IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第109話:白と紅の敗北【白式&紅椿VS銀の福音】

 

 ~真耶 Side~

 

 現在、私達は指令室で【福音】の迎撃に向かった織斑君と篠ノ之さんをモニターしています

 してるんですけど…失礼ながら凄く不安です…不安しかありません…

 それは一緒にいる先輩や他の専用機持ちの皆さんも同じ気持ちの様です…

 でもそう感じても仕方ないんです…何しろこの作戦は織斑君と篠ノ之さんの2人だけで行ってるんです…しかも篠ノ之さんが参加していると言うだけで不安が大きくなってしまうんです…

 彼女のIS適正は『B』です…しかも学園での成績はお世辞にも良いとは言えません…下から数えた方が圧倒的に早いんです…

 そんな彼女が専用機を手に入れたからってすぐに乗りこなせる筈ありません…

 それが分かっているからこそ篠ノ之博士は第5世代ではなく第4世代を用意して、尚且つリミッターをかけたんでしょう…

 そうでなければ彼女はすぐに暴走する事が目に見えています…

 それにあの子は火ノ兄君の【戦国龍皇】を盗みました…そんな事をする人に本当なら専用機を持つ資格すらありません…

 それなのに彼女が専用機を手に出来たのは篠ノ之博士の妹と言うレッテルのお陰です…そんな事で手に入れるなんて必死に努力した人達を馬鹿にする行為ですよ…

 っと、話が逸れましたね…まあそんな子にこんな難しい作戦を任せてしまって大丈夫なのかという訳です…やる事は織斑君を現地まで運ぶだけなんですけど…不安で仕方無いんですよ…

 あ!そんな事を考えている内に…

 

真耶

「先輩!2人が目標ポイントに到着しました!」

 

千冬

「よし…」

 

真耶

「あの…大丈夫なんでしょうか?」

 

千冬

「…大丈夫とは言えんな…何しろあそこには『爆弾』の様な不安要素の塊がいるからな…」

 

 爆弾って…そこまで言いますか…

 

千冬

「織斑を運び終わったら戻れと言ってあるが…」

 

真耶

「そのまま参加すると思いますよ?」

 

千冬

「私もそう思う…実際に出撃前にそう言ったら『エネルギー切れになった一夏を誰が連れて帰るんだ!』とか言っていた…火ノ兄がいるから迎えの心配は無いんだがな…」

 

 【ラインバレル】がありますもんね…連れて戻るくらいなら今の火ノ兄君でも出来るでしょうから…

 それなのにモニターに映っている篠ノ之さんは戻る素振りを見せていません…どう見てもそのまま参加する気満々ですね…

 

千冬

「それにアイツが参加する魂胆も容易に想像出来る。」

 

真耶

「え?」

 

千冬

「成功したらあいつの事だ…束にその事を理由に『第5世代を寄越せ』とか『リミッターを外したままにしろ』とか言うに決まってる。」

 

真耶

「あ~…言いそうですね…それ…」

 

 その時の姿が簡単に想像出来てしまいます…

 

千冬

「かといって失敗したら『ISが悪い』とか言って『第5世代にしろ』とか訳の分からん事を言うだろう。」

 

真耶

「………」

 

 そっちも容易に想像出来てしまいます…

 

千冬

「まあ本当にそんな事言って来たらぶん殴ってやるがな。これ以上アイツの我儘なんぞ聞くに堪えん戯言だ。耳障り以外の何者でも無い。」

 

真耶

「…ですね…」

 

 私も聞きたくないです…

 …あ!?

 

真耶

「先輩!!【福音】がもうじき2人と接触します!!」

 

千冬

「いよいよか…」

 

 無事に成功してくれる事を祈る事しか私には出来ません…

 

 ~真耶 Side out~

 

 

 

 ~三人称 Side~

 

箒

「準備はいいな!!」

 

一夏

「オ、オウ!!」

 

 現在、【福音】との接触ポイントに到着した一夏は何時【福音】と接触してもいい様に戦闘態勢を取っていた

 だが…

 

一夏

(何で戻らないんだ?)

 

 指令室の千冬達の予想通り箒はこの場に留まっていた

 一夏が聞かされた作戦では箒の役目はここまで運ぶだけだった

 帰りに関しては永遠の【ラインバレル】を迎えに行かせるからエネルギー切れになっても大丈夫だと説明されていた

 にも拘らず何故か箒はこの場に居座っていた

 その事を一夏が言っても…

 

箒

「お前一人では心配だ!!だから私も残る!!大船に乗った気持ちでいろ!!」

 

 とか言う始末だった

 ハッキリ言って箒の力を頼るなど大船どころか泥船に乗る様な物でしかなかった

 一夏もそこまでは思っていなくても不安でしかなかった

 その為…

 

一夏

(千冬姉にも言われているし、最初の一撃が躱されたら火ノ兄に撤収を頼むか…)

 

 一夏は作戦通り、最初の一太刀で決めようと気を引き締めた

 

一夏

(…となると…やっぱり瞬時加速(イグニッション・ブースト)で接近するしか無いな!!)

 

 そして、その為に自分がどう動けばいいかも決めると…

 

箒

「来たぞ!!」

 

 遂に【福音】が現れた

 

一夏

「よし!!行くぞぉぉぉっ!!!」

 

 迫りくる【福音】に対して一夏も【雪片】を構え直すと飛び出した

 それに続く形で箒も飛び出した

 

箒

(コイツを倒して…私の力を認めさせてやる!!そして姉さんに私に相応しい第5世代を用意させる!!火ノ兄も剣刃(つるぎ)を造らせてやる!!!)

