうなるんだ!?アレは闇の青の剣なんだろ!!束さんが所有者ならオルコットに渡しても使えないぞ!!」

 

永遠

「いや、実はな…【アビス・アポカリプス】の所有者をセシリアに変える方法はあるんじゃよ。」

 

全員

「ええっ!?」

 

 ワシがぶっちゃけて言うと全員が驚きの声をあげてしもうた…もっと早めに言っとくべきじゃったかな…まあいいか…

 

「一体どうやるの!?」

 

永遠

「簡単じゃ、渡す側が本心から相手に譲りたいと思って【剣刃(つるぎ)】自身がそれを認めれば所有者は変わるんじゃよ。」

 

「本当に簡単じゃない…それじゃあ今回で言えば…」

 

永遠

「束さんがセシリアに託そうとしておるからの…後は【アビス・アポカリプス】がセシリアを認めれば…」

 

千冬

「【アビス・アポカリプス】はオルコットの【剣刃(つるぎ)】になると言う事か…」

 

永遠

「そうなるの…ただし…」

 

一夏

「ただし…何だよ?」

 

永遠

「【剣刃(つるぎ)】が認めなかった時は以前のラウラみたいな事になるぞい。」

 

全員

「!?」

 

 全員がビクリとしおったな…

 あの時の事…ラウラが【メイルシュトロム】の水圧で吹き飛ばされた姿を思い出しおったか…

 じゃがまあ…

 

永遠

「今回は大丈夫じゃろぉ…セシリアじゃったら【アビス・アポカリプス】も拒絶はせん筈じゃ。持ち主の束さんも認めとるしな。」

 

 篠ノ之じゃったら束さんが譲ると言っても【剣刃(つるぎ)】の方が拒んだじゃろうな…

 ワシは隅でこっちを睨んどる当人を横目に見ながらそげな事を考えとった

 

「確かにセーちゃんなら大丈夫だね♪それじゃあ改めて…セーちゃん…【アビス・アポカリプス】…受けとってよ♪」

 

セシリア

「はい!!!」

 

 セシリアは力強く返事をすると束さんの差し出した【アビス・アポカリプス】を受け取った

 その瞬間…

 

 パァ~…

 

全員

「!?」

 

 【アビス・アポカリプス】が青色の淡い光を放った

 ワシはそれを見て…

 

永遠

「うむ!【アビス・アポカリプス】も認めてくれたぞ!セシリア、今からその【深淵の巨剣アビス・アポカリプス】はお主の物じゃ!!」

 

セシリア

「【アビス・アポカリプス】…今日からよろしくお願いしますね♪」

 

 セシリアがそう言うと【アビス・アポカリプス】が再び光った

 どうやらセシリアを気に入ったようじゃな

 周りの者達もその光景を見て微笑んでおった

 

「………」

 

 一人を除いての…

 

 ~永遠 Side out~

 

 

 

 ~千冬 Side~

 

「さてと…【アビス・アポカリプス】の受け渡しも無事終わったし【ハルファス・ベーゼ】の説明を続けるよ?」

 

セシリア

「あ!はい!」

 

 束は【アビス・アポカリプス】の事で中断していた機体の説明を再開した

 

「武装に関してはアレで全部だね。次は特殊能力に関してだけど…実はこのISにはとーくんの【ラインバレル】と同じ【自己再生能力】を持たせてあるんだ♪」

 

全員

「【自己再生】!?」

 

 何だと!?

 まさかあの【ラインバレル】の厄介極まりないあの能力を再現したのか!?

 だがそうなると少し気になる事があるな…

 

千冬

「だが束…お前どうやってその能力を付けたんだ?【ラインバレル】の解析が終わった事は聞いているが…それにしては実用化するには早すぎると思うんだが?」

 

 これが私の疑問だった

 いくら束が天災でも【ラインバレル】と同じ能力を可能とする機体をこんなに短期間で造り上げる事は不可能な筈だ

 私のこの疑問は火ノ兄を始めとした全員が同意した

 すると束は…

 

「エヘヘ~…実はそれに関してはちょっと『インチキ』したんだよ♪」

 

全員

「インチキ?」

 

「うん!実は【ハルファス・ベーゼ】を造る時に【ラインバレル】を『材料』にしたんだよ!」

 

全員

「は?」

 

 【ラインバレル】が材料?どう言う意味だ?

