IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第110話:第2陣出撃!!

 ~三人称 Side~

 

「い、一夏あああああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 【福音】の攻撃から箒と船を守って【銀の鐘(シルバー・ベル)】を全て受けた一夏は爆発に飲み込まれた

 

「そ、そんな…」

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『La~♪』

 

「!?」

 

 そして一夏を倒した【福音】は次の狙いを箒に定めた

 だが…

 

 ブンッ!

 

「!?…ひ、火ノ兄!?」

 

 その時、箒の目の前に【ラインバレル】を纏った永遠が現れた

 

永遠

「………」

 

 ブンッ!

 

 だが、永遠は何も言わず箒を掴むと【転送】を使い再び転移した

 次に現れたのは一夏が守った船の上だった

 そして…

 

 ブンッ!

 

 今度は船ごと転移した

 その結果…

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

『………La?』

 

 戦闘海域には【福音】だけが残された…

 

 ~三人称 Side out~

 

 

 

 ~千冬 Side~

 

千冬

「…篠ノ之…何か言う事はあるか?」

 

「………」

 

 私は今、一夏と箒が出撃した海岸に来ている

 そしてそこでは火ノ兄によって戻って来た箒と対面している訳だ

 何故私がそんな事をしていると言うと…簡単に言えばこの馬鹿の尋問だ!

 事前の作戦ではコイツは一夏を目的地に運ぶ事だけが役割だった…だがコイツは一夏を送り届けても戻ろうとはせず勝手に作戦に参加した

 一応様子を見ようという事で放置していたが一夏が船を発見した事で状況は一変した

 あろう事かこの馬鹿は船が密漁船と言う理由で見捨てたのだ

 その結果、船とこの馬鹿を庇って一夏は【福音】の攻撃を纏めて受けてしまった

 幸い準備させていた火ノ兄が被弾直後の一夏を助け出してくれたお陰で九死に一生を得たがそれでも重傷なのに変わりはなく、馬鹿と船も連れて戻って来た火ノ兄はすぐに待機させていた医療班に一夏を預けた

 もし火ノ兄が来るのが僅かでも遅れていたら一夏は更に酷い事になっていたかもしれんな…

 それから密漁船の方は地元の警察に連絡して既に引き渡してあるから大丈夫だ

 つまり残る問題がこの馬鹿!!篠ノ之箒だ!!

 コイツは私がココに来てから一言も喋っていない…言い訳を言えと言っても何も言わない

 私が来る前はギャーギャー騒いでいたのにな?

 

千冬

「…事前に立てた作戦ではお前の役割は織斑を目的の場所まで送り届ける事だけ…それが終わり次第戻る手筈だったな?違うか?」

 

「………」

 

千冬

「迎えに関しては火ノ兄に任せると言った筈だが?お前はこっちの立てた作戦を聞く気が初めから無かったのか?」

 

「………」

 

千冬

「もう一度聞く…誰が参戦していいと言った?誰の許可を経てあんな事をした?」

 

「………」

 

 返答無し、か…当然だな

 コイツのやった事は明らかな命令違反…しかもコイツが勝手に参戦したせいで結果として一夏は重傷を負ったんだからな

 全く!本当に碌な事せんなコイツ!!

 だが、これ以上コイツの相手をする時間も無い…ココは…

 

千冬

「ハァ…まさか行き成り使う事になるとはな…」

 

「…え?」

 

 『アレ』を使うしかないか…

 私はそう言ってポケットから『ソレ』を取り出した

 

「そ、それは!?」

 

 それを見て箒は慌てだした

 それはそうだろう…何しろコレは…『【紅椿】の強制停止スイッチ』だからな!!

 

「ま、待って下さい!!!」

 

 箒は止めようとしたが私は構わず…

 

 カチッ!

 

 スイッチを押した

 その瞬間、箒の手首に巻かれていた待機状態の【紅椿】が色を失った

 金と銀の鈴が付いた赤い紐だったが今は全て灰色になってしまっている

 なるほど…止めるとああなるのか…分かり易いな

 

「【あ、紅椿】?…オイ!!【紅椿】!?応えろ!!」

 

 箒は【紅椿】を展開しようとするがどれだけ呼び掛けても【紅椿】は何に反応もしなかった

 よし!確かに止まってるな!