 

 そんな箒の考えている事はココでも千冬達の予想通りの事だった

 一方…

 

一夏

「…ココだ!!」

 

 一夏はハイパーセンサーで【福音】との距離を計り、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使うタイミングを狙って使用した

 そして…

 

一夏

「よし!!」

 

 多少のズレは起きたが一夏は【福音】に急接近する事に成功した

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『La?』

 

一夏

「貰ったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 一夏はそのままの勢いで【零落白夜】を発動すると【福音】に向かって全力で斬りかかった

 だが…

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『La~♪』

 

 ドガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

一夏

「グアッ!?」

 

 【福音】の背中に装備されている大型のスラスターから無数のエネルギー弾が撃ち出された

 これこそが【銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)】に装備された広域殲滅兵装…【銀の鐘(シルバー・ベル)】だった

 【銀の鐘(シルバー・ベル)】によって一夏の機先は削がれてしまった

 

一夏

(くっ!コレが特殊武装かよ!?この弾幕を躱すのはいくら何でも厳しいぞ!!SEの残りは…まだ行けるか…けど最初の一撃を防がれたしな…ココは最初の予定通り撤退した方がいいのか?)

 

 一夏が撤退を考え始めた時…

 

箒

「うおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

一夏

「ま、待て箒!?」

 

 横から箒が【福音】に斬りかかった

 慌てて一夏が止めようとしたが箒は止まらなかった

 だが…

 

 ドガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

箒

「ぐああああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 突っ込んで来た箒は【銀の鐘(シルバー・ベル)】でアッサリ撃ち落とされた

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『La~♪』

 

一夏

「箒!!くっ!!」

 

 箒が仕掛けた為、【福音】は更なる追撃を放ってきた

 その為、やむを得ず一夏も戦闘を継続する事になってしまった

 

 ………

 ……

 …

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『La~♪』

 

 それから2人は【福音】に挑むが決定打を与えられずにいた

 

箒

「おのれえええぇぇぇっ!!!」

 

 さらに箒は【福音】に手も足も出ない事から苛立ち、動きが雑になって行った

 

一夏

「待てよ箒!!!」

 

 そんな箒を一夏は落ち着かせようとするが箒は耳を貸そうとはしなかった

 箒は完全に頭に血が上ってしまい【福音】を倒す事しか考えられなくなっていた

 

一夏

(くっ!!どうすればいいんだ…もう【白式】のSEも残り少ない…【零落白夜】も使えて後数秒しかない…)

 

 一方で一夏は今の状況を冷静に考えていた

 

一夏

「(これ以上の戦闘はもう無理だ!!千冬姉に連絡を取って…)ん?」

 

 そして一夏は撤退を決め、指令室の千冬に連絡を取り永遠を迎えに来てもらおうとした

 だが、その時一夏は何かに気付いた

 

一夏

「何だ今の?…え?」

 

 それが何か分かると目を見開いた

 何故ならそれは現在この海域にはあってはならない物だったからだ

 その為…

 

一夏

「箒!!!『船』だ!!!」

 

箒

「船だと!?」

 

 箒に叫んだ

 一夏が見つけた物…それは『船』だったのだ

 海域封鎖をしているにも拘らず船がいると言う一夏の行き成りの言葉に流石の箒も突撃を止めた

 

一夏

「そうだ!恐らく密漁船だ!だから…」

 

 一夏は船を逃がす為に移動しようと言おうとした

 だが…

 

箒

「そんな奴等放っておけ!!」

 

一夏

「…え?箒?」

 

 何と箒は船の乗員を見捨てると言い出した

 

箒

「奴等は犯罪者だぞ!!そんな奴等に構うことは無い!!」

 

一夏

「………お前…何でそんな事言えるんだよ…」

 

箒

「え?」

 

一夏

「…犯罪者だからって…見捨てるなんて…何で…そんな寂しい事言うんだよ…」

 

箒

「い、一夏?」

 

一夏

「…お前…『そんな奴』だったのか?」

 

箒

「!?」

 

 一夏の言葉に箒は動揺し刀を落とした

 

箒

「ち、違う…わ、私は…ただ…ただ…」

 

 箒は言い訳を言おうとした

 だが、その後の言葉が出てこなかった

 それもその筈…箒がココに居るのは自分の欲望を満たす為のただの我儘でしかないからだ

 密漁船はその自分の目的を邪魔した存在だった

 その為、箒は続きの言葉が出てこなかった

 続く言葉は自分の欲望を口にする事になるからだった

 だが、今は戦闘中…

 つまり…

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『La~♪』

 

 ドガガガガガガガガガガガガガッ!!

 

一夏&箒

「!?」

 

 動きを止めた2人は【福音】の格好の的になっているという事になる

 

一夏

「箒ぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 

 無防備になっている箒の前に一夏が立ち塞がった

 

箒

「え?」

 

 ドガアアアァァァンッ!!!

 

 そして【福音】の放った【銀の鐘(シルバー・ベル)】は全弾一夏に直撃し巨大な爆発が起きた

 

箒

「い、一夏あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 そんな一夏の姿に箒は叫ぶ事しか出来なかった…

 

 ~三人称 Side out~

 

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