 私が束の言ってる事の意味を考えていると…

 

永遠

「束さん…【ラインバレル】の装甲を剥がして構成しとるナノマシンを弄りおったな?」

 

全員

「え?」

 

「正解!!!」

 

全員

「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「【ハルファス・ベーゼ】はとーくんの【ラインバレル】を構成するナノマシンを流用して造った物なんだよ。【ラインバレル】はどんなに壊れてもすぐに再生するでしょ?それも欠損した部分もナノマシンが増殖して補填するから装甲の一部をこっちで保管しても【ラインバレル】自体には何の影響も無いと思ったんだよ。」

 

 コイツ…信じられん事をするな…

 言われてみればそうかもしれんが実際にそれを実行するとは…

 

永遠

「また無茶な事をしおったのぉ…確かにその方法ならすぐに実用化出来るかもしれんが…本当に大丈夫なんか?元は【ラインバレル】の物なんじゃろ?」

 

「それは大丈夫!!一度【ラインバレル】に近づけて見たけど束さんが弄ったお陰で反応しなくなってたよ。多分【ラインバレル】は別物と判断したんじゃないかな?」

 

永遠

「それならいいんじゃが…」

 

「ただ…やっぱり手を加えたせいで再生速度が【ラインバレル】の半分くらいにまで落ちちゃったんだよね~…」

 

千冬

「半分でも十分だろ?」

 

全員

「うんうん!」

 

 私の一言に全員が頷いていた

 いや、火ノ兄は頷いてないな…アイツの場合は【ラインバレル】の持ち主だからな…

 

「それは束さんも同意見…って言いたいけどこの能力の事を考えると不満だね。」

 

一夏&ラウラ&シャルロット

「え?」

 

 そうだった…【ラインバレル】が持つ【自己再生能力】…束はこの能力をISが宇宙で活動する際の生存率上昇に使おうと考えているからな…それを考えると半分の再生速度では満足出来んか…

 尤もそれを知らない一夏達は首を傾げているな…コイツ等からすれば十分過ぎる能力だからな

 

「まあそれは今後の課題だけど今はいいよ。それで後はこのISにはもう一つ『変形機能』も付いてるよ♪」

 

全員

「変形!?」

 

 まだあったのか…束の奴…一体オルコットの機体にどれだけの技術を詰め込んだんだ!?

 

「【ハルファス・ベーゼ】は鳥型に変形出来るんだよ。そしてその形態でしか使えないのが…蒼い炎で突撃する必殺技…《バーニングフレア》だよ!!」

 

セシリア

「蒼い…炎…」

 

「うん!【ハルファス・ベーゼ】…二つ名を付けるなら【蒼炎の不死鳥】ってところかな?」

 

永遠

「不死鳥か…【再生能力】に火の鳥…正にその通りじゃな…」

 

セシリア

「【蒼炎の不死鳥…ハルファス・ベーゼ】…」

 

 うむ…確かにその名が一番相応しいな…

 

「後は単一仕様(ワンオフ・アビリティー)だけど…そっちは最適化(フィッティング)が終わってから話すよ。」

 

全員

単一仕様(ワンオフ・アビリティー)!?」

 

セシリア

「使えるんですか!?」

 

「勿論使えるよ♪のんちゃんの【ワイバーン・ガイア】も使えたでしょ?」

 

鈴&ラウラ&シャルロット&一夏

「え!?」

 

永遠&セシリア&簪&本音&千冬

「あ!?」

 

 そう言えばそうだったな…【ワイバーン・ガイア】を調べた時に使えると布仏から聞かされていたのを忘れていた

 その事を一夏達には教えてなかったな…まあ他人のISの機密をそう簡単に教える事は出来んから仕方ないか…

 

本音

「そうでした~!使う機会が無かったんで忘れてましたよ~…」

 

千冬

「まあアレは余程の事が無い限り使う必要の無い物だからな…」

 

ラウラ

「それ程の物なんですか?」

 

千冬

「ああ、その内見る機会もあるだろう。」

 

ラウラ

「はい…」

 

 何しろアレは【ワイバーン・ガイア】()()()()()()()だからな…

 しかしそうなるとオルコットの【ハルファス・ベーゼ】は一体どんな能力を持っているんだ?

 

「それじゃあセーちゃん、説明もこんな所だし、そろそろ最適化(フィッティング)を始めるよ。【ブルー・ティアーズ】の時のデータがあるから初期化(フォーマット)はしなくてもいいね。」

 

セシリア 

「はい!!」

 

 説明を終えた束が【ハルファス・ベーゼ】の最適化(フィッティング)を始める為にオルコットを呼んだのだが…

 

「姉さん!!!」

 

 今迄蚊帳の外になっていた箒が口を開いたか…

 はぁ…このまま静かにしてくれていて欲しかったんだがなぁ…

 

 ~千冬 Side out~

 


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