 さて、後は…

 

千冬

「篠ノ之!!お前は部屋で謹慎だ!!処罰の内容はこの一件が終わり次第通達する!!それまで大人しくしていろ!!!」

 

「!?」

 

 この馬鹿を隔離しておく

 そうでもしておかんとコイツの事だ、【紅椿】が使えないならと今度は量産機を勝手に持ち出して【福音】に再戦を挑みかねんからな

 そう言う訳で私はコイツを引き摺って旅館に戻ると空き部屋を一つ用意して貰い、そこに放り込んでおいた

 勿論教師の1人を見張りに付けた

 

 ~千冬 Side out~

 

 

 

 ~束 Side~

 

 ハァ~…まさかこんな事になるなんて…

 ゴメンねいっくん…束さんもこんな結果になるなんて思わなかったよ…

 まさか箒ちゃんがここまで酷かったなんて…本当…何であんな子に育ったんだろ?

 束さんはそんな事を考えながらメガネっ子と一緒に【福音】の現状を監視していた

 すると…

 

千冬

「束!真耶!【福音】が何処にいるか分かったか!!」

 

 指令室にしている部屋にちーちゃんが戻って来た

 でも、戻って来たって事は…

 

「その事より箒ちゃんは?」

 

千冬

「空き部屋に閉じ込めて見張りを置いて来た!!」

 

 まあそう言う事だよね…

 

「やっぱりそうなった?…って事は…」

 

千冬

「ああ、使わせて貰った!!」

 

「アハハ…やっぱり…」

 

 使ったんだね…スイッチ…

 でも仕方ないか…あんな結果じゃ束さんも弁護できないし使うしかないよね…

 

千冬

「それで【福音】は?」

 

「あ、うん、居場所の特定は済んでるよ。って言うかあれから動いてないよ?」

 

千冬

「は?動いてない?一夏と戦ったあの場所にまだいると言うのか?」

 

真耶

「はい。」

 

千冬

「…何故動かないんだ?」

 

「それだけど…少し調べて見たら今は休眠状態になってるみたいだよ?」

 

千冬

「休眠?一夏と箒の2人と戦ったくらいでそうなるとは思えんが?」

 

 まあそうだよね~…相手がとーくんやセーちゃんならともかくいっくんと箒ちゃんと戦ったくらいで休むとは思えないし…となると…

 

「…移動の疲れ、ってところかな?」

 

千冬

「そんな所か…」

 

 なんだかんだで【福音】は太平洋を横断してこっちに来たもんな~…

 

千冬

「まあそれはいいとして動いてないなら丁度いい…束、【ハルファス】は?」

 

 お!遂に出番が来たんだね!!

 

「うん!!準備OK♪いつでも行けるよ!!」

 

千冬

「よし!!ではオルコットに出撃命令を出せ!!」

 

真耶

「ハイ!!」

 

千冬

「それと布仏も出撃させろ!!」

 

真耶

「え?布仏さんもですか?」

 

 のんちゃんも出すの!?

 

千冬

「ああ、奴が動いていないなら2人に任せた方が確実だろ?」

 

「ふ~む…確かにそうだね…」

 

真耶

「分かりました!では2人に連絡しますね!!」

 

 メガネっ子も返事をするとセーちゃんとのんちゃんに連絡を入れた…

 でも…【ワイバーン・ガイア】と【ハルファス・ベーゼ】のタッグか~…

 うわ~…自分で造っておいて何だけど…完全にオーバーキルだね…ご愁傷様…

 私はこの後の展開を予想して【福音】に内心合掌した…

 そして…

 

真耶

「【ハルファス・ベーゼ】!!【ワイバーン・ガイア】!!発進しました!!!」

 

 2人が出撃した…

 【福音】…南~無~…

 

 ~束 Side out~

 